駆け抜けたい伝説の途中

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【ペーパーマリオRPG】感想

ペーパーマリオRPG

 

バッジリスト・おりょうりリスト・ものしりリストの他に、ほしのかけらやおなやみセンターもコンプリートしました。

おそらく収集要素でやれることは全てやり切ったと思います。やってないことと言えばマリオのレベルカンスト辺りでしょうか。

 

 

ペーパーマリオRPGは20年前のゲームであり、自分もちょうどゲームキューブ世代ということもあってとても思い出深い作品です。家族で一緒にプレイして楽しんでいた覚えがあります。

 

今回のリメイクですが、やはり多くの方が仰るように想像以上に丁寧に作り込まれていたリメイクだったと思います。

オリジナルの味をそのまま活かすことにこだわっていたスーパーマリオRPGのリメイクも良かったですが、本作は「不便だった部分を改善しながらも原作の良さはそのままに」という方針であり、丹念な検討の繰り返しの下で製作された印象がありました。

数少ない追加要素も素晴らしいものが多く、何よりも自分が魅力的に感じたのは楽曲方面への注力でした。

 

 

追記よりネタバレを踏まえた感想になります。

 

 

現代でも遊びやすく改良された快適性

 

快適になった要素は挙げたらキリがないのですが、当時煩わしかったなぁと感じていた諸々の要素がとことん修正されていたと思います。

なかまリングとゴロツキ広場の土管に関しては言うまでもないのですが、他にも挙げるならば

 

・ゴンババ城のピンチデマモールP入手地点に土管設置

・闘技場の試合待機中に扉を調べればすぐにガードマンが来る

・チビヨッシー搭乗中に扉を開けられる

・ウスグラ村とオドロン寺院を繋ぐ土管設置(解禁タイミングもステージ4の難易度を損なわず完璧)

・トロピコアイランドにジャンプ台設置

・ヤッツケアタックがBP0に

・ハンマーでクルリン床の場所を確認できる

・随所のムービースキップ(特に感動したのはカゲの女王相手にゲームオーバーを踏んだ時のスキップと、闘技場二周目の挑戦の時のスキップ)

 

など、細かすぎる修正でテンポの改良が確認できました。自分が書き忘れているor気づいていないだけで他にももっとあると思います。

 

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確かにこの何度も往復させられる狭い道でパックンとチョロボンのシンボルをかわすのは大変だなぁ……と当時思ってはいましたが、こんな一般的には不満点として挙げられることすら稀な小さい問題まで改善しているのだから、恐れ入りました。

ここまで行き届いた修正をしておきながら「あいしてる100回」は据え置きなのは笑っちゃいますよね。原作愛を感じました。

 

 

しかし、結局スーパーペーパーマリオのモドルドカンのような便利な物はなく、マリオの移動の遅さという根本的な部分も解決していなかったので、大変なままになっている部分もありました。

 

特に煩わしく感じたのはおなやみセンターの依頼でした。

アイテムを一個持っていく度に次々と要求してくるフラワーさんや、相変わらず放浪癖のありすぎるホワイト将軍に対しては、今初見で目の当たりにしていたら血管が切れていたと思います。

 

それだけ大変な思いをして解決したところで、くれるのが30コインとかというのも渋すぎました。それもあってか依頼はコンプリートには関係しないようになっていましたね。

今思うと報酬がしょぼいことまで含めて超寄り道要素って感じですよね。なんだかんだでキャラの関係性が知れたり会話が面白かったりするので今回も全て消化してしまいました。

 

ルイージに成り済ます依頼は当時爆笑した覚えがあります。今見ると結構ヒドいですね……マリオが誤解解かない辺りとか。

一年後に発売されたマリルイRPG2もルイージ弄りのピークだったので、この時代の悪しき風習でした。

 

あとはチュチュリーナの加入とウルトラストーンの入手の為に向かわなければならないゴンババ城へのショートカットがないこと、ステージ7のホワイト将軍のたらい回しがそのままなことなど、必須及び必須級のイベントでありながら改善されていないものもありました。

やはり所謂ファストトラベルがないことは現代RPGと比較すると若干煩わしいかもしれません。

 

 

なんにせよ、原作と比べると大幅に快適になっていることは間違いないと思います。

 

 

 

 

追加ボス:プリンス・マッシュ

 

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原作ではステージ3クリア時にしか姿を見せないキャラクターなのでフィールドで話しかけることすらできませんでしたが、今回エンディング後にエキシビションマッチをすることができるようになりました。

初代チャンピオンにして伝説のファイターということで実は強いという説もありましたが、本当に意味がわからないぐらい強くて笑いました。

 

毎ターン構えを変えて攻撃を回避、FPを吸収する飛び蹴り、総攻撃力100以上の連続攻撃、分身など、攻撃のバリエーションが非常に多彩でした。

それでいてHP96とDEF6という高すぎるステータスを持っています。どう見てもDEF6って見た目じゃないんですが……。

自分が小学生の頃書いていた黒歴史ノートの妄想プリンスマッシュよりも遥かに強かったです。こちらが全開の状態で戦えるということもあって、後述のコブロンよりも強敵になるようにアジャストされていると思われます。

 

彼を破るには前準備もそうですが、スーパーガードを成功させなければならないというアクション要素も要求されます。

上記の総攻撃力100以上の連続攻撃からしてそうなのですが、スーパーガードを使えば相手の6あった防御力が0になってくれるというサービスがついてきますし、そもそも後半戦では相手の無敵状態を解除するのにスーパーガードで攻撃を受けることが必須となっています。

ピンチデガンバル20積みのような極端なことをしない限りは、どれだけ構築を強くしようが最終的にはプレイングが要求されるボスということで、本作における諸々のバランスブレイカー要素へのアンチテーゼとも言える敵だったと思います。そういう意味でも最強の相手だったので、これまでムキムキボディでゴリ押してきただけのプレイヤーはお仕置きされること間違いなしです(一敗)

 

 

 

 

追加ボス:コブロン

 

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「裏ボス コブロン」なんてワードを最初に見た時は、嘘リークもしくは過去作のMODかなんかだと疑ってしまいましたね。

24年前のマリオストーリーの没敵にして、ファンメイドで好き勝手されていた姿がついに実現してしまいました。

 

 

自分の幼少期のコブロンの思い出なのですが、兄と一緒にプレイしていてマップ移動を繰り返しながらタンコブを乱獲していたら、急にコブロンが「フニャニャニャ~ もうダメだ~~」と言いながら死んでしまって「え……?」となんとも言えない気持ちになっていた記憶があります。

幼少期の自分はRPGやアクションゲームのストーリーに感情移入は滅多にしませんでしたが、いくらなんでもプレイヤーの操作で罪のない生物を一方的に搾取するだけして最後に命まで奪ってしまったという光景を眼前に見せられては、幼心にも罪悪感が掻き立てられた覚えがあります。語り草となった今では「そういうもの」として見られていますが、何も知らなかった当時は衝撃的でしたね。

 

今回リメイクにあたってとんでもない設定が追加されてしまいましたが、これまでは「死」か「停滞」以外の結末を辿ることのなかったコブロンが、いくら叩いても死なない存在になったという意味では平和になったと言えるのかもしれません。

元々のコブロンはシリーズお馴染みの登場キャラクターにして、全く報われることのなかった生物でしたからね。もちろん原作のどうにもならなすぎるブラックさが良かったという人もいると思いますが。

 

強さに関してはHPや防御力は少ないものの、やはり赤タンコブによる上振れが特徴的でした。HP75回復や25ダメージは流石に法外です。

また、攻撃された回数に応じてリソースが増えるという性質のボスである以上、ペーパーマリオRPGの最強の攻撃手段であるレンゾクジャンプとれんぞくずつきをメタってきていることが印象的でした。HP5マリオでワンパンするなら別でしょうけど、ジャンプダケーヨ辺りで適当に盛った状態で殴っても逆効果です。

自分はなるべくムキムキボディを縛って挑みたかったのですが、バッジを替え忘れたまま挑むというドジをやらかしてしまったのでやむを得ず解禁する羽目になりました。流石にフラワーデールなんかがついてるような構築じゃ真正面から行って勝つのは難しく……。

 

 

プリンスマッシュにしろコブロンにしろ、完全新規オリジナルキャラクターでも他作品ゲストキャラクターでもなく、原作のキャラクターを追加要素として落とし込んでいることが良すぎましたね。BGMも両方かっこよかったです。

 

 

 

 

100階ダンジョン踏破

 

リメイクの話とは直接関係ありませんが、書かせてください。

 

当時は家族総出で10回以上は挑戦してようやくクリアできたというレベルだったので、超高難易度コンテンツというイメージがありました。

しかし、今回は初見であっさりクリアできてしまいました。ピンチ・キケン系のバッジは全て縛っており、持ち込んだアイテムはボス戦で一度使用するのみでしたが、それでもあまり苦戦することはなかったです。

 

こういったRPG系のゲームは如何に相手の攻撃を受けないか、如何にリソースを節約できるかという点を試行錯誤しながら最適解を出し続けるのが求められるので、大局的な思考のできる今の方が攻略しやすかったです。大人の力。

逆にアクションゲームは子供の頃はクリアできたステージに大苦戦していることも多いです。老い。

 

 

特に子供の頃は絶対やらなかったのが、敵を起点にして回復ターンを捻出するプレイングでした。

敵一体だけを残した後にネムラセフミィで5~7ターン眠らせ、ゲンキゲンキ!とアピールを連打してHPとFPを回復するという戦術です。今回はこれを繰り返しながら慎重に攻略していました。

 

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そもそもネムラセフミィが強すぎますよね。効く確率もまあまあ高く、このゲームで5ターンも眠らせるというのは実質即死のようなものです。

BP1とFP2というコスパの良さと、何故かボスにもたまに効いてしまう程の通りの良さも相まって、余裕で最強バッジの一角だと思います。

ゲンキゲンキ!はHPとFPを5前後回復することが見込め、スーパーアピールPのバッジをつけてアピールすればスターパワーは1ゲージ分まるっと回収できるので、敵の攻撃が飛んでこない状況下では永久機関でした。

 

 

あとはやはり鬼門である90~99階で鍵となるのはクラウダのふきとばしでしょうか。

これも当時は全く使っていなかった技でした。スターポイントが普通に手に入るのよく考えてみるとおかしいな……。

 

運要素も絡む技なので90階までの敵相手はマリオの火力で押した方が安定する面もありましたが、90~99階に登場するマホマホーン×5などはまともにやり合ってたら馬鹿を見ます。

マホマホーン以外にもドクガッスンやヴァンパイヤーンなどの飛んでいる敵が多いので、ふきとばしをバリューの高い運ゲーとして運用できる場面は多かったです。

序盤からお手軽ザラキとして暴れてくれながらも、最終盤の100階ダンジョンのラストスパートでも攻略の要となる、頼りになりすぎる技でした。

 

他に頼りになった仲間といえば、意外にもノコタロウでした。

マリオも仲間も攻撃力をかなり盛っていたので、マホマホーン部隊はつらぬきコウラ+マリオのツギツギジャンプで一掃することができていました。あとはきらめくパンジーさん達もつらぬきコウラ+かこんでポンで倒すようにしていました。

ビビアンのまほうのほのおと比べて火力が1高いのは大きかったです。

 

 

正直大局的な思考どうこうよりも、このゲームにはおかしな強さを持っている技や戦術がそこそこにあるので、それらを如何に利用できるかどうかで難易度は激変することを実感しました。

知り合いの中にはスーパーガードを連打してステージ4か5時点で踏破したなんて人もいました。原作のRTAではキケンデパワーを駆使してステージ1クリア(クリアとは言っていない)直後に踏破なんてことをやっている方もいました。

この辺はまあこの人達が上手いだけではあると思うのですが、なんだかんだでシナリオクリア直後に挑めば普通にクリアできるバランスにはなっていたと思いました。

 

 

 

 

なかま

 

話が脱線したついでに仲間キャラについても語っておきます。

 

ペーパーマリオRPGの仲間キャラは全員が有能であり、上位互換は流石に存在しなかったと思います。

自分は序盤からずっとスバヤクカワールをつけていたのですが、やはり最適解となる仲間はシチュエーションごとに違っていました。

 

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このスバヤクカワールというバッジですが、子供の頃はBP7という重さを嫌って一切つけていなかった覚えがあります。実際はBP7の価値があるぐらい強いんですけどね。1ターンちょろまかせることがどれだけデカいかがわかっていなかったです。

 

 

結局一番連れていた期間が長かったのはクリスチーヌでした。マップに入る度にものしりをしたくなるし、村に入る度にキャラクター全員にものしりをしたくなりますよね。

戦闘でもものしりリストを埋める為なら必須のキャラクターであり、通常攻撃の火力もパワープラス込みでは最強でした。やはりメインヒロインでした。

基本的にマリオが行動選択肢の多さから全ての仲間の上位互換になりがちなゲームなので、行動権を受託できるおうえんキッスも強すぎました。

 

ノコタロウは技全てがめちゃくちゃ強いと思います。

特に彼の最大の強みと言えるのは、序盤から使える低燃費全体攻撃であるシュビビンコウラだと思います。この次に消費が低い全体攻撃となるとFP6のまほうのほのおになるので、その半額で撃てるFP3の技は価値が高すぎました。

雑魚戦用キャラクターなのかと思いきや、コウラのまもりは隠れた壊れ技だと思います。特にマリオのHPを絞った育成をしている時や即死級の攻撃を撃ってくる裏ボス連中には有効だと思います。

つらぬきコウラも相手によってはバレル以上の火力を出すことができます。

素で防御1持ってるのも偉く、ステージ2の隠しブロックに入っているナマクラヤイバーPを装備させて彼を前に出せば無敵の盾になれるという裏技もありました。

 

クラウダは前述の通りであり、最強の仲間は誰か?という議論になれば彼女の名を挙げる人が大半だと思います。

当時は全く使っていなかったですね。幼心には刺激の強い見た目だったので。

ふきとばしばかりに目を向けられがちですが、消費3でどの場所にいる敵にも防御無視ドレインのできるセクシーキッスも相当優秀な技だと思います。

このスペックの高さでありながらバレルに次ぐHPを持っていたり、通常攻撃の火力が6あるのも偉いと思います。

 

チビヨッシーはやはりパワープラスを積む構築であれば一転してエースとなれます。

自分は攻撃力を3盛っていたのですが、ミニミニタマゴは4×4点の高火力技になり、たいぐんヨッシーはFP6でありながら総ダメージ12の全体攻撃となっていました。

実際は相手の防御力によってダメージが大きく変動してしまうので無双できないことも多かったですが、移動の快適さも相まって連れていることは多かったです。

ちなみに自分は色厳選してオレンジ色にしました。ギザギザした髪型が好み。

 

ビビアンは素の火力面では他の仲間に一歩劣りますが、やはり天井の敵やパイポを掲げているジュゲムにも攻撃できる通常攻撃、防御無視全体攻撃のできるまほうのほのおが優秀であり、この子を使うことが最適解となる場面は全然ありました。

メロメロキッスは使ったことがないのでよくわかりません。混乱は効果が発動した時のリターンは高いですが、耐性を持っている敵が多い上に発動確率が所詮50%なので、戦略には組み込みにくかったです。

ビビアンの設定ですが、性別に言及するテキストを慎重に調整しながらも、設定を原作のまま収録しようと取り組んでくれていたことが伺えてとても嬉しかったです。つくづく本当に丁寧なリメイクです。

 

個人的に好きな仲間はバレルでした。このデザインを考えた人は天才です。イベントが起きそうな場面では彼の台詞を聞く為にいつも連れていくようにしていました。

ちなみに自分としては突き詰めればチュチュリーナを差し置いて最弱だと思っています。

通常攻撃と全体攻撃の単発火力が最高なのが強みだと思いますが、通常攻撃はパワープラス込みならクリスチーヌやチビヨッシーの方が打点が高くなり、防御が極端に高い敵に攻撃する場合はチュチュリーナに軍配が上がってしまいます。すんごいバクハツもパワープラス込みならチビヨッシーのたいぐんヨッシー、防御が高い敵を相手にするならノコタロウのつらぬきコウラとビビアンのまほうのほのおの劣化となってしまいます。

バレルが最適解となるシーンはエルモス系の敵を相手にした時ぐらいだったと思います。とはいえ、彼のアイデンティティはHP40というタフネスにもあると思うので、技性能だけを切り取って一概に最弱とも言えないかもしれません。

 

度々ネガられがちなチュチュリーナですが、防御無視の通常攻撃は終盤になれば輝くことも多く、ワンワン等の固すぎる相手にはマリオを差し置いて彼女が最大打点を出せることも珍しくなかったので、かなり活躍してくれました。

しかし、他の技は敵全体をグルグルという微妙な状態異常にする技だったり、FP10でHP10回復する最悪過ぎるコスパの技だったりで、総合的に弱いのは間違いないと思います。;;

あとは彼女のフィールド能力のダウジングの融通の利かなさも相変わらずでしたね。基本的には常に使うようにしていたのですが、Y軸の距離を教えてくれない上に草むらのコインにすら反応してしまうので、見落としてしまうことも多かったです。クリア後にミステールで回収したほしのかけらは17個でした。

 

 

ペーパーマリオRPGはイベント時に連れている仲間キャラが喋ってくれるという差分も好きでした。

 

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これが生後数日の赤ん坊の語彙か……?

みんな同じような語彙を使うことに違和感を覚える場面もあったとはいえ、ラスボス戦などのそのキャラらしい台詞をきちんと喋ってくれる場面もありました。

 

新機能である『なかまヒント』は常に聞くようにしていました。

当初は進行上向かわなければならない場所を指定してくれるのみだと思っていましたが、同じマップの中でもギミックを前にした時だけ台詞が細かく変わっていくことなどは、とても作り込みを感じさせられました。

例えばチビヨッシーの能力で越えられる場所が目の前に来た時だけヒントが変わるなどですね。もちろんそのポイントを越えた瞬間別のヒントに置き換わります。

そしてそこまで親切だったのにも関わらず、最もアドベンチャーゲームをさせられる肝心のステージ6では、一転して「乗客に聞き込みしましょう!」というざっくりすぎるヒントしか言わなくなることもなるほどなぁと思いました。

 

クリスチーヌの台詞が9割以上だったので、欲を言うなら他の仲間キャラの台詞ももっと欲しかったかもしれません。クリスチーヌ以外の仲間は基本的には自分の能力を使って解決できる場面の時に喋ってくれるのみでした。

クリスチーヌが常にヒントをくれるというのは彼女の頭脳明晰なキャラクター性をより強調しようとした結果なのかもしれませんが、やっぱり色んなキャラが喋ってくれる方がみんなで冒険してる感が出て好きです。

一応エンディング後は色んな仲間がヒントをくれるようになっていました。コブロンに言及するバレルなんかはちょっと面白かったです。

 

 

これらの個性的な仲間達が後述する世界観の魅力をより豊かにしてくれていました。

マリオストーリーからの系譜ですが、クリボーやノコノコ等の原作ではギミックでしかない存在がキャラクターとして昇華され、一蓮托生の関係となる構図は面白かったです。

 

 

 

 

一風変わっていながらも綿密に作り込まれた世界観

 

本作が神ゲーだと思う理由その1です。

 

本作の最大の特徴と言えば「本当にマリオなのか?」と思ってしまう程にブラックなストーリーだと思います。

散々言われていることだと思いますが、なんせ開始数分でゴロツキタウンというよからぬ名前の街を拠点として活動することになり、目の前にデカデカと絞首台が出てくるんですよ。リメイク前はCERO:Aでまかり通っていましたが、本作は犯罪アイコンのもとCERO:Bとなりました。これでも一部の表現は修正されていることが伺えました。

 

 

しかし、そんなマリオらしからぬ世界観は当時多くのユーザーを魅了しました。

なんと言っても「黒い」「エグい」だけには留まらない濃密な世界観たらしめているのは、作り込みの丁寧さでした。

 

前述の連れている仲間によってイベントの台詞が変わる仕様のほか、キャラクターとマップ毎にテキストが用意されているクリスチーヌのものしりや、ストーリーのフラグが何かしら更新される度にNPCたちの台詞が変わるなど、テキスト量の多さが異常でした。

ステージ3では一戦戦う度に台詞が更新されます。ハンマーブロスのエムシーに話しかけていくだけでもドラマを感じさせられること必至です。

 

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こちらの画像は二周目の闘技場のチャンピオン防衛戦にてゴールドホークに敗北し、一部リーグに降格した際の仲間とリバースの台詞です。

正直二周目のゴールドホークなんて負ける方が難しいレベルの相手です。それに一度勝った後でわざわざ負けてあげた時にしか見られないテキストなんて、特殊条件にも程があると思います。見られた人はほとんどいないのではないでしょうか?

 

自分はこのような本作の細かいテキスト差分を回収していくのが大好きでした。

上記の通りですが、常にクリスチーヌを連れてものしりをしてしまうし、イベントが起きそうな場面ではわざわざお気に入りの仲間に交代してしまうし、おなやみセンターの依頼はブーたれながらも結局全て解決してしまいました。

 

リメイクではキャラクターボイス(?)の追加と多様な表情パターンの追加によって、キャラクター達が更に個性的に描かれるようになり、世界観を大きく盛り上げてくれます。

これは人によっては最も嬉しい追加要素だと思います。物語を形作るのはやはりキャラ魅力です。

 

 

 

 

前代未聞!? な戦闘BGMのレパートリー

 

本作が神ゲーだと思う理由その2です。

 

本リメイクは原作のBGMがアレンジされて収録されている……だけではありませんでした。

なんとステージ毎に新規戦闘BGMが流れるという仕様のほか、クッパ戦やペケダー戦などの複数回戦う相手との戦闘BGMが別々に新規で書き下ろされました。

カウントしてみたのですが、通常戦闘BGMが9曲、イベント(ボス)戦用BGMが26曲ということで、合計35曲の戦闘BGMが用意されていました。

後述のかんがえ中BGMも含めればこの約2倍です。ナツメーロで聴ける原作の曲も含めればプラス16曲です。

 

元々ペーパーマリオシリーズは「ボス戦毎に固有のBGMがある」ことでも注目を浴びていましたが、本作はその路線を更に進化させてきました。

自分はサウンド方面に力が入っているRPGは数多くプレイしてきましたが、少なくとも絶対数という観点ではここまで戦闘BGMに力を入れているRPGは正直初めて見たというレベルでした。

そういった意味では誇張抜きでRPG系のゲームとして歴史的な作品となったのではないでしょうか。

 

 

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もちろん凄いのは曲数だけでなく、アレンジ曲はどれもが素晴らしいとしか言いようがなかったです。

自分の好きな戦闘BGMは強いて挙げるならば『ステージ7』『カゲ三人組』『クッパ(二戦目)』『プリンス・マッシュ戦』『コブロン戦』などです。正直全部好きなので甲乙つけがたいですが。

 

曲数の豊富さだけでなく、オリガミキングと同様にしばらく操作していないと『かんがえ中』という音源が抑えられた別バージョンの曲に切り替わること、ボス戦の勝利ファンファーレにおいて固有BGMの1フレーズが流れること、ラストダンジョンの闇の宮殿ではフィールドBGMがシームレスに戦闘BGMとして設定されていることなど、音楽を使った数々の演出も感動を覚えるものでした。

もちろんフィールドBGMの作り込みも細かく、メガバッテンのアジトは階数に応じて別々の曲が流れるという意味の分からないことをやっていました。とにかく楽曲方面への注力度合いが異次元だったと思います。

 

 

 

 


 

 

 

 

まさか20年越しに『ペーパーマリオRPG』がリメイクされるなんて思ってもみませんでした。

非常に満足度の高いリメイク作品であり、自分も久し振りにRPG作品を完全クリアまで遊んでしまいました。とても楽しかったです。

元のGC版は今プレイすると不便に感じるところも多いと思いますが、本リメイクは随所の細かすぎる部分にまで目を向けて改善が施されているので、今からプレイしてもあまりストレスなく遊べると思います。

 

本作単体に目を向けてみると、「世界観」と「戦闘BGM」の二点が魅力的すぎるゲームだと思います。

マリオらしからぬブラックなストーリーと、膨大なテキスト量から構築される作り込まれた世界観。各マップとボス戦毎に固有に設定されている豪華な戦闘BGM。

元々独特な世界観が人気を博していたゲームでしたが、リメイクでは豊富なBGMによってそれが更に煮詰められており、作品全体の「雰囲気」が素晴らしく重厚に感じられるようになっていました。

 

『ペーパーマリオRPG』の世界は「普段のマリオとは一味違うのがイイよね」というような一言では終わらせない程に奥深いものです。それが損なわれることなく丁寧に正統進化を施された本リメイクは、伝説的なタイトルとして一層完成されたと感じました。