大地は震え、空は息をひそめた。
網が張られ、歩む者の足は絡め取られる。
芽生えた声は、夜の囁きに消えそうになった。
掟は静かに忍び寄り、深い眠りを置く。
その眠りは罰でもなく、守る者の意志の跡。
揺れる大地の中、誰もがその跡を辿る。
遠く、叫びは波に溶ける。
届くか届かぬか、時の霧の中で揺れる。
歩む者の意志は、その揺らぎの中で確かに立つ。
隣の地では網がさらに重く、告げる声は孤独に
沈む。
だがここでは、網の中でも芽は伸びる。
静かな問いが、深く、深く地に刻まれる。
かつて奪われた伴侶の影が、土を震わせた。
それは消えず、歩む者の呼吸に染み渡る。
座にある者の言葉は、風に溶け、地に降る。
「伝統の名で他者を縛ることは、正当化
されぬ」
網は残り、地は揺れ、危機は押し寄せる。
だが芽生えた意志は歩き、揺れる中で確かに
生きる。
声は風に乗り、歩みは夜を越える。
自由は、奪われるものではなく、問い直す
ものとして存在する。
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