孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

2024年12月に読み終わった本リスト

転職活動とか色々あったのもあり、今年は年100も読まなかったす。94冊でした。

おつかれした!来年はこのまとめ続けるかは不明……(そういうと絶対やめちゃいそう)。

 

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基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

光リザーバーコンピューティング: 原理と実装

だいぶ狭い範囲のゴリゴリの専門書やけど、学生時代かじっていた分野なので惹かれて購入。リザーバーコンピューティング(IPAとかはリザバーコンピューティングと呼んでる)はニューラルネットワークの手法のひとつで軽量高速かつそこそこの精度で時系列タスクなどを解ける手法。それだけだとふーんなんだけど、その性質上非線形な(厳密には満たさなきゃいけない要素はもうちょいあるんだけど)物理現象を利用して計算できるっていうことで、電子回路だけじゃなくてナノ材料とか有機材料とか力学センサーとか色々な物を活用した物理実装の研究がされている。当然光学系でも注目されていて、そのまとめがこの1冊という位置づけ。

光リザバーの他の物理系に比べた強みとしては色々あるけど個人としては処理時間の速さだと思う。省電力とかは大体他の材料系でも謳っていて正直用途にもよりけりだし比べづらいが、光学系で情報処理ができるのであれば電気回路だったりナノデバイス系よりかは基本早くなるだろうなと思うので、そこは強く言えるポイントではないかと思う(もちろん実験系とかタスクによってボトルネックが生まれそこに律速されて結局あんまり他のリザバーや別手法と変わらんとかありそうだけど)。自分の今後の人生にどれだけ役に立つかはわからんけど、非常に面白かったです!

 

 

新しい霊長類学―人を深く知るための100問100答 (ブルーバックス)

かなり昔に買ったのを積読してて年末大掃除の際に読んだ。100問の問いに対して1問1問数ページにわたってガチ回答が連なっているので、文庫本と思って舐めてかかると読むのに時間かかる。

霊長類は現在約350種くらい、サルも人間のように文化的な習慣を受け継ぐ(宮島のイモ洗い文化などが代表)、同族殺しをしたり小型のサルを食べる大型のサルがいる……など色々興味深い話があるんだけど、ブリッジングと呼ばれるチベットモンキーのオスが他の子供のチンチンをなめる挨拶だったり、ボノボのメスが互いに抱き合い性器をこすり合わせるホカホカと呼ばれる挨拶だったりとそういうサルの習慣の話を見るのが一番面白かった。

 

 

IOWN構想 ―インターネットの先へ

NTTが現在構想しているIOWNに関する思想や現状などをまとめた本。IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)の略で2024年に仕様策定、早期の商用化を目指しているらしい。

IOWNはオールフォトニクス(通信の完全光化)、デジタルツイン、コグニティブファウンデーションの3つの要素からなるという。通信や演算などを行うプラットフォームのようなものととりあえず読んで理解した。人工知能や量子コンピューティング、VR、ネットワーク、エネルギー……など11個の技術キーワードと絡めて相補的に発展させていくらしい。正直最初に掲げたIOWNの構想と直接関係ないんじゃないかな?というトピックも割と入っていて、NTTの色々な研究所がやっている研究をとりあえず全部ねじ込み、もとい横ぐしを刺してトータルのサービスとして売るような感じかな?と思った。

この書籍は2019年とかの構想し始めた時点のものなのでふわっとしたことしか言ってないが、ホームページを見る限り色々と進んでいってはいるようだ。完成が楽しみですね。

www.rd.ntt

 

 

 

図解レンズがわかる本

レンズの歴史から始まり、製造法や種類、用途、高校物理レベル(スネルの法則とかそういうの)の光学から大学レベルのレンズ光学の簡単な幾何的な作図を通じた法則などまで図解で分かりやすく解説されている。大学でたしかに習った記憶はあるけど結構忘れてたなーと読んでて思った。解説されてるのは可視光を対象にしたレンズのみであり例えばX線などを取り扱う光学系などの話は入っていない。

 

図解レンズがわかる本

図解レンズがわかる本

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よしもとプログラミング部と学ぶPython「超」入門教室

基礎的なプログラミングの内容紹介、環境構築、基本文法などをやったのちに、tkinterによるGUI表示、そしてfasttextやVGGなどのAIモデルを1部使って大喜利アプリを作るまでを解説している。本書を通してなにか動くものができるというのは魅力だと思う。解説は最小限って感じで、プログラミング部の吉本芸人が本書に出てくる意味合いはほぼない。昔受験参考書にあった黄色い本の『○○の点数が面白いほどとれる本』シリーズばりにキャラクターの意味がない。
プログラミング部のメンツには有名なとこだと東大芸人の田畑と元たかだコーポレーションの大貫さん、アメトークとかにたまに出てるiPhone芸人の人など。

 

 

 

テクノアメニティ

日本触媒の歴史とか今後の動向とか多角的に見れる本だと思ったら、もう少し搾っていくつかの分野に対する研究開発・量産立ち上げエピソードが記された本だった。創業者の話とかは初めにチョロっと出てくるけど以降は高度経済成長期以降の商品・製造拠点展開の話がメイン。

無水フタル酸の成功から吸水ポリマー事業を確立させたり、インドネシアにプラントを立ち上げる話だったり、化学系の学生が見たらワクワクする内容になっているだろう。一方で社員一人一人がイキイキしている、数千人を超えるけどベンチャースピリットを持っているなどの記述はよいしょしすぎ感があってほんまかー?と思った。

 

 

 

「システム管理者の眠れない夜」 -ほんとうに価値のあるシステムを求めて (ITブッククラシックス)

ちょうど2000年問題前後の時代に雑誌に連載されていた記事をまとめた本で、機械メーカーで社内SEをやっていた作者の苦労話などがまとめられた一冊。必死こいてシステムの不具合を改修したり原因調査を行ったり、対応が後手後手に回って福岡と大阪を三階も往復する羽目になる話だったりと面白くて「システム管理者絶対やりたくね~」となる一冊だった。一番ひどいのは別部署の部長に急ぎの要請されて上司が不在の中不具合対応で出張したのに、帰ってきたら上司と別部署の部長の仲が悪くて「パンダグラフにでも乗っていったから交通費かかってないんだろ?お前が勝手に行ったんだから出張は認められない」と自腹を切らされた話。自分だったらさすがにその場でその上司ぶん殴っていると思う……。

 

 

 

デジタル戦略の教科書

デジタル化に関する戦略がまとめられた本で、調べたら評判良さそうなのでとりあえず読んでみた。けど割と羅列されているだけって感じで(コンサル出身の人が書いた本ってホントそういうの多いよなあ……)、あんまり入ってこなかった。

ざっくり製品やサービスをデジタル化することのメリットや先行事例、デジタル競争では早めにリリースしてフィードバックを回していくことが重要だったり、プラットフォームを築いてユーザー間の相乗効果が生じるところまでスケールさせて成長することが大事だったり……そこら辺の基礎理論をつらつら書いている。

 

 

 

全部、言っちゃうね。

幸福の科学で出家した清水富美加改め千眼美子の暴露本みたいなもの。

千眼美子は6歳で三帰誓願して幸福の科学に入会。両親も2人の姉も会員で典型的な宗教二世という感じ。小6の時にスカウトを受けたのをきっかけで芸能活動を考え始めたらしい。幸福の科学の仏法真理塾のサクセスNo.1をやってた。中学は日藝から空間デザイナーをやろうと思って日大三中に入り、ダンス部に入りレプロにスカウトされモテにモテたらしい。堀越に行ったから出席率で仕事率がわかる状態で、普通科も邪な感じな人が多そうでは全然友達が出来なかったとのこと。まれに出た時で月8万とかで2016年にようやく25万とからしい(といいつつ年収は1000万くらい)で、売れ始めたタイミングで歩合制から給料制に変えることを拒んだら干されかけたなどのエピソードもありレプロしょっぱ!となる。トータル、レプロもひどかったけど両親とかの対応もあんましで、その両親も幸福の科学だからそっちの関係者も清水富美加のつらい労働環境に一部加担してないか?と思った。まあ本人が今幸せならそれでいいと思う。

 

 

 

ありがとう、わたし 乃木坂46を卒業して、心理カウンセラーになるまで (文春e-book)

元乃木坂46から心理カウンセラーになったひめたんこと中元日芽香の人生史のような1冊。

中学までは習い事に勉強に学校行事にと結構全部上手くやれてたけど乃木坂では開幕アンダー、以降過食症と闘いながら選抜とアンダーの出入りを繰り返したり適応障害になったりした経緯が割と赤裸々に書かれている。令和の仕事体制ではありえないような競争主義の弊害がめちゃくちゃよく分かる1冊だとは思った。とはいえ、見ているオタク側からしたら誰が選抜に入るかが大人数アイドルの魅力であり、予定調和の固定されきった布陣だったりログインボーナスみたいなお情け選抜は見ててげんなりするので難しいところ。中元日芽香が心身の限界に辿り着いた中で決めた進路が心理カウンセラーやったんだなぁということがわかった。

 

 

 

グレタ たったひとりのストライキ

環境活動家グレタの母が書いた1冊。なぜグレタがストライキをするに至ったかやスピーチの内容が書かれている。サッと読めると思ったけど環境に関する主張などが色々書いてるので意外と内容はぎっしりしてる。全体的に化石燃料の枯渇、地球温暖化に加えてヴィーガン的な要素も入ってて盛りだくさんって感じ。
妹も妹でADHDだったりグレタの両親はオペラ歌手上がりだったりとそもそも背景として知らんかったことが割とあった。めちゃくちゃ感覚が鋭敏なアスペルガー、鬱で溜まったエネルギーが問題に対して何も動いていない/楽観視しすぎているように見える環境活動に全て注がれてるんだなぁという印象。環境に対する主張は『理論上はそうかもしれんけど』という感じだが、化石燃料をほぼ使わないパリ協定を厳密に守る生活をするくらいなら人類は滅んでも良いと言う人が相当数いるから厳しいだろうと端的に思った。ただ、電気自動車とか太陽電池だけでは……という意見には同意。

 

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