孤独な弧度法

ブログのタイトルは完全に語感だけで決めました。そこそこ良いブログ名だと自分では思っています。

2024年8月に読み終わった本リスト

インドネシア旅行の合間にちまちまと呼んでましたよ、実は!

 

 

基準:

  • 当該月に読み終わった本が対象(※読み始めたのがその月とは限らない)
  • 最初から最後まで目を通した本を『読み終わった』と定義

 

昨月の記事:

2arctan-1.hatenablog.com

 

目次:

 

 

深層学習による画像認識の基礎

Transoformer系列(Vision Transformer)を含む近年の画像認識手法や知見がまとまった一冊。画像認識系、意外と近年の手法がまとまった本はなくて2017,8年くらいの本で止まってがちだったので色々と知れて役に立った。

Transoformer系列の画像認識モデルはCNNと比べて高性能を出せるが大規模な事前学習・大量データが必要となり諸々の学習手法の工夫を行うことでSwin Transformerなどの構造ベースの計算の軽量化などが図られようやく実用レベルのものになった中々試行錯誤の末の産物なんだなと(普及しているAIモデルは大体そうだけど)。そのほかにも物体検出、セグメンテーション(領域分割)などの応用手法や、自己教師あり学習、画像と自然言語などのトピックでそれぞれ一章ずつまとめられている。

 

 

 

人工知能とこれからの仕事 ~法律業務AI開発記

筆者は弁護士をしながら契約書チェックサービスをAIで行うリーガルテックGVA TECHを設立。元々弁護士としてスタートアップ企業への法務サポートなどを行う中で、価値ある業務に集中するにはどうすればよいか?というアイディアで企業に至ったという。弁護士などのユーザー側がしっかりAIを勉強し、要件定義をして開発を行っていく行動力がすごいと思う。AI単体よりも実務との掛け合わせが強いんだな~と思うとともに、法律分野にAI代替やその先のニーズは色々眠っているんだなと思う。今だとLLMとか出てきて単なる要約などのサポートはかなりやりやすくなってそうだし。

今どうなっているか調べたらちょうど数日前に上場していた。着実に成長させていっているみたいですね。

gvatech.co.jp

 

 

 

AI防災革命 災害列島・日本から生まれたAIベンチャーの軌跡

こちらもAIベンチャー創業者の本。筆者は阪神淡路大震災の経験を踏まえ防災ボランティアにいそしむ中で、この仕事を生業にしたいと防災ベンチャーであるスペクティを設立したとのこと。

スペクティは災害時の防災情報をリアルタイムで提供するツールを開発し、最初の一年は無料で使ってもらい後から課金する戦略をとった。防災という市場の小ささを理由にベンチャーキャピタルから融資を断られ終わりかけたところでフジテレビから出資してもらったり、大手が後続で参入してきたりと結構苦労してきたようだ。ただ大手は関連ワードに紐づく情報を手あたり次第提供する粗悪なものだったようで失速したらしく、スペクティとしては情報を最終的には人の手で選別するということで災害時に最も重要な質を担保している。その他にも官公庁が主なターゲットということでベンチャーにしては珍しく大手販売代理店を使っていたりとビジネスの性質を感じて面白い。スタートアップは大きな市場を狙うべきではない、衰退している市場にこそチャンスはあるという言葉の説得力は結構あるなと思った。

調べた限り、2024年現在も元気にサービスを提供し続けているようだ。

 

spectee.co.jp

 

 

 

 

エンジニアリングが好きな私たちのための エンジニアリングマネジャー入門

本書の主張としてはマネジメントはコードに通ずるものがあり、組織や体制を最適化して最善を尽くす義務があるとのこと。

全体的にはメンバーの価値観を知ろう、フィードバックは積極的に、弱みを開示して過ちを素直に認めて謝ること。など、理想的に言えばチームプレイとして割と当たり前のことを言っているんだけど、それがやりづらいのは会社などの組織の評価制度などとの齟齬があるからなんだろうな……でも、ここら辺がちゃんとできていないマネージャーがいると若手の離職が大量発生して地獄になるのでやっぱりちゃんとこういったマネジメントスタイルは浸透させる必要あるでしょうね。1on1がマネージャーの一番大事な仕事というのは個人としては本当に同意するけど、上層部の忙しさを考えると実際には形骸化していることが多いなと。その他にも会議に関してや、共同開発時の注意やプルリクエストの粒度などエンジニアリング観点でのマネージャーの注意事項もしっかり記載されていてプロマネとかやるなら読んだ本が良い本だと思った。

 

 

 

新事業開発スタートブック

新規事業を会社の事業部として始めるやり方とか知りたくて買ってみた。

基本的には事業テーマを選ぶ→顧客と提供価値を定める→事業計画を立てるの3ステップでそれぞれループを回してブラッシュアップをしていくという流れらしい。事業テーマにはAIとかDXとか流行の言葉を何となく入れないこと、とにかく30点くらいの出来でもいいから仮説を作って検証するループを回すこと、技術力を売りにしないこと、新事業に社運をかけないこと(余裕がある時に仕込んでいくこと)など一つ一つの話は納得感があり、またモデルケースとなるストーリーもあり読みやすかった。

 

 

 

事業を創る。

上の本と合わせてブックオフで安かったので、比較する意味合いも込めて購入。こっちは製造業の事業創りという観点で書かれており、最終章に自動車だったりヘルスケアだったりの実際のケースがまとめられている。

こちらではそれぞれの業界の中長期的なメガトレンドを抑え、観測可能な指標を定期的にモニタすることが大事と書かれていたり、アライアンスや企業の機能を可視化し組み合わせるなど、より経営視点でかつ具体的な話として記載されている印象。コンサル出身者特有の整理されているけどなんか残らない感じの文章で本としては上の本の方が面白かった。

 

 

 

自分を信じる力

ラグビー日本代表の福岡選手が書いた自伝のようなもの。

ラグビー時代の鬼しごきは令和なら問題になるくらいの徹底ぶりだったり、高校時代のラグビーに関するエピソードやラグビーを大学で続けるか医学部を目指して浪人するか迷ってエピソードなど、スポーツ部分はかなり読みごたえがある。一方で選手活動をやりながら短期間で集中して勉強して順天堂大学医学部に受かったという、みんなが気になる部分についてはさらっと流されていた。一応擁護すると日本代表の時から塾には定期的にかかって、高校基礎レベルの学力は維持し続けていたらしいから合格は理論上不可能ではない……と思う。たぶん。

 

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