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ネクラで眼鏡でキモオタな優等生は“受け”るとイイよ!

委員長、地味な真面目くん、オタク少年…そんな“優等生受け”BLが大好きな腐男子のブログです~。

 

[レビュー]一気にどどーん! 2009年にレビューを書けなかった多数のBL本たちを、まとめてご紹介します!(2)


Category: レビュー その他   Tags: ---
 本記事は、前の記事からの続き物ですので、そちらからお読みいただいたほうがわかりやすいです。
 といってもレビューの集合記事なんで、別にバラバラでも大丈夫ですが(笑)。

 では次の一作。
 大島香弥先生の小説単行本『幻の恋人』ですよ。

幻の恋人 (クロスノベルス)幻の恋人 (クロスノベルス)
(2009/11)
大鳥 香弥

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 これは設定が神すぎます(笑)。
 人付き合いが下手で本の虫で、今は大学の法学部の3年生で、法学研究会なんてモテなさそうなサークルに入ってる、線の細い女顔眼鏡な大学生・俊(しゅん)が主人公(受)。
 そんなネクラな俊が、高校時代から思い続けている親友・信一(しんいち)と、付き合うことは叶わなくても、一度だけ恋人同士のようにデートしてみたい…という思いを抱き、他大学の女の子のフリをして女装してしまうという。
 うぎゃー!
 設定だけで鼻血吹くわ!!!!!(笑)

 このですね、“女装して偽デート”という設定はですね、BL小説の単行本として最初に描かれたのが、六青むつみ先生のリンクスノベルス『夕陽と君の背中』だと思うんですが、これは高校生同士のお話しでした。
 しかも受けキャラはやっぱり眼鏡の優等生クンだったんですよ。
 なのでブログ主は、『夕陽と君の背中』と出会った時には、もう歓喜のあまりジョジョーッと音を立てて失禁するかと思いました(笑)。
 あれ以来、年に何冊かはこの“女装して偽デート”というストーリーを見るようになりましたが、なぜか嬉しいことに、この設定だと受けキャラが線の細い眼鏡の優等生クンなことが多いんですよね。
 で、本作『幻の恋人』もそんなBL界の伝統を受け継ぐ一作になっているわけです。

 とにかくですね、本作の主人公(受)・俊が徹頭徹尾ネクラなのが最高ですよ(笑)。
 親友の信一、こいつは明るくて社交的で友達も多くて女の子にもモテるやつなんですが、彼のことをひそかに思い続けているだけで、絶対に行動を起こそうとしないという。
 それはもちろん、「こんな男の僕なんか…」という諦めがあるからですが、その割には、自分で自分のことを「僕」なんて言っちゃう優等生クンのくせに、信一にがばっと覆いかぶされ、優しく愛撫され、抱かれちゃう夢を見て、自慰に耽ったりしてるんですな!

 僕は女になりたいなどという願望は持っていない。

 でも信一が女の子に恋をするたびに、自分は男だから信一の恋の相手には最初からなりえないのだと思い知らされ、もし自分が女だったら、と心の底で夢想はした。

 そして今、僕は心底自分が女だったらよかったのにと思う。


 こんな夢想にふけるところが頭でっかちなインテリっぽくていいでしょー(笑)。
 で、そんな妄想が膨らんで、女の子に化けて信一とデートするというとんでもない行動につながっていくんですな。
 そしてデートの最中、偽の女の子である自分に夢中になった信一にキスされて、うっとりと身をまかせてしまうという。
 ぎゃー!
 設定が好きすぎる!!!!!(笑)
 この魔性の眼鏡っ子めっ! めっ! めぇぇえええええっ!!!!!!

 はい、次!

 池田ソウコ先生のコミックス『教室の暴君』から、短編マンガ『ボディ・ピロル・ラバー・ベイビーズ』です!

教室の暴君 (ニチブンコミックス)教室の暴君 (ニチブンコミックス)
(2009/10/28)
池田 ソウコ

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 いま“優等生受け”を描かせたら一番勢いがあると言っていい池田ソウコ先生の単行本ですよ。
 この作家さんは(ブログ主的には)不思議な方で、バリバリの優等生受けを描かれるかと思えば、逆に眼鏡優等生が攻めキャラのマンガを描かれたり。
 あんまりどっちも描く人っていないんですけどね(笑)。
 このコミックスでも、いろんなカップリングが入ってますよ。

 で、ご紹介する短編マンガ『ボディ・ピロル・ラバー・ベイビーズ』の萌えポイントは、受けキャラのまず何よりもルックスとネクラな性格にあります!
 ぼさぼさの黒い長髪に眼鏡という、とってもオタクっぽい感じ見かけの大学生・シゲが主人公(受)なのです。
 で、性格的もちょっと内向的で、いろいろ考えちゃうタイプ。
 そんなシゲの家に最近入り浸っているのが、大学のサークルの先輩・ヒロでした。
 飲み会の帰り、酔っぱらったヒロは必ずシゲの家に泊まり、ぐでんぐでんのままヒロを抱き枕のように抱きしめたまま眠りにつくのです。
 みんなに好かれる先輩・ヒロが自分だけに見せるそんな甘え(?)が嬉しくてたまらないシゲは、飲み会が楽しみでしょうがありません。
 そしていつしかシゲは、先輩・ヒロに「自分が特別な存在だったらいいな…」という恋心を持ってしまうのですが…。

 で、普通ならこれでハッピーエンドになりそうなものですが、シゲが見かけどおりにネクラなので(笑)、「こんな僕のこと好きになってもらえるはずが…」的な自滅思考に陥り、話がややこしくなっていきます。
 別れた彼女の代わりに抱き枕にされてるだけじゃないかと…とか思いこんで、

「女の代わりなんて…っ」

 なんて一人で泣いちゃったり。
 で、まあ誤解が解けて当然ながらハッピーエンドになるわけですが、ブログ主的には、その後のラブラブエッチが超オススメでございます(笑)。
 見た目が真っ黒なぼさぼさ長髪に眼鏡というネクラ系男子の代表みたいなルックスのシゲが、ヒロ先輩に優しく抱かれて真っ赤になって感じちゃうところが、いやこれもう最高!
 僕のことだけ好きって言って…的な、シゲの甘え方が、いやもうツボでツボで(笑)。
 こーゆーのを描かせたら、池田ソウコ先生は本当にピカイチですよね!

 ほい、次!

 柚摩サトル先生の花音コミックス『花道★恋しぐれ』に収録されている『素顔はタブー』をご紹介しましょう!

花道恋しぐれ (花音コミックス)花道恋しぐれ (花音コミックス)
(2009/10/29)
柚摩 サトル

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 すいません、このコミックス、表題作の『花道★恋しぐれ』は、漫才師を目指す高校生2人のラブストーリーで、いやー、芸能界ものBLにまったく興味がないブログ主は、面白くは読みましたが、萌えとしてはほぼスルーでした。
 ところがぎっちょんぎっちょんちょん、その後ろに穴埋めで(?)収録されていた『素顔はタブー』がそれを補ってあまりある素晴らしい“優等生受け”でして…。
 主人公(受)の高校生・姫野アサヒは進学校の北高に通う眼鏡の優等生。
 ところが、アサヒには困った性癖がありました。
 名付けて“素顔アレルギー”――、なんと眼鏡を外すと“発情”してしまう体質の持ち主なのです。

 とまあ、こう書くとよくありがちなギャグっぽいBLと思われそうですが、本作のアサヒくんは、いやもう素晴らしい優等生キャラなんですね。
 まずとっても潔癖。
 家の風呂が壊れたアサヒは、しょうがなく近所の銭湯に行くことになりますが、初めて来た銭湯でこんなことを呟いてます。

(苦手なんだ…)
(あーゆー誰が使ったかわからないイスに直で座るのは)
(不特定多数の人間エキスが染みこんだ湯につかるのも――)


 だから、人前で裸になるのも嫌でたまりません。
 幸い、アサヒが銭湯に行ったのはほぼ終い湯のころ。
 浴場にはアサヒ一人でほっとしたのですが…。

 そこに入ってきたのが銭湯の一人息子・保(たもつ)でした。
 いきなり他人が入ってきたことにビックリしたアサヒは、慌ててその場から逃げだそうとしてすってんころり。
 その途端、眼鏡が外れて、発情してしまったアサヒは、目の前にいた保に乗っかると、「セ…セックス…したい…」と迫ってしまったのでした。
 文字通りの“発情”なんで、さっきまで眼鏡をかけて「銭湯は苦手…」とか呟いていた優等生が、いきなり色っぽい顔になって、はぁはぁ言いながら、風呂屋の息子に迫ってますよ。

 ようやく眼鏡をかけられて我に返ったアサヒは、恥ずかしさのあまり、

「わあーーーーーっ!」

 と叫ぶと家に逃げ帰ってしまいますが、翌日、風呂屋の前を通ったところを保に捕まってしまったのでした。

「おう! へー、お前、北高の生徒か。勉強できるんだなー」

「あわわ…」(無視して通りすぎようとするアサヒ)


 申し遅れましたが(?)、攻めキャラの保は、いかにも気のいい下町の兄ちゃんという感じの攻めキャラですよ。
 たぶんもう大学生ぐらい。
 なので、保は昨夜のアサヒの“発情”なんか全然気にしてないような顔で、こんなことを話しかけてくるんです。

「オメーくらいの年頃にゃよ、穴がありゃ突っ込みたくなる猿みてーな時期があるもんだ。気にスンナ♪」

 ニッコリ笑ってそんなことを言ってくれる保。
 でも、言われたアサヒのほうは、自分がみっともない醜態を晒してしまった…という負い目があって、素直に保のそんな言葉も受け入れられないんですよ。
 このへんの頑なさが、優等生っぽくてイイ!

「あ、あれはホントのオレじゃないっ!!! とにかくオレは素顔を見られると、あーなっちまうんだよ! だ…だからアレはただの発作で…」

「なんだソレ。流行ってんのか、今?」

「し…知るか! ネット見てもそんな病気出てないし、エ、エッチなこと…したいなんて思ってない…」


 この会話でだんだんわかってきましたが、優等生なアサヒくんは、眼鏡がはずれると「セックスして!」なんて迫っちゃう自分の隠れた性格が、恥ずかしくてたまらず、そんな自分を自分として受け入れられないんですね!
 か、可愛いじゃねーか…(笑)。
 だから、保にこんな風に慰められても、素直になれません。

「別にいいじゃねーか。してえって思うのくらい、ごく自然な事じゃねーの?」

「違う! オレは違う! 思ってない! そんな低俗な人間じゃない!」


 うああー!
 いやこのセリフ強烈!

「オレは違う!」

 ですってよ、奥さん(笑)。
 なんという思い上がった優等生!!!
 さらにこんなことをアサヒは言いつのります。

「セ…セックスなんて不潔だっ!」

 ぬあ(笑)。
 セックスに嫌悪感を覚える優等生って、どんだけ~(笑)。
 これは美味しい。
 美味しすぎるよ、パトラッシュ!!!!!!
 いやー、若い少年のコンプレックス全開ですなぁ。

 さあそして!

 ここから神展開!

 泣きそうになってるアサヒを見て、保がこんなことを言い出すんですよ。

「あー。よし! これも何かの縁だ! 目ぇつぶってじっとしてろ!」

「え?」

「そーゆーときはオレが相手してやっから――気が向いたらいつでも来な」


 そう言いながら、保はアサヒの頭の後ろに手を回すとぐっと引きよせキスを噛ましてくるんですな!

「んっ!?」

「いいから…ちょっと口開けて」

(なっ…ッ!?)


 ここで!!!!
 あれだけ「セックスは不潔だ!」とか言ってたアサヒがですよ!
 年上の男からのキスに思わずうっとりと身を任せ、目をつぶりながら保にしがみついちゃうのです!!!

 ぎゃー!!!!!!!!

 一昨日の紅白歌合戦に東方神起が出てきたときのファンの叫び声みたいなものがブログ主の脳内にぃいい!!(笑)

 つーか、それほどですね、眼鏡な高慢ちきくんだったアサヒがうっとりと身体を預け、「くちゅ」とか「ちゅ…」なんて音をたてながらふにゃふにゃになっちゃうんですな!!!!!
 この場面のアサヒの顔!
 柚摩サトル先生の絵が神すぎる!!!
 ぎゅっ…なんて保の背中に抱きついちゃうアサヒ可愛すぎ!

 というわけで、じつは本書には続編もあり、そこでは2人の“初めて”が描かれてます。
 うひひひ。
 いやー、これは見ない手はないっすよー(笑)。

 よし、次!

 B-PRINCE文庫から発売された砂床あい先生の小説文庫本『一途な夜』をご紹介しましょう!

一途な夜 (B‐PRINCE文庫)一途な夜 (B‐PRINCE文庫)
(2009/12/07)
砂床 あい

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 これは“優等生受け”の一部門としてそのパターンがすでに確立されている感がある“学問一筋の研究員もの”BLでございます~。
 子供のころから奥手な性格で、人付き合いも得意ではなかった主人公(受)・泰斗(やすと)は、高校生のころには同性にしか恋をできない自分の性癖を自覚し、大学は東京に出て、きっと出会いがたくさんあるだろう都会で恋人を見つけようと目論みます。
 計画どおり、東京にある有名国立大の理学部に合格した泰斗でしたが、奥手で物静かな性格が変わるわけでもなく、結局、学生時代も何もなく終わってしまったのでした。
 勇気がなくて、同性愛者の街・新宿二丁目に足を運ぶことすらできないままに…。

 専攻した化学で、有機合成の実見にひたすら明け暮れた泰斗は、きづけば博士号まで取ってしまいましたが、内向的な性格もあり、就職は教授のツテを頼って、やっと化学メーカーに潜り込むことができたのでした。
 ところが、そのメーカーの主力製品はゴム化学製品、つまりはコンドームだったのでありました。

 で、泰斗は先輩たちから命じられるのですよ。

「実地で製品の具合を試して、リポートにまとめて持ってこい」と。

 ま、これはメーカーの社員なら当然のことですよね。
 でも泰斗は何度も書いてるとおり人付き合いが苦手な理系オタクくんなんですよ。
 しかも女性に興味がないという。
 でも真面目な泰斗は、リポートをさぼることなど思いもよらず、一夜限りの相手を探して実際にコンドームを使ってみようと、生まれて初めて新宿二丁目のバーを訪れたのでした――。

 というところから、ストーリーは本格的に始まります。
 ここで泰斗は、運命の相手・将吾と出会うんですね!

 年齢は三十手前ぐらいだろうか。
 薄暗い照明の下でもわかるほど整った顔立ちに、ワックスで立たせた少し癖のある髪がワイルドさを引き立てている。
 ジャケットのボタンを外し、適度な着崩し感はあるものの、さっき自分をからかったガチムチオヤジや熊男たちとは違い、持って生まれた品のよさがあった。

(略)

「初めて見る顔だな。隣、いいか?」

 深みのある瞳で見つめられ、ようやく自分に対して訊ねたのだと自覚した。

「ど…どうぞ。空いてますから。好きにしてください」

 高揚する気持ちとは裏腹に、素っ気ない態度になってしまった。
 そんなつもりはなかったのにと心の中で後悔する。

 それにしても、近くで見れば見るほど完璧な美貌だ。
 自分とは違い、外見も立ち居振る舞いもすべてが洗練されている。
 相手が欲しいならよりどりみどりだろうに、どうしてこんな地味な泰斗などに声をかけたのだろう。

「好きにしてくださいなんて、こんな店で言うもんじゃないぞ」

 忍び笑いとともに、かすかなトワレが漂ってきた。
 クールで甘すぎない、都会の男を感じさせる香りは、骨っぽさと色香を併せ持つ彼によく似合う。
 まるで媚薬でも嗅がされたように心臓がドキドキし始める。
 たかだか隣に座られたぐらいで舞い上がってしまう自分が情けない。

「べつ、別にそんなつもりじゃ…」


 むふふ。
 謎めいたイケメン・将吾の登場ですよ。
 対して、おぼこい感じの泰斗の描写がいいでしょー?
 でも、泰斗は「リポートのためだ!」とばかりに、思い切って将吾に迫っちゃうんです。

「一晩で4回してくれますか…?」

 なんて言って(笑)。
 もちろんリポートのためにそれだけの回数が必要だからなんですが、泰斗を好き者と誤解した将吾は、泰斗の誘いに乗り、ホテルへ泰斗を連れ込みます。
 そして最初のエッチ場面になるわけですが、ここでは「好き者」を装う泰斗と、そんな泰斗の言葉と裏腹の初心っぽさに幻惑される将吾の甘いセックスが読みどころです。
 だって、経験豊富のフリをしてるくせに、泰斗は快感が高まってくると、

「や…キスが…いい…」

 とか言って将吾に甘えちゃったりするんですな!
 おぼこい!!!!!!
 それがイイ!!!!!!(笑)

 でも!

 本作のいいところは、そんな風にめためたに愛されながら、泰斗は冷静に自分のことをわかっていて、「こんなつまらない自分に、こんな格好いい将吾さんが本気になるはずがない…」とネクラに思いこんでるんですな!
 だから、本当は初心で何も知らない眼鏡くんなのに、セックスの最中も泰斗は必死で将吾に尽くそうと頑張ります。
 ところがある日、泰斗の務める会社の新製品が、ライバル企業から先に発売されることがわかって、社内は大騒ぎになります。
 そう、じつは将吾の正体は…というところで、この後2人の恋模様は、企業同士の製品開発戦争と絡んで、大きく動いていくんですな~。
 将吾がモテモテ男のわりには、もう完全に泰斗のうぶな可愛さにハマっちゃってまして、そんな甘甘なところがとってもオススメですよ。

 さて続いても兄弟ものです。
 プラチナ文庫から発売された西野花先生の現代伝奇ファンタジー『閉ざされた常世』です。

閉ざされた常世 (プラチナ文庫)閉ざされた常世 (プラチナ文庫)
(2009/12/10)
西野花

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 本作の当ブログ的なオススメポイントは、主人公(受)の常盤楓(ときわ・かえで)が、因習に捕らわれた離島の神社の「巫女」として、島の男たちの慰み者にされているという設定にあります。
 楓は超美人なんです。
 腰まであるような長い髪と端整な顔立ち。
 そして、楓には弟がいました。
 かつては仲睦まじい存在だった常盤昭宇(ときわ・しょうう)です。
 楓は、男たちに身体を好きに扱われる「巫女」になってしまった今でも、弟・昭宇に対しては、「兄」であろうとするんですよ。
 昭宇だけでもこの島を離れ、真っ当に生きられるようにと。
 だから、わざと冷たい態度を取り、昭宇が自分から離れるようにとしむけます。

 でも、昭宇はそんな兄が許せません。
 突然冷たくなった兄が憎く、男たちに抱かれた兄に冷たい言葉を吐き捨てたりします。
 どーですか、この兄・楓のお兄さんっぷりというか、言い換えれば優等生っぽいこの性格は…。
 ブログ主はだらだらとヨダレを流しながら読みました(笑)。

 そしてある日、楓の願いも虚しく、楓には耐えられないことが起こります。
 自分を凌辱する島の男たちの一人として、弟・昭宇が現れたのです。

 唇が塞がれる。
 大きな手で強く顎を掴まれ、口を閉じられないようにされてから熱い舌が容赦なく侵入してきた。
 口腔を強引にかき回されると、敏感な粘膜が否応なしに反応を示す。

「んっ」

 楓は思わず肩を揺らした。
 こんなに奪い尽くすような口づけを受けたことはない。
 そしてそれが弟によってもたらされていると思っただけで、頭の中が掻き乱されるような感覚に翻弄された。

「ふぅ――、ン」

 口を犯されている。
 そう思ってしまうほど、彼の熱い舌は楓のそれを求め、強く弱く吸ってくる。
 いつしか思考がぼうっと麻痺したようになり、楓の身体から抵抗する力が少しずつ抜けていった。

 長い口づけの後、呆然としている楓の上気した目元に唇を押し当て、昭宇は残酷に宣言した。

「兄さんは俺の巫女になったんだ。今から、それを教えてあげる」


 え、えろす!!!!!
 この場面の何がブログ主の心に響くかって、「弟だけは…」とか綺麗事を言ってた優等生のお兄ちゃん・楓が、その弟に口づけされた途端、肉欲に溺れちゃってぐずぐずになっちゃうところですよ。
 この変化が…えろす!!!!!!

 そして本作ではこの後、巻末までたーっぷりですね、兄弟の禁忌の交わりが詰め込まれてますよ(笑)。
 また楓がですね、口では「だめっ!」とか言いながら、弟・昭宇に犯されるとあっという間に陥落するんです。
 ええ、肉欲に弱いってのは、優等生の性質ですからね(笑)。
 西野花先生は、前作『被虐の花嫁は純潔を誘う』もなかなか読ませてくれましたし、本当に次作が楽しみです。

 さて次!
 90年代に『少年天使』などのBL雑誌で鮮烈にデビューし、商業BL界に革命を起こした歴史に残る作家さんだとブログ主は思ってます、みなみ遥先生のコミックス『あなたの蕾をお世話します!』に収録されている短編マンガ『秘密日記カタルシス』をご紹介しましょう~。

あなたの蕾をお世話します! (ビーボーイコミックス)あなたの蕾をお世話します! (ビーボーイコミックス)
(2009/11/10)
みなみ 遥

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 いやー、ブログ主は、みなみ遥先生がこんなネクラ受けのBLを描いてくださるとはまったく思ってませんでした!
 なんていうか、華やかな女の子めいた受けしか描かない方かと、初めて見たデビュー時の印象が強すぎて、そう思いこんでいたので…。
 でも本作『秘密日記カタルシス』は、素晴らしい設定の“ネクラ少年受けBL”になってます!

 主人公(受)・葵紘也(あおい・こうや)は大学2年生。
 まずまず充実した大学生活を送っているはずの紘也ですが、じつは自分の性格にコンプレックスを持っています。
 それは――。
 好きな相手、仲良くしたい相手ほど、ついつい緊張して構えてしまい、深く付き合えないところです。
 だから友達の中でも、紘也のポジションは「ちょっと地味」。
 そんな性格を、高校からの同級生・櫻井郡士(さくらい・ぐんじ)だけは、よくわかってくれていて、

「そんなんだから、顔だけ人一倍キレーなくせして、恋人いない歴が年齢まんまなんだよ」

 なんてからかわれています。

 そうなのです、じつは紘也には、大学のサークルに気になる先輩(もちろん男子・笑)がいるのでした。
 でも、問題の性格のおかげで、ついつい先輩の前に出ると変な態度になっちゃう紘也。
 そのたびに、「はぁ~、俺ってダメだなぁ」と落ち込む紘也ですが、そんな気持ちを和らげてくれるのが親友・郡士の存在と、そしてもう一つ、最近誰にも秘密で始めた匿名ブログだったのでした――。

 以上が本作の基本的なストーリーです。
 ブログ主好みのネクラ男子ですよ、主人公(受)の紘也クンは(笑)。
 紘也は、日々の「俺ってダメだなぁ~」という思いや、楽しいこと、悲しいこと、泣いちゃったことを、匿名ブログに綴り、思いを発散しています。

(実名でやればコメントとかもっともらえるかもしれないけど…)
(く、悔しくなんかないもん!)


 ところがある日、そんな紘也の匿名ブログに丁寧なコメントが付くようになり、紘也は嬉しくて嬉しくてたまりません。
 紘也を思いやる温かいコメントを毎日残してくれる熱心な読者ができたのです。
 そのさなか、サークルの旅行で訪れた温泉旅館で、親友と思っていた郡士に突然キスされた紘也は、ブログに助けを求めますが…!

 すいません、えらい早足のストーリー紹介になっちゃって…。
 でもこのですね、自分の日々の悲しみ、楽しみを、現実の友達にではなく、匿名のブログで発散するというネクラっぷりがブログ主的にはとってツボです。
 こんなヤワい神経をしたネクラっ子が、めためたに愛されちゃったらどうなるか楽しみで楽しみで(笑)。
 もちろん本作はそーゆー展開になりますから、どうぞご一読を!

 …って、次もまた兄弟ものか!
 なんか偏ってますねぇ(笑)。
 でも、基本的に兄弟ものってのは、兄が受けキャラならば、必ずお兄ちゃんであろうと頑張っちゃうので、“優等生受け”風味が強く出てくるんですよね。
 で、今回ご紹介する神奈アズミ先生の初コミックス『快感☆サプリ』も、そんなカップリングの一冊になってます。

快感☆サプリ (ニチブンコミックス)快感☆サプリ (ニチブンコミックス)
(2009/11/28)
神奈 アズミ

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 主人公(受)・倉橋拓美(くらはし・たくみ)は20歳の大学生。
 ごく普通の楽しい大学生活を送っているはず…の拓美でしたが…。

「タク、気持ちいー?」

「…や」

「気持ちよすぎて声出ねー?」

「ん、そこダメ…。あっ、当た…る」

「なーんだ、ココがいいんだ?」

「ああっ…あ バカッ…んっ」


 じつは拓美は毎晩、こんな風に喘がされまくりな毎日を過ごしていました。
 自分を抱くのは、幼いころに両親の離婚で生き別れになっていた3歳年下の弟・千尋です。
 父親に引き取られて、父親の海外赴任について米国に行ったきりになっていた千尋が、11年ぶりに日本に帰ってきて、拓美と母親の家に同居することになったのでした。

 で、ここがなかなか萌えポイントですが、拓美はですね、どっちかというと軽そ~な感じの大学生なんですね!
 つまり、弟と再会して抱かれちゃったりしなければ、結構女の子と毎日楽しくやってそうな。
 それが、千尋に再会するやいなや、昔は可愛かったのに今では身長で15センチ近くもでっかくなった弟に「会いたかった!」と抱きすくめられ、キスされたあげくに美味しくいただかれちゃったのでした。

 で、見た目は結構チャラそうなのに、拓美はどこまでも千尋に対しては“お兄ちゃん”でして、「ダメだ!」なんて言いつつ、ついつい弟に懇願されると身体を許しちゃうんですよ。

「ヒ…ロ…やだ、そんなとこ」

「けどタクのここ、もうこーんなにヌルヌルー」

「!」

「挿れていい? ねえ、タクん中、挿れていい?  オレ、もう我慢できないよ」


 可愛かった(けど今はでかい犬みたいな)千尋に、悲しそうな目でお願いされると、何でも許しちゃうお兄ちゃん・拓美(笑)。
 何度も言いますが、見た目は軽そうなのに、じつはお兄ちゃんというのがとってもよろしいです。

 さて、こう書くとお気楽ご気楽なギャグBLっぽいですが、じつはこの後、アメリカに行ったあとの千尋の暮らしが明らかになり、ストーリーは急激にシリアス味を増していきます。
 そこでまた発揮されるのが、お兄ちゃん・拓美の“弟愛”(笑)。
 さあ、血を分けた兄弟2人のこんがらがった恋愛はいったいどこへ!!!

 本作はKARENコミックスからの発売ですが、ビーボーイやガッシュといった大手BLブランドが、確実な売れ行きを優先しているのか、有名作家の復刻本や再録本ばかり出しているのと対照的に、KARENを発行する日本文芸社は本作の神奈アズミ先生のような、これまでまったく見たことのない新人作家さんをどしどし発掘してはコミックスにしてくれて、ブログ主は大変感謝してます。
 ビブロスも海王社もこれぐらいやってみろい!

 というところで、またもや記事が長くなりすぎましたので、以下(3)に続きます~。

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Lc.ツリータグリスト
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