スカルソープ:ソナチネ
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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スカルソープ:ソナチネ | Sonatina | 作曲年: 1955年 |
作品解説
スカルソープの最初のピアノ作品。3楽章構成。オーストラリアの先住民族アボリジニの伝説に基づいた作品で、その情景描写的な作風は一種の性格小品とも捉えられる。アボリジニの種族長ヨーネカラ Yoonecaraが、彼の祖先ビャマ Byamaを訪れようと大地を渡り旅をするという伝説を元にし、音楽的素材もまたアボリジニの音楽から着想を得ている。
アイアランド:ソナティナ
ヒアネオ:ソナティナ
エルガー:ソナティナ ト長調
バツェヴィチ:ソナティナ
エルガー:ソナティナ ト長調
ハチャトゥリアン:ソナティナ
シューマン, クララ:ソナチネ(ソナタ)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューマン, クララ:ソナチネ(ソナタ) | Sonatina | 作曲年: 1841、1842年 出版年: 1991年 初版出版地/出版社: Breitkopf & Härtel |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 アレグロ ト短調 Allegro g moll | 8分30秒 | No Image |
2 | 第2楽章 アダージョ 変ホ長調 Adagio Es dur | 3分00秒 | No Image |
3 | 第3楽章 スケルツォ ト長調 Scherzo G dur | 2分30秒 | No Image |
4 | 第4楽章 ロンド ト短調 Rondo g moll | 5分30秒 | No Image |
作品解説
自筆譜のタイトル・ページには”Sonatine”と記されており、初めはアレグロとスケルツォの2楽章であった。結婚後のクララの作品の多くのように、この2楽章も最愛の夫ローベルトに贈られたもの。「私の大切な夫よ、愛情を持って受け取って下さい。そしてあなたのクララに寛容であって下さい。1841年クリスマス。」という献辞が付けられている。そして次のような注意書きも添えられた。「最終楽章と、おそらく小さなアンダンテが後でできるでしょう。それまでこの2つの楽章で大目に見て下さい。」この言葉通り、クララは翌1842年のゲヴァントハウスでのニューイヤー・コンサートに出演後すぐに、このソナタを完成させるために作曲を再開したようだ。そして1月の半ば頃、アレグロ(ト短調)・アダージョ(変ホ長調)・スケルツォ(ト長調)・ロンド(ト短調)という循環ソナタ形式のこの作品が完成された。
ローベルトの誕生日やクリスマスには、新作をプレゼントしていたクララ。1840年のクリスマスと1841年6月8日の誕生日は歌曲であった。久々に帰ってきたピアノ曲は、それまで挑戦したことのなかった大きな形式であった。1840年以前にクララが作曲したピアノ曲は、小品がほとんどであった。またこのソナタが完成した1842年に出版されたピアノ曲も、即興曲や練習曲、オペラの幻想曲や変奏曲が中心で、ソナタはごくわずか。このような循環形式を達成することは、クララにとって実に新しいことだっただけでなく、この時代を考えると非常に野心的なことだったのだ。「ソナタ」としては、長い間出版されていなかったけれど、この作品がクララの成長の中で最も重要な画期的作品の1つであるということは間違いないだろう。
第1楽章 アレグロ ト短調
クララがよく演奏したヴェーバーのヘ短調のピアノ協奏曲を思い起こさせる冒頭主題は、初めpで静かに始まり、Mit tiefer Empfindungと記された美しいフレーズが挿入された後、fで活気に満ちて再び聴かれる。変ホ長調の第2主題、そしてUm vieles schnellerの陽気なエピソードが続く。この提示部は、やや素材が過剰なようにも感じられるが、簡潔な展開部でバランスがとられている。展開部の初めは、リュッケルトの歌曲Er ist gekommen(あの方はやってきた)Op.12-2と類似している。そして、やや短縮された再現部が続き、アニマートのコーダで閉じられる。
第2楽章 アダージョ 変ホ長調
当初の言葉通り、小さなアダージョ。レガートで美しく歌い上げる。6連音符の流れるような伴奏が特徴的。
第3楽章 スケルツォ ト長調
とても魅力的な楽章。《4つの幻影》Op.15の第4曲に再編され出版されていることからも自信が窺える。メロディーの創意、陽気な雰囲気、そして哀愁ただようホ短調のトリオは対照が際立つ。
第4楽章 ロンド ト短調
ソナタ・ロンド形式(A B A’ B’ A”)。5つ目を除いて、ほぼ同じ規模を持つ。1楽章のように、短いアニマートのコーダで終わる。このロンド主題をクララは、ハイネの詩による悲しげな歌曲Sie libten sich beide(彼らは互いに愛し合っていた)Op.13-2にも用いた。この歌曲の雰囲気を参考にすると、このロンド主題にテンポ指示はないものの、あまり活発に演奏することは控えたほうが良いのかもしれない。
Sonatina
ソナチネ
(Sonatina から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/22 10:40 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ソナチネ(伊複: sonatine)は、クラシック音楽のジャンルまたは形式である。
「ソナチネ」はソナタの指小形のイタリア語複数形 sonatine からきている[1]が、単数形でソナチナ (伊・英: sonatina) などとも呼ぶ。フランス語単数形やドイツ語単数形も「ソナチネ」と同じつづりだが発音は異なり、フランス語ではソナティーヌ(ただし原語での発音はソナティンに近い)、ドイツ語ではゾナティーネ。
様式
バロック音楽においては、単に短い器楽曲のことを言い、カンタータの器楽合奏のみの導入曲や間奏を漠然と指すのに使われた。
古典派音楽以降は、分かり易く演奏し易い、短いソナタのことを言うようになった。第1楽章は、通常ソナタ形式で作曲されるが、展開部が短いか、展開部を欠いていることがある。楽章数は2楽章ないしは3楽章であることが多い。「ソナタ(奏鳴曲)の小さいものである」という考え方から「小奏鳴曲」と訳す。
楽器
ピアノ曲以外のものもあり、C.P.E.バッハの『チェンバロと管弦楽のためのソナチネ』、ドヴォルザークの『ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ』、ポンセのギター曲『南国のソナチネ』、オネゲルやミヨーの『クラリネットとピアノのためのソナチネ』などである。
作曲家と代表曲
以下の作曲家のうち、実際には「ソナタ」を作曲したにもかかわらず、単に規模や楽章数から、「ソナチネ」の作曲家として知られている例がある。ラヴェルなど近代以降の作曲家で「ソナチネ」と題する作品には、優れた演奏技巧や洗練された音楽性が要求される作品もあり、ピアノ学習において習得容易とされる古典派のソナチネとは異なる。
- モーツァルト
- ベートーヴェン
- クレメンティ
- クーラウ
- シューベルト(ヴァイオリンとピアノのための作品)
- チャイコフスキー(《弦楽セレナード》第1楽章)
- モーリス・エマニュエル
- ケクラン(多数のピアノ曲のほか、いくつかのフルート曲がある)
- ラヴェル - ソナチネ
- コダーイ - チェロとピアノのためのソナチネ
- バルトーク - ソナチネ
- プロコフィエフ
- カバレフスキー - ソナチネ
- デュティユー - フルートとピアノのためのソナチネ
- ブーレーズ(フルートとピアノのための作品)
- シュトックハウゼン(ヴァイオリンとピアノのための作品)- ソナチネ
- ギーゼキング(フルートとピアノのためのソナチネ、チェロとピアノのための演奏会用ソナチネ)
- カプースチン
- 新垣隆 - ヴァイオリンのためのソナチネ
- 福田洋介-ソナチネ(フレックス5重奏)
出典
関連項目
- Sonatinaのページへのリンク