骨格筋の収縮
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 06:41 UTC 版)
筋収縮時には、太いフィラメントと細いフィラメントはATPを利用して互いに滑り合い、これによってZ線は互いに引き寄せられる。この機構は滑り説と呼ばれている。全てのサルコメアが収縮することで、筋線維全体が収縮する。この筋細胞の収縮は細胞膜上の活動電位によって開始される。活動電位の筋細胞の表面から内部への伝導には、細胞膜と連続しているT管が利用される。筋小胞体は嚢状の膜であり、T管と接触しているが別個のものである。筋小胞体は各サルコメアを巻き、Ca2+で満たされている。 筋細胞の興奮はそのシナプスである神経筋接合部(英語版)での筋細胞の脱分極(英語版)によって引き起こされ、活動電位が発生する。各筋線維には神経筋接合部が1つ存在し、1つの遠心性神経からのみの入力を受ける。遠心性神経の活動電位により、神経伝達物質であるアセチルコリンが放出される。 放出されたアセチルコリンはシナプスを拡散し、筋鞘上の受容体に結合する。これによって筋鞘上を伝導するインパルスが開始される。 活動電位が筋小胞体に到達すると、カルシウムチャネルからCa2+の放出が開始される。Ca2+は筋小胞体からサルコメアの双方のフィラメントへ流れる。これによってフィラメントはスライディングを開始し、サルコメアは短くなる。この過程には大量のATPが必要であり、全てのミオシン頭部の結合と解離の双方に利用される。Ca2+は筋小胞体へ非常に迅速に能動輸送によって送り返され、太いフィラメント細いフィラメントとの相互作用が遮断される。これによって筋細胞は弛緩する。 筋収縮の様式には、いくつかのタイプが存在する。単収縮(攣縮、twitch)は、1回の刺激によって1回の収縮が行われる過程である。treppe/summationでは、筋肉は収縮を最大効率で開始するのではなく、反復刺激によって収縮強度を達成する過程であり、階段現象とも呼ばれる。強縮(tetanus)は、一連の迅速な刺激による筋肉の持続的な収縮であり、筋疲労を起こすまで継続される。等尺性収縮(isometric contraction)は筋肉の移動を伴わない骨格筋の収縮を指し、等張性収縮( isotonic contraction)は移動を伴う骨格筋の収縮を指す。
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