露出値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 13:53 UTC 版)
絞り値(F値)と露光時間(シャッター速度)によって決まる露出の度合いを表すために、露出値と呼ばれる数値が用いられる。露出値は、通常、Exposure Valueの略であるEVで表記される。 絞り値がF1、露光時間が1秒のときの露出値をEV0と定義し、露光時間が半分になるか、絞り値が 2 {\displaystyle {\sqrt {2}}} (約1.4)倍になるかして届く光量が半分になるごとにEV値は1大きくなる。露出値が同じならば、同じ被写体を同じ光線状況で撮影したときフィルム等にあたる光の量は同じになるが、絞り値と露光時間の組み合わせは色々と考えられ一意に定まらない。 例えばF2.8-1/500秒、F4-1/250秒、F5.6-1/125秒の組み合わせからは同一の露出値(12EV)が得られる。これを相反則の原理という。(絞り値が1/1.4になり光の量が半分になるたびに、シャッター速度が2倍になり打ち消しあって同じ露光量となる) ただし、露出値は同じでも被写界深度(絞り値が大きいほど、深くなる)やブレの量(シャッター速度が遅いほど大きくなる)などは組み合わせ方によって変化する。 また、長時間露光を行うとフィルムでは相反則の原則が崩れ、露出アンダーになったりカラーバランスが崩れることがある。これを相反則不軌といい、夜景や天体写真などでは問題となる。 被写体の明るさと、使用するフィルム等の感度によって適正なEV値が決まる(適正露出)。適正なEV値を決めるために露出計が用いられる。AEカメラ(自動露出カメラ)では内蔵のTTL(Through the Lens)露出計が作動する。 露出値を簡易に計算するために、絞り値、シャッター速度に対してそれぞれAv値、Tv値という数値を対応させて計算する方法が存在し、これをアペックスシステムという。アペックスシステムを利用するとEV値はAv値とTv値の和という形で表すことが可能である。絞り値をA、シャッター速度をTとして A V = log 2 A 2 = 2 log 2 A {\displaystyle {\mathit {AV}}=\log _{2}A^{2}=2\,\log _{2}A} (aperture value) T V = log 2 1 T = − log 2 T {\displaystyle {\mathit {TV}}=\log _{2}{\frac {1}{T}}=-\log _{2}T} (time value) となり E V = A V + T V {\displaystyle {\mathit {EV}}={\mathit {AV}}+{\mathit {TV}}} (exposure value) 上記の式をまとめると露出値は以下の数式で表される。 E V = log 2 A 2 − log 2 T {\displaystyle {\mathit {EV}}=\log _{2}A^{2}-\log _{2}T} 露出値とシャッター速度・絞り値の関係は図示したようになる。 また、被写体の輝度値(BV)、フィルムの感度値(SV)を次のように定義すると B V = log 2 ( B / ( N ∗ K ) ) {\displaystyle {\mathit {BV}}=\log _{2}(B/(N*K))} (luminance value aka brightness value) S V = log 2 ( N ∗ S x ) {\displaystyle {\mathit {SV}}=\log _{2}(N*Sx)} (speed value aka sensitivity value) ここで、Bは輝度 cd/㎡、SxはISO感度、N≒0.3、Kは反射露出計の校正定数(11.4前後) E V = B V + S V {\displaystyle {\mathit {EV}}={\mathit {BV}}+{\mathit {SV}}} となる。 以上より次の関係が得られる E V = A V + T V = B V + S V {\displaystyle {\mathit {EV}}={\mathit {AV}}+{\mathit {TV}}={\mathit {BV}}+{\mathit {SV}}}
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