重無期刑
別名:絶対的無期刑、絶対的終身刑、文字通りの終身刑
いかなる場合にも仮釈放が認められず、受刑者が出所し社会復帰する可能性が全くない無期刑。
無期刑は基本的には刑期満了の期限がなく、一生涯にわたって刑が科せられる。ただし、現行の刑法では、無期刑に一定期間服役した受刑者に対して仮釈放を認める余地が与えられている。
懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。(刑法第二十八条)重無期刑はこの仮釈放をまったく認めず、改悛いかんを問わず、一生涯にわたる服役を科す刑であるといえる。
なお、無期刑は、労役の有無によって懲役刑(無期懲役)と禁固刑(無期禁固)に区分される。しかしながら無期禁固は事実上ないに等しく(近年適用された事例が全くない)、無期刑といえばもっぱら無期懲役を指している状況にある。
2014年10月現在、死刑制度を廃止を目指し超党派で結成された議員連盟が、重無期刑の導入を含めた法改正の必要を呼びかけるなどしている。
関連サイト:
刑法 - e-Gov
重無期刑
じゅう‐むきけい〔ヂユウ‐〕【重無期刑】
重無期刑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/27 01:54 UTC 版)
重無期刑(じゅうむきけい)とは、日本において導入が議論されている刑罰であり、無期刑のうち、刑期途中での仮釈放の可能性を認めないものをいう。すなわち、受刑者は社会復帰の可能性は与えられず、死亡するまで刑事施設に拘禁し続けられる。絶対的無期刑ないし絶対的終身刑とも呼ばれるが、単に終身刑と呼ばれることもある。
- ^ 「無期」「無期限」という言葉には「期限が不確定である」という意味と、「期限が無く永続的に続く」との2つの意味がある。一般的に、無期謹慎・無期限活動中止といった言葉では期限が不確定なさまを表すが、無期懲役・無期公債・無期限在留カードといった言葉においては永続的に続くさまを表す。「大言海」を参照。
- ^ 「無期刑及び仮釈放制度の概要について」
- ^ 「条解刑法」弘文堂(第2版、2007年12月)p.27。ISBN 978-4-335-35409-0。清原博「裁判員 選ばれる前にこの1冊」自由国民社(初版、2008年12月4日)p.153。ISBN 978-4-426-10583-9。司法協会「刑法概説」(第7版)p.155。
- ^ 大辞泉「無期懲役」
- ^ 「平成21年3月改訂版法令用語日英標準対訳辞書」p.282
- ^ 朝日新聞2008年6月5日掲載の保岡興治元法務大臣の発言。他にも、たとえば、朝日新聞2008年6月8日の『耕論』の中で元刑務官で作家の坂本敏夫が「(仮釈放のない無期刑の受刑者は)仮釈放の希望もなく死を待つだけの存在であり、彼らの処遇は死刑囚並に難しく、刑務官の増員がなければ対応は困難」と主張し、精神面からも対応困難な受刑者を増やすだけとしている。
- ^ 前述の坂本の記事によれば、国家が負担する受刑者一人当たりの年間予算は50万円であり、高齢化すれば嵩んでくる仮釈放のない無期懲役受刑者の医療費も、また獄死した際に親族から遺体の引き取りを拒絶された場合の火葬・埋葬料および市区町村役場への届け出費用も全額国家負担の必要が生じるなどに関して、具体的な議論が必要であるとしている。また、元検察官の河上和雄は毎日新聞の論説において「(死刑廃止に伴う)絶対的無期刑は、脱獄の為(ため)に人を殺しても死刑にならないから、刑務官を殺す可能性もある」と主張している。
- ^ 法務省保護局の資料による。
- ^ 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則 - e-Gov法令検索
- ^ そこでは「仮釈放を許す処分は、悔悟の情及び改善更生の意欲があり、再び犯罪をするおそれがなく、かつ、保護観察に付することが改善更生のために相当であると認めるときにするものとする。ただし、社会の感情がこれを是認すると認められないときは、この限りでない」と規定されている。更生保護法の施行以前は「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則」32条が同様の規定を置いていたが、そこではこの4つを「総合的に判断」するものとされていた。
- ^ 矯正統計年報と法務省保護局の資料による。
- ^ 1985年5月31日付中日新聞社会面による。
- ^ 前掲法務省資料による。
- ^ そうした意見と実際の運用状況との乖離が高まったため、法務省は、2008年12月以降、無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について詳細な情報を公開するようになった。
- ^ 前掲法務省資料および矯正統計年報による。
- ^ それを認めない場合、仮釈放制度をともに廃止するか、無期刑受刑者を仮釈放できるまでの期間を30年に引き上げるかの選択となる。ここで後者を選択する場合、無期刑と30年の有期刑で仮釈放を許可できる最短期間に20年の差異が生じ、仮にこの差異を解消しようとすると、「3分の1」という有期刑の仮釈放の条件を引き上げることが考えられるが、その場合短期の刑を含む有期刑全体の整合性を考慮する必要が生じ、議論はもはや無期刑だけの問題にとどまらなくなり、刑事拘禁政策全体の議論となる
- ^ なお、有期刑の上限を引き上げる際の法制部会等の議論の経緯においては、20年という有期刑の上限が国民感情に照らして不適切であるという趣旨表明に加え、無期刑と20年の有期刑との間に仮釈放が可能となる期間に連続性が欠けているため、それを解消するためにも30年まで有期刑の上限を延長し、連続性を持たせるべきであるとの趣旨表明がなされている。
- ^ 矯正統計年報による。
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