道として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/26 15:52 UTC 版)
山歩きをする場合、尾根筋は位置が把握しやすく、コースがわかりやすいため、道としてよく使われる。また、道に迷った場合も尾根筋に出るのがよい。谷間にはいると見晴らしがきかず方向がわからなくなる上、滝や崖があって通れなくなったり、それらからの転落や滑落の危険性があることが多い。また、上記のように尾根筋は分水嶺であることがあり、その場合は下る向きを間違えると全く異なった方向に向かってしまう例もある。 このようなことから、古くから尾根筋は山を踏破する際の通り道として使われた。たとえば熊野古道の山間部はその多くが尾根筋で、要所要所で谷底に下りつつ、また尾根を昇る繰り返しになっている。普通あまり昇降のない部分は尾根筋を通り、ちょっとしたピークではその山腹を通るようなコースである。なお、このような経緯から、山間部奥地では集落は往々にして主たる河川より遙かに水準の高い位置に作られた。 ただし尾根筋は一般に水が十分に得られず、生活には不向きである。集落は山腹から谷間に作られる。山を越える場合、長く続く尾根があれば最も低いところで越える。このような地点を峠という。 道路は主に河川沿いに造られるが、主流ではそのそばを通り、谷間から分水嶺を超える場合には谷底から山腹を昇って、ある程度のところでトンネルを造ってしまう。そのため、古道をあちこちで横切るコースになる。また、集落より遙かに低いところを新しい道路が通ることになる例が多く、不便さを増幅している。
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