資格制度の現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 18:25 UTC 版)
「鍼灸養成施設」も参照 現在、医師以外の者が鍼を行う為には「はり師」、灸を行うには「きゆう師」の国家資格が必要である。鍼灸養成施設(鍼灸専門学校・視覚特別支援学校理療科・大学鍼灸科)で単位を取得することで、この二種類の免許を受験できる。一部の古参の私立専門学校には、「本科」として「はり師」「きゆう師」に加えて「あん摩マッサージ指圧師」の免許も加えた三種類の免許を受験できる課程が置かれているが、定員数が少なく現在でも10倍程度の入学倍率がある。多くの私立専門学校卒業者および全ての私立大学鍼灸科卒業者は、はり師、きゆう師二種のみを取得できる。 「あん摩マッサージ指圧師」免許については、この取得を専門とする課程(あんま、マッサージ、指圧専門学校および視覚特別支援学校保健理療科)が存在する。視覚特別支援学校保健理療科は一般的な盲学校課程である。つまり、ほとんどの視覚障害者は「あん摩マッサージ指圧師」免許を取得する。しかしながら、晴眼者が「あん摩マッサージ指圧師」免許を取得するためには、前掲の古参の専門学校「本科」に入学するか、「あん摩マッサージ指圧師専門学校」に入学しなければならない為、晴眼者の「はり師・きゆう師・あん摩マッサージ指圧師」三種免許者(三療師)は非常に少ない。 「あはき法」を厳密に適用する場合、はり師、きゆう師のみの資格でマッサージ業を行うことは、無免許整体師や柔道整復師がマッサージを行うのと同様の違法行為となる。しかしながら、鍼灸施術には施術領野に対するあんま的手技が必須のものでもあり、実際には「はり師」「きゆう師」のみの免許者があんま的手技を行っており、現状を反映した法制度の改善が求められている。 また鍼灸免許者は、歴史的に戦後のある時期まではほとんどが視覚障害者(盲学校出身者)であったが、現在では全国的な視覚障害者の減少(盲学校入学者の激減)と相まって、晴眼者(非視覚障害者)の免許者が圧倒的に増加している。鍼灸師養成施設についても、近年の規制緩和以前までは、鍼灸按摩養成機関の新規認可は非常に難しく、国家試験受験者数が適正に制限されていたが、規制緩和以後、インフラに金がかからない鍼灸学校の「無秩序な」新設が相次ぎ、年度毎の卒業者数は以前(平成10年)の数倍に膨れ上がっており、需給関係は完全に崩壊している。 このなかで、あん摩マッサージ指圧師(あまし師)の養成学校のみは、視覚障害者職域保護の為として新設校の認可が為されず、辛うじて適正な免許者の数が保たれているが、前述の様に「あん摩マッサージ指圧師」の免許自体が有名無実化しており、鍼灸按摩の資格者数の適正化には、現在全く目処が立っていない。
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