自噴とは? わかりやすく解説

じ‐ふん【自噴】

読み方:じふん

[名](スル)石油温泉などが自然に地下から噴き出ること。


自噴

読み方: じふん
【英】: natural flow

油・ガス田の生産初期においては一般に地下貯留層の圧力高く、この自然の圧力のみで油・ガス地表噴出してくる。このような状態を自噴という。油・ガス生産が進むと貯留層の圧力減退し、あるいは地層水産出多くなり自噴の力は弱くなって、やがて自噴は停止するので、ガス・リフト採油ポンプ採油などの人工採油法実施して生産回復を図る必要がある。自噴期間の長さ貯留層の排油機構によって異なり一般的には、油膨張押し型短くガス・キャップ押し水押し型では長い

自噴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/31 09:26 UTC 版)

自噴泉

自噴(じふん)とは石油温泉地下水が自然に(人為的な動力によらず)地下から地表に湧出する現象を言う。湧水()だけに用いる言葉ではなく、井戸からの自然湧出にも用いる。

地下水の自噴現象は、扇状地の末端や、地質学的に帯水層が盆地状の構造となっている地域などで見られることが多い。日本国内にも自噴する湧水・井戸・温泉は多数存在する。

フランスの旧地方名アルトワ(Artois)で大規模な自噴があったことが、自噴泉を指す「フローイング・アーテジアン・ウェル」(flowing artesian well)の語源である。

自噴の仕組み

自噴を起こす地層の仕組み:原図Artesian_Well.png に加筆・修正

地中帯水層の上に透水性の低い地層(加圧層)が重なっている地域において、その帯水層のポテンシャルが地表面よりも上位にあった場合[注釈 1]、この帯水層に地表まで通じる穴(井戸など)では、帯水層中の地下水は自然に地表に湧出する[1]。これが自噴である。

また地下水(または温泉)に溶存するガスが井戸孔内の水頭低下により、井戸孔内において気体となり、これが地表へ噴出することにより地下水や温泉の自噴現象が発生する場合もある。

なお地下水の流出域(崖沿いなど)では被圧地下水ではなくとも、地形と地下水位によって地下水が泉となって自噴することもある。従って、自噴していることは、被圧している地下水が湧出しているとは一概には言えない。

自噴井

自噴井(flowing well, flowing artesian well)とは、その井戸の取水対象の地下水が、人為的な動力によらず、自ら地表(孔口)に噴出する井戸のことを言う。

被圧地下水による自噴井が多く集まっている地帯の大規模なものを鑚井盆地(さんせいぼんち、アーテジアン・ベイスン、Artesian Basin)という。

自噴泉

自噴泉とは、井戸などの人為的な構造物ではなく、地表に地下水(または温泉)が湧出している場所のことを言う。一般に言われるは、この現象である。

自噴泉とは対称に動力泉という湧泉がある。これはポンプなどで人為的に地下水を汲みあげる泉を言う。

日本の自噴帯

日本では扇状地・火山山麓をふくめた新第三紀以後の地層からなる被圧盆地に多く自噴帯が存在する。その中でも、濃尾平野岐阜県)の大垣自噴帯が有名である。

大垣自噴帯は木曽川長良川揖斐川の3大河川によって形成された氾濫平野であり、元来地下水の豊富な地域である[2]

世界の自噴帯

世界の自噴帯で有名なのは、「自噴」の語源ともなったフランス北西部のアルトワ地域であろう。その他にも、オーストラリアグレートアーテジアン盆地(大鑚井盆地)も大規模な被圧地下水盆として有名である。さらに石油の自噴帯としてクウェートにあるブルガン油田がある。

脚注

注釈

  1. ^ この場合、被圧されている帯水層の地下水を被圧地下水と言う。

出典

  1. ^ 筑波大学水文科学研究室、杉田 倫明・田中 正(編)、2009、『水文科学』、共立出版 ISBN 978-4-320-04704-4 pp. 150-151
  2. ^ 参照:全国地盤環境情報ディレクトリ https://www.env.go.jp/water/jiban/directory/21gifu/noubi/index.html

参考文献

  • 山本荘毅編,「地下水学用語辞典」(1986),古今書院
  • 地学団体研究会新版地学事典編集委員会編,「新版 地学事典」(1996),平凡社

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