秘密の暴露
秘密の暴露
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 10:01 UTC 版)
トルコ人の活躍中から多くの本や論文が、外部の観察からトルコ人の動作原理を暴こうとしたが、ほとんどは不正確だった。サイラス・ミッチェルは、『The Chess Monthly』に投稿した論文で、初めてその秘密を解き明かした。ミッチェルは、トルコ人の最後の所有者ジョン・ミッチェルの息子である。 1859年、ジョン・ミッチェルの下で操作者を務めていたウィリアム・クンマーが『Philadelphia Sunday Dispatch』で書簡を公表し、トルコ人の内部構造が明らかとなった。キャビネットの中にはろうそくが収められており、ランプからターバンに管が伸び、換気の役割を果たしていた。ターバンから上る煙は、ゲーム台に置かれた燭台からの煙で分からなくなった。 また1859年後半、『Littell's Living Age』に匿名の論文が掲載され、フランスの手品師ジャン・ウジェーヌ・ロベール=ウーダンについて伝えた。この論文には間違いが多かったが、ケンペレンの機械の中に入ってロシアから密航したという話で終わっていた。 1899年には、『The American Chess Magazine』にナポレオンとトルコ人の対局の報告が出た。この報告は、以前の色々な文献のまとめだった。1960年には、『American Heritage』で、Ernest Wittenbergが、キャビネットの中でどのように操作がなされていたか論じた。 1949年には、Henry A. Davidson (英語版) によるA Short History of Chessが出版されたが、これは、キャビネットではなくトルコ人の人形の中に操作者が隠れているというポーの誤った説に基づいたものだった。 1978年のAlex G. Bellの著書The Machine Plays Chessでも、舞台袖に隠れた大人からの指示を受けて、訓練された小さな子どもが操作していたとする誤った説を掲載している。 20世紀後半には、トルコ人に関する多くの本が出版された。Bellの著書の他に、Charles Michael CarrollのThe Great Chess Automaton(1975) ではトルコ人についてさらに進んだ研究がなされ、Bradley EwartのChess: Man vs. Machine(1980) では、トルコ人とその他のチェス用オートマタの比較がなされた。 IBMのディープ・ブルーが世界チャンピオンに挑戦すると再び関心が高まり、Gerald M. LevittのThe Turk, Chess Automaton(2000)とTom StandageのThe Turk: The Life and Times of the Famous Eighteenth-Century Chess-Playing Machine(2002) (2011年邦訳『謎のチェス指し人形「ターク」』服部桂訳)が出版された。2003年のドキュメンタリー映画『Game Over: Kasparov and the Machine』では、トルコ人がディープブルーの活喩として使われた。
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