渇水対策
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塩沢トンネルが建設された地区の山麓部では、飲料水、灌漑用水、そしてニシキゴイの養魚池などの水に湧水を使用しており、トンネル掘削に当たっては水源の対策が必要となった。飲料水として沢水を用いた簡易水道を使用していた地区については、地元の町営上水道を延長して代替する策を講じ、灌漑用水源については代替水源がなかったためトンネル内湧水をポンプアップして対応した。塩沢トンネルでは上の原、君帰、見の上、川窪、野田、湯の沢、四十日の7か所に深井戸設備を設けた。坑内水は低温で、そのまま水田に使用すると冷水障害が出るため、坑内水が長い流路を経て水田に達する場所以外では、稲の生育に適温となるまで水温を上昇させる温水池を2か所整備して対策した。このほか君帰工区において、湯治客を取っている鉱泉宿が使っていた、平安時代末期より湧出していたと伝わる硫化水素泉が枯渇したため、同種の坑内水が湧出していたことから、やはり深井戸を掘削して還元して対策した。 さらに君帰工区においては原油の湧出があり、坑外の沈殿槽においても処理しきれず、中和剤によっても対処しきれずに、養鯉池のニシキゴイを死滅させ、法外な補償が必要となった。養鯉には山麓付近の湧水が最適であるとされ、河川水は降雨時の濁りや冬期の水温低下のために不適当とされることから、他の適当な場所に養鯉池を移設する補償を行った。ニシキゴイは適切な鑑定価格を付けることが難しく、大した価値のない鯉でも補償の際には高額を要求されるといった問題があり、塩沢トンネルに限らず魚沼地方での工事に際してはニシキゴイ対策に関係者が苦労させられ、「まさにお鯉様」であると表現された。
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渇水対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/01 13:05 UTC 版)
「中山トンネル (上越新幹線)」の記事における「渇水対策」の解説
トンネル工事に伴い、地表では渇水の被害が広がった。特に小野上南工区では、坑口からの自然排水によりどんどん水を抜いていたので、その上部にあたる小野上村・子持村において深刻な被害が発生した。沢が1本干上がり、その他の沢も水量が減少し、水道用の揚水井戸では水位が下がってポンプによる汲み出しができなくなった。こうした問題の対処のために給水車が随時出動した。代掻きをする時期には農業用水の不足が問題となり、トンネル湧水や近くの川の水をポンプアップして対応したが、水量の不足に対処するために各農家での代掻きの時期の調整が必要となった。小野上南工区が柱状節理にぶつかって大量の湧水が発生した際には、小野上村の基幹水源地の水源が枯渇し、トンネル湧水を水源地に送る全長約5 kmの配管を村道に沿って急遽建設して断水を防いだ。 中山トンネル工事に伴う渇水で、高山村・小野上村・子持村の3村で合計約6,300人に何らかの飲料水被害が生じた。また農業用水被害を受けた面積は83ヘクタールに上る。期間中のべ4,600回の給水車出動があった。飲料水対策として水源地の付け替えなどが行われ、農業用水対策としても立坑の底に設置されたタービンポンプにより揚水して給水するようになっている。トンネル完成後も、高山立坑と四方木立坑は水道用の揚水施設として使用が継続されている。 完成後の坑内湧水は54トン/分程度で、このうち30トン/分程度は吾妻川に放流されている。本線101 km740 m地点に立坑が設置され、そこから国道353号の下を通って受水槽へ送られ、放流塔から吾妻川に放流されている。
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