海外療養費
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 03:53 UTC 版)
社会保険(健康保険等)では1981年3月から、国民健康保険では2001年6月から、海外の医療機関を受診した場合でも療養費が支給されるようになった。 現に海外にある被保険者からの療養費の支給申請は、原則として事業主を経由して行い、事業主が代理して受領する(海外への送金は行わない)。また海外療養費の支給額の算定に用いる邦貨換算率は、療養を受けた日ではなく支給決定日の外国為替換算率(売レート)を用いる(昭和56年2月25日保険発10号、庁保険発2号)。手続には、診療内容明細書(診療の内容、病名・病状等が記載された医師の証明書)と領収明細書(内訳が記載された医療機関発行の領収書)およびこれらの和訳文、さらに旅券等の海外渡航の事実が確認できる書類の写しと、当該海外療養担当者へ照会する旨の同意書が必要である(平成25年12月6日保保発1206第2号)。 被保険者等が下記の状態のいずれも満たす場合には、海外療養費の支給が認められる「やむを得ない」に該当する場合と判断できる(平成29年12月22日保保発1222第2号)。 臓器移植を必要とする被保険者等がレシピエント適応基準に該当し、海外渡航時に日本臓器移植ネットワークに登録している状態であること 当該被保険者等が移植を必要とする臓器に係る、国内における待機状況を考慮すると、海外で移植を受けない限りは生命の維持が不可能となる恐れが高いこと 国民健康保険・後期高齢者医療制度の場合、1年以上海外に渡航する場合は市町村に海外転出届を提出しなければならず、提出すると国民健康保険・後期高齢者医療制度も自動的に脱退となる。海外療養費は、世界に短期滞在・海外旅行時の保険制度であり、長期滞在の場合は給付の対象とされていない。また日本で保険対象の医療のみが対象で、単なる治療目的の渡航や、日本の保険対象外の医療を受けた場合には、海外療養費の対象とならない。
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