油層障害
読み方: ゆそうしょうがい
【英】: formation damage
【英】: formation damage
坑井の掘削・仕上げ中および原油生産中に坑井の生産能力を低下させる障害が坑井近傍の油層に生じることがある。これを油層障害または生産性障害と呼ぶ。この油層障害の原因は次のように分類される。(1) 油層の絶対浸透率の低下に起因するもの:掘削泥水・仕上げ流体中の固形分、流動に伴う温度・圧力の降下により油から析出したパラフィンなどの固形分、泥水のろ過水の影響で膨潤した油層砂岩中の粘土鉱物などにより、孔隙{こうげき}または穿孔{せんこう}部が閉塞{へいそく}されて油・ガスの流動が妨げられる。(2) 油の相対浸透率の低下に起因するもの:掘削泥水・仕上げ流体からのろ過水や地層水の浸入により水飽和率が増加したり、原油中のアスファルト、ワックス分その他の成分の作用で油層岩表面の濡{ぬ}れ性が変化した場合、油の相対浸透率が低下し、油の流動が妨げられる。(3) 油の粘度の増加に起因するもの:坑井近傍で原油と水が混合してエマルジョンを形成し、流体の粘度が増加して、その流動が妨げられる。油層障害の判定にはビルドアップ試験により得られるスキン・ファクターが用いられる。この値が正のときには油層障害が生じていることを意味し、負のときには坑井近傍の浸透率が、油層本来のそれよりも良くなっていることを示す。油層障害を防ぐには適切な掘削泥水・仕上げ流体および坑井仕上げ法を選択しなければならない。また油層障害の除去にはいろいろな方法が開発されているが、その代表的なものに酸処理や水圧破砕などの坑井刺激法がある。 |
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