東京湾海堡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 03:21 UTC 版)
詳細は「海堡」を参照 東京湾要塞の重要な設備として、東京湾入口の最挟部である富津岬と観音崎の間に造成された人工島「海堡」がある。海堡には砲台と砲台を運用するための設備が備えられ、浦賀水道の沿岸砲台を突破した敵艦艇を海上から砲撃する任務を持っていた。このため各海堡の備砲は横須賀側の猿島や走水の砲台と合わせて全体で浦賀水道全体を射程に納めるように配置され、沿岸砲台と協調して敵艦艇を左右と前から挟撃する態勢が取られていた。海堡は富津岬と観音崎を結ぶ線上に3か所建設され、富津岬に近い方から第一・第二・第三と番号が振られている。 海堡は、明治の中頃に建設が始まり30年にわたる海上工事と多大な工事費、及び犠牲者を出しつつ大正時代に完成を見て15センチカノン砲などが配備された。 しかしながら、難工事の末に第三海堡が完成した2年後の関東大震災によって第二・第三海堡が被災、復旧は困難との判断になり除籍され、第一海堡のみの運用となる。第三海堡は特に地震による被害が甚大で、4.8メートルも沈下し全体の三分の一が水没してしまい、その後も少しずつ侵食が進み暗礁となってしまう。 第三海堡は、東京湾の船舶航行において大きな支障が出てしまい、2000年12月から2007年8月にかけて撤去作業が行われた。第一・第二海堡は現存しているが、老朽化した第二海堡の護岸が地震で崩壊した場合に土砂が隣接する航路まで流出するおそれがあることから、第二海堡では護岸整備工事が行われている。また第二海堡には海上保安庁によって灯台が設置されている。 富津岬の千葉県立富津公園展望台からは、これら海堡周辺が一望にでき、浦賀水道を守る海堡の配置をうかがうことができる。
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