思春期での役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 08:13 UTC 版)
「副腎皮質性思春期徴候」の記事における「思春期での役割」の解説
副腎発育の開始因子はまだ特定されていない。研究者達は、「副腎性アンドロゲン刺激ホルモン」と仮称される新しい下垂体ペプチドを特定しようと試みたが、失敗に終わった。また、副腎の成熟は、副腎に内在する緩やかなプロセスであり、明確な切っ掛けはないという説もある。3つ目の可能性は、胎児期または小児期の体重と、インスリンやレプチンなどの関連シグナルとの関係の可能性である。子宮内発育遅延(IUGR)の為に妊娠期間満了前に小さく生まれた(SGA)子供の多くは副腎皮質の発育が早い事から、副腎皮質の発育時期は乳児期の生理学的なプログラムに影響される可能性が考えられる。また、体重過多の子供の多くは徴候発現が早い事から、体格や脂肪率のシグナルとの関係が想定される。 徴候発現の主な身体的影響は、アンドロゲンの影響であり、特に陰毛の増加(タナー段階が2から3になる)と、大人の体臭を発生させる汗の成分の変化である。皮膚や髪の毛の油分が増え、軽い面皰が出来る事もある。殆どの男子では、これらの変化は、性腺性思春期の初期に起こる精巣テストステロンの影響と区別が付かない。女子では、副腎性徴候の副腎アンドロゲンにより、思春期初期のアンドロゲン性変化(陰毛、体臭、皮膚の脂っぽさ、ニキビ)の大半が生じる。殆どの女性では、初期のアンドロゲン作用は、性腺性思春期初期のエストロゲン作用(乳房の発達と成長の促進)と一致するか、数ヶ月後に顕現する。女性の思春期が進むにつれ、卵巣や末梢組織がより重要なアンドロゲンの供給源となる。 親や多くの医師は、陰毛が最初に生えてきた事を以って思春期の開始を推測するが[要出典]、これは間違いである。副腎性徴候と性腺性思春期の独立性は、非定型または異常な発達をしている子供では明らかであり、一方の過程が他方の過程を伴わずに起こる事がある。例えば、アジソン病の女児の多くは副腎性徴候が起こらず、性腺性思春期になっても陰毛が少ない状態が続く。逆に、ターナー症候群の女児は、副腎性徴候が正常で、陰毛の発育も正常であるが、卵巣が正常に機能しない為、真の性腺性思春期は訪れない。
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