ざ‐がね【座金】
座金(ワッシヤー)
部品同士をボルトとナットで固定するときに、ボルトやナットの下、部品との間に挿入されるもの。ゴム、フェルト、金属などで製作されていて、部品母材の保護やボルト、ナットの緩み止めに用いられる。またナットの当たる面が凸凹であったり、ボルト穴が大きくてナットのかかりが少なくなるときとか、母材が木材やゴム系で高い圧力に耐えられないときなども圧力を緩めるために使われる。形状により、平座金、ばね座金、皿ばね座金、歯付き座金などがある。
ざがね 座金
座金
座金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/11 16:08 UTC 版)
座金(ざがね)とは、ボルトとナットを締め付ける際にナットの下に入れておきこれらの固着具と部材との間のなじみをよくしたり、ナットの回転を防止するために用いられる薄い金属板状の部品[1]。ワッシャー(英: washer)とも呼ばれる。ねじの径に対応して規格化されている。軸に挿入されるカラーのうち幅の狭いものも形状が似ているため同様に呼ばれることがある。
用途
座面の保護
被締結材にナットやボルト頭がめり込む事(座面陥没)を防止する、あるいは穴径がボルト径に比べて大きい場合、座面を安定させる場合などに用いられる。
緩みの防止
振動などによりボルト・ナットが緩むことを防ぐために用いられることもある。
気密
気密を保つために銅、アルミなどの軟質金属、ゴム、ポリカーボネート、PTFEなどの材質も使用される。この場合ガスケットと呼ばれることもある。
絶縁・導電
電気機器などで絶縁が必要な場合のために、紙製やプラスチック製のワッシャーが用いられることがある。逆に、アースとして利用される部位では必ず導電性のある金属製のものを用いなければならない。
種類
平座金
平ワッシャー(英: plain washer)、規格:JIS B 1256。 平らな円盤状のもの。ねじに対して通し穴が大きい場合や軟質材料など、軸力に対して十分な座面が得られない場合に用いられる。被締結物に対し強度が大きく違うと座面陥没の発生する恐れがあるため、座面強度と軸力を考慮して選定する必要がある。
ばね座金
スプリングワッシャー(英: spring washer)、規格:JIS B 1251。 平座金の一部を切断し、切り口をねじることによりばね作用を持たせたもの。右ねじに対して緩み止め効果を発揮するために、切り口を手前にしたときに右側が上になるようにねじられており、上からボルトを差し、スプリングワッシャー、被固定物、ナットの順で締める。
振動部における緩み防止効果は限定的であり[2]、ばね座金を使用するとより小さい力で緩んでしまう可能性が三次元有限要素法解析により示されている[3]。すなわち、ばね座金は万能ではなく適切な条件下で使用すべきである[4]。
ばね座金の角部がナット座面に食い込み引っかかるような効果により緩みにくさを得ていることが示唆されているが[3]、この角部を中心とした回転により小さい力で緩んでしまうことも同時に示唆されている。
皿ばね座金
規格:JIS B 1252。 皿ばねの形状をした座金。ばね座金に比較してばね定数が高いため、高力ボルトに対して用いられる。
歯付き座金
菊座金、規格:JIS B 1255。 座金の外側あるいは内側が菊の花びらのように多数の歯があり、その先端はねじられている。ボルト・ナットを締め付ける際にねじられた部分がつぶされることによって過大な軸力を防ぐ[5]。このため歯の部分を完全につぶしてはならない。
歯付き座金には以下の種類がある。
- 内歯形
- 外歯形
- 皿形
- 内外歯形
転がり軸受用座金
規格:JIS B 1554。 ベアリングナットとともに用いられ内側には一枚の歯、外側には多数の歯がある。内側の歯を軸に切った溝に嵌め、外側の歯のうちいずれかをベアリングナット外周にある溝に対して折り込み、緩みを防止する。
球面座金
規格:JIS B 5213。 座面の片側が凸と凹の球面になったものが一対で用いられる。任意の角度で締め付けることができる。
ロックワッシャー
内側が軸に食い込み、外側がナットの角に対してラッチの作用をして緩みを防止する。
テーパーワッシャー
四角形で両面が平行でなく一定の角度が付けられた座金。母材にたいして穴の座面が水平でない型鋼などに使われる。
波形座金
ウェーブワッシャー。ばね鋼製の平座金を波型に曲げたもの。つぶされる事によりばねの働きをして軸方向の隙間を除去する。
ネジの緩み止めや脱落防止のために用いられる場合もある。スプリングワッシャーの場合は、切り口から母材を保護するために平ワッシャーを入れる事があるが、ウェーブワッシャーの場合は必要ない。またスプリングワッシャーよりも薄手のため、ボルトの突き出し量が小さい所にも使用出来る。
座金に似た物
卵ラグ
平座金にリード線をはんだ付けできるような端子部分がある金物。プリント基板を金属製の筐体に、ビス、ナット、平座金、ばね座金で取り付ける時などに、平座金のようにビスに通し、電気的な接続が得られるように用いる。また、金属の筐体、金属板等にビス穴を開け、そこにビス、平座金、スプリング座金、ナットと共に挟み込み、筐体や金属板等とリード線とを電気的に接続したい時にも用いられる。このような部品を卵ラグという。英語では solder lug、solder lug terminal、terminal lug solder ring などという。
脚注
- ^ 意匠分類定義カード(M3) 特許庁
- ^ 「第4話 座金の役割って何? | NBK【鍋屋バイテック会社】」『鍋屋バイテック会社』。2018年4月3日閲覧。
- ^ a b 木村成竹、泉聡志、酒井信介「三次元有限要素法によるばね座金のゆるみ挙動解析」『日本機械学會論文集. A編』第73巻第734号、一般社団法人日本機械学会、東京都新宿区、2007年10月25日、1105-1110頁、doi:10.1299/kikaia.73.1105、ISSN 03875008、NAID 110006419387、2013年11月26日閲覧。
- ^ 「ばね座金を用いたボルト締結部の設計指針の検討」『設計工学・システム部門講演会講演論文集』第2018.28巻、2019年5月25日、1405頁、doi:10.1299/jsmedsd.2018.28.1405。
- ^ オムロン センシングコンポ総合カタログ2008
関連項目
外部リンク
- ねじの業界紙 / 株式会社ファスニングジャーナル
- ボルト・ナット締結体の有限要素法解析〜剛性・ゆるみへの問題適用 - 東京大学大学院 工学系研究科 機械工学専攻 酒井・泉研究室
座金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 05:09 UTC 版)
座金(ざがね、ワッシャー)には、締め付け時に締結面を傷から守るものと、逆に締結面に食い込むものがある。座金には以下の目的がある。 ボルト穴が大きい場合の安定 柔らかい材質への陥没防止 緩み止め 座面の摩擦係数の安定化 座面の保護 ボルトのバネ定数の縮小 漏洩防止 斜面の補正 以下に主な座金の種類を示す。 平座金 丸型と角型がある。角型平座金は木造建築で多用される。「平ワッシャー」とも呼ばれる。 舌付き座金 内周や外周に突起が出て、締結側やボルト・ナット側に当たることで回転緩みを防止する。 つめ付き座金 短いつめが片側に飛び出ている。主に締結面に穴などを開けておくことで座金の回転を防止する。内側につめが出ているものと外側に出ているものがある。 ばね座金 バネが緩み止めと脱落防止の働きをする。皿型ばね座金や波型ばね座金もある。1巻きと2巻きのものがあり、端面に爪が付いたものもある。「スプリングワッシャー」とも呼ばれる。 皿ばね座金 皿形のばねになっている。 波形ばね座金 波形のばねになっている。 歯付き座金 内歯のものと外歯のものとがあり、締結面に食い込むことで緩みを防止する。「菊座」とも呼ばれる。 球面座金 座金の片面が球面状になっている。 山形座金 皿や丸皿のねじでも締結面にザグリ加工が必要ない。装飾用にも使用される。「ロゼットワッシャー」とも呼ばれる。 組み合わせ座金 上記の座金をいくつか組み合わせたもの。
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