山村才助とは? わかりやすく解説

やまむら‐さいすけ【山村才助】

読み方:やまむらさいすけ

[1770〜1807]江戸後期蘭学者地理学者常陸(ひたち)土浦藩士。名は昌永(まさなが)。大槻玄沢蘭学を学ぶ。新井白石の「采覧異言」、西川如見の「四十二国人物図説」を訂正増補した著作西洋雑記」「印度志」「魯西亜国志」など。


山村才助

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 14:06 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

山村 才助(やまむら さいすけ、明和7年(1770年)- 文化4年9月19日1807年10月20日))は、江戸時代後期の地理学者。父は土浦藩士の山村昌茂(司)、母はまき。才助は通称で、名は昌永、字は子明、号に夢遊道人。

略歴

山村才助『華夷一覧図』(1806年
国立公文書館所蔵

江戸に生まれる。幼少から地理学を好み、寛政元年(1789年)、母方の叔父市河寛斎の紹介により大槻玄沢芝蘭堂に入門した。塾内では「玄沢四天王」のひとりとされ、蘭学者番付では西関脇となっている。

かれは蘭学者としては唯一、世界地理や西洋史を研究した人物で、享和2年(1802年)にはオランダ語地理書から訳出し、新井白石著の『采覧異言』に訂正・補足を施し、総合世界地理書『訂正増訳采覧異言』としてまとめた[1][注釈 1]。これは、18世紀の日本の世界地理書の総決算というべきものであり、文化元年(1804年)には師の大槻玄沢および江戸幕府に献上し、他方、幕命により『魯西亜国志』をまとめた[1]。白石『采覧異言』は刊行されなかったものの、写本のかたちで流布しており、才助はこれに東西の地理書を収集・翻訳するとともに、当時の日本における地理情報も参照して『訂正増訳采覧異言』を完成させた[1]。この業績は、平田篤胤豊田天功渡辺崋山吉田松陰など各方面において、その世界認識に大きな影響をおよぼした[1]

こののち、訳稿である『新訳東西游記』などを著した。ほか、明代のイエズス会ジュリオ・アレーニ(艾儒略)による地理書『職方外記中国語版英語版』を検証した『明儒翻訳万国図説考証』、同門の橋本宗吉の誤りを訂正した『喎蘭新訳地理全図』などがある。38歳で死去。写本を通じて幕末期知識人の海外知識に関する情報源となったものの著作は生前に公刊されず、没後公刊された著作は、一般受けする内容の『西洋雑記』の他に剽窃本『海外人物輯』、『改正海外諸島図説』にとどまる。

大正4年(1915年)、従五位を追贈された[2]

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 『采覧異言』は、幕府侍講の新井白石が、布教のため来日したイタリア人宣教師ジョバンニ・シドッチを尋問して得た知識などを基に著わされた日本最初の組織的世界地理書である。全5巻。

出典

  1. ^ a b c d 賀川(1992)pp.102-103
  2. ^ 田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』(近藤出版社、1975年)特旨贈位年表 p.39

参考文献

関連項目




山村才助と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

','','','','','','','','','','','','','','','','','',''];function getDictCodeItems(a){return dictCodeList[a]};

すべての辞書の索引

「山村才助」の関連用語

1
山村 デジタル大辞泉
100% |||||






7
32% |||||


9
18% |||||


山村才助のお隣キーワード
検索ランキング
';function getSideRankTable(){return sideRankTable};

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



山村才助のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの山村才助 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS