喉頭炎
喉頭炎
喉頭炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 02:19 UTC 版)
クループは急性喉頭炎、急性声帯下喉頭炎ともいい、小児救急疾患の一つである。かつてはジフテリアによるものが非常に多かったがワクチンの普及によってジフテリアによるクループは激減している。急性気道感染症に伴いケンケンとした犬吠様咳嗽、嗄声、呼吸困難を呈する症候群でありほとんどはウイルス性である。インフルエンザ菌による場合は重篤化しやすい傾向がある。生後6か月から6歳頃に非常に多い。聴診上のストライダー(吸気性喘鳴)は上気道狭窄を疑う重要な所見である。逆にウィージング(喘鳴)であれば下気道の閉塞である。ウィージングは吸気時も呼気時もヒューヒューと聞こえ、最強点が胸部になるのに対して、ストライダーは吸気のみにヒューヒューと聞こえ、最強点が頸部に存在する点が異なる。また開口し頻呼吸させるとストライダーは聴取しやすい。激しく泣かせる、興奮させるといったことを行うとさらに気道狭窄が進み、重篤化することがあるので注意が必要である。舌圧子を用いた咽頭診察やX線撮影などで呼吸停止に陥った例も報告されている。重症度は臨床症状から決定されることが多い。 重症度犬吠様咳嗽安静時吸気性喘鳴安静時の陥没呼吸その他軽症 ときどき なし~わずか なし~わずか 中等症 しばしば 容易に聴取 明らか 興奮状態なし 重症 しばしば 著明、時に呼気性喘鳴も伴う 著明 興奮状態著明 切迫呼吸不全 あり(時に目立たない) あり、時に減弱 あり(時に目立たない) 意識レベルの低下、チアノーゼ 中等度以上ではアドレナリン吸入の適応がある。至適吸入量は1000倍希釈アドレナリン0.5ml/Kgであり最大量は5mlである。反応は即効性であるが2時間で効果が消失するため、心電図、酸素飽和度をモニタリングのもと2時間後に再評価が必要である。アドレナリン吸入で症状が改善したら速やかにステロイドの内服を行えば、アドレナリンの効果が消失する頃にステロイドの効果があらわれてくる。重症度にかかわらずデキサメサゾン0.6mg/Kg、最大量10mgの単回投与が標準的である。内服が難しければパルミコート2mgの吸入を行うこともある。呼吸不全により気管内挿管が行われる場合もある。ウイルス感染がほとんどであるために抗菌薬の積極的な適応はない。
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