ろうむ‐たんか〔ラウム‐〕【労務単価】
労務単価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 05:47 UTC 版)
労務単価とは、公共事業に従事する建設労働者に対する、所定労働時間内8時間当たりの賃金の単価であり、そのうち公共工事設計労務単価は、請負工事費の算定に必要となる職種ごとの労務単価のことである。建設労働者は一般に建設資材のように広域的に移動せず、地域間で賃金水準差があることから、地域的にきめ細かな調査が必要である。また、同じ職種でも年齢、経験、能力等によって賃金差が存在するため、大規模な賃金調査が必要である。このため、関係省庁が共同して調査(公共工事労務調査) を実施している。調査は年1回を基本とするが、急激な単価変動が生じた場合は年2回の調査を実施している。2007 (平成19)年度は普通作業員、鉄筋工、とび工など51職種(都道府県別)について、12、241件の有効工事件数123、815人の有効標本数で調査されている。 公共工事設計労務単価は、その内訳が基本給、請負給、手当、実物給与になっている。このうち実物給与や手当のうちの賞与などには割増手当がつくので、労務単価のうち割増率の対象となるものの比率を割増対象賃金比といい、普通作業員はこの率が94から96%などと高く、反対に賞与などの給与の多い高級船員は80%程度と低くなり賃金の構成に対応している。一般に労務単価に割増対象賃金比を乗じたものを割増対象労務単価といい、これに割増率を乗じて割増額を求める。 労務費の補正はこれを大別すれば労務単価の割増と歩掛の補正の2種類がある。これは労務単価は昼間、普通の天候・環境状態のもとで実働8時間を標準にして定めているから、各種の事情によってこれらの設定条件が変更になったときは労務単価の割増を行う必要がある。 この割増は作業割増、作業環境割増、緊急作業割増の三つに分類することができる。また歩掛は実働8時間、実作業時間7時間(実働時間との1時間の差は作業にともなう段取、跡片付けなど施工量に関係のない時間である)で昼間作業を基本に定められたものであり、特殊な作業環境を考慮してはいないので、これらの設定条件が異なる場合には歩掛補正をする必要があるが、この補正には作業時間補正、作業時間帯補正、作業環境補正が考えられる。 単価の割増のうち作業割増とは、作業の施工が時間外、休日および深夜労働がある場合の割増、労働省告示で定められた特殊作業などの割増あるいは高度の技能を有するものにつける技能手当、そのほかの特別手当をいうが、 これらの割増手当は各条件ごとに加算できるような基準になっているのが普通である。 時間外、休日および深夜割増については、例えば、割増対象賃金比が0.94の場合の1時間当たり割増賃金係数は改式のとおりとなる。 時間外作業:0.94×1/8×1.25≒0.147、休日作業:0.94×1/8×1.35≒0.159、深夜作業:0.94×1/8 ×0.25≒0.029 特殊作業手当の額は、有害作業(圧気内作業を含む)、不潔作業、荒天時野外作業に該当する作業の場合に割増対象労務単価(役付手当のある場合はこれを含む)の30%増し以内とし、複数の項が該当する場合はそれぞれ加算した額とする例が多い。 作業環境割増は、作業環境が不良のために一般的に能率が低下すると認められる場合に労務費を割増するもので、次の項目が想定される。 冬期寒冷地作業 - 冬期寒冷地においては、寒冷と降雪のため作業環境が悪く、着ぶくれ、採暖などのため作業能率が低下するので、寒冷の程度により地域別、期間別に割増をすることができる。適用に当たっては、寒冷地の定義、程度の決定に注意する必要があるが、公務員の寒冷地手当支給区域なども参考になる。 住宅密集地帯および交通量の多い市街地などの工事ならびに試験的要素の多い工事などで、部外折衝または材料入荷の不円滑、あるいは施工法の変更などによる相当程度の手待ちまたは手戻りの想定される工事などが本項に該当する。
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