【前縁スラット】(ぜんえんすらっと)
主翼の前縁に張り出しを設け、キャンバーを大きくして揚力を確保する一方、翼との隙間(スロット)によって大迎え角時の失速を防ぐもの。
固定式と引き出し式がある。
固定式はコニカルキャンバーにスロットを付けたものとみなすことができる。
構造が単純で重量や整備性で有利な反面、直進時の抗力が大きいという弱点がある。
一部のF-4では翼端失速を防ぐ目的で外翼に装備しているが、航空自衛隊では要撃時の加速性能を重視したため、EJ型にはあえて装備していない。
一方引き出し式はスロッテッドフラップの一種とみなすことができる。
巡航時に収納されるため、抗力の増大を防ぐことができる反面、機構のために重量がかさんだり、整備に手間がかかったりする。
大型の旅客機や輸送機に装備されることが多い。
近年ではF-16やミラージュ2000等、引き出し式前縁スラットとフライバイワイヤーを組み合わせることにより、空戦フラップの一種として利用する例も見られる。
関連:捻り下げ
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