分割方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 01:36 UTC 版)
全国一元の組織の国鉄を地域ごとに分割することは、1つの会社の経営規模を小さくして地域密着を図るためであった。 分割に際して考慮された事項は以下の通りである。 1つの大都市において異なる会社へ直通する列車をできるだけ作らない。 特急列車のように都市間輸送を行う列車をできるだけ同一会社に含むようにする。 1つの路線をできるだけ1社で管轄する。 3社以上の会社を経由する列車をなるべく少なくする。 通過列車・通過旅客数のできるだけ少ない場所を境界点とする。 一方、考慮しないとされたことは以下の通りである。 上下分離方式を採る 既存の鉄道管理局の境界で分割する。 新幹線を別会社にする。 都市交通のみを別会社にする。 様々な分割地点を案として出しながら、分割される会社の経営規模や要員数などを算出して検討が行われた。特に複雑に線路が絡み合い運行系統が設定されている本州については、2分割、3分割、4分割、5分割など分割する数についても検討され、それぞれにさらに分割点を様々に変えた検討がなされた。分割数を増やすと境界が増えて問題となることや、直通旅客数の多い東海道新幹線を途中で分断しづらいこと、鉄道工場や指令所を共用している東北新幹線と上越新幹線も分割しづらいことなどが勘案され、東京本社の本州東部(甲信越以東)と大阪本社の本州西部(東海・北陸以西)に2分割とする案が決まったが、超ドル箱路線の東海道新幹線が本州西部会社帰属になると本州東部会社の収益が本州西部会社を下回ると判断されたため、最終的に本州西部会社と予定されていた地域のうち東海道新幹線を含む東海地方及び、本州東部会社に予定されていた地域のうち山梨県・長野県のそれぞれ南部地域を名古屋本社の別会社とする案が実施されることになった。 さらに、異なる会社へ直通する列車の乗務員の交代、車両の保守管理の担当、車両使用料の精算、運賃の計算と精算、担当する車両基地の割り振り、設備の分割と使用経費の分担など様々な問題に対して、新たなルールの制定が必要となった。 会社間の実際の分割場所は、境界駅の場内信号機外方(駅から見て外側)となった。1つの駅の設備についてはすべて1つの会社で担当するという考え方としたためである。東海道本線来宮駅についても丹那トンネルの中にある東海道本線上りの場内信号機が境界であり、その内方(東京方)がJR東日本、外方がJR東海となるが、トンネル構造物は分割できないため、トンネル全体をJR東海が管理している。なお、東海道本線米原駅は下り場内信号機をJR東海とJR西日本の境界とすると複雑になりすぎることから、東京方下り第一閉塞信号機が境界である。また、亀山駅については、JR東海の管轄駅であるが、駅構内西側にある亀山機関区はJR西日本の路線となる関西本線亀山駅以西を担当していたため、JR西日本に帰属することになった。これは、廃止予定であった伊勢機関区が、この地域におけるJR東海の車両基地を維持するために一転して存続となるという副次的な効果をもたらした。(なお伊勢機関区は2016年3月31日に廃止。)
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