上巻(かみつまき)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 01:57 UTC 版)
天地開闢から日本列島の形成と国土の整備が語られ、天孫降臨を経てイワレヒコ(神武天皇)の誕生までを記す。いわゆる「日本神話」である。 天地開闢の後に七代の神が交代し、その最後にイザナギ、イザナミが生まれた。二神は高天原(天)から葦原中津国(地上世界)に降り、結婚して結ばれ、その子として、大八島国を産み、ついで、山の神、海の神など様々な神を産んだ。こうした国産みの途中、イザナミは火の神を産んだため、火傷を負い死んでしまい、出雲国と伯耆国の堺にある比婆山(現・島根県安来市)に葬られた。イザナギはイザナミを恋しがり、黄泉の国(死者の世界)を訪れ連れ戻そうとするが、連れ戻せず、国産みは未完成のまま終わる。 イザナギは黄泉の国の穢れを落とすため、禊を行い、左目を洗ったときに天照大御神(アマテラスオオミカミ)、右目を洗ったときに月読命(ツクヨミノミコト)、鼻を洗ったときに須佐之男命(スサノオノミコト)を産む。その後、最初に生んだ淡路島の幽宮で過ごした。これら三神は三貴子と呼ばれ、神々の中で重要な位置を占めるのだが、月読命に関してはその誕生後の記述が一切ない。スサノオノミコトは乱暴者なため、姉のアマテラスに反逆を疑われる。そこで、アマテラスとスサノオノミコトは心の潔白を調べる誓約(うけい)を行い五男三女神が誕生する。その結果、スサノオノミコトは潔白を証明するが、調子に乗って暴れてしまい、そのためアマテラスは天岩屋戸に閉じこもるが、集まった諸神の知恵で外に出すことに成功する。 一方、スサノオノミコトは神々の審判により高天原を追放され、葦原中津国の出雲国に下る。ここまでは乱暴なだけだったスサノオノミコトの様相は変化し、英雄的なものとなってヤマタノオロチ退治を行なう。次に、スサノオノミコトの子孫である大国主神が登場する。大国主の稲羽の素兎(因幡の白兎)や求婚と受難の話が続き(大国主の神話)、スクナヒコナとともに国作りを進めたことが記される。国土が整うと国譲りの神話に移る。天照大御神は葦原中津国の統治権を天孫に委譲することを要求し、大国主と子供の事代主神はそれを受諾する。子の建御名方神は、承諾せず抵抗するが、後に受諾する。葦原中津国の統治権を得ると高天原の神々は天孫ニニギを日向の高千穂に降臨させる。次に、ニニギの子供の山幸彦と海幸彦の説話となり、浦島太郎のルーツともいわれる海神の宮殿の訪問や異族の服属の由来などが語られる。山幸彦は海神の娘と結婚し、誕生した息子もまた海神の娘と結婚し、孫の神武天皇が誕生して上巻は終わる。
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