コイン収集
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/23 15:03 UTC 版)
コイン収集(-しゅうしゅう)とは、古今東西のコイン(硬貨)を収集する行為であるが、紙幣を収集する行為も含まれることがある。西洋において、コイン収集は古くは王侯貴族の趣味であった。その当時はオリエントのコインやローマコイン等が主な収集対象であったが、現在ではあらゆる種類のコインが対象となっている。 日本においては、江戸時代前期、寛永通寶の発行によってそれまで流通した多種多様な円形方孔銭が廃貨となり、それに伴って古銭収集が始まったとする説がある。早い例として、1694年に刊行された趣味全般の手引書『万宝全書』の一巻が古銭紹介に割かれている。同時代の大蒐集家として、丹波国福知山藩主・朽木昌綱(1750年 - 1802年)が知られている。 日本でのコインブームは1964年のオリンピック東京大会記念1,000円銀貨の発行が火付け役となった。 製造枚数の少ない硬貨は、高値で取引される傾向がある。例えば日本の現行硬貨では、1987年(昭和62年)発行の五十円硬貨(77万5000枚のみの発行)や、2010年(平成22年)以降に発行された一円硬貨・五円硬貨・五十円硬貨の一部は貨幣セット用のみの発行となっており、収集家の間では額面より高値で取引され、流通から見つけるのは非常に困難である(日本の硬貨#発行枚数の少ない硬貨も参照)。 また、製造時に刻印がずれている「エラー硬貨」(ミントメイドエラーとも。en)の蒐集家もいる。エラー硬貨とは刻印の2度打ち、陰打ち、傾斜、また穴あき硬貨の場合は穴無しや、穴ずれなどいわば不良品の硬貨で、これらは検査の途中で取り除かれるのが普通だが、日本の場合、5円と50円は中央に穿孔する工程で穴の位置がずれた硬貨が時々流通に回り発見されることがある。 根強いマニアは多く、東京や名古屋、大阪で毎年定期的に組合や大手業者の主催でコインの展示即売会が開催されている。特に5月に東京で開催される「東京国際コインコンベンション」には日本全国の業者はもちろん、外国の造幣局や業者も出展し、全国の蒐集家が集まる日本最大のコインイベントとして定着している。 コイン蒐集家には様々な人がおり、本格的なコレクターには、たとえば寛永通寶や、イギリスの銀貨のみに絞った専門的な蒐集家が多い。最近ではコインの世界にも切手と同様に国別コレクションからトピカル、テーマティクコレクションへの変化が起きている。 コインの状態のグレードは、日本では一般的に以下のように分類される。 完全未使用品(BU) - 「完未」と略されることがある。未使用品よりさらに状態の良いものや、ミントセットに収納されている貨幣などがこれに分類される。 未使用品(UNC) - 実際に使用されていないことを意味する訳ではなく、発行後一度も使われずに保存されていたものに匹敵する状態という意味である。それに近い状態のものとしては「準未使用品(AU)」の語が用いられる場合がある。 極美品(EF) - 状態としては未使用品に近いが、未使用品よりもキズなどが多いものがこれに分類される。 美品(VF) - このグレードに属する貨幣が最も多く、その中でも状態の良いものは「特美品」とされることもある。平成17年から20年にかけて行われた財務省による日本の近代金貨放出のオークションでは「美品A」「美品B」に分けられている。 並品(F) - 「上品」「佳品」「並品」などと細かく分類されることもある。 並品よりも状態の悪いものに関しては、「並下品」「下品」「劣品」などの語が用いられる場合があり、財務省による日本の近代金貨放出のオークションでは「並品未満」とされている。
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