米麹(こめこうじ)
稲の穀粒。泡盛、コメ焼酎の原料。その他の本格焼酎でも麹の原料としてこれを使用するものが多い。漢語での米は穀類の穀を去った仁(じん)のことで、日本語のコメに相当するものは大米(たーみー)である。雑穀に混在していた野生稲の作物化が成功したのはインド低湿地帯とする説がこれまで主流をなしていたが、最近では雲南起源説が有力視されている。稲は雑穀についで中国に伝えられ、揚子江流域の紀元前2000年代の屈家嶺遺跡からも出土している。これらは糯(もちいね)である。粳(うるちいね)を意味するこう・こう・粳などの字が中国に現れたのは漢代の『史記』が初めで、楚の滑稽列伝にみられる。粳は糯より多収穫なため、糯にかわって東アジアに普及した。粳には日本人が常食とする丸形の日本種と細長のインド種とがある。低温に対し前者は強く後者は弱いので、現在日本種は日本・中国中北部を中心に北米カリフォルニア州などで栽培されているのに対し、インド種は東南アジア(島嶼(とうしょ)部を除く)、中国南部、南米などで栽培されている。わが国への日本種伝来の道については、1.朝鮮半島経由説、2.中国江南説、3.南西諸島を含む海上渡米説がある。奄美大島住用村川内の遺跡から須恵器とともに日本種が出土し、沖縄本島玉城(たまぐすく)村糸数(いとかず)城遺跡からは日本種とインド種が混ざって発見され、石垣島山原(やまばる)貝塚から出土した八重山式土器の籾(もみ)はインド種であるなど南方からのインド種の粳と北方からの日本種の粳が沖縄本島で交わっているようにみえる。本格焼酎の原料米は、沖縄諸島では第二次大戦中を除き一貫してタイ・ビルマ産インド種の砕米(唐粉米(からこまい))を使用している。本土では明治末年まで日本種(内地米)を使用していたが、大正初期の製造合理化時代に鹿児島県でまず唐粉米を輸入し、これを使用したのを最初として急速に普及したが、昭和四五年、内地米の備蓄過剰により、沖縄県を除き輸入が禁止され、現在本土では内地米の破砕精米が使用させている。
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