先日、おち研の所長宛に海外のディプロマミル大学院から勧誘のメールが届きました。
ディプロマミル(別名ディグリーミル)とは、まともな課題も課さず簡単に卒業証書くれるような教育機関のこと。
へぇ~、こっちは連日 朝から朝までラボ畜やってたっつーのに金払えば卒業証書貰えるとか超ありがたいでしょ!
…みたいなボンクラを相手にしたらよろしいよ。ディプロマミルは有り体に言えば学府の皮を被ったビジネスです。一昨日きやがれ。
ディプロマミルとは…
ディプロマミルとは diploma 免状 + mill 工場 である造語です。聞き慣れない言葉なので「ディプロ+マミル」と勘違いしそうだけど、ディプロマ+ミルなのでご注意。(誤解その1)
一般には「学位製造工場」などと訳されるでしょうか。学位商法などとも呼ばれ、大卒・院卒の質が保証出来ないため問題となってます。
でもこれ微妙にニュアンスが違うんじゃないかなぁ。ミルはあくまでミルとして考えた方が良い。
工場ならファクトリーを使うのが一般的なのに、なぜミルと表現するのでしょうか。些細な事かも知れないけど、この違いがディプロマミルの本質を言い表してる気がするのです。(誤解その2)
ディプロマミルの問題点
ディプロマミルの実態について、文科省の資料では以下のような特徴が挙げられています。
学位が金で買える
その証拠がないのにアクレディテーションを受けているような言及がある
怪しげなアクレディテーション団体から認定を受けているような言及がある
連邦や州の設置許可を受けていない
学生の出席要件が(あれば)小さい/学生の単位取得要件となる課業量が少ない
学位取得までの期間が短すぎる
経験や履歴書だけで学位が取れる/逆に正統な教育を行うにしては経費が安い
キャンパスないし事務所の住所が示されていない=私書箱しかない
教員の名前や肩書きが公表されていない
有名大学と似た名前がついている
その証拠がないのに出版物があるような言及がある
ディプロマミルといえば、少し前にトンデモ発言で炎上しまくっていた某市議のことを思い出します。
経歴に大卒とあるにもかかわらず常識を疑う発言を繰り返すので、どこの大学かと思ってさんざん検索したら海外のディプロマミル出身でした。それじゃあまりに知識レベルが計れないので出身高校を調べたら、今度は一切出てきません。小中学校名は公表してます。(お察し)
学歴で人を判断するつもりはありませんが、知的レベルの目安にするのは構わないでしょう。正規の教育を受けてない人が政治を志すこと自体は貴いと思うのですが、その場合は正規の教育を受けた人以上に勉強して欲しいと思います。
ディプロマミルのミルとはもともと水車小屋のこと
さて。ミルというと一般にペッパーミルやコーヒーミルを指します。製粉器、粉砕器のことです。
PEUGEOT パリ ペッパーミル18cm チョコ 870418/1 |
ただ、これもmillの原義から言うと実は少し派生的な用法にあたります。Cambridge英英辞典でmillを引くと
1 : a building where grain is crushed into flour
2 : a pepper/coffee mill
3 : a factory where a particular substance is produced
ですから、
1 : 製粉所
2 : ハンディ粉砕器
3 : 工場
…となり、元々は製粉所を示す言葉だったことが判ります。この「製粉所」が何かというと水車小屋です。おそば屋さんの横によく水車飾ってありますね。川の流れでのんびり脱穀、あのイメージです。
欧米の伝統的な水車小屋は有料の時間貸し
そしてこの水車小屋を利用する際は、使う都度お金を払って利用するものだったと言います。
つまり、お金払って原材料を預けたら あとは機械が自動的に面倒な行程を済ませてくれる。大変な作業に人手を割くこともなくほったらかしで出来上がる、それが『ミル』です。
一方、「ファクトリー」の語源は「factor = 作る人」。今となっては無人工場もあるでしょうけど、基本的には行程の途中に人の手が介在します。
でもミルは無人ですから。
金さえ積めば歯車が勝手に回って学位が作られる。何か物音はするけど人の気配は感じない。ディプロマミルとは、そういうニュアンスの言葉です。
学歴汚染―日本型学位商法(ディプロマミル)の衝撃 |
【 更新履歴 】
2016/02/09 「文科省も指摘するディプロマミル問題」章を追記しました
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