公務員を辞めて「ドラマの料理」を作る彼女の人生 「ゴールデンカムイ」や「ふてほど」など多数担当

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フードコーディネーター・はらゆうこさん(写真:筆者撮影)

東京・代官山にあるマンションのダイニングには、料理教室のような調理スペースが設けられていた。ステンレスの調理台が2台あり、その上には両手鍋に入った豚汁が置かれている。壁際には家庭用の冷蔵庫が3台も並び、2人のスタッフが調理スペースを動き回っていた。

ここで行われているのはドラマや映画の撮影で使用する食べ物の調理だ。

「ほとんどの台本に料理のレシピどころか詳細も書かれていないんですよね。助監督さんから『朝食や夕食を家族分』と指示を受けて調理を進めることもあれば、メニュー名をいただいて試作を繰り返しながら詳細を詰めることもあります」

朗らかな笑顔で話すはらゆうこさんは、ドラマや映画の世界で引っ張りだこのフードコーディネーターだ。

2024年の新語・流行語大賞を受賞した「不適切にもほどがある!」、累計2900万部の発行部数を誇る人気漫画を原作とした映画『ゴールデンカムイ』、2023年にSNSで話題を集めた日曜洋画劇場「VIVANT」などの食のシーンに携わっている。これまでに関わったドラマや映画の数は500本以上にも及ぶ。

フードコーディネーターに求められる役割

ドラマ「不適切にもほどがある!」のナポリタン(写真:Vita提供)

映画やドラマに関わるフードコーディネーターというと、クリエイティブな仕事のイメージが浮かぶ。自分のアイデアを提案し、実現する機会が多いのだろうか。

「どちらかと言えば、要望を受けて、課題を解決する仕事です。例えば、シズル感を演出するために料理の湯気を求められた場合、どうすればカメラに湯気をとらえてもらえるかスタッフと相談し、料理を出しています。『この役は料理が得意ではないからもっと盛りつけを崩して』と監督から指示を受けたときには、どのような人物か考えてその場で盛りつけを調整しました」

はらさんのキャリアのスタートはドラマや映画とは接点のない地方公務員だった。地元である埼玉県北部で8年間働き、フードコーディネーターになるために赤堀料理学園に入学。卒業後に、学園の校長を務めている赤堀博美さんのアシスタントとして30歳で修業を積み始めた。

【写真多数】「不適切にもほどがある!」のほか、「VIVANT」の赤飯、映画『ゴールデンカムイ』の料理など、フードコーディネーターはらゆうこさんが作った料理の数々はこんな感じ
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