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2014.06.01

「Gunosyオフィスツアー」を振り返る〜世界一のニュースアプリを目指すために

数年ぶりに企画したオフィスツアー。SkypeやOperaなど話題のIT企業を訪れるこの企画ですが、今回はCMでも話題の「Gunosy」です。Gunosyといえばニュースサイトアプリにより急激に認知度が上がっている、非常に勢いのある企業です。

Gunosyオフィスツアーの概要は以下の記事をご覧ください。

Gunosyオフィスツアーの参加者募集を開始しました!(5月9日[金]開催)

当日は予定時間を大幅に超える意見交換となり、大変に盛り上がりました。今回はビジネス面、技術面ともに非常に興味深いプレゼン内容でしたが、特にビジネス面に注目して感想を書きます。

■数字は神より正しい!?

参加者の全員が一番インパクトがあった言葉といえば、「数字は神より正しい」ではないでしょうか?

すべての判断において「数字」が活用され、この数字によって仮説の検証が行われます。この手の手法は欧米では見られるものの、国内のIT企業でここまで徹底しているのは稀でだと思います。

アプリケーションへの導線、UIの改善。すべては数字によって仮説の成功、失敗が判断されます。このような数字による判断がうまく回るのは、2つの要因があると考えています。

その1つはログで取得する数字の要素が非常に多いこと。仮説の検証のために、ログを取り直すことを無くすためにこのように100を超える様々な情報を取得します。

残り1つは2週間という迅速なアプリリリーススピード。このアプリ開発スピードにより仮説の検証の有効性の確認、場合によっては前の状態への戻しができるわけです。

■シンプルな目標〜世界で目指すもの

Gunosyの目標は「世界で一番であるニュースアプリ企業であること」です。
既に海外展開も進んでおり、海外でどのようなニュース推薦をするのか非常に気になります。

ここで企業戦略として気になる点を2つ質問しました。

1)ニュースアプリ以外のビジネスを展開することは想定しているか?

→現時点ではニュースアプリを世界一にすることを目標にしており、まずはニュースアプリに注力したい。

2)利用者がアーリアダプターからアーリーマジョリテイに遷移するなか、何らかの対応はしていくか?

→ニュースアプリを快適に使ってもらうために個々の利用者によってコンテンツの表示等を最適にしており、今後もその継続を行う。そのため、今までニュースアプリを使っていた人も新たに使う人も快適に使えるようにしている。

1)は多角化経営の是非についての質問です。ITベンチャーの場合はある目標がほぼ達成すると、次第に多角化する場合が多いです。Gunosyは非常に高い目標があるため、まずはリソースをニュースアプリに注力したいというのは頷けます。

ただしニュースアプリのニーズ及びそれに関連する収入がどの程度伸びしろがありそうか、率直に言うと私にはまだ良くわかりません。、仮にニュースアプリの市場が想定よりも少ない場合、ニュースアプリ以外の分野にも手を広げる可能性があります。

2)については「キャズム超え」という課題です。

IT企業では最初非常に成長したものの、ある時点から成長が低下する、あるいは逆に低下するということが良く見られます。これは新サービスを積極的に活用する「アーリアダプター」層から、より普通の利用者(アーリマジョリティ、そのサービスが実際に有効かを見極める利用者)にサービスを普及したい時に見られます。これのような現象を「キャズム」と呼びます。

GunosyはCMを多く放映することによって、アーリマジョリティにも認知度を高め、キャズム越えをする仕掛けをしています。このときにアーリマジョリティだけでなく、その前から利用しているファン、すなわち「アーリアダプター」も快適に使ってもらうことが大切です。そのために、Gunosyは利用者個々の特徴を把握して、既存利用者にも新規利用者に最適なコンテンツを出していくということに注力していると考えています。

1)については、リソースの注力か、それともリスクヘッジを優先するかという判断、2)については既存利用者か新規利用者を取るかという判断が求められます。CMによって認知度が高まった今、海外展開に向けてどのような動きをGunosyが見せるか、今後も非常に気になります。

1)についてはニュースアプリを軸足にするものの、すでに保有するレコメンド技術を活用することでニュースの興味が似ている人あるいは企業を繋げていく機能(商品れレコメンド等)をつけて、単なるニュースアプリから脱却していくのではないかと私は予想しています。

■有効と思えるツールはすぐに試していく

起業してからまだ本当に日も浅いGunosy。経営陣、社員も非常に若いです。その若さゆえ有効と考えているツールはすぐに使い、そして商用に導入する、このスパンが非常に短いと感じました。

またプレゼンテーションで説明があったクラウド上アプリケーション運用・開発でのノウハウは普通の講演であれば2時間程度は説明できる内容。起業して短期間にも関わらず技術力の蓄積には驚くばかりです。IT勉強会などでもGunosyの社員がプレゼンテーションでよく見ることになる日も近いと思います。

■最後に

現オフィスに引っ越したのに近いうちにオフィスが手狭になるかもしれない、との話が聞かれるぐらい、急激に成長しているGunosy。単なるIT企業ではなく、認知度が非常に高まった今、ビジネス的にも技術的にも次の一手が気になります。また機会があれば、オフィスツアーを開催し、その後の成長の様子を詳しく聞いていたいです。

最後になりましたがGunosyの社員の皆様、ご協力ありがとうございました!

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