今宵のレコード

　私は群馬県で育ったが、中高生の頃、NHK FM 放送の土曜日午後３時-６時頃の番組を良く聴いていた。プログレを専門に選曲する、当時としては風変わりなアナウンサーがいたからだ。ビートルズで洋楽を知り、この番組で一挙に英国やヨーロッパの奥深いロック・シーンを知ることができた。
　ピンク・フロイドやキング・クリムゾンなどの大物は、アルバムの片面全曲をかける時もあったし、今回レビューするグレイシャスや、イタリアのアレアなど、当時としては超マイナーなプログレも多数かけていた。今考えると、本当に貴重な番組だった。
　お金のない中高生なので、ラジカセに放送を録音し聴いたものだった。大人になり、レコードやCDを購入して演奏を聴くと、これは昔に聴いたことのある曲だ、というのが結構あったものだ。繰り返すけど、本当に貴重な番組だった。

　１９７０年に英国プログレの宝庫である Vertigo レーベルからリリースされたファースト・アルバムだ。昔はA面２曲目の美しいナンバーだけを聴いていただけなので、全曲聴いた時は全体的にサイケデリックな曲調なのでビックリした。

　それでも、なんともブリティッシュ・ロックらしく、陰影に富んだ内容で、サイケやクラシックの要素を含んだ演奏となっている。A面２曲目のメロトロンを使用した美しい曲が素晴しい。

　アルバムの中ジャケットはサイケという雰囲気だ。

　レコードは謎の再発レーベル AKARMA のアナログ盤で入手している。音質は、かなり良い。AKARMA はイタリアの会社で、プログレやトラッドの隠れ名盤をアナログ・レコードで再発している会社だが、どうもライセンス契約などがいい加減で問題が多いそうだ。でも、音質はまずまず良いのでバカ高いオリジナルが手に入らない場合は、ここのレコードを購入している。2010年時点では、権利問題が発覚して会社活動を停止しているようだ。

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A1. Introduction
A2. Heaven（お勧め）
A3. Hell
B4. Fugue In D Minor
B5. The Dream