日本相撲協会が、横綱朝青龍問題をめぐってテレビ番組で協会批判をしたとして、元NHKアナウンサーに発行していた取材証を没収したことが11日わかった。東京相撲記者クラブは同日、北の湖理事長(元横綱)に対して処分の撤回を求める抗議文を提出した。 取材証を没収されたのはNHKで大相撲放送を長年担当した日本福祉大客員教授の杉山邦博さん(76)。スポーツアナウンサーとして大相撲の実況を40年以上続け、名をはせた。「名調子・杉山邦博の大相撲この名勝負」「土俵の鬼 三代」などの著作がある。朝青龍問題に関して発言を求められワイドショーなどに出演した。 北の湖理事長は「『朝青龍の処分を決めるのに弁護士など外部の人間をいれた方がよかった』とする他の出演者の発言に杉山さんが同調するようにうなずいた。協会批判だ」とし、「番組で相撲評論家の肩書を使っていた。取材記者でないなら取材証はいらないはず」などとして没収したとしている。 杉山さんによると10日の取組終了後に協会職員から「理事長の意向なので取材証を返してほしい」と言われ、明確な説明がないまま手渡した。協会からは11日夜になっても、具体的な説明はないという。 取材証は本場所の取材に必要な顔写真入りのカード。提示すれば支度部屋などに入って力士の取材ができる。新聞やテレビ、雑誌の記者やフリーの記者らに相撲協会が発行している。 杉山さんは「大相撲がよい形で存続していけばと思い、『朝青龍問題は伝承文化である大相撲の根幹を揺るがしかねない』と発言してきたが、相撲協会を批判したことは一度もない。こんなことになって残念だ」と話す。 没収の理由となった「うなずき」は8月13日のTBS系番組に出演した時のことらしいが、杉山さんは「理事長の指摘の内容は違う。『個人の権利があるから、もし弁護士がいて裁判になったらどうなるのだろう』という意見に、そういう見方もあるのか、と思っただけ。相撲評論家という肩書もテレビ局が勝手につけたもの。私はそんな名刺も持っていない。いずれも誤解だ」としている。 記者クラブの抗議に対し、北の湖理事長は「評論家の活動を止める気はない。だが、取材記者ではないのだから取材証は発行出来ない」と話した。 |
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Author:Kio
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