日本相撲協会から出場停止と謹慎などの処分を受けた朝青龍騒動が迷走を続けている。日本へ戻ってから約3週間。精神的な病との診断で帰国を希望して東京都内の自宅から動かない横綱と、謹慎の意味あいもあり、あくまで国内での治療を勧める師匠(元大関朝潮)と相撲協会。ともに譲らぬ綱引きは依然、出口が見えない。 20日、東京・国技館内で協会医務委員長の吉田博之・相撲診療所長が会見した。「精神が安定するような環境に置くことが一番。横綱は国内での治療を希望しないと思う」と話し、モンゴルへの帰国療養を勧めた。 17日と19日、吉田医師と協会から委託を受けた精神科医の高木洲一郎氏が診察した結果、新たに「解離性障害」と診断された。症状について吉田氏は「外部の状態を認識しているにもかかわらず、意思の発動がない状態。一歩も外に出られず、拘禁反応が出る恐れもある」と説明した。 横綱は医師の質問にも反応しなかったため、付け人らの話や報道なども合わせ総合的に診断したという。以前は「急性ストレス障害」としていたが「命に差し迫ったストレスはない」として病名を変更した。 高砂親方はこの日、北の湖理事長(元横綱)に診断結果を報告した。しかし、「モンゴルに帰る元気があるなら、日本で通院、治療することもできるはず。(謹慎処分という)理事会の決議もある。高木医師の病院に通ってもいい」として、帰国には否定的な態度を崩さなかった。 ■横綱側「処分不服」 協会側「けが治せ」 自宅にこもりっぱなしの横綱が帰国に固執する姿勢には、今までかなりの「わがまま」が通っていた実情がある。 先場所白鵬が昇進するまでは、1人横綱として21場所も角界を支えた自負がある。通常の力士は外国などに出る場合には師匠の了解を得て旅立つが、朝青龍は最近は何も連絡なしにモンゴルへ戻ることが度々。周囲もそれを黙認してきた。 本人は今回の騒動にも「日本とモンゴルとの友好のために協力したのになぜ、との思いがあるようだ」と高砂部屋関係者はいう。処分そのものに納得がいかないのかも知れない。 ただし、相撲協会側は心の病気とともに、騒動の根本ともなったひじと腰のけがをきちんと治療するように、との意向が強い。「心の病気は日本に帰ってから出てきた問題。当初の体のけがと両方を治療しないと」と高砂親方はいう。 ■角界全体の醜聞、進退問題に波及も 北の湖理事長は「医師の指示に従って適切に対応していきたい」とのコメントを出したが、帰国に関しては、「理事会の決定事項というものがある」として、こちらも否定的だった。 相撲協会内には依然として、テレビ映像での元気な動きに「けがは仮病では」との不信感が根強い。それだけに医師の診断書が出ていても「心の病気も同様だろう」とのささやきが渦巻く。弟子に角界の総意を承諾させられない師匠の指導力不足へも、厳しい批判が飛んでいる。 いずれにしても、問題は朝青龍個人、横綱と師匠との関係を超えて、相撲界全体の醜聞の様相を呈してきた。このまま対立が続くと、歴代5位の21度の優勝を誇る横綱の進退問題にまで波及する可能性もある。 本人の軽率な行為、師匠の責任は了解をした上で、そろそろ相撲協会が組織として「調停」に乗り出さないと、収拾が難しくなる。 |
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Author:Kio
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