
リリー・フランキー(柴田治役)と言うのが、これまた
個性の塊で、この作品の色を体現している
ような役だった。

リリー・フランキーと安藤サクラ(信代役)の両者の
だらしなさと言うか脱力感そのものが
この作品の根底に流れる生活感を際立たせてくれた。
樹木希林の役(初枝役)の死は、色んな意味を持っている
ようにも感じられる。死ぬ前の樹木希林(初枝)の振る舞いが、
世の中のいさぎの悪さと言うか不条理なところを
憂いているようにも見え、何かを悟ったような
表情の後に、その死が訪れた所に、この作品の
監督、是枝監督の意図した意味が込められている
ように感じた。

決して血が繋がっているのが良しとはならないところが
往々にしてあるのは、誰しも感じる所だが、
そうは言うものの、結局は血が繋がっている意味を
この作品は考えさせてくれた。
最後は、息子(祥太)と離れ離れになるリリー・フランキー
のやるせなさは、血が繋がっていないのでどうしようも
ないところだが、そうは言っても、ずっと一緒にいたい
仲であっても離れなければならないのが兎角世の中の
常である。

「お父さん」「お母さん」と呼んで欲しいリリー・
フランキーと安藤サクラは、結局最後まで呼んで
もらえなかった。
そう言うところは、逆説的に、家族を大切に考えている
監督のメッセージだったのか。
りんちゃんは、アマゾンのCMに出ているので、「あ、
あの子だ」と思ったが、どこか可哀そうな雰囲気のある
子役だが、色々なメッセージを運んでくれた。
りんちゃんに盗みをさせたくないと思った祥太。
祥太が捕まった事で全てが明るみに出て、この家族は
離れ離れになる。離れ離れになって、初めて、この
狭い世界にポツンと取り残されていた家族は、マスコミに
取り上げられ、祥太は施設に送られた。
そして、その後、社会に出てゆく事になる。

個人的には、細野晴臣が音楽を担当していたのは、非常に感動した(何故
だか分からないが)。
評価点 83点
お薦め度 85点
2018年 120分 日本製作
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