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【映画】『ファースター:怒りの銃弾』(2010年) 兄を殺された復讐に燃える男が、狂気と暴力の連鎖に突き進む激烈アクション! | ネタバレあらすじと感想

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◆映画『ファースター:怒りの銃弾』の作品情報

【原題】Faster

【監督】ジョージ・ティルマン・Jr

【脚本】トニー・ゲイトン、ジョー・ゲイトン

【出演】ドウェイン・ジョンソン、ビリー・ボブ・ソーントン他

【配給】トライスター ピクチャーズ、CBSフィルムズ、SPE

【公開】2010年11月

【上映時間】98分

【製作国】アメリカ

【ジャンル】アクション、スリラー

【視聴ツール】Prime Video、吹替

◆キャスト
ドライバー:ドウェイン・ジョンソン
刑事(Cop):ビリー・ボブ・ソーントン
キラー(Killer):オリヴァー・ジャクソン=コーエン
リリー:ムーン・ブラッドグッド
マリア:マギー・グレイス
バンカー:ジェフリー・タンバー

◆ネタバレあらすじ
本作、映画『ファースター』(Faster、2010年)は、ドウェイン・ジョンソンが主演する復讐劇を描いたアクション・スリラーです。物語は、刑務所から出所した主人公「ドライバー」(ドウェイン・ジョンソン)が、過去の裏切りに対して復讐を果たすために動き出すところから始まります。
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10年前、ドライバーは兄と共に銀行強盗を成功させ、大金を手にしましたが、仲間に裏切られ、兄は殺され、自身も重傷を負い刑務所に送られてしまいます。長い年月をかけて復讐の機会を狙っていたドライバーは、出所後すぐに行動を開始。彼の手には一枚のリストがあり、そこには裏切りに関与した者たちの名前が書かれています。ドライバーは、リストに載っている人間たちを次々と追い詰め、一人ずつ無慈悲に殺害していきます。
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最初のターゲットは、かつて裏切りに関わった男。ドライバーはためらうことなく、彼を射殺します。この冷酷な復讐劇は、すぐに警察の目に留まり、彼を追う「刑事」(ビリー・ボブ・ソーントン)とそのパートナーの「サイセックス刑事」(カーラ・グギーノ)が捜査に乗り出します。刑事は、過去に汚職や薬物問題を抱えたベテラン警官であり、人生に疲れ切っている人物です。彼もまたドライバーの行方を追い、彼の目的や動機を探ろうとします。
一方で、ドライバーを追うもう一人の存在が現れます。それは「キラー」(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)という若くて成功した殺し屋です。
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彼は金持ちで、成功を収めているものの、スリルを求めるために人を殺す仕事をしている人物です。彼は完璧主義者であり、ドライバーをターゲットにし、その行動を常に監視しながら、プロフェッショナルとしてのプライドをかけて追い詰めていきます。こうして、ドライバーは自らの復讐劇を遂行する中で、刑事とキラーという二重の追跡者に追われることになります。
物語が進むにつれて、ドライバーが狙うターゲットたちが次々と明かされ、それぞれのターゲットの過去や罪が描かれていきます。ターゲットの中には、裏切りを後悔し、別の人生を歩もうとしている者もいれば、今なお冷酷に生きる者もいます。ドライバーは、過去の傷を背負いながらも、復讐の手を止めることはなく、次々と相手を仕留めていきます。
しかし、物語は単なる復讐劇ではなく、ドライバー自身の内面的な葛藤も描かれています。彼は過去に取り憑かれながらも、自らの行動に疑問を抱くことがあり、その復讐心がどこまで正当化されるのかというテーマが作品の背後に流れています。彼の復讐が最終的に何をもたらすのか、彼の心に救いはあるのかが大きな焦点となります。
物語のクライマックスでは、ドライバー、刑事、キラーの三者がついに交錯し、壮絶な対決が繰り広げられます。それぞれの思惑が交差する中、最後に明かされる真実が観客を驚かせます。実は、ドライバーが復讐を誓った人物たちの中には、彼の兄の死に関与していなかった者もいることが判明します。真の黒幕が明らかになると、ドライバーの復讐は複雑な様相を帯びます。
『ファースター』は、スピード感と緊張感に満ちたアクションシーンが目立つ一方で、キャラクターたちの内面的な葛藤や、復讐の意味についても深く掘り下げられた作品です。ドライバーの冷酷な一面と、彼が背負っている悲劇の過去が交錯し、観客に「復讐とは何か」を問いかけます。また、彼を追う刑事やキラーの視点も物語に多層的な深みを与え、単純な善悪の対立を超えた複雑なドラマを形成しています。

◆考察と感想
映画『ファースター』は、復讐という普遍的なテーマを軸にしたアクション・スリラーでありながら、その背後には人間の内面に迫る深い問いかけが隠されています。主人公「ドライバー」(ドウェイン・ジョンソン)の冷徹な行動と、その行動の根底にある復讐心が、物語の核心です。この作品は単純なアクション映画にとどまらず、復讐が人間にもたらす変化や、善悪の曖昧さを描くことによって、観客に考えさせる要素を含んでいます。
まず、ドライバーの復讐は非常に直線的で、彼が追い詰めるターゲットも一見して明確な悪者に見えます。しかし、物語が進むにつれて、彼のターゲットたちは一人一人異なる背景や事情を抱えており、彼ら全員が完全な「悪」とは言えないことが分かってきます。中には、過去を悔い改め、新しい人生を歩んでいる者もいれば、罪悪感に苛まれながらも逃げることしかできない者もいます。こうしたキャラクターの多様性が、単純な復讐劇を超えた深みを生み出し、観客に「正義とは何か」を考えさせます。
ドライバー自身のキャラクターも興味深いです。彼は復讐を目的に行動しますが、感情的には非常に無表情で機械的にターゲットを処理していきます。しかし、その裏には兄を失った痛みと、自分自身の喪失感が隠されています。復讐は、彼にとって唯一の目的であり、彼のアイデンティティを支えるものとなっているのです。しかし、最終的に彼の行動が正当化されるのかという問いは、観客に委ねられています。ドライバーがターゲットたちを殺していく中で、彼の行動が復讐としての正義か、それとも自己破壊的な行為かというジレンマが浮かび上がります。
また、ドライバーを追う「刑事」(ビリー・ボブ・ソーントン)もまた、重要な対照的キャラクターです。彼は人生に疲れ切った中年の警官で、過去に汚職や薬物依存の問題を抱えており、彼自身も「善」とは言えない存在です。彼はドライバーの復讐を止めようとしますが、彼自身の人生もまた崩壊寸前であることが描かれます。刑事の存在は、法の下に正義を執行する者が必ずしも道徳的に正しいわけではないことを示し、復讐の物語にさらなる複雑さを加えています。彼もまた、自分の人生において、何が正しいかを模索している人物です。
さらに、「キラー」(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)の存在も興味深いです。彼はドライバーとは対照的に、スリルを求めて殺しを行う人物であり、プロフェッショナルとしての誇りを持っています。彼のキャラクターは、復讐や感情に基づかずに殺しを行う冷静さがあり、ドライバーとの対比が際立ちます。彼もまた、成功とスリルを求めるがゆえに殺しの世界に身を置くが、その人生の空虚さがどこかで感じられます。
映画のクライマックスでは、ドライバーが最後のターゲットに対峙する中で、彼の復讐心が最高潮に達しますが、同時に復讐の無意味さも浮かび上がってきます。真の黒幕が明かされることで、ドライバーの行動が必ずしも正当化されない複雑な現実が提示され、観客に大きな驚きと考える余地を与えます。
『ファースター』は、アクションシーンの派手さやテンポの速さで楽しませるだけでなく、登場人物の心理や復讐の是非について深く掘り下げています。特に、ドライバーの復讐が彼に何をもたらしたのか、そして彼の人生にどのような影響を及ぼしたのかを考えると、この作品は単なるエンターテインメント以上の意味を持ちます。復讐を通じて得られるものは何か、失われるものは何か。そうした問いを観客に投げかける点で、非常に考えさせられる映画です。
全体的に『ファースター』は、復讐というテーマを通して人間の脆さと強さを描き出し、善悪の境界線がいかに曖昧であるかを見事に表現しています。



評価点   84点
お薦め度  82点


2010年  98分  アメリカ製作

 
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