2009-07-30(Thu)
護憲ではない民主党を応援する理由
2年前の参議院選挙のとき、私は「9条改憲の賛否を問う質問」という企画をした。
きっこの日記をはじめ賛同をいただいた87のブログ連名で、自民と民主の全予定候補者に質問を送り、18人の予定候補者の方から回答を頂戴した。
あのときの危機感は、参議院まで改憲派が3分の2を占めてしまったら、憲法9条は風前の灯火(ともしび)だ という思いだった。
結果的には、121改選数のうち、何らかの形で改憲反対を表明している人が41人当選した。
非改選を含めれば3分の2というラインは守れなかったが、改憲に反対する勢いにはなったし、改憲を争点にせずになし崩しで進めようという、当時の安倍晋三の目論見にも一石を投じることができたと思っている。
さて、今だ。
民主党が有利との下馬評が飛び交う中で、今回はどのように考えるべきなのか。
前に取り上げた藤村修議員は改憲派だという指摘もあった。なるほど、そういうことも充分考えられる。
そもそも、民主党は明らかに「護憲」ではない。はっきり言えば「改憲」を前提にしている。
過日発表されたマニフェストにも、よ~く目立つように書いてある。
現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます
これでも、民主党を応援すべきなのか・・・
さっきの文章には、その前文がある
「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。
これは、まったく正しいと思う。そのとおりだ。
この後に、
民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。
と続いているのである。
これは、原理原則で言うならば、間違いではない。問題は、「真に立憲主義を確立し」というのが、どういう状態のことを言うのか、だ。
少なくとも、選挙権のない法人が巨額献金で政治を動かしたり、検察庁が現政権の意を受けて国策捜査に乗り出したり、君が代を歌わないと教師がクビになるような状態は、立憲主義が確立されているとは言えないだろう。
「真に立憲主義が確立」された状態ならば、私も憲法について自由に議論することには賛成だ。
天皇にタダ飯を食わせる今の憲法が、金科玉条だとは思っていない。
しかし、その前提を忘れて、強大な国家権力の圧力の下で「自由」な論議をすることは、全く反対だ。
今の民主党は、どちらにも転がる可能性がある。
では、2年前のように、改憲に反対の候補に絞って応援するべきだろうか。
もちろん、自分の選挙区の民主党候補が改憲派で、社民党や共産党の候補に可能性があれば、それに賭けることは賢明な選択しかもしれない。
しかし、必ずしもそういうケースばかりではない。
今回の戦術は、やはり政権交代 なのだと思う。
思想でも綱領でも政策でも戦略でもなく、あくまで戦術、とりあえず今回の選挙の作戦として、政権交代を最優先させるべきだと思う。
その上で、民主党に「しばり」をかけるべきだ。
そう、あの橋下徹がやっている作戦だ。
橋下は、道州制を進めるために財界の意を呈して民主党に「しばり」をかけようとしているが、反対側からそれをするのである。
そのため作戦1は、比例区は社民党、どうしてもイヤなら共産党にする。
(共産党については、小沢氏秘書が不当逮捕されたときに、検察と同じような立場をとったことに象徴されるように、私は全く信用していないが、まあ自民党や公明党に入れるよりはマシだ。)
民主、社民、国民新、新党日本の連合の中で、社民のプレゼンスをできるだけ大きくする。
たとえば、近畿ブロックならば、35万票で1人当選というライン。で、社民党は前回62万票とっている。あと、8万票で2人当選だった。
九州も前回6万票あまりとっている。
また、中国、東海、北陸信越などは、20万から30万票をとっており、ちょっと勢いが付けば議席が取れる。
もちろん、それ以外も現有議席は死守すれば、5人は増やせる可能性がある。
10議席を超えれば、少しは存在感が出てくるというものだ。
共産党も少し増えれば10人以上になるので、明確な改憲反対党の重しは、キャスティングボートをにぎる可能性もある。
さらに、民主党をしばるための作戦2は、先に引用した民主党の憲法に関するマニフェストを、ほめ殺すことだ。
これをもって、改憲政党だとか危険だとか攻撃するのではなく、理念としてはスバラシイと持ち上げて、ただし、何をもって「真の立憲主義の確立」なのか、とことん言質をとっていく。
みずからのマニフェストで自縄自縛になってもらうのである。
最後の作戦3は、自民公明を圧倒する ということ。
野党連合でギリギリ過半数であれば、民主党内の凌雲会グループなどは、中には寝返る輩がいないともかぎらない。
現在凌雲会は衆議院が18名。ということは、民主+社民+国民新+日本新党で、自民+公明を、少なくとも20人以上引き離さなくては安全圏とは言えない。
それが、潔いかどうかは別にして、戦術として「政権交代」を成し遂げるためには、こうした人たちも含めて進めていくしかないだろう。だからこそ、作戦1,2ということだ。
とにもかくにも、一ヶ月後には選挙だ。
マスコミが騒いでいるとおり、すんなり政権交代というわけにはいかないだろう。
マスコミは、こんなくだらないゴマカシまでやってくる。
大手マス・メディアの信用を毀損する読売新聞の世論調査記事
もうひと山、ふた山、超えなきゃならない山やら崖やらがあるだろう。
その時に、ぜひとも「今回は政権交代」を思い出したい。
植草さんも言っているように、日本人は有史以来始めて、自らの意志による政権交代、すなわち市民革命を実現できるかもしれない、そういう歴史のポイントに立っている。
結果が少々良かろうが悪かろうが、この歴史の節目を自ら潰してはいけない。
すべてが良くなることはあり得ないが、しかし、半歩でも歴史を前に進めることはできる。
はじめて、できる。その経験を自分で捨てるようなことは、絶対にしたくない。
8月30日 選挙へ行こう。
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あのときの危機感は、参議院まで改憲派が3分の2を占めてしまったら、憲法9条は風前の灯火(ともしび)だ という思いだった。
結果的には、121改選数のうち、何らかの形で改憲反対を表明している人が41人当選した。
非改選を含めれば3分の2というラインは守れなかったが、改憲に反対する勢いにはなったし、改憲を争点にせずになし崩しで進めようという、当時の安倍晋三の目論見にも一石を投じることができたと思っている。
さて、今だ。
民主党が有利との下馬評が飛び交う中で、今回はどのように考えるべきなのか。
前に取り上げた藤村修議員は改憲派だという指摘もあった。なるほど、そういうことも充分考えられる。
そもそも、民主党は明らかに「護憲」ではない。はっきり言えば「改憲」を前提にしている。
過日発表されたマニフェストにも、よ~く目立つように書いてある。
現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます
これでも、民主党を応援すべきなのか・・・
さっきの文章には、その前文がある
「憲法とは公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。
これは、まったく正しいと思う。そのとおりだ。
この後に、
民主党は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法の原理は国民の確信によりしっかりと支えられていると考えており、これらを大切にしながら、真に立憲主義を確立し「憲法は国民とともにある」という観点から、現行憲法に足らざる点があれば補い、改めるべき点があれば改めることを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。
と続いているのである。
これは、原理原則で言うならば、間違いではない。問題は、「真に立憲主義を確立し」というのが、どういう状態のことを言うのか、だ。
少なくとも、選挙権のない法人が巨額献金で政治を動かしたり、検察庁が現政権の意を受けて国策捜査に乗り出したり、君が代を歌わないと教師がクビになるような状態は、立憲主義が確立されているとは言えないだろう。
「真に立憲主義が確立」された状態ならば、私も憲法について自由に議論することには賛成だ。
天皇にタダ飯を食わせる今の憲法が、金科玉条だとは思っていない。
しかし、その前提を忘れて、強大な国家権力の圧力の下で「自由」な論議をすることは、全く反対だ。
今の民主党は、どちらにも転がる可能性がある。
では、2年前のように、改憲に反対の候補に絞って応援するべきだろうか。
もちろん、自分の選挙区の民主党候補が改憲派で、社民党や共産党の候補に可能性があれば、それに賭けることは賢明な選択しかもしれない。
しかし、必ずしもそういうケースばかりではない。
今回の戦術は、やはり政権交代 なのだと思う。
思想でも綱領でも政策でも戦略でもなく、あくまで戦術、とりあえず今回の選挙の作戦として、政権交代を最優先させるべきだと思う。
その上で、民主党に「しばり」をかけるべきだ。
そう、あの橋下徹がやっている作戦だ。
橋下は、道州制を進めるために財界の意を呈して民主党に「しばり」をかけようとしているが、反対側からそれをするのである。
そのため作戦1は、比例区は社民党、どうしてもイヤなら共産党にする。
(共産党については、小沢氏秘書が不当逮捕されたときに、検察と同じような立場をとったことに象徴されるように、私は全く信用していないが、まあ自民党や公明党に入れるよりはマシだ。)
民主、社民、国民新、新党日本の連合の中で、社民のプレゼンスをできるだけ大きくする。
たとえば、近畿ブロックならば、35万票で1人当選というライン。で、社民党は前回62万票とっている。あと、8万票で2人当選だった。
九州も前回6万票あまりとっている。
また、中国、東海、北陸信越などは、20万から30万票をとっており、ちょっと勢いが付けば議席が取れる。
もちろん、それ以外も現有議席は死守すれば、5人は増やせる可能性がある。
10議席を超えれば、少しは存在感が出てくるというものだ。
共産党も少し増えれば10人以上になるので、明確な改憲反対党の重しは、キャスティングボートをにぎる可能性もある。
さらに、民主党をしばるための作戦2は、先に引用した民主党の憲法に関するマニフェストを、ほめ殺すことだ。
これをもって、改憲政党だとか危険だとか攻撃するのではなく、理念としてはスバラシイと持ち上げて、ただし、何をもって「真の立憲主義の確立」なのか、とことん言質をとっていく。
みずからのマニフェストで自縄自縛になってもらうのである。
最後の作戦3は、自民公明を圧倒する ということ。
野党連合でギリギリ過半数であれば、民主党内の凌雲会グループなどは、中には寝返る輩がいないともかぎらない。
現在凌雲会は衆議院が18名。ということは、民主+社民+国民新+日本新党で、自民+公明を、少なくとも20人以上引き離さなくては安全圏とは言えない。
それが、潔いかどうかは別にして、戦術として「政権交代」を成し遂げるためには、こうした人たちも含めて進めていくしかないだろう。だからこそ、作戦1,2ということだ。
とにもかくにも、一ヶ月後には選挙だ。
マスコミが騒いでいるとおり、すんなり政権交代というわけにはいかないだろう。
マスコミは、こんなくだらないゴマカシまでやってくる。
大手マス・メディアの信用を毀損する読売新聞の世論調査記事
もうひと山、ふた山、超えなきゃならない山やら崖やらがあるだろう。
その時に、ぜひとも「今回は政権交代」を思い出したい。
植草さんも言っているように、日本人は有史以来始めて、自らの意志による政権交代、すなわち市民革命を実現できるかもしれない、そういう歴史のポイントに立っている。
結果が少々良かろうが悪かろうが、この歴史の節目を自ら潰してはいけない。
すべてが良くなることはあり得ないが、しかし、半歩でも歴史を前に進めることはできる。
はじめて、できる。その経験を自分で捨てるようなことは、絶対にしたくない。
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