2009-05-20(Wed)

岡本太郎の貫いたもの

全国不登校新聞社 というのがあるらしい。その新聞は読んだことないが、その新聞社が出している「この人が語る『不登校』」という本を見つけた。その中に、岡本太郎の養女である岡本敏子さんのインタビューが載っている。

- 岡本太郎の貫いたものはなんだったのでしょうか

 とにかくゆずれないものがある。理屈じゃない。概念でもない。本能的にどうしてもゆずれないものが、何かある。(略)結局それは、自分の神聖感なのね。自分のなかに火が燃えているという。


これだけでも、なにかガーンと来た。さらに続く。

 だけど、それを守ろうとすると、弱くなってしまう。むしろ自分でそれを殺してやる.そう思ったときに、はじめて強くなって、社会に対して闘っていけるようになった。(略)あるとき、絶対自分を守ろうとしない、こうやったら死んじゃうというほうに賭けると決心したそうです。それが方法論だと言っていました。

す、すごい。すごすぎる。

 ノンと言い続けることが存在のアイデンティティーである。それが正しいか正しくないかじゃない。自分はそれをやると決めたわけです。無目的に。こうやったら上手くいくというほうには賭けない。
(略)あるときふっと弱気を出して、今回はちょっと有利なほうにと思ったりすると、もうそれで全部終わりなんだぞと、岡本太郎は言っていました。
 自分を大事にすると、逆に自分をどんどん弱くしちゃう。それで生きていたってなんの意味もないじゃないか、という。


これは、打算や損得を考えないということとは、違うレベルの話なのだろう。
よく人をが「輝いている」という言い方をする。オーラが出ているなんて言うこともある。
タダの見間違えも非常に多いけど、本当にスゴイと思う瞬間もある。スポーツが分かりやすい。例えば、トリノオリンピックのときの荒川静香。もっと古い話なら全盛期の王貞治。

岡本太郎にしてもプロスポーツ選手にしても、桁違いの人だから、と片付けてしまいたくない。とても及ばないけれども、この言葉を聞いたときの痛みと爽快感は、ここ1年くらいの憂鬱感を吹き飛ばしてくれた。楽しい虚しさというか、自分の足で立つ覚悟というか、そんな軽やかな気分を久しぶりに連れてきてくれた。


話は政治の世界にぶっ飛ぶ。私が小沢一郎にエールを送り続けたのは、もしかしたら、政権交代に執念を燃やす姿に、この手のすごさの片鱗を感じたからかもしれない。もちろん、打算も計算も手練手管も金勘定もしっかりあったはずだ。でも、そうしたことを手段としながらも、政権交代という、戦後政治のなかで誰ひとり真剣には考えなかったことに突き進む姿に、やはり感動したのだと思う。

それは、小沢一郎の人格がどうこうとか、政策がどうこうとか、思想がどうこうといったこととは別次元の話だ。これまで記事を書いたりしているときには、そんな風に思っていなかったけれども、今にして思えばそういうことだったような気がする。

残念ながら、どの政党を問わず、他の政治家にそんな迫力は感じない。
ま、弱気と保身に翻弄され尽くした私が偉そうに言うことではないけれど、せっかく読ませてもらった岡本太郎の言葉を、ちょっとでも自分の胸の中で響かせたい。




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小沢が危険視され、嫌われるのは、言ったことをホントにやっちゃう「政治家にあるまじき態度」と、さんざん世話になっておきながら、政策実現のためなら躊躇せずに袂を分かつ「公私のけじめ」のせいでしょう。

「強く生きる言葉」(岡本太郎著)より

しあわせなら手をたたこう

昔、"しあわせなら手を叩こう"という歌がはやったことがある。
若い連中がよくその歌を合唱して、"手を叩こう"ポンポンなんて、
にこにこやっているのを見ると猛烈に腹が立って、
ケトバシてやりたくなったもんだ。
ニブイ人間だけが「しあわせ」なんだ。

 *

アキラメロ

ぼくは口が裂けてもアキラメロなどとは言わない。

 *

ところで、聞こえてくる自公の「小沢院政」批判。散々「空爆」しておいて、「ゲリラ戦は卑怯だ!」と。
誰がまともに聴くのか?! 底なしのニブさである。いつだったか、こんな話を聞いた-中南米のゲリラのリーダーは常に人の先頭に立つ。その人間が倒れれば2番手が指揮をとる。そうして最後の1人まで闘い続けることになる-
どうかその心意気で民主党にも闘って頂きたいと思う。
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