2014-04-25(Fri)
「不沈空母」の今とセウォル号事件
今から31年前、当時首相だった中曽根康弘は、日本列島を「不沈空母にする」と言い放ちました。それも米国で。
これほどあの当時の日米安保を的確に表現している言葉はないでしょう。ある意味中曽根という人は正直な人です。
冷戦まっただ中の時代、日本列島を米軍の巨大な空母、絶対に沈まない空母とすることによって、その艦内にあっては豊かな暮らしを享受する。
ただし、通常の航空母艦と違うのは、その大きさだけではありませんでした。普通の船ならば、乗組員は全員何らかの分担をするのですが、不沈空母はごく一部の場所と人に負担を集中しました。
艦体の一番端っこ、面積にして0.6%、人数にして1%ちょっとの沖縄に、米軍の23%、米軍専用で見れば74%を押しつけました。(その当時はもっと割合は多かったはず)
国まるごと米軍の空母になっていたのですが、このように負担を一部に押しつけていたため、ほとんどの人は自分も乗組員になっていることに気がつきませんでした。
乗組員の特権として、経済発展を許されているということを自覚せずに、この世の春を謳歌していました。
しかし、不沈空母発言から10年も経たずにソ連は崩壊、冷戦は終わりを告げました。また、軍事技術も大幅に進化し、不沈空母などと言う大艦巨砲主義の亡霊は必要とされなくなりました。
米国も日本も、軍事のプロはとっくにそれに気がついているはずです。しかし、長年不沈空母として生きてきたことによって、その利権はすさまじいまでに根を張り枝を広げてしまいました。今さら不沈空母はいらない、なんて言われたら困る。だから、本当はいらない辺野古の基地を、「どうかお願いですから作らせて下さい。日本から出て行かないで下さい。」と袖にすがり、裾をつかんで離さないのです。
今、米国がほしいのは不沈空母などと言う亡霊ではありません。
カネです。現金、ゲンナマです。
国際的な金融資本に徹底的に食い物にされた米国は、本当にカネがないのです。
昨年10月には、オカネが無くてオバマは日本やアジアに来ることができませんでした。それほどにカネがない。
毎年6000億ドル、約60兆円にのぼる軍事費も、9年間で合計5000億ドル(年平均550億ドル)も削減しなければならないのです。世界第5位の日本の防衛予算が約5兆円ですが、毎年それ以上の額を削減するのですから、オバマは本当に必死なのです。
しかも、米国は世界中で何事かあれば介入しなければならない。
中東も東欧もアジアも、「おら知らね」と言うことは、米国を食い物にしている国際金融資本も、産軍複合体も、ユダヤロビーも絶対に許しません。それを言ったら、オバマは暗殺されるかもしれません。(これまでも米国大統領はバンバン暗殺されてきました。)
無い袖を振り回して世界中で戦争しなければならない。オバマが置かれている状況はそういうことです。
そんなオバマの立場に立って考えてみてください。目の前にGDP500兆円の「同盟国」がいるのです。
かつて不沈空母になる見返りに、経済発展を許してやった日本という属国があるのです。
彼は何を望むでしょうか。
彼の望みは、世界一美味しい寿司を食うことではありません。もちろん。
同様に、日本が不沈空母として漫然と基地を提供しつづけることでもありません。
何よりもかによりも、米国の軍事費を負担することが、オバマの望みです。カネを寄こせ、ということです。
そこで出てきたのが、TPPと集団的自衛権です。
いくら属国といえども、いくらなんでも現金をそのまま、毎年何十兆円も米国の国庫に振り込ませるのは無理がありますから、うまく吸い上げる方法を考えたのです。
いや実は、毎年6.5兆円ほど日本はわざわざ借金をして米国の国庫に振込み続けています。
いわゆる日本の国家予算といわれる一般会計とは別に、この10年間だけでも6400億ドル(65兆円)も米国債を買い増し、総額は1兆2000億ドルにのぼっています。
これは、米国の国債残高18.5兆ドルの6.5%。米国の国家予算の1/3、年間の財政赤字の全額を日本が負担しているということになります。
6.5兆円というのは、国民一人当たり5.5万円。4人家族なら22万円。これを毎年毎年米国に貢いでいるのです。
いちおう借金ですが、絶対に返ってこないのだから貢いでいるというのが正しい表現でしょう。
でも、それでも足りない!と言うのです。
全然足りないから、もっとドバッと出せというのです。
そこで考えついたのが、「貿易」と「防衛」という仮面です。
この仮面をかぶって日本国民にわからないように、ドバッとカネを放出させよう。
TPPの本当の狙いは、農産品の貿易ではありません。もちろん、それもありますが、本当の狙いは日本国内に溜め込んだマネーです。中でも、郵政マネー300兆円、公的年金マネー130兆円。
これらのカネを動かすためのルールを変えることで、桁の違うカネを振り込ませようとしています。
もう一つの仮面が、集団的自衛権です。動的防衛力という言い方をされることもあります。
要するに、米国の国防費を直接負担するのではなく、自衛隊が米軍の下請でタダ働きすることで、実質的な国防費の負担をしようということです。
自衛隊がまるまる米軍の指揮下におさまれば、それだけで米国の国防費は毎年5兆円助かる。つまり、強制削減額を、ほぼ達成できるのです。
間違ってはいけないのは、米国が望んでいるのは米軍の指揮下に入ることであって、日本が独自で軍拡することではないということです。現在安倍が進めているような、独自武装のベクトルは、米国は敏感に潰しにかかります。
あの戦争をやらかした日本が復活することは、米国にとっても悪夢です。太平洋戦争は半分は米国が仕掛けたものだったのかもしれませんが、まさかあんな狂気の戦闘行為をやるとは思っていなかったのでしょう。大日本帝国の復活に対しては、米国はいまだに警戒しています。
■□
ところで、ちょっと話がずれますが、安倍晋三はなんで今までの自民党のように、おとなしく何でもハイハイと米国の言うことを聞かないのでしょうか。
日本の右翼というのは、「日本に反省をさせない」ために米国がわざと生き残らせた代物です。ドイツのように徹底的に反省の形をとってしまったら、あとから脅しがききません。しかし、天皇をはじめとして多くの戦犯を不問に付し、戦前の勢力を生き残らせておけば、ちょっと言うことを聞かなくなったら「誰のおかげで娑婆でメシ喰ってるんだ?」と一喝すればすくみ上がるわけです。
巣鴨プリズンから解放された岸信介などは、まさにその典型だったのです。国粋右翼のようなポーズはとるけれども、いざとなると絶対に腰が砕けるように仕込まれていた。
ところが、その孫がどうも具合がおかしい。独自武装をしようとする。シリアの戦費を出せと言っても逃げ回る。ロシアと妙に仲良くなる。これまで通りの脅し文句にも開き直る。いくら止めろと言っても、韓国や中国とケンカを止めない。
韓国は日本と同じように米国の財布、ATMであり、北朝鮮と対峙する最前線です。
まして中国は、米国債を日本以上に買っています。米国曰く1.3兆ドル、中国曰く約2超ドルで、その差額は謎なのですが、とにかく世界1の米国のスポンサーであることは間違いありません。
そんな韓国や中国とケンカをするなんて、オバマからすれば許せるはずはありません。
では、安倍晋三はこれまで米国の属国だったことを悔いて、日本国民のために立ち上がったのでしょうか。まあ、そんな風に勘違いしている人もいるみたいですが、そんなもんじゃないことは言うまでもありません。
どうも、合理的には理解しがたいのが、安倍晋三の行動です。
この件は、また後でもう一度触れますが、合理的に理解しがたいという点だけ指摘しておきます。
さて、今回のオバマ来日でも、オバマはず~と「カネを出せ」と言い続けていたようです。世界一のスシも半分しか食べず、安倍の顔を見ている間中、カネを出せと要求し、ついに共同声明はオバマが韓国に向けて出発した後になって出るという始末です。
大したことは書いていませんが、オバマにすれば、こんなものを自分で発表する屈辱に耐えられなかったのでしょう。これまでの自民党の政治家のように、TPPに「ハイハイ!」と言わなかった安倍晋三に、怒りが煮えたぎっていることでしょう。
米国サイドの目線からは、この記事がわかりやすいです
焦点:座礁しかけるTPP交渉、譲歩生かせぬ首相手腕に疑問も
2014年 04月 24日 ロイター
なんとかTPPで合意して、米国に帰ったら議会を通して集金システムを稼働させる段取りだったオバマの作戦はうまくいきませんでした。このままでは、肝心の米国議会でTPPが承認されません。何のための交渉だったのか・・・
集団的自衛権も、安倍晋三は米軍の下請けではなく、独自武装で中国と対峙しようとしています。
どれだけ、「中国とは話し合いで」と言っても、日本のマスコミは「尖閣防衛義務を明言」とか書き立てます。そのカルトと見まがう様相に、オバマは寒気を覚えたことでしょう。
アジア歴訪を終えた後、米国からの対日圧力はまさに異次元のものになると思われます。
オバマが自分の目で、日本の今、不沈空母の今を「理解」したからです。
このまま放置すれば、確実に操舵不能になり、(米国が吸い上げるはずの)巨額の積み荷を乗せたまま航路を外れて暴走し、みすみす沈没してしまう、その近未来を確信したはずだからです。
■□
韓国の沿岸では、死者行方不明者が300人を超える悲惨な事故が起きています。
ニュース等で見る限りでは、事故と言うよりも起きるべくして起きた沈没のようです。船員は、何時沈んでもおかしくないとわかっていたから、迅速に避難できたのでしょう。自分たちだけ。
日本では多くの人が、このニュースを聞いて、悲惨さに心を痛めつつ、福島の原発事故を思いおこしていたようですが、私はそれ以上に、「不沈空母」のことを思い出したのです。
かつて不沈空母と言われたこの巨大な船は、今沈没の危機に瀕しています。
無理無体な経営方針、危険を分かりながら何も手を打たない無責任極まる船員。いざとなったら自分たちだけさっさと避難する姿は、移民を放置して満州から逃げ出したわが関東軍を彷彿とさせます。
また、犠牲者を冒涜するつもりではないのですが、教訓として書いておきたいこともあります。長い時間かけて沈没していく船の中で、アナウンスに頼らずに自分の考えで逃げた人がたぶん助かっているのです。もちろん、逃げようとして逃げ切れなかった人もたくさんいるでしょうが。
今、ゆっくりと沈没しつつある不沈空母の中で、テレビや新聞というアナウンスを信じて船室でじっとしている乗客乗員が1億人ほどいます。だれもが、なんとなくおかしいなとは感じています。このままだと危ないとも感じています。
それでも、じっと座っています。
あのセウォル号の経営者は、カルト教団の教組でもあったといいます。キリスト教福音浸礼会という、20年前には集団自殺(相互殺し合い)をやらかした教団の分派だとか。
モーニングバードで紀藤弁護士は、「船員もカルト信者だったことが、乗客の避難などの判断ができなかった原因ではないか」と言っていました。なるほど、それはとてもありそうなことです。
今の日本でも、なんでここまで無責任なことができるんだ??? と頭がしびれるほどのことが毎日のように起きています。原発の再稼働などは、その最たるものです。
その元締めが、安倍晋三です。
先ほども、安倍晋三の行動は、合理的には理解できない と書きました。
そう、それで思い出しました。 安倍晋三と、あのカルト教団との関係を。
統一協会と安倍晋三の深い縁は、多くのことが語られているので、ここでは繰り返しません。
ひとつだけ、当ブログの記事を引用しておきます。
安倍晋三に取り憑いているもの
統一協会はみずからの機関誌で オバマの政策にいかに危機感を持ち、安倍晋三に何を期待しているのか、赤裸々に語っています。その表紙はこれです
ちなみに、おまけでこっちも貼っておきます。8年前の記事ですが。
安倍晋三とカルト統一協会の驚くべき「美しい国」つながり
なにせシンゾーと統一協会は岸信介、安倍慎太郎、と代々続くズブズブの関係です。
ご母堂の安倍洋子さんは、統一協会ではないけど生きながらにして真駒内で洋子観音像になってしまうほど、宗教とはつながりが深い。
どうやら、おたがいに利用する関係から、本気の洗脳に進行してしまったのではないでしょうか。
平時ならば、統一協会への洗脳は、いくら自民党のなかでも異端あつかいでした。しかし、だれもが薄々沈没を予感するこの時代にあって、カルトな洗脳はファシズム待望とあいまって、主流になってしまったように見えます。
小泉&竹中以来の、露骨な米国の収奪に嫌気がさしていたところに、一見国粋右翼的な安倍晋三のカルトな姿が新鮮に映るのは、理解できなくはないのです。
しかしその実体は、かつてのようにCIAから潤沢な資金をもらって好き放題やっていた、不沈空母の時代に戻りたいよ~ とダダをこねているだけなのです。
これから数ヶ月、オバマは鬼のように取り立てにやってきます。借金している方が取り立てに来るのです。
いくらダダをこねてもどうにもならないとなれば、安倍晋三はカルト仲間とともに真っ先に逃げ出すでしょう。日本人は、あれっと気がついたときは船室の中に取り残されるのです。
その時、絶望の中から立ちのぼるのは、ファシズムの炎です。
このままいけば、必ずそうなります。
それを食い止めるためには、こうすれば船は沈まない。1%に負担を押しつけるのをやめて、船底で過酷な思いをしている若者が日の光を浴び、再び浮かび上がり舵を取りもどすために、こうすればいいんだ と道を提示することです。
それこそが、政治の役目です。
キレイゴトではファシズムはとまりません。
この現実を50代以上の私たちは真剣に受け止めなくてはなりません
「ウザい」「キモい」「米国の言いなり」…若者に毛嫌いされる団塊世代
2013年10月17日 日刊ゲンダイ
どうやって生きていけばいいのか、じっと座っているように見える日本人は、心底悩んでいます。
そこに、自分たちだけ生き残ろうと右往左往する船員の数だけそろえて「こっちに来い」と言っても、何の役にも立ちません。だれもそんな集団を信用しません。数あわせの野党再編は国民の選択肢にはなり得ません。
生活の党が民主党にすり寄っているのは、私は大反対です。
山本太郎さんが新党ひとりひとりを結成して、鹿児島2区の補選に「ありかわ美子」さんをたててたたかっていることに感激します。(党名はいまいちですが)
実践的に、やれること、やらねばならないこと、やらないよりやったほうが確実に前進することをやる、太郎さんの政治家としての感覚は、荒削りですが希望を感じます。
ありかわ美子候補も、予想以上に(失礼)すばらしい。カンパしかできないけれども、あと2日、全力で頑張っていただきたい。
公式HP→ http://ari-kawa.info/
カンパ→ http://www.hitori2.jp/donation/
生きる途、皆が生き抜く術を提示できる勢力が、国民の選択肢たり得ます。
それができなければ、ファシズムの暴走とその挙げ句の沈没が待ち受けています。
今日は少し長く書きすぎました。ここまで読まれたみなさん お疲れ様でした。
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これほどあの当時の日米安保を的確に表現している言葉はないでしょう。ある意味中曽根という人は正直な人です。
冷戦まっただ中の時代、日本列島を米軍の巨大な空母、絶対に沈まない空母とすることによって、その艦内にあっては豊かな暮らしを享受する。
ただし、通常の航空母艦と違うのは、その大きさだけではありませんでした。普通の船ならば、乗組員は全員何らかの分担をするのですが、不沈空母はごく一部の場所と人に負担を集中しました。
艦体の一番端っこ、面積にして0.6%、人数にして1%ちょっとの沖縄に、米軍の23%、米軍専用で見れば74%を押しつけました。(その当時はもっと割合は多かったはず)
国まるごと米軍の空母になっていたのですが、このように負担を一部に押しつけていたため、ほとんどの人は自分も乗組員になっていることに気がつきませんでした。
乗組員の特権として、経済発展を許されているということを自覚せずに、この世の春を謳歌していました。
しかし、不沈空母発言から10年も経たずにソ連は崩壊、冷戦は終わりを告げました。また、軍事技術も大幅に進化し、不沈空母などと言う大艦巨砲主義の亡霊は必要とされなくなりました。
米国も日本も、軍事のプロはとっくにそれに気がついているはずです。しかし、長年不沈空母として生きてきたことによって、その利権はすさまじいまでに根を張り枝を広げてしまいました。今さら不沈空母はいらない、なんて言われたら困る。だから、本当はいらない辺野古の基地を、「どうかお願いですから作らせて下さい。日本から出て行かないで下さい。」と袖にすがり、裾をつかんで離さないのです。
今、米国がほしいのは不沈空母などと言う亡霊ではありません。
カネです。現金、ゲンナマです。
国際的な金融資本に徹底的に食い物にされた米国は、本当にカネがないのです。
昨年10月には、オカネが無くてオバマは日本やアジアに来ることができませんでした。それほどにカネがない。
毎年6000億ドル、約60兆円にのぼる軍事費も、9年間で合計5000億ドル(年平均550億ドル)も削減しなければならないのです。世界第5位の日本の防衛予算が約5兆円ですが、毎年それ以上の額を削減するのですから、オバマは本当に必死なのです。
しかも、米国は世界中で何事かあれば介入しなければならない。
中東も東欧もアジアも、「おら知らね」と言うことは、米国を食い物にしている国際金融資本も、産軍複合体も、ユダヤロビーも絶対に許しません。それを言ったら、オバマは暗殺されるかもしれません。(これまでも米国大統領はバンバン暗殺されてきました。)
無い袖を振り回して世界中で戦争しなければならない。オバマが置かれている状況はそういうことです。
そんなオバマの立場に立って考えてみてください。目の前にGDP500兆円の「同盟国」がいるのです。
かつて不沈空母になる見返りに、経済発展を許してやった日本という属国があるのです。
彼は何を望むでしょうか。
彼の望みは、世界一美味しい寿司を食うことではありません。もちろん。
同様に、日本が不沈空母として漫然と基地を提供しつづけることでもありません。
何よりもかによりも、米国の軍事費を負担することが、オバマの望みです。カネを寄こせ、ということです。
そこで出てきたのが、TPPと集団的自衛権です。
いくら属国といえども、いくらなんでも現金をそのまま、毎年何十兆円も米国の国庫に振り込ませるのは無理がありますから、うまく吸い上げる方法を考えたのです。
いや実は、毎年6.5兆円ほど日本はわざわざ借金をして米国の国庫に振込み続けています。
いわゆる日本の国家予算といわれる一般会計とは別に、この10年間だけでも6400億ドル(65兆円)も米国債を買い増し、総額は1兆2000億ドルにのぼっています。
これは、米国の国債残高18.5兆ドルの6.5%。米国の国家予算の1/3、年間の財政赤字の全額を日本が負担しているということになります。
6.5兆円というのは、国民一人当たり5.5万円。4人家族なら22万円。これを毎年毎年米国に貢いでいるのです。
いちおう借金ですが、絶対に返ってこないのだから貢いでいるというのが正しい表現でしょう。
でも、それでも足りない!と言うのです。
全然足りないから、もっとドバッと出せというのです。
そこで考えついたのが、「貿易」と「防衛」という仮面です。
この仮面をかぶって日本国民にわからないように、ドバッとカネを放出させよう。
TPPの本当の狙いは、農産品の貿易ではありません。もちろん、それもありますが、本当の狙いは日本国内に溜め込んだマネーです。中でも、郵政マネー300兆円、公的年金マネー130兆円。
これらのカネを動かすためのルールを変えることで、桁の違うカネを振り込ませようとしています。
もう一つの仮面が、集団的自衛権です。動的防衛力という言い方をされることもあります。
要するに、米国の国防費を直接負担するのではなく、自衛隊が米軍の下請でタダ働きすることで、実質的な国防費の負担をしようということです。
自衛隊がまるまる米軍の指揮下におさまれば、それだけで米国の国防費は毎年5兆円助かる。つまり、強制削減額を、ほぼ達成できるのです。
間違ってはいけないのは、米国が望んでいるのは米軍の指揮下に入ることであって、日本が独自で軍拡することではないということです。現在安倍が進めているような、独自武装のベクトルは、米国は敏感に潰しにかかります。
あの戦争をやらかした日本が復活することは、米国にとっても悪夢です。太平洋戦争は半分は米国が仕掛けたものだったのかもしれませんが、まさかあんな狂気の戦闘行為をやるとは思っていなかったのでしょう。大日本帝国の復活に対しては、米国はいまだに警戒しています。
■□
ところで、ちょっと話がずれますが、安倍晋三はなんで今までの自民党のように、おとなしく何でもハイハイと米国の言うことを聞かないのでしょうか。
日本の右翼というのは、「日本に反省をさせない」ために米国がわざと生き残らせた代物です。ドイツのように徹底的に反省の形をとってしまったら、あとから脅しがききません。しかし、天皇をはじめとして多くの戦犯を不問に付し、戦前の勢力を生き残らせておけば、ちょっと言うことを聞かなくなったら「誰のおかげで娑婆でメシ喰ってるんだ?」と一喝すればすくみ上がるわけです。
巣鴨プリズンから解放された岸信介などは、まさにその典型だったのです。国粋右翼のようなポーズはとるけれども、いざとなると絶対に腰が砕けるように仕込まれていた。
ところが、その孫がどうも具合がおかしい。独自武装をしようとする。シリアの戦費を出せと言っても逃げ回る。ロシアと妙に仲良くなる。これまで通りの脅し文句にも開き直る。いくら止めろと言っても、韓国や中国とケンカを止めない。
韓国は日本と同じように米国の財布、ATMであり、北朝鮮と対峙する最前線です。
まして中国は、米国債を日本以上に買っています。米国曰く1.3兆ドル、中国曰く約2超ドルで、その差額は謎なのですが、とにかく世界1の米国のスポンサーであることは間違いありません。
そんな韓国や中国とケンカをするなんて、オバマからすれば許せるはずはありません。
では、安倍晋三はこれまで米国の属国だったことを悔いて、日本国民のために立ち上がったのでしょうか。まあ、そんな風に勘違いしている人もいるみたいですが、そんなもんじゃないことは言うまでもありません。
どうも、合理的には理解しがたいのが、安倍晋三の行動です。
この件は、また後でもう一度触れますが、合理的に理解しがたいという点だけ指摘しておきます。
さて、今回のオバマ来日でも、オバマはず~と「カネを出せ」と言い続けていたようです。世界一のスシも半分しか食べず、安倍の顔を見ている間中、カネを出せと要求し、ついに共同声明はオバマが韓国に向けて出発した後になって出るという始末です。
大したことは書いていませんが、オバマにすれば、こんなものを自分で発表する屈辱に耐えられなかったのでしょう。これまでの自民党の政治家のように、TPPに「ハイハイ!」と言わなかった安倍晋三に、怒りが煮えたぎっていることでしょう。
米国サイドの目線からは、この記事がわかりやすいです
焦点:座礁しかけるTPP交渉、譲歩生かせぬ首相手腕に疑問も
2014年 04月 24日 ロイター
なんとかTPPで合意して、米国に帰ったら議会を通して集金システムを稼働させる段取りだったオバマの作戦はうまくいきませんでした。このままでは、肝心の米国議会でTPPが承認されません。何のための交渉だったのか・・・
集団的自衛権も、安倍晋三は米軍の下請けではなく、独自武装で中国と対峙しようとしています。
どれだけ、「中国とは話し合いで」と言っても、日本のマスコミは「尖閣防衛義務を明言」とか書き立てます。そのカルトと見まがう様相に、オバマは寒気を覚えたことでしょう。
アジア歴訪を終えた後、米国からの対日圧力はまさに異次元のものになると思われます。
オバマが自分の目で、日本の今、不沈空母の今を「理解」したからです。
このまま放置すれば、確実に操舵不能になり、(米国が吸い上げるはずの)巨額の積み荷を乗せたまま航路を外れて暴走し、みすみす沈没してしまう、その近未来を確信したはずだからです。
■□
韓国の沿岸では、死者行方不明者が300人を超える悲惨な事故が起きています。
ニュース等で見る限りでは、事故と言うよりも起きるべくして起きた沈没のようです。船員は、何時沈んでもおかしくないとわかっていたから、迅速に避難できたのでしょう。自分たちだけ。
日本では多くの人が、このニュースを聞いて、悲惨さに心を痛めつつ、福島の原発事故を思いおこしていたようですが、私はそれ以上に、「不沈空母」のことを思い出したのです。
かつて不沈空母と言われたこの巨大な船は、今沈没の危機に瀕しています。
無理無体な経営方針、危険を分かりながら何も手を打たない無責任極まる船員。いざとなったら自分たちだけさっさと避難する姿は、移民を放置して満州から逃げ出したわが関東軍を彷彿とさせます。
また、犠牲者を冒涜するつもりではないのですが、教訓として書いておきたいこともあります。長い時間かけて沈没していく船の中で、アナウンスに頼らずに自分の考えで逃げた人がたぶん助かっているのです。もちろん、逃げようとして逃げ切れなかった人もたくさんいるでしょうが。
今、ゆっくりと沈没しつつある不沈空母の中で、テレビや新聞というアナウンスを信じて船室でじっとしている乗客乗員が1億人ほどいます。だれもが、なんとなくおかしいなとは感じています。このままだと危ないとも感じています。
それでも、じっと座っています。
あのセウォル号の経営者は、カルト教団の教組でもあったといいます。キリスト教福音浸礼会という、20年前には集団自殺(相互殺し合い)をやらかした教団の分派だとか。
モーニングバードで紀藤弁護士は、「船員もカルト信者だったことが、乗客の避難などの判断ができなかった原因ではないか」と言っていました。なるほど、それはとてもありそうなことです。
今の日本でも、なんでここまで無責任なことができるんだ??? と頭がしびれるほどのことが毎日のように起きています。原発の再稼働などは、その最たるものです。
その元締めが、安倍晋三です。
先ほども、安倍晋三の行動は、合理的には理解できない と書きました。
そう、それで思い出しました。 安倍晋三と、あのカルト教団との関係を。
統一協会と安倍晋三の深い縁は、多くのことが語られているので、ここでは繰り返しません。
ひとつだけ、当ブログの記事を引用しておきます。
安倍晋三に取り憑いているもの
統一協会はみずからの機関誌で オバマの政策にいかに危機感を持ち、安倍晋三に何を期待しているのか、赤裸々に語っています。その表紙はこれです
ちなみに、おまけでこっちも貼っておきます。8年前の記事ですが。
安倍晋三とカルト統一協会の驚くべき「美しい国」つながり
なにせシンゾーと統一協会は岸信介、安倍慎太郎、と代々続くズブズブの関係です。
ご母堂の安倍洋子さんは、統一協会ではないけど生きながらにして真駒内で洋子観音像になってしまうほど、宗教とはつながりが深い。
どうやら、おたがいに利用する関係から、本気の洗脳に進行してしまったのではないでしょうか。
平時ならば、統一協会への洗脳は、いくら自民党のなかでも異端あつかいでした。しかし、だれもが薄々沈没を予感するこの時代にあって、カルトな洗脳はファシズム待望とあいまって、主流になってしまったように見えます。
小泉&竹中以来の、露骨な米国の収奪に嫌気がさしていたところに、一見国粋右翼的な安倍晋三のカルトな姿が新鮮に映るのは、理解できなくはないのです。
しかしその実体は、かつてのようにCIAから潤沢な資金をもらって好き放題やっていた、不沈空母の時代に戻りたいよ~ とダダをこねているだけなのです。
これから数ヶ月、オバマは鬼のように取り立てにやってきます。借金している方が取り立てに来るのです。
いくらダダをこねてもどうにもならないとなれば、安倍晋三はカルト仲間とともに真っ先に逃げ出すでしょう。日本人は、あれっと気がついたときは船室の中に取り残されるのです。
その時、絶望の中から立ちのぼるのは、ファシズムの炎です。
このままいけば、必ずそうなります。
それを食い止めるためには、こうすれば船は沈まない。1%に負担を押しつけるのをやめて、船底で過酷な思いをしている若者が日の光を浴び、再び浮かび上がり舵を取りもどすために、こうすればいいんだ と道を提示することです。
それこそが、政治の役目です。
キレイゴトではファシズムはとまりません。
この現実を50代以上の私たちは真剣に受け止めなくてはなりません
「ウザい」「キモい」「米国の言いなり」…若者に毛嫌いされる団塊世代
2013年10月17日 日刊ゲンダイ
どうやって生きていけばいいのか、じっと座っているように見える日本人は、心底悩んでいます。
そこに、自分たちだけ生き残ろうと右往左往する船員の数だけそろえて「こっちに来い」と言っても、何の役にも立ちません。だれもそんな集団を信用しません。数あわせの野党再編は国民の選択肢にはなり得ません。
生活の党が民主党にすり寄っているのは、私は大反対です。
山本太郎さんが新党ひとりひとりを結成して、鹿児島2区の補選に「ありかわ美子」さんをたててたたかっていることに感激します。(党名はいまいちですが)
実践的に、やれること、やらねばならないこと、やらないよりやったほうが確実に前進することをやる、太郎さんの政治家としての感覚は、荒削りですが希望を感じます。
ありかわ美子候補も、予想以上に(失礼)すばらしい。カンパしかできないけれども、あと2日、全力で頑張っていただきたい。
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生きる途、皆が生き抜く術を提示できる勢力が、国民の選択肢たり得ます。
それができなければ、ファシズムの暴走とその挙げ句の沈没が待ち受けています。
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