2014-02-03(Mon)
【都知事選】まず冷静に立ち位置を確認しよう (完結しました)
天下分け目の都知事選 あと1週間になった。
今回の選挙では、これまでにない「ディズリあい」がネットをにぎわわせ、ついにはリアルの世界にもかなり影響をおよぼしているらしい。
どうせなら楽しい話題で盛り上がりたいものだが、残念ながらだれも楽しくないディズリとかいうものの様相を、私も目にすることとなった。
内容はともかく、その言葉の投げつけあいの不寛容さは、あの在特会のヘイトスピーチをすら彷彿とさせる、と言ったら言い過ぎだろうか?
そこで、完全に頭に血が上っている方々は仕方ないとして、なんだかなあ と少し辟易してきたみなさんに、こんな表を見てもらいたいと思って、ちょっと作ってみた。
横軸は、支持する候補と、統一するべきかどうか
縦軸は、「当選」を優先するか、「たたかい方」を優先するか
奥行きは、現状の分立のままで自分の支持する候補が勝てるか
どれが良いとか悪いとかではなく、できるだけ客観的に自分の立ち位置を確認することができると思う。
そして、どうして自分はそう考えるのか、その根拠は何か、落ち着いて考えるきっかけになるのではないだろうか。
ちなみに、私は赤く囲ったボックスになる。
いかに善戦しても負けたらほんとにヤバイ、と思う。
よほど田母神さんに自公の組織票が流れない限り、分立すれば確実に共倒れだと思う。
だから、総得票では有利な細川に一本化するべきだと思う。
そう思う背景には、いろんな理由や考え方がある。それはそれで書きたいのだが、今日は体力的にきついので、この表についてにだけにしておく。
ネット上では多く見かける宇都宮支持の人々は、青で囲ったボックスになるようだ。
勝ち負けよりも今後につながるたたかい方が重要。
本音で勝てると思っている人はたぶんいない。
細川さんとは政策が違うから一本化は間違い。
これはこれで、私の考えとは違うけれども、ひとつの合理的な考え方だと思う。
なぜなら、今回負けても次のたたかいにつながれば良い、ということならば、無理な妥協をして運動の中心がガタガタになるようなたたかい方をするべきではないし、政策の周知と知名度をあげることを実質的な目標にすることは、決して間違いではないからだ。
逆に言うと、私の立っている赤ボックスと、多くの宇都宮支持者の青ボックスの決定的な違いは、勝たないと本気でヤバいのかどうか その認識の違い ということになる。
■■
私が「勝たないとヤバい」と感じているのは、はっきり言って原発ではない。原発ももちろんあるけど、それ以上に心配なのは、ファシズムに火がついてしまうことだ。
ファシズムというのは安倍晋三のことではない。まして田母神のことでもない。
彼らは火付け役をするだけであり、ファシズムの本体は、不満を鬱屈させた一般の民衆の中にある。
草むらにまかれた灯油のように、一気に火がつき、日本中を覆い尽くす。そうなったら、火と点けた安倍晋三にももうコントロールはできない。
一見普通の草むらに見える光景の中に、不気味な灯油が揮発する匂いがプンプンするのである。
この都議選で反安倍を掲げる勢力が惨敗すると、爆発的に引火する。そう思えてならないのだ。
安倍晋三を支持している者たちは、安倍政権の政策などまったく支持していない。
政策は反対だけど、政権は支持する これがあらゆる世論調査の結果だ。
ただひたすら、火をつけてくれるのを待ち望んでいるのだ。
皮肉なことに、今回、細川支持者VS宇都宮支持者で繰り広げられている「ディズリ」の不寛容な感情の爆発もまた、ファシズムの予兆に一役買っている。私はそういう思いで見ている。
罵倒合戦は、コアな支持者の見解を翻すことはできないし、ソフトな支持者は嫌気がさして投票率を下げる効果しかない。そんなことは、ちょと理屈で考えればわかることなのに、湧き上がる感情を抑えきれないのだろう。
このような、自分の目指す方向と自分の行動があきらかに矛盾するのに、それを抑えることができない。
自分と違う意見を、「俺とは違うけどお前はそう考えるんだな」と受け止めることが全くできない。
こういう状態が、例外ではなく一般的にひろく起きるようになっている。
この心性は、当面の内容は正反対ではあるが、ファシズムの下地とまったく同根であり、おそらくは容易に転換する可能性が高い。
こう書くとまた、そんなことあるか!!!という罵声が響き渡りそうだが・・・
■■
そんなわけで、私は、負けても次につなげばいいさ とはこの都知事選については思えない。
では、今のままで勝つ見込みは全くないのか、ということについて。
知事選というのは、全都が1選挙区で、当選者が一人しかいない。
つまり、得票率がそのまま結果につながるのである。
東京選挙区での自公の得票率は、2012年総選挙35% 2013年参議院44% だ。
ということは、自公以外を一本化できれば、勝つ可能性は十分にあるということ。
逆に、票がほぼ均等に割れれば絶望的 ということ。
これは客観的な前提だ。
そのうえで、宇都宮氏がなぜ勝てないか。
それは前回の知事選が語りつくしている。
良い悪いは別にして、中間層は共産党候補には入れない ということ。
共産党に入れるくらいな猪瀬さんに入れるわ、という結果があの信じられない大差になっている。
宇都宮氏が共産党候補というわけではなかったのは確かだが、一般都民はそんな厳密な判断はしない。
一昔前に比べれば少々ましになったとはいえ、共産党という文字が見えれば、ああ共産党ね と思ってしまうのだ。
これは私も共産党に同情するが、とにかく今はそういう現状を前提にして話をするしかない。
まして今回は、宇都宮氏は広い支援を確保する前に共産党推薦で出馬表明してしまった。
もうこの段階で、宇都宮氏は共産党と社民党の基礎票プラスアルファで、100万票内外しか取れないということが約束されてしまった。
普段は共産党に入れない脱原発派が、今回はと宇都宮氏に入れたとしても、参議院の時の数字を見れば160万程度にしかならない。
では、細川氏は当選できるのか。
現状ではかなり厳しいだろう。
細川陣営の目論見は、残念ながらかなり外れている。
小泉効果が、思ったほどではなかったということだ。
まず、社民党をひっくり返すことができなかった。
党首の意向より、福島夫妻の決断のほうが強かった。
次に、進次郎を動かすことができなかった。
自民党をかなり割るつもりだったのに、そこまでできなかった。
マスメディア対策も思い通りにはならなかった。
コイズミが出ていけば、まさかテレビは無視できないと踏んだのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。
原子力利権は、完全にマスメディアを掌握している。
とどめは、旧来型の空中戦を主力にしているということだ。
地上戦を展開する部隊はなく、かといってネット対策はおざなりだ。
必然的に、街頭演説と有名人推薦 という旧来の手法に頼ることになる。
しかし、空中戦は前哨戦としては有効でも、それだけでは票にならないということは、選挙を知っている人には常識のはずだ。
アルタ前に1万人を集める元首相2人は、残念ながらその派手な印象ほどの圧倒的な票をあつめることはできない。
それでも、細川氏の場合は、共産党も自民党もいやだという漠然とした層=最大多数の無党派が投票する可能性があるので、
うわあああ だめだ眠い!!!!!!!!!!!!!!!!
続きはあした
(一日経過)
ということで、気を取り直して続きを
細川氏の場合は、共産党も自民党もいやだという漠然とした層=最大多数の無党派が投票する可能性があるので、今後の展開如何では、まったく希望がないわけではない。
今日日の銀座での街頭の様子をレポートしておられる下記のツイートを見ると、いくら空中戦だけでは票にならないとは言うものの、ただ事ではない。
細川さんの公式ツイキャスもよ~~やく始まり、この銀座の様子のライブ視聴者はなんと15000になったらしい。始めた初日で。やはり、ネットを見るような意識層からの注目度はものすごい。
@morihirotokyo2
http://twitcasting.tv/morihirotokyo2
また、ほんとかどうかは全くあてにならないが、創価学会が舛添を見捨てたのではないかというような報道もある。なにせ創価学会のことであるから、信用はしていないが、もし創価票の半分30万でも切り崩せればかなり大きい。
公明党のほうは、例年に増して期日前に動員して舛添に入れさせているらしく、その焦り具合から見ても案外、学会と公明党とで意見が割れているのかもしれない。
■■
こんな情勢であるから、とにかく今は少しでも可能性のある細川さんに一本化して、安倍にノーをつきつける窓を少しでも大きくしていくしかないと、やはり私は思う。
それは無理だ、という言葉は何百回も聞いたし、そんなことはわかりすぎるほどわかっている。
それでも、それがベターな道ならば、そう言い続けるべきだ。
なんで宇都宮さんじゃなくて細川さんで一本化なんだ!!!という猛抗議の声が聞こえてきそうだが、簡単だ。宇都宮さんになったら、情けないけれども細川支持の半分は舛添に流れてしまうからだ。
良いとか悪いとかじゃなくて、そういう現実だ。そういう票を取り込まなくては、勝てないということは、前回の選挙で誰よりも宇都宮さんが知っているはずだ。
候補者は二人とも最初から一本化は望んでいないのも事実だ。
だからこそ、それじゃあだめだと言いたい。
少なくとも、細川さんで一本化すべきだと訴えることで、反安倍の情勢には何も不利益は生じない。
もし実現すれば当選の確立が各段にあがるし、共産党も「やるときゃやるな」と株が上がる。中には「やっぱり政治は汚い」と言って、場外に退場してしまうナイーブな人もいるだろうが、多くの無党派層には「本気」が伝わるはずだ。
一本化が結局無理だったとしても、現状維持なのであって特に不利益はない。
むしろ、細川サイドが熱心に一本化を訴えることで、いくらかでも無党派層に「本気」を見せることができる。
漠然とした投票行動をとる人たちを「B層」と呼ぶ人がいるが、そんな侮り方をしてよく選挙を語れるものだ。有権者はかなり地に足が着いている。死に票になるのは嫌だから、当選する気のない候補には入れない。
現状の脱原発分立状態は、無党派から見れば「趣味」か「思想」の問題に見えており、政策や都政の問題には見えないだろう。なぜなら、誰が見ても自ら当選の可能性を閉ざしているからだ。口さがなく言わせてもらえば「あのひとたち、馬鹿じゃないの」というのが、なんとなく脱原発な人たちの世間相場の見方じゃないのだろうか。
マック赤坂さんがスマイルセラピーで世界平和を実現しようとしているのと、細川さんや宇都宮さんが脱原発を実現しようとしていることは、本質的に変わらないものに見える、ということだ。
いずれも、本人はいたって本気だけれども、当選しない本気は有権者から見れば、候補者の趣味なのだ。
だから、せめて主張するだけでも「一本化」を主張することは、「ああ本気だったんだ」と有権者に認めてもらうことにつながる可能性がある。これは、絶対に必要。あと一週間。ここにかけるべきだと私は思う。
細川さん本人は、会見など聞いているとそのへんがわかっていないような気がする。あたら首相経験者なだけに、あらかじめ有力候補者として有権者に認知されているだろう、という認識の甘さがあるようだ。
そのかわり、他候補のネガティブキャンペーンを一切しないという点では、候補と選対は徹底している。これは大したものだと思う。この正統派の構えを崩さずに、あくまでも「一本化」を主張することが、有権者の信頼になる。
共産党推薦になるわけではないから、保守派のなかの共産党嫌いが逃げだすこともない。
■■
孫崎享さんのように、投票直前の世論調査で有利な方に投票を集中しよう、という呼びかけもある。
しかし、マスメディアが政府広報であることを忘れてはいけない。
そんなことはすべてお見通しだ! とばかりに、全社一斉におこなった世論調査で、全社とも細川さん、宇都宮さんが横並びで舛添を追っている、という報道だ。
もし今後、細川さんに情勢が傾けば「宇都宮有利」と書くだろうし、宇都宮さんに勢いが着けば「細川有利」」と書くだろう。敵は、きれいに真っ二つにしたがっているのだから。
敵の広報誌に惑わされず、また、宇都宮陣営や彼の支持者に対するネガキャンや「仕返し」を完全に封印し、ただひたすら「政策実現のために細川に一本化を」を訴えるべきだ。
ヨニなんとかいうような、いくら中身は合理的でも、何様?と人格を疑われるような言い方は言葉は、本気で支援して当選してほしいと思う人は、唇噛んで我慢しなくては。
同時に、細川さんから宇都宮さんには「この15年のブランクの時代について、ぜひ教えを請いたい」と礼を尽くすべきだ。
あきらかに細川さんは時代認識が追いついていない面がある。
安部芳裕さんがIWJに投稿していた記事が、そのあたりをよく説明していたのだが、なにやらリンクがおかしくなっているので、少し長くなるが主要な部分を引用させていただく。
(【IWJブログ・特別寄稿】国家戦略特区と都知事選 (安部芳裕 プロジェクト99%代表)より)
細川氏は、小泉氏が応援についたことで、さまざまな憶測が駆け巡っている。しかし、福島第一原発の事故を機に、原発を推進してきた過去の自分を反省し、改心したと素直に信じたい。引退して悠々自適な生活を送っていたのに、わざわざ魑魅魍魎の跋扈する政界に戻ってきて苦労する理由が見当たらない。
TPP交渉参加や集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法制定に対しても批判的というニュースを見て少し安心した。
※細川氏、安倍政権への懸念強調 都知事選で政見(共同通信、2014年1月18日)
ただ、国家戦略特区には賛成という立場を取ることを知り、不思議に思った。TPPに反対なら国家戦略特区にも反対でなければ整合性が取れない。
小泉氏が応援していることで、新自由主義者というレッテルも一部で貼られているようである。
しかし、細川氏自身が「小泉さんとは脱原発の一点のみで共闘。他は話しても合わない」と言っているように、全面的に影響を受けているわけでもなさそうだ。
もう20年以上も前の話なので、若い人にはわからない話かもしれないが、当時の自民党は既得権益との癒着が酷く(現在もだが)、既得権益に囚われず、腐敗・金権政治の打倒を掲げて旗揚げしたのが日本新党である。地方主権・生活主権を標榜してリベラルで穏健な保守政党に国民の期待と関心が集まり、55年体制の崩壊をもたらした「新党ブーム」の火付け役となった。
20年前に政界の第一線を退き、隠居生活を送っていた細川氏の感覚は、その頃のままなのではないか。当時はまだグローバルな資本の横暴は問題になっていなかった。
規制改革が必ずしもすべて悪というわけではない。例えば東電の地域独占体制を改革して、電力を自由化することは国民の利益となる。細川氏は、特区を活用して同一労働同一賃金を打ち出した。これは国際労働機関(ILO)では原則であり、基本的人権と捉えられている。男・女や正規・非正規、人種などで差別は禁止となるので、一概に悪いとは言えない。ただ、かつては高い方へ同一化した賃金が、グルーバル化が進んだ現在では安い方へ同一化する懸念がある。
細川氏に心配な点があるとすれば、この時代感覚のズレである。1%vs99%の対立に象徴されるようなグローバリゼーションや新自由主義の問題に対して疎いのではないだろうか。しかし、それも致し方ない気がする。そもそも政治の世界に戻るになど更々なかったのだから。このままでは日本が滅びる。その危機感が細川氏を突き動かしているのだろう。
(引用以上)
この細川さんのスキを、あと一週間、敵は徹底的についてくる。
さっそく「細川候補は、経済政策や領土問題の面で、田母神候補の方がオトモダチ」などという印象操作を図解入りでしてくれる大学教授もでてきた。
細川さんの会見をチェックしていれば、まったくの間違いだということは大学教授でなくともわかるはずであり、明らかに意図的な印象操作。もう何がなんでも一本化させない、という敵の意図の表れだ。
だからこそそれを逆手にとって、「宇都宮氏に教えを請う」ということが重要だ。
政策的にも、イメージ的にも、敵の印象操作を打ち破るためにも。
候補者本人にも、ぜひともそれをお願いし、そして、私たち支持者が、絶対に宇都宮さんに対するネガキャンに手を染めないことを切に望みたい。
それは、自分と同じ考えの人どうしの自己満足と、迷っている人をあちらへと押しやる効果しかない。もとからの支持者の拍手はあるかもしれないが、新たな票の獲得にはならない。
どうか冷静に、自分の立場を確認し、他人の避難ではなく、自分の説明をしていただきたい。
あと一週間。
ファシズムの爆燃を食い止めることができるかどうか。大きな審判が下る。
今回の選挙では、これまでにない「ディズリあい」がネットをにぎわわせ、ついにはリアルの世界にもかなり影響をおよぼしているらしい。
どうせなら楽しい話題で盛り上がりたいものだが、残念ながらだれも楽しくないディズリとかいうものの様相を、私も目にすることとなった。
内容はともかく、その言葉の投げつけあいの不寛容さは、あの在特会のヘイトスピーチをすら彷彿とさせる、と言ったら言い過ぎだろうか?
そこで、完全に頭に血が上っている方々は仕方ないとして、なんだかなあ と少し辟易してきたみなさんに、こんな表を見てもらいたいと思って、ちょっと作ってみた。
横軸は、支持する候補と、統一するべきかどうか
縦軸は、「当選」を優先するか、「たたかい方」を優先するか
奥行きは、現状の分立のままで自分の支持する候補が勝てるか
どれが良いとか悪いとかではなく、できるだけ客観的に自分の立ち位置を確認することができると思う。
そして、どうして自分はそう考えるのか、その根拠は何か、落ち着いて考えるきっかけになるのではないだろうか。
ちなみに、私は赤く囲ったボックスになる。
いかに善戦しても負けたらほんとにヤバイ、と思う。
よほど田母神さんに自公の組織票が流れない限り、分立すれば確実に共倒れだと思う。
だから、総得票では有利な細川に一本化するべきだと思う。
そう思う背景には、いろんな理由や考え方がある。それはそれで書きたいのだが、今日は体力的にきついので、この表についてにだけにしておく。
ネット上では多く見かける宇都宮支持の人々は、青で囲ったボックスになるようだ。
勝ち負けよりも今後につながるたたかい方が重要。
本音で勝てると思っている人はたぶんいない。
細川さんとは政策が違うから一本化は間違い。
これはこれで、私の考えとは違うけれども、ひとつの合理的な考え方だと思う。
なぜなら、今回負けても次のたたかいにつながれば良い、ということならば、無理な妥協をして運動の中心がガタガタになるようなたたかい方をするべきではないし、政策の周知と知名度をあげることを実質的な目標にすることは、決して間違いではないからだ。
逆に言うと、私の立っている赤ボックスと、多くの宇都宮支持者の青ボックスの決定的な違いは、勝たないと本気でヤバいのかどうか その認識の違い ということになる。
■■
私が「勝たないとヤバい」と感じているのは、はっきり言って原発ではない。原発ももちろんあるけど、それ以上に心配なのは、ファシズムに火がついてしまうことだ。
ファシズムというのは安倍晋三のことではない。まして田母神のことでもない。
彼らは火付け役をするだけであり、ファシズムの本体は、不満を鬱屈させた一般の民衆の中にある。
草むらにまかれた灯油のように、一気に火がつき、日本中を覆い尽くす。そうなったら、火と点けた安倍晋三にももうコントロールはできない。
一見普通の草むらに見える光景の中に、不気味な灯油が揮発する匂いがプンプンするのである。
この都議選で反安倍を掲げる勢力が惨敗すると、爆発的に引火する。そう思えてならないのだ。
安倍晋三を支持している者たちは、安倍政権の政策などまったく支持していない。
政策は反対だけど、政権は支持する これがあらゆる世論調査の結果だ。
ただひたすら、火をつけてくれるのを待ち望んでいるのだ。
皮肉なことに、今回、細川支持者VS宇都宮支持者で繰り広げられている「ディズリ」の不寛容な感情の爆発もまた、ファシズムの予兆に一役買っている。私はそういう思いで見ている。
罵倒合戦は、コアな支持者の見解を翻すことはできないし、ソフトな支持者は嫌気がさして投票率を下げる効果しかない。そんなことは、ちょと理屈で考えればわかることなのに、湧き上がる感情を抑えきれないのだろう。
このような、自分の目指す方向と自分の行動があきらかに矛盾するのに、それを抑えることができない。
自分と違う意見を、「俺とは違うけどお前はそう考えるんだな」と受け止めることが全くできない。
こういう状態が、例外ではなく一般的にひろく起きるようになっている。
この心性は、当面の内容は正反対ではあるが、ファシズムの下地とまったく同根であり、おそらくは容易に転換する可能性が高い。
こう書くとまた、そんなことあるか!!!という罵声が響き渡りそうだが・・・
■■
そんなわけで、私は、負けても次につなげばいいさ とはこの都知事選については思えない。
では、今のままで勝つ見込みは全くないのか、ということについて。
知事選というのは、全都が1選挙区で、当選者が一人しかいない。
つまり、得票率がそのまま結果につながるのである。
東京選挙区での自公の得票率は、2012年総選挙35% 2013年参議院44% だ。
ということは、自公以外を一本化できれば、勝つ可能性は十分にあるということ。
逆に、票がほぼ均等に割れれば絶望的 ということ。
これは客観的な前提だ。
そのうえで、宇都宮氏がなぜ勝てないか。
それは前回の知事選が語りつくしている。
良い悪いは別にして、中間層は共産党候補には入れない ということ。
共産党に入れるくらいな猪瀬さんに入れるわ、という結果があの信じられない大差になっている。
宇都宮氏が共産党候補というわけではなかったのは確かだが、一般都民はそんな厳密な判断はしない。
一昔前に比べれば少々ましになったとはいえ、共産党という文字が見えれば、ああ共産党ね と思ってしまうのだ。
これは私も共産党に同情するが、とにかく今はそういう現状を前提にして話をするしかない。
まして今回は、宇都宮氏は広い支援を確保する前に共産党推薦で出馬表明してしまった。
もうこの段階で、宇都宮氏は共産党と社民党の基礎票プラスアルファで、100万票内外しか取れないということが約束されてしまった。
普段は共産党に入れない脱原発派が、今回はと宇都宮氏に入れたとしても、参議院の時の数字を見れば160万程度にしかならない。
では、細川氏は当選できるのか。
現状ではかなり厳しいだろう。
細川陣営の目論見は、残念ながらかなり外れている。
小泉効果が、思ったほどではなかったということだ。
まず、社民党をひっくり返すことができなかった。
党首の意向より、福島夫妻の決断のほうが強かった。
次に、進次郎を動かすことができなかった。
自民党をかなり割るつもりだったのに、そこまでできなかった。
マスメディア対策も思い通りにはならなかった。
コイズミが出ていけば、まさかテレビは無視できないと踏んだのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。
原子力利権は、完全にマスメディアを掌握している。
とどめは、旧来型の空中戦を主力にしているということだ。
地上戦を展開する部隊はなく、かといってネット対策はおざなりだ。
必然的に、街頭演説と有名人推薦 という旧来の手法に頼ることになる。
しかし、空中戦は前哨戦としては有効でも、それだけでは票にならないということは、選挙を知っている人には常識のはずだ。
アルタ前に1万人を集める元首相2人は、残念ながらその派手な印象ほどの圧倒的な票をあつめることはできない。
それでも、細川氏の場合は、共産党も自民党もいやだという漠然とした層=最大多数の無党派が投票する可能性があるので、
うわあああ だめだ眠い!!!!!!!!!!!!!!!!
続きはあした
(一日経過)
ということで、気を取り直して続きを
細川氏の場合は、共産党も自民党もいやだという漠然とした層=最大多数の無党派が投票する可能性があるので、今後の展開如何では、まったく希望がないわけではない。
今日日の銀座での街頭の様子をレポートしておられる下記のツイートを見ると、いくら空中戦だけでは票にならないとは言うものの、ただ事ではない。
銀座での細川護煕候補と小泉元総理の街頭演説。 ものすごい数の皆様が一時間以上も立ち続け、真剣に聞かれています。会場では皆さんの心が一つになったと痛感。逆転に向け、大きなうねりとなる1週間になるよう、最後まで頑張りましょう! pic.twitter.com/WzvXxcels9
— 西岡真一郎 (@s_nishioka) 2014, 2月 2
細川さんの公式ツイキャスもよ~~やく始まり、この銀座の様子のライブ視聴者はなんと15000になったらしい。始めた初日で。やはり、ネットを見るような意識層からの注目度はものすごい。
@morihirotokyo2
http://twitcasting.tv/morihirotokyo2
また、ほんとかどうかは全くあてにならないが、創価学会が舛添を見捨てたのではないかというような報道もある。なにせ創価学会のことであるから、信用はしていないが、もし創価票の半分30万でも切り崩せればかなり大きい。
公明党のほうは、例年に増して期日前に動員して舛添に入れさせているらしく、その焦り具合から見ても案外、学会と公明党とで意見が割れているのかもしれない。
■■
こんな情勢であるから、とにかく今は少しでも可能性のある細川さんに一本化して、安倍にノーをつきつける窓を少しでも大きくしていくしかないと、やはり私は思う。
それは無理だ、という言葉は何百回も聞いたし、そんなことはわかりすぎるほどわかっている。
それでも、それがベターな道ならば、そう言い続けるべきだ。
なんで宇都宮さんじゃなくて細川さんで一本化なんだ!!!という猛抗議の声が聞こえてきそうだが、簡単だ。宇都宮さんになったら、情けないけれども細川支持の半分は舛添に流れてしまうからだ。
良いとか悪いとかじゃなくて、そういう現実だ。そういう票を取り込まなくては、勝てないということは、前回の選挙で誰よりも宇都宮さんが知っているはずだ。
候補者は二人とも最初から一本化は望んでいないのも事実だ。
だからこそ、それじゃあだめだと言いたい。
少なくとも、細川さんで一本化すべきだと訴えることで、反安倍の情勢には何も不利益は生じない。
もし実現すれば当選の確立が各段にあがるし、共産党も「やるときゃやるな」と株が上がる。中には「やっぱり政治は汚い」と言って、場外に退場してしまうナイーブな人もいるだろうが、多くの無党派層には「本気」が伝わるはずだ。
一本化が結局無理だったとしても、現状維持なのであって特に不利益はない。
むしろ、細川サイドが熱心に一本化を訴えることで、いくらかでも無党派層に「本気」を見せることができる。
漠然とした投票行動をとる人たちを「B層」と呼ぶ人がいるが、そんな侮り方をしてよく選挙を語れるものだ。有権者はかなり地に足が着いている。死に票になるのは嫌だから、当選する気のない候補には入れない。
現状の脱原発分立状態は、無党派から見れば「趣味」か「思想」の問題に見えており、政策や都政の問題には見えないだろう。なぜなら、誰が見ても自ら当選の可能性を閉ざしているからだ。口さがなく言わせてもらえば「あのひとたち、馬鹿じゃないの」というのが、なんとなく脱原発な人たちの世間相場の見方じゃないのだろうか。
マック赤坂さんがスマイルセラピーで世界平和を実現しようとしているのと、細川さんや宇都宮さんが脱原発を実現しようとしていることは、本質的に変わらないものに見える、ということだ。
いずれも、本人はいたって本気だけれども、当選しない本気は有権者から見れば、候補者の趣味なのだ。
だから、せめて主張するだけでも「一本化」を主張することは、「ああ本気だったんだ」と有権者に認めてもらうことにつながる可能性がある。これは、絶対に必要。あと一週間。ここにかけるべきだと私は思う。
細川さん本人は、会見など聞いているとそのへんがわかっていないような気がする。あたら首相経験者なだけに、あらかじめ有力候補者として有権者に認知されているだろう、という認識の甘さがあるようだ。
そのかわり、他候補のネガティブキャンペーンを一切しないという点では、候補と選対は徹底している。これは大したものだと思う。この正統派の構えを崩さずに、あくまでも「一本化」を主張することが、有権者の信頼になる。
共産党推薦になるわけではないから、保守派のなかの共産党嫌いが逃げだすこともない。
■■
孫崎享さんのように、投票直前の世論調査で有利な方に投票を集中しよう、という呼びかけもある。
しかし、マスメディアが政府広報であることを忘れてはいけない。
そんなことはすべてお見通しだ! とばかりに、全社一斉におこなった世論調査で、全社とも細川さん、宇都宮さんが横並びで舛添を追っている、という報道だ。
もし今後、細川さんに情勢が傾けば「宇都宮有利」と書くだろうし、宇都宮さんに勢いが着けば「細川有利」」と書くだろう。敵は、きれいに真っ二つにしたがっているのだから。
敵の広報誌に惑わされず、また、宇都宮陣営や彼の支持者に対するネガキャンや「仕返し」を完全に封印し、ただひたすら「政策実現のために細川に一本化を」を訴えるべきだ。
ヨニなんとかいうような、いくら中身は合理的でも、何様?と人格を疑われるような言い方は言葉は、本気で支援して当選してほしいと思う人は、唇噛んで我慢しなくては。
同時に、細川さんから宇都宮さんには「この15年のブランクの時代について、ぜひ教えを請いたい」と礼を尽くすべきだ。
あきらかに細川さんは時代認識が追いついていない面がある。
安部芳裕さんがIWJに投稿していた記事が、そのあたりをよく説明していたのだが、なにやらリンクがおかしくなっているので、少し長くなるが主要な部分を引用させていただく。
(【IWJブログ・特別寄稿】国家戦略特区と都知事選 (安部芳裕 プロジェクト99%代表)より)
細川氏は、小泉氏が応援についたことで、さまざまな憶測が駆け巡っている。しかし、福島第一原発の事故を機に、原発を推進してきた過去の自分を反省し、改心したと素直に信じたい。引退して悠々自適な生活を送っていたのに、わざわざ魑魅魍魎の跋扈する政界に戻ってきて苦労する理由が見当たらない。
TPP交渉参加や集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法制定に対しても批判的というニュースを見て少し安心した。
※細川氏、安倍政権への懸念強調 都知事選で政見(共同通信、2014年1月18日)
ただ、国家戦略特区には賛成という立場を取ることを知り、不思議に思った。TPPに反対なら国家戦略特区にも反対でなければ整合性が取れない。
小泉氏が応援していることで、新自由主義者というレッテルも一部で貼られているようである。
しかし、細川氏自身が「小泉さんとは脱原発の一点のみで共闘。他は話しても合わない」と言っているように、全面的に影響を受けているわけでもなさそうだ。
もう20年以上も前の話なので、若い人にはわからない話かもしれないが、当時の自民党は既得権益との癒着が酷く(現在もだが)、既得権益に囚われず、腐敗・金権政治の打倒を掲げて旗揚げしたのが日本新党である。地方主権・生活主権を標榜してリベラルで穏健な保守政党に国民の期待と関心が集まり、55年体制の崩壊をもたらした「新党ブーム」の火付け役となった。
20年前に政界の第一線を退き、隠居生活を送っていた細川氏の感覚は、その頃のままなのではないか。当時はまだグローバルな資本の横暴は問題になっていなかった。
規制改革が必ずしもすべて悪というわけではない。例えば東電の地域独占体制を改革して、電力を自由化することは国民の利益となる。細川氏は、特区を活用して同一労働同一賃金を打ち出した。これは国際労働機関(ILO)では原則であり、基本的人権と捉えられている。男・女や正規・非正規、人種などで差別は禁止となるので、一概に悪いとは言えない。ただ、かつては高い方へ同一化した賃金が、グルーバル化が進んだ現在では安い方へ同一化する懸念がある。
細川氏に心配な点があるとすれば、この時代感覚のズレである。1%vs99%の対立に象徴されるようなグローバリゼーションや新自由主義の問題に対して疎いのではないだろうか。しかし、それも致し方ない気がする。そもそも政治の世界に戻るになど更々なかったのだから。このままでは日本が滅びる。その危機感が細川氏を突き動かしているのだろう。
(引用以上)
この細川さんのスキを、あと一週間、敵は徹底的についてくる。
さっそく「細川候補は、経済政策や領土問題の面で、田母神候補の方がオトモダチ」などという印象操作を図解入りでしてくれる大学教授もでてきた。
細川さんの会見をチェックしていれば、まったくの間違いだということは大学教授でなくともわかるはずであり、明らかに意図的な印象操作。もう何がなんでも一本化させない、という敵の意図の表れだ。
だからこそそれを逆手にとって、「宇都宮氏に教えを請う」ということが重要だ。
政策的にも、イメージ的にも、敵の印象操作を打ち破るためにも。
候補者本人にも、ぜひともそれをお願いし、そして、私たち支持者が、絶対に宇都宮さんに対するネガキャンに手を染めないことを切に望みたい。
それは、自分と同じ考えの人どうしの自己満足と、迷っている人をあちらへと押しやる効果しかない。もとからの支持者の拍手はあるかもしれないが、新たな票の獲得にはならない。
どうか冷静に、自分の立場を確認し、他人の避難ではなく、自分の説明をしていただきたい。
あと一週間。
ファシズムの爆燃を食い止めることができるかどうか。大きな審判が下る。
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