憂国の書『危機に立つ東大 入試制度改革をめぐる葛藤と迷走』
大学という場が危機に直面している。日本のリーディング大学である東大においても、秋季入学への移行、英語民間試験活用といった問題をめぐって目的と手段の逆転した議論が進行し、本来あるべき思考の筋道が見失われている。
「無理が通れば道理が引っ込む」という慣用句が、よりにもよって国権の最高機関である国会にまであてはまるというのは、なんとも情けない事態としか言いようがない。
「誤解を招いたとすれば…」「不快の念を与えたとすれば…」といった仮定法の決まり文句で始まる形ばかりの謝罪が繰り返されるばかりで、真摯な反省がなされた様子は見受けられない。
言うまでもないことだが、「社会的要請に応える」ことと「役に立つ」ことは同義ではない。短期的・即時的には「役に立たない」学問であっても、長期的な射程で見れば「社会的要請に応える」分野はいくらでも存在する。
1991年に大学設置基準の大綱化という方針が文部科学省から打ち出された。その結果何が起こったかというと、全国の大学の教養部が雪崩をうったように廃止されたり改組されたりした。
保健所も大学も機能不全が起こるレベルで人削ったから。『1991年に大学設置基準が緩和され、大半の国立大で教養部が廃止され、私大でも姿を消した。その結果、高校教育と専門教育を橋渡しできる教員が必要とされなくなり、入試の作問をできる教員が減ったと見られている。』https://t.co/l75cntLvSw
— Mami Tanaka (@mami_tanaka) 2021年2月1日
東京女学館大学、閉校か…教員の整理解雇で揉めるんだろうなぁ。以前は大学設置基準を緩和したり、教養部を改組して、行き場のない教員の失業対策もできたが、少子化ではそれすらできないからなぁ。 http://t.co/4aliOTU9
— ヒトガラ号 (サステナビリティ系猫) (@hitogara) 2012年5月1日
今の経済界の人たちは経済界からの専門教育重視の強い要望があって1991年の大学設置基準の大綱化で教養・専門の区分が廃止されていわゆる教養部解体が進んだのをもう覚えていないのかな。 / 経団連「数学は全学生必修に」 若手育成で提言:日本経済新聞 https://t.co/ojoAiI5U2f
— H. Miyoshi (ALC2021 to be postponed, not online) (@metaphusika) 2019年11月22日
重要な局面で「国の政策なのだから従うのが当然である」とか、「ここまで事態が進んでしまったのだから仕方がない」といった、ほとんど思考停止としか思えない言葉を口にする人々が学内外に少なからず存在する。
いわゆる「有識者」を中心として構成される各種の審議会は、はじめから用意されている結論を権威づけるためのアリバイ作りに利用されている感があり、メンバーの人選も、それを前提としておこなわれているという印象がぬぐえない。
私は自分の勤めている大学が「国立大学」(2004年度以降は国立大学法人)であるとは思っていたけれども、「国策大学」であると思ったことは一度もなかった。
石井洋二郎『危機に立つ東大』ちくま新書
— KUB◯+@世界史とか (@KU80TA2018w) 2020年4月19日
まじでおすすめ。第2章の人文知についての考察は、文学部とか哲学系、歴史学系などに進む(在学する)学生にも是非読んで欲しい。タイトルは東大と入ってるが、東大のことだけ書かれた本ではない。#読書 pic.twitter.com/j8aiVzOyzx
「大学改革の迷走」を読み終わったので、同じくちくま新書「危機に立つ東大ーー入試改革をめぐる葛藤と迷走」を読んでいる。石井洋二郎先生の文章が理路整然として、あまりに読みやすいことにまず感銘を受けている。
— こっしー (@koshinori) 2020年2月13日
【筑摩書房 近刊情報1/8発売】石井洋二郎『危機に立つ東大―入試制度改革をめぐる葛藤と迷走』(ちくま新書)
— 筑摩書房 (@chikumashobo) 2019年12月27日
秋季入学構想の加速、英語民間試験をめぐる問題……日本のリーディング大学で何が起こっていたのか? 教育・入試改革の顛末と問題に至った経緯を見直し、大学のあるべき姿を提示する。 pic.twitter.com/jS05iWfxCB
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ちくま新書
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…この先生の専門分野は、フランス文学。そしてロートレアモンの研究なのだ。それを、東大でやっていなさった。
その微妙な立ち位置も相まって、「役に立つ研究に注ぎ込まれる金」問題がやけに哀愁を帯びてくる。
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秋入学。東大という一つの大学が導入するだけでも、準備に多大のエネルギーと数年間の時間を費やし、それでも難しかった。その過程を私もわきで見ていました。
— 阿部公彦 ABE Masahiko (@jumping5555) 2020年5月29日
是非、石井洋二郎『危機に立つ東大』(ちくま新書)の第1章「秋入学問題」をご参照ください。失敗に学ぼうよ。https://t.co/ErNKU2gOJh
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