著者は元消防庁長官『イザというとき、命を守るために! 危機管理・防災のあり方』
大規模事故や大災害の教訓から、被災を防ぐための法令がおりおり新たに作られていってることがよくわかる!
我々の社会は、学習し、対策し、どんどん安全になっていっている。
阪神・淡路大震災で、生き埋めや閉じ込められた人が誰に救助されたかを見ると「自力で」が34.9%、「友人や隣人に」が28.1%で、救助隊に助けられた人はわずか1.7%であった。
糸魚川大規模火災においては、火災の延焼状況から消火のための水の不足が予測されたことから、生コン組合のコンクリートミキサー車や国土交通省の排水ポンプ車の協力を得て、道路上に仮設の水槽を数多く設置することなどにより、継続的に消火活動を行う体制を整えることができた。
いざという時のための協力体制を日頃から作っておくことが重要である。
飲食店の火災の約4割がコンロ火災によるものであり、そのコンロ火災の6割がコンロに火がついていることを忘れ、放置することを原因とするものである。
大規模な災害が起きた場合のトップに立つ者の行動原理は、以下の3点である。
① 疑わしいときは行動せよ
② 最悪事態を想定して行動せよ
③ 空振りは許されるが、見逃しは許されない
消防防災ヘリの操縦には、高高度でのホバリングなど高い技術が求められる。この技量ある操縦士の確保は極めて重要な課題であり、操縦士の高齢化・転職により目の前の課題となっている団体もある。
糸魚川大規模火災の事案を踏まえ政令の改正が行われたことにより、これまで消防法上は義務付けがなされていなかった(一部の地方公共団体においては、火災予防条例により義務付けられていた)延べ面積150平米未満の飲食店についても、2019年10月から、消火器の設置が義務付けられることになった。
防火シャッターがあればいいのではなく、機能しなければ意味がない。しっかり維持管理いただくとともに、単に作動するか否かの確認のみならず、床まで下ろすことによる確認、訓練をお願いしたい。
①災害が起きることを前提に考える。
②住んでいる地域(働いている地域)の弱点を知る。
③いざという時のための身の回りの備えをする。
④消防団員になる、防災リーダーを目指す。
青木信之元消防庁長官著者による「イザというとき、命を守るために!」危機管理・防災のあり方 を拝読させて頂いております。現在、九州での記録的な大雨により報道が早めの避難、安全確保を訴えております。命を守る行動を!
— 田中 章 (@akira119r) 2019年7月3日
〈お知らせ〉
近代消防8月号に我々、深谷消防の取り組みが特集されます。 pic.twitter.com/jbDpo0gYtO
『イザというとき、命を守るために! 危機管理・防災のあり方』
青木信之
近代消防社
問題は、どこまでも「想定外」の災害が発生してしまうことなのだ。そして「想定外」は、費用対効果的にすべて防ぎ切ることはできない。防ぎ切ることはどだい不可能。
だからこそ、ふだんからの心構えが必要となってくる。
北海道胆振東部地震
岩泉町のグループホーム水没の悲劇
糸魚川大規模火災
埼玉県アスクル物流倉庫大規模火災
群馬防災ヘリ墜落事故 …
2010年代に起きた災禍含め、記憶に新しい事故事例を教訓に新たにどんどん有効な法令が整備されてきていることがよくわかる頼もしい仕様の一冊。
『ミニ特集:災害・防災研究の本 その6』
『ミニ特集:災害・防災研究の本 その5』
『ミニ特集:災害・防災研究の本 その4』
『ミニ特集:災害・防災研究の本 その3』
『ミニ特集:災害・防災研究の本 その2』
『ミニ特集:災害・防災研究の本 その1』