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2011年12月14日水曜日

痛車改

なんだか「写真界の銀座」みたいに写真専門ギャラリーが増えてきた四ッ谷4丁目〜新宿1丁目かいわい。そのひとつ『Place M2』で今月15日から26日まで開催されるのが、坂口トモユキによる写真展『痛車改』。


アニメやゲームの美少女キャラクターの巨大イラストをボディに貼った車を痛車という。「痛い」とは視線が痛い、恥ずかしい様を意味している。艶やかな痛車が街を疾走する光景は、いまでは週末の秋葉原名物となっている。車内には複数の液晶モニター、フィギュアや、ぬいぐるみ、抱きまくらがあり、その内装はコアなオタクたちのプライベートルームをデフォルメしてそのまま路上に持ちだしてきたかのようだ。(ギャラリー・サイトより)

というわけで、街角スナップとは次元のちがう、高精度・高密度で撮影された、あまりにも痛いクルマの数々・・一見、大きなスタジオで撮影されているように見えますが、実は深夜の駐車場で、たくさんのストロボを炊いて撮影されたそう。素晴らしすぎる、世界に誇るべき現代日本文化の記録です。タイトルが示すように、これが2009、2010年に続いて3回目の「痛車展」ですが、前回までを見逃した方は、本人のサイトできっちり見られるので、ご参考に。

http://tsaka.jp/itasha/index.html

坂口さんは2007年に、東京近郊のサバービアな夜景をデジカメで撮影したシリーズを発表していて、それは美しい写真集にもなりました。その年、僕が審査員を務めていた木村伊兵衛賞の選考会でも話題になったのを覚えています。この「痛車」も大判写真集になればいいのに・・と思っていたら、iPad写真集が用意されていました! もしかしたら、こういう写真はもう、どんなにきれいな印刷より、大きなモニターで見たほうが迫力あるかもしれないし、電子書籍なら拡大もできますしね。しかし国際協力基金とかが資金援助して、痛車の展覧会、海外の美術館でやってほしいものです!

痛車 http://itunes.apple.com/jp/app/id391670599?mt=8

なお『Place M2』はビルの2階ですが、3階にある『Place M』のほうでは、ご近所の『Gallery Shuhari』と同時開催で吉永マサユキ展を開催中。両ギャラリーとも作家のトークショーがあるので、ギャラリー・サイトからスケジュールをご覧ください。

Place M2 http://m2.placem.com/schedule/2011/20111215/111215.php

2011年12月6日火曜日

暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ  好評開催中!

恵比寿のアートブックショップNADiffの地下にある小さなギャラリーで開く写真展『暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ 』、おかげさまで好評開催中です。

すでにご来場いただいたかたもずいぶんいるはずなので書いちゃいますが、会場内には写真プリントのほかに、世界最高のオリエント工業製ラブドールが展示されています。しかもオサワリOK! 70万円近い最高級のラブドールを触れるチャンスというのも、ふつうはなかなかないはず。思う存分、シリコンの感触を楽しんで、お帰りには本展のための撮り下ろし特製絵葉書セットをお持ち帰りください!


そして今週からは、わが家の倉庫から探し出してきた絶版本やグッズ、ポスター類などの販売コーナーもできました。国内出版社の絶版書籍はもちろん、外国の展覧会にあわせて制作されたポスターやパンフレットなど、いままでお目にかけることのできなかったレア・アイテムがたくさん展示即売中です。





展覧会スタッフといっしょに浅草を歩き回って仕入れてきた特選グッズや、オンデマンド印刷で自費出版した驚異のアンダーグラウンド・エロティック・アート『妄想芸術劇場 ぴんから体操』編(会場のみの先行販売)ともども、この機会にじっくりご覧ください。

会期:2011年11月25日[金] ー 2012年1月9日[月・祝]

展覧会詳細はこちらから:
http://www.nadiff.com/gallery/tsuzukikyoichi.html

《トーク・イベント》
12月22日[木] 18:00?20:00
戌井昭人(劇作家・鉄割アルバトロスケット主宰)×都築響一
(入場無料、予約不要ですが席数にかぎりがあるので、早めにお越しください!)

3日に行われた鬼海弘雄さんとのトークイベントの様子。鬼海さん、ダンディですねー。
すごく混み合うので、椅子確保のためにも来場はお早めに!

2011年11月30日水曜日

暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ  好評開催中!

恵比寿のアートブックショップNADiffの地下にある小さなギャラリーで開く写真展『暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ 』、おかげさまで好評開催中です。今週土曜日には浅草のオフィシャル・カメラマンと言うべき鬼海弘雄さんとのトークもあります。ものすごく濃い浅草裏話が聞けると思うので、ぜひおいでください!



《トーク・イベント》
12月3日[土] 18:00〜20:00
鬼海弘雄(写真家)×都築響一

12月22日[木] 18:00?20:00
戌井昭人(劇作家・鉄割アルバトロスケット主宰)×都築響一
(両日とも入場無料、予約不要ですが席数にかぎりがあるので、早めにお越しください!)

鬼海弘雄は浅草のオフィシャル・フォトグラファーだ。渡辺克己が新宿のオフィシャル・フォトグラファーであったように。
 1945(昭和20)年、山形県寒河江市に生まれた鬼海弘雄は1973(昭和48)年から、もう38年間も浅草を撮ってきた。1941(昭和16)年、岩手県盛岡市に生まれた同じ東北人の渡辺克己が、新宿を題材にした作品を初めて発表したのも1973年。ふたりともモノクロームのポートレイトにこだわりつづけ、ふたりとも青年時代のインドへの旅が、写真家として自立するための契機となり……そして渡辺克己は2006(平成18)年に亡くなり、鬼海弘雄はまだ浅草を撮り続けている。
 新宿と浅草という、東京のふたつの極を同時代に歩いた、東北生まれのふたりの写真家。でもふたりの共通点の多さと同じくらい、写真集から立ち現れるふたりの眼差しの違いもまた大きい。「風俗」にこだわりつつ、そこから透けてくる人間性をつかもうとした渡辺克己と、「風俗」を超えて存在する人間性をまっすぐにつかもうとする鬼海弘雄。それはもしかしたら、そのまま新宿と浅草という土地の違いでもあるのだろうか。
(『東京右半分』のインタビューより)

そしてこの写真展に際しては、来たひとだけにわかる超特別展示!もあり、上野・浅草で買い付けてきた激渋グッズ特販コーナーもあり、本展のために撮り下ろした世界最高のオリエント工業製ラブドールのスペシャル絵はがきセットも用意しました。特に絵はがきセットは数に限りがあるので、早めのゲットお願いします!


会期:2011年11月25日[金] ー 2012年1月9日[月・祝]

展覧会詳細はこちらから:




吉永マサユキ写真展『SENTO』@Gallery Shuhari

来週火曜日、12月6日から四ッ谷3丁目のギャライー・シュハリにて、吉永マサユキの写真展『SENTO』が開かれます。

吉永君と言えば暴走族など、ハードコアなひとびとのポートレートで有名ですが、今回展示するのは彼がまだ写真家のアシスタントをしていた1993年に、大阪十三の銭湯で撮った男たちの入浴シリーズ。吉永くんの原点とも言うべき作品ですが、これまでほとんど公開されることはありませんでした。

大阪のおっさんたちがチンコ丸出しで風呂に浸かったり、体を洗ったりしている姿は、まことに日常的でありながら、いざプリントになってみると不思議な超現実感もあり、単なるルポルタージュとは次元のちがう写真表現になっています。




個人的に吉永くんは長い友人ですが、僕が最初に見せられた写真がこの銭湯シリーズで、そのときはびっくりするとともに、こんな写真が撮れる人間関係を築いている彼に、ちょっと嫉妬したものでした。

今回の展覧会では、その銭湯シリーズが並ぶほかに、海外販売用に制作されたという1000部限定の写真集も会場で販売されます。「表装には手拭いを使用。全5種類の装丁からお選びいただけます」ということなので、要チェックですねえ。また、期間中には根本敬などとのトークもあるので、これもディープそう!

吉永マサユキ 写真展 「 SENTO 」
会  期:2011年12月6日(火)〜12月26日(月)
12:00〜20:00(最終日も20:00まで)  月曜休み(ただし、12月26日は開廊)
オープニングパーティ:2011年12月6日(火) 18:00〜20:00
会  場:GALLERY SHUHARI
東京都新宿区四谷3-13 大高ビル3F  (丸の内線「四谷三丁目」徒歩2分)
TEL 03-5269-1436
http://www.gallery-shuhari.com/

■期間中、トークショーを開催します。
12/10(土) 19時〜 吉永マサユキ×清水穣さん(写真評論家)
12/17(土) 19時〜 吉永マサユキ×根本敬さん(特殊漫画家)
12/24(土) 19時〜 吉永マサユキ×町口覚さん(アートディレクター)
入場料 各1,000円ドリンク付き。
<問合せ GALLERY SHUHARI  TEL 03-5269-1436>

SENTO  Masayuki Yoshinaga

今から20年ほど前、吉永マサユキが写真家となるきっかけとなった初期作品『SENTO』。
その内容から、日本では発売が困難でしたが、このたび海外販売用に限定1000部を製作。解説=清水穣。11月18日、個展会場および極一部の書店にて発売開始。詳しくは東京キララ社まで。

定価:3,500円+税
B5上製/72P
発行:東京キララ社
03-3233-2228

2011年11月24日木曜日

暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ  25日金曜開幕!

恵比寿のアートブックショップNADiffの地下にある小さなギャラリーで開く写真展『暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ 』、いよいよ今週金曜日がオープニングです。初日の夜にはささやかなレセプションがあります。とても小さなスペースなので、ご不便おかけすると思いますが、よろしければ遊びに来てください。

暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ


なるべく都心から近いこと。なるべく家賃や物価が安いこと。エネルギッシュな町が生まれる要素は、このふたつしかない。マスコミに教えられるのでもなく、ディベロッパーの戦略に踊らされるのでもなく、いま東京の若者たちがみずから見つけつつある新たなプレイグラウンド、それが「東京の右半分」だ。


獣が居心地のいい巣を求めるように、カネのない、でもおもしろいことをやりたい人間は、本能的にそういう場所を見つけ出す。ニューヨークのソーホーも、ロンドンのイーストエンドも、パリのバスティーユも、そうやって生まれた。


現在進行形の東京は、六本木ヒルズにも表参道にも銀座にもありはしない。この都市のクリエイティブなパワー・バランスが、いま確実に東、つまり右半分に移動しつつあることを、君はもう知っているか。


今年12月刊の『東京スナック飲みある記』(大洋図書)、来年3月刊の『東京右半分』(筑摩書房)、2冊の新刊発売の予告編としてお送りするトーキョー・イーストエンドのミニ・トリップ。きょう、お連れするのは上野から浅草かいわいだ。


ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル。東京でいちばん古くさくて、いちばん猥雑で、いちばん刺激的なワイルドサイドにようこそ!

2011年11月25日[金] ー 2012年1月9日[月・祝]

《オープニング・レセプション》
11月25日[金] 18:00?20:00

《トーク・イベント》
12月3日[土] 18:00?20:00
鬼海弘雄(写真家)×都築響一

12月22日[木] 18:00?20:00
戌井昭人(劇作家・鉄割アルバトロスケット主宰)×都築響一
(両日とも入場無料、予約不要ですが、席数にかぎりがあるので、早めにお越しください!)

なお、この写真展に際しては、来たひとだけにわかる超特別展示!もあり、上野・浅草で買い付けてきた激渋グッズ特販コーナーもあり、本展のために撮り下ろした世界最高のオリエント工業製ラブドールのスペシャル絵はがきセットも用意しました!

ナディッフ・オリジナル ラブ・ドール ポストカードセット
撮影:都築響一 / 8種類・おまけしおり付き / 1,050円(税込)

そしてさらにさらに!!!

2011年11月9日水曜日

暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ

ツイッターなどですでにお知らせが流れていますが、この25日から来年1月初めまで、恵比寿ナディッフの地下にある小さなギャラリーで写真展を開きます。


『暗夜小路 上野〜浅草アンダーグラウンド・クルーズ』と名づけられたこの小展覧会は、これまで『東京右半分』などの取材を通して知ることになった、いま動きつつある東京の右側を探る試みの一環であり、そうした動きの震源地とも言うべき上野から浅草にかけてのエリアを歩くミニ・トリップです——

なるべく都心から近いこと。なるべく家賃や物価が安いこと。エネルギッシュな町が生まれる要素は、このふたつしかない。マスコミに教えられるのでもなく、ディベロッパーの戦略に踊らされるのでもなく、いま東京の若者たちがみずから見つけつつある新たなプレイグラウンド、それが「東京の右半分」だ。
獣が居心地のいい巣を求めるように、カネのない、でもおもしろいことをやりたい人間は、本能的にそういう場所を見つけ出す。ニューヨークのソーホーも、ロンドンのイーストエンドも、パリのバスティーユも、そうやって生まれた。
現在進行形の東京は、六本木ヒルズにも表参道にも銀座にもありはしない。この都市のクリエイティブなパワー・バランスが、いま確実に東、つまり右半分に移動しつつあることを、君はもう知っているか。
今年12月刊の『東京スナック飲みある記』(大洋図書)、来年3月刊の『東京右半分』(筑摩書房)、2冊の新刊発売の予告編としてお送りするトーキョー・イーストエンドのミニ・トリップ。きょう、お連れするのは上野から浅草かいわいだ。
ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル。東京でいちばん古くさくて、いちばん猥雑で、いちばん刺激的なワイルドサイドにようこそ!
都築響一


・・・・・・・・・・・
 ナディッフ アパートでは、この年末に満を持して、木村伊兵衛賞写真家であり数々の問題作を発表しつづける名編集者・都築響一の個展を開催いたします。
 2010年以降にかぎっても『ロードサイドUSA』(アスペクト)、『夜露死苦現代詩』(筑摩文庫)、『演歌よ今夜もありがとう』(平凡社)などなど刺激的な著作の上梓も続いております。
 表参道のNADiffで行った「大竹伸朗×都築響一:青山秘宝館」(1998.4-5)から10余年。その後のアートシーンや写真シーンが当時とくらべて活性化されていたり、マーケットが成熟してきたりというような話はついぞ聞きません。そのような環境を前提とせざるを得ない若者たちに対して、それでも「アートとは何か」という本質的な問いかけを常に行ってきたのが都築響一に他なりません。
 この度のナディッフ・ギャラリーの展示では、上野〜浅草の驚愕のアンダーグラウンドをお披露目いたします。
 日本の近代美術の受容や展開にとって最も重要でかつ象徴的な場所である浅草と上野は、近代もどんづまりの閉塞感漂う今日でもなお、多様で重層的な文化環境がしっかりと息づいています。
 ニューハーフ、デスメタル、極道ファッション、ふんどしバー、そしてリアルなラブドールなどなど狂おしいほどに真摯な人々の営みがそこにはあります。これらのリアルカルチャーを都築響一自ら厳選し、恵比寿の地下ギャラリーにエディトリアルされた空間を構成いたします。
 “東京右半分”のエッセンスがたっぷりつまった上野〜浅草のマインドや有り様から、どうしてもそのようになってしまうことによってそのようにしかならない真の意味での“アート&ライフ”を間近で見つめることが出来るでしょう。
 そこには、アートにとって本質的なことがらが自ずから浮かび上がってくるにちがいありません。
協力:オリエント工業 / ㈱サンエムカラー

会期中には鬼海弘雄さんや戌井昭人さんをお招きしたトーク・イベントも開催。しかも写真の展示だけではなく、ウルトラスペシャルな仕掛けも用意してあります! 展覧会にあわせた特製グッズも、たたいま鋭意準備中! トークのほうは席数が少ないので、早めのご来場を。

会期:2011年11月25日[金] ー 2012年1月9日[月・祝]
展覧会詳細はこちらから:



《トーク・イベント》
12月3日[土] 18:00-20:00(仮)
鬼海弘雄(写真家)×都築響一

12月22日[木] 18:00-20:00(仮)
戌井昭人(劇作家・鉄割アルバトロスケット主宰)×都築響一

いずれも NADiff a/p/a/r/t 店内 にて
入場無料(予約不要)
※30名様以降は立見となりますのでご了承ください。

2011年10月19日水曜日

タイワニーズ・キャバレーの魅惑と郷愁

去年10月にこのブログでも報告しましたが、銀座のニコンサロンで開かれた台湾在住の写真家・沈昭良(Shen Chao-Liang)さんが、台湾の移動式ショー劇団「台湾綜芸団(Taiwanese Cabaret タイワニーズ・キャバレー)」を追いかけた写真展、ご覧になった方いるでしょうか。

その沈昭良さんの写真集『STAGE』がこのほど台湾で完成、まもなく日本でも入手できそうです。ハードカバー、大判の画面に収められた「台湾式デコトラ・ステージ」は、カラフルでポップで、しかも哀愁に満ちていて、なんとも言えません。



沈さんの公式サイトには何枚も画像がアップされているので、興味ある方はぜひご覧いただきたいですが、このほど「youtubeに動画をアップしました!」と教えてもらいました。これが、移動式ステージがやってくるところから、観客を前に大盛り上がり、そして片づけて去っていくところまでをコマ落としで収めた、なかなか見ごたえあるもの。去年の展覧会の際に添えられた解説文を読みながら、台湾のカントリー・フレイヴァーを堪能してみてください!


“台湾綜芸団”(Taiwanese Cabaret タイワニーズ・キャバレー)とは、いわゆる移動するショー劇団のこと。1970年代から台湾における冠婚葬祭の場で活躍しており、初期においては現在でも使用されている組立式特設ステージだったが、改装トラックもあり、照明と音響設備を備えたオープン式の“ステージトラック”が出現した。そして時代の進歩とともに、経営者や観衆の側から照明や音響設備に対する要求が高まり、今日のきらびやかな油圧電動式ステージトラックに発展した。
ショーの演目内容については、初期には歌と踊りのショーが主体で、歌手の衣装も一般の室内劇場で見られるような華麗なドレスに類似したものだったが、近年になるとセパレート式のビキニスタイルが普通となった。ショーの内容も人目を引く新しい演目が次々に生まれ、歌手以外にダンサーを従えた歌謡ショー、女性のパイプダンス、雑技、マジック、民俗芸能、ボディビル男性のショー、更には女装した男性のショーなど、多種多様である。
また、一定時間内に近隣する数箇所を回ってダンスショーを演じたり、葬儀や廟宇の祭りの隊列に加わってショーを演じたりする。
出演者は、公演場所を転々とする臨時の寄り合いグループである。歌手は若い世代が歓迎される傾向にあり、ある程度年齢を重ねた歌手は司会者や経営者に転じたり、結婚後引退あるいは他の業界に転身したりする。
このシリーズの作品は4×5インチフィルムで撮影されている。撮影対象は今の台湾各地で使用されている大型トラックを改装した移動式ステージである。この“ステージトラック”の台数については正確な統計はないが、実際に営業中の台数は台湾全土で600台を超えるものと推測されている。レンタカー方式が採用され、価格は車の大きさや新旧の程度によって異なり、貸し出す側は借り手の要求に基づき、指定された時間に指定場所まで車を運転して行って引き渡す。
本展で展示する作品は、台湾各地の“台湾綜芸団”が、1994年頃から研究と改装を重ねて今日の姿に至った大型トラックを改装した油圧電動式ステージトラックを撮影した英姿である。
独特の業態、濃厚な文化的な息吹き、きらびやかな色彩、童話のような舞台背景、そして自由奔放な発想。この“綜芸団”という台湾特有の産業は、時間と空間を越え、ある時は平面的に、またある時は立体的に、縦横無尽の展開を見せながら、見る者の想像力をかきたて、観衆と一体化していく。
(2010年・銀座ニコンサロンでの展覧会のウェブサイトより)

沈昭良・公式サイト http://www.shenchaoliang.com/

2011年9月21日水曜日

変態村@ギャラリー・シュハリ


四ッ谷3丁目のギャラリー・シュハリにて、今月27日から10月9日まで開かれる写真展。片山恵悟さんは『実話マッドマックス』の編集長でもり、今年春の『東京砂漠』に続く展覧会でもあります。前回にも増してエグそうな作品がたくさん出そう(ギャラリーのサイトがぜんぜん充実してないので、いまいち内容不明ですが)。

変態好きの、よい子のみなさんはお見逃しなきよう!

2011年8月18日木曜日

東京右半分:浅草の千の眼

今週土曜日(8月13日)から恵比寿の東京都写真美術館で、鬼海弘雄の写真展『東京ポートレイト』が始まる。


鬼海弘雄は浅草のオフィシャル・フォトグラファーだ。渡辺克己が新宿のオフィシャル・フォトグラファーであったように。
 1945(昭和20)年、山形県寒河江市に生まれた鬼海弘雄は1973(昭和48)年から、もう38年間も浅草を撮ってきた。1941(昭和16)年、岩手県盛岡市に生まれた同じ東北人の渡辺克己が、新宿を題材にした作品を初めて発表したのも1973年。ふたりともモノクロームのポートレイトにこだわりつづけ、ふたりとも青年時代のインドへの旅が、写真家として自立するための契機となり……そして渡辺克己は2006(平成18)年に亡くなり、鬼海弘雄はまだ浅草を撮り続けている。
 新宿と浅草という、東京のふたつの極を同時代に歩いた、東北生まれのふたりの写真家。でもふたりの共通点の多さと同じくらい、写真集から立ち現れるふたりの眼差しの違いもまた大きい。「風俗」にこだわりつつ、そこから透けてくる人間性をつかもうとした渡辺克己と、「風俗」を超えて存在する人間性をまっすぐにつかもうとする鬼海弘雄。それはもしかしたら、そのまま新宿と浅草という土地の違いでもあるのだろうか。
 今回の「東京右半分」はいつもと少し趣向を変えて、鬼海弘雄が捉えてきた浅草の顔を紹介しながら、作家本人に写真という磁力、浅草という磁場を語ってもらうことにしよう。

 終戦の年に山形県寒河江市に生まれた鬼海弘雄。蕎麦と温泉で名高い、のどかな農村地帯に育ち、高校卒業後は山形県職員になるが、1年で辞職。東京に出て、職工、運転手、マグロ漁船乗組員など転々と職を変えながら写真の道を目指し、1987(昭和62)年に初写真集『王たちの肖像??浅草寺境内』(矢立出版)を出版する——。





鬼海弘雄写真展『東京ポートレイト』
2011年8月13日(土)〜10月2日(日)
東京都写真美術館
(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)地下1階展示室
(カタログ、すごく充実してお買い得なので、売りきれないうちに要チェック!)


2011年7月20日水曜日

20年前の TOKYO STYLE

今週はいつもの『東京スナック飲みある記』がお休みなので、オマケがわりにどうぞ。

今週、必要があってちょうど20年前に撮った『TOKYO STYLE』のポジをスキャンしてました。

いまから見る​とライティングなんかものすごく下手で(というかストロ​ボも買えず、ランプひとつしか持ってなかったし)、見ていて恥ずかしいのですが・・でも​撮っててすごく楽しんでる感じが伝わってくる。自分で​言うのもヘンですが。

「こんな企画ができたらおもしろいだろうなー」と思い立ち、プレゼンしたものの、どこの出版社にも相手にされず、しかたなく自分でペンタックス67と、4x5のカメラを買って、三脚を背中にしょって、原チャリで撮影して回った2年間ほどの日々。

デジカメなんてなかったので、原稿料が入るとフィルム代や現像料の支払いに充てながら、しかしプロのカメラマンになるなんて、夢​にも思ってなかったあのころ。あんな気持ちでは、いまは​もう撮影できない。プロになるって、微妙ですねえ・・。

アマチュアのこころを忘れないプロ、ってのがベストだと​思ってはいるのですが。技術って、覚えるのよりも、捨て​るのがいちばん難しいのかも。でも、知らないひとの部屋に上がらせてもらうたび、フィルムが現像から上がってくるたびに覚えた、あのワクワク感だけは、プロとなったいまでもぜったい忘れたくありません。

そういえば先週、細江英公さんと鬼海弘雄さんと対談して​、大震災のがれきから発掘されたアルバムの話になりまし​た(体育館にずらーっと並べられた、泥だらけのアルバム​の報道写真を見ながら)。自分と家族の記憶、ビデオと写​真アルバムとどっちを選ぶかと言われたら、みんな写真を​選ぶんじゃないかと。写真の“スチル”っていう言葉には​、記憶を一枚に封じ込める、みたいな意味が込められてい​るのかもしれない。

あんまり懐かしかったので、スキャンしたうちの数枚をここに載せておきます。もう連絡先もわからなくなってしまったひとも多いけれど、この撮影で知りあって、いまだに仲良しでいてくれる友人や、twitterやFacebookで名前を見つけて10年、20年ぶりに連絡をくれたひともいます。

うまいか下手かとかじゃなくて、何十年たっても、それをネタに笑ったり、盛り上がったりできる仕事が、もしかしたらいちばん大切なのかもしれません。









2011年1月26日水曜日

大阪式:谷本恵写真展

「写真家 吉永マサユキ氏・森山大道氏による写真塾「resist」の卒業生有志10人が新しい展示発表の場を求め」(公式サイトより)、去年10月にオープンしたばかりの写真ギャラリーSHUHARI。気がついてみれば、四ッ谷3丁目から新宿御苑あたりって、写真ギャラリー密集地帯になっちゃいましたね。ちなみにSHUHARIは四ッ谷3丁目のスーパー丸正並びですが、1階には僕が愛用する安中華料理屋、2階にはこれまた安くて良心的な中国マッサージ店、そして3階がギャラリーと、いい感じの組み合わせです。

そのSHUHARIできのうから始まったのが、谷本恵さんという若い写真家の展覧会。『大阪式』というタイトルのとおり、谷本さんが生まれ育った大阪の、いかにも大阪らしいひとや風景をスナップしていて、楽しいコレクションです。



僕も最近、大阪にはよく撮影に行くのですが、これだけ大都市で、これだけおもしろいのに、まともなガイドブックや写真集がひとつもない場所って、世界的にも珍しいんじゃないでしょうか。タコ焼きだの、タイガースだの吉本だのじゃない、素顔のブスかわいい大阪。そういう良さって、もしかしたら地元の人間がいちばん見えてないんじゃないかなと思ったりします。

谷本さんも、大阪から東京に出てきて初めて、外から大阪を観察する視線が持てたと言ってました。「こうボケたら、こう突っ込め」みたいな、地元民しか共有できないメンタリティ。そういう閉じた感覚が、すごくもったいないなと思うときが、大阪にいるとよくあります。今回の展覧会は、量的にまだまだ物足りないのですが、そんな「外から見た大阪の楽しさ」がにじみ出ていて、うれしくなりました。しかし僕みたいなヨソモノに大阪本つくらせてくれる出版社、ありませんかねえ。



(展覧会は2月6日まで)