消費税増税延期で色褪せる麻生閣下
消費税増税を選挙にはかった民主党の菅政権、前職は財務大臣、財務官僚から言い組められた末、調子に乗り無謀にも22回参院選挙で打ち出し無残にも敗北、 その後を引き継いだ民主党内松下塾政権の野田も引き継ぎ、46回衆議院解散選挙で、お目々をパチクリさせるほどの大差で自民党に大敗北を喫した。
安倍政権下で財務大臣を務める麻生閣下(副首相)、安倍政権の立役者でもある(一方で、古賀誠と麻生太郎との戦いでもあったが・・・)。
その麻生財務大臣が、伊勢志摩サミットの一環で仙台市で25日開催されたG7財務相・中央銀行総裁会議で、「消費税増税は規定路線どおり」と断言した。と ころが、2日後の27日のサミットでは、安倍首相が唐突にも「世界はリーマン・ショックと似た経済状況だ」と発言し、この人今の世に何を言っているのだろ うと各国首脳が呆れかえるほどの発言をなした。
安倍首相が、思うどおりに法律を成立させるに当たり、よく使う前哨戦の手法。それをサミット でも利用し、消費税増税の延期を確定させた。今では増税を任期外かもしれない19年9月まで延期するという。そもそも安倍首相が海外の経済学者を招聘して 意見を聞いた時に、すでに延期を決定させていたものと見られる。そうした学者たちは消費税延期容認論者であった。また、首相もリーマン・ショックや東日本 大震災のような出来事が発生しない限り再延期はないと断言したものの、前回の延期で、景気判断条項を付与しないと選挙公約していたにもかかわらずトーンダ ウンさせていた。
こうしたジャブを打ち続け、自身の人気や案件が最高潮に達するようにマスコミを総動員させ、仕掛け続け、熟成させ、実を刈り取る手法は、安倍首相の得意中の得意な勝ち技でもある。アラブの春やウクライナ政権転覆の頭までを演出したCIAの手法にも共通しているが・・・。
<安倍政権下で商品価値がなくなってきた麻生閣下>
ただ、今回は、麻生副首相(兼財務大臣)の対外的な顔を潰したことは確か。しかし、すでに自民党内は安倍一色になっており、麻生閣下の党内での存在価値はないにも等しくなっている。そうした状況を踏まえ、安倍首相の最大限麻生閣下を意識したサミットでの発言となったものと見られる。
それにしても手の込み過ぎた手法だった。少し前まで増税を予定通り行う一方、財政投資を大規模化し経済の落ち込みを回避できるとまでマスコミにリークし報道させていた。
古賀誠と麻生太郎の戦いを福岡で見る限り、ここでも麻生太郎の圧勝で終始しているが、麻生氏の戦いはしつっこく・徹底しており、安倍首相にしても麻生氏を早く引退させなければ、寝・をかかれる危険性もある。(麻生太郎氏にそこまでの権勢はもうすでにないとしても・・・)
<安倍首相、20年東京五輪・65歳まで政権担当へ>
安倍首相がいつまで首相を務めるか不明であるが、当面競走馬は自民党内に存在すらせず、競走馬と見られていた人はサラブレッドに負け、地方の草競馬巡業で色あせ過ぎている。
20東京五輪、その後は、このままの為替を条件に、よほど世界経済が復調しない限り、経済は急低下が予想され、それまで政権を維持することは考えていないものと見られる。
ただ、歴史の残る20東京五輪は首相としてスピーチしたいこと。年齢もまだ61歳、小泉首相も64歳まで政権を担当していた。安倍首相はよほどのことがない限り65歳・2020年まで政権を担当するものと見られる。
<2014年12月の安倍首相の選挙公約>
「来年10月の引き上げを18ヶ月延期し、そして18ヶ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。」
<デフレ回帰の危険性>
現在の世界経済は、リーマン級のリスク状況下にあると安倍首相は発言した。アメリカ経済は回復し、利上げする段階に至っている。ところが、日本の輸出企業は、中国・東南アジアへの輸出が、東・東南アジアの経済低迷から伸びないどころか減少している。円安で水ぶくれした輸出額と企業利益が、最近に円高で縮小し、3本の矢も財政投資の限界から折れかかろうとしている。
東京はじめ国内主要都市の不動産バブルが、低金利・マイナス金利政策から進行中であるが、どこまで全体を押し上げる経済効果があるのか・・・、主要都市の不動産バブルは、建築コストをさらに押し上げ、結果、企業と富裕層しか不動産需要がなくなってくる。(バブル時代は、企業利益の拡大とともに勤労者の所得も大幅に上昇、バブルが回転し大きくなり過ぎ破裂させられた)
経済成長の6割は国民の消費、アベノミクス下で企業利益が大幅に向上したにもかかわらず、安倍首相が期待した賃金上昇はなく、首相自ら企業に対して賃金上昇の大号令をかける次第。企業はその利益のほとんどを内部蓄積するか、自己株式購入という株主還元・自己防衛策ばかりに費消、投資さえも控えめに推移させている。それに加え、消費=内需が拡大しないことから、企業の投資も限界、頼みの外需も中国はじめ縮小、円安も円高に振れ、今年は企業利益さえ縮小しようとしている。
この間、勤労者の実質所得はほとんど上がらず、円安の逆効果から値上げ一途の食料品などの価格は、商品により再度下げに転じてきている。デフレの象徴豚丼も再度復活、大手スーパーでは、この間値上げされたネスレのゴールドブレンド瓶入り90グラムが、特価だとしても400円台(楽天価格ナビの最安値699円・・・送料別)で買えるようになってきている。
まさにリーマン・ショック前の賃金が上がらずデフレ経済下での不動産ミニバブル時代との酷似・再来のようだ。
日本の経済成長率推移
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年
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前年比
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出来事
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2005
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1.30
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2006
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1.69
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2007
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2.19
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2008
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-1.04
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9月リーマン・ショック
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2009
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-5.53
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2010
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4.71
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2011
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-0.45
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3月東日本大震災
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2012
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1.74
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2013
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1.36
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年初からアベノミクス
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2014
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-0.03
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4月消費税増税・6月中国証券暴落かつ原油暴落開始
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2015
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1.47
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2016
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0.49
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IMF予測値
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