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自衛隊の子ネタ

2014年8月21日 (木)

終戦の日の自衛隊

8月15日は、終戦の日でした。
テレビでは戦争関連の特番が流れ、閣僚が靖国神社を参拝する、ちょっと異質な雰囲気の日です。

この日、一般の方は、自衛隊の内部では、どんな事が行われている日だと思っているでしょうか?
今日は、その秘密を暴露したいと思います。




8月15日!
お盆です。
終戦の日です。

基本的に、この日、自衛隊は……












お休みです!






ナゼか?
日本全国、お休みの日だからです。

行事もありません。
他の日に振り替えての行事も……ありません。

年中無休24時間営業ですから、勤務者は居ます。
彼等は、いつもと同じ仕事をしています。

基本的にお休みの日ですから、彼等しか、仕事はしていません。
交代で夏休みを取っていますから、「世間は夏休みなのに、俺は仕事か~」ぐらいの感覚です。

そして、休憩室等にあるテレビを見て知るのです。
「あ~、今日は終戦の日か」

で、愚痴るのです。
「畜生! ろくなテレビやってねえな!」

何か違う点があるとすれば……基地によっては、食事に何か特別メニューが付くかも知れません。

恐らく、ステロタイプな自衛隊のイメージとは、相当かけ離れていると思いますが、これが実情です。


私が体験した似たような事例を上げておきましょう。

8月ではなく、12月のある日のとある司令部での出来事ですが、モーニングレポートと呼ばれる朝のブリーフィングで、司令官が、「今日は何の日か?」と聞きました。

参加者は、顔を見合わせている状態で、誰も何の日か分かった様子はありません。

それを見て、司令官が嘆息して言いました。
「今日は、日本軍が真珠湾を攻撃し、太平洋戦争が始まった日だ」

これを良しとするか、なってないと叱責するかは、人によって分かれる部分だと思います。

私は、気に入ってました。
技術者集団、職人に感傷は必要がないと思っています。
ただ、やるべき事をやるのみです。

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2012年11月28日 (水)

官品被服を誉めないで!

自衛隊を応援するジャーナリズムは、まだまだ貴重で喜ばしいことだと思います。
が、諫言すべき事項まで誉めてしまったのでは、行うべき改善が遅れ、かえってダメージになりかねません。
また、あまり手放しに賞賛していると、褒め殺しの嫌みのように聞えてしまうこともあります。

次の記事などは、その典型です。
制服から下着まで隊員の命を守る「国家機密」」(zakzak12年11月6日)

 被服など繊維産業の情報管理にしても非常に厳格で、自衛官の身に着けるものは、わずかな糸くずでも、この世から抹消するのだという。もし、海外に流出してまねをされるようなことになったり 、難燃性など特殊な機能を分析されるようなことになれば、隊員の生命を奪うことにもなるからだ。

 それほどに重大な国家機密であるにも関わらず、あの事業仕分けにおいては「輸入してはどうか?」という議論が交わされた。

 納棺服であり、士気や誇りに関わる制服については、さすがにそういうわけにいかないと理解されたようだが、「下着類なら既製品の輸入や外国で作らせてもいいのでは?」という声もあるようだ。

事業仕分けは、素人がトンデモな事を言い出すケースが多かったですが、素人なりの素直な疑問というのもありました。
制服の国外発注もその一つです。

これについては、士気に関わるから絶対ダメだと仰る人も多いですが、私は「制服なら別にいいん じゃね?」と思っていた口です。
昔のように、制服で戦闘することなんてないのですから機能は関係ありませんし、警備上の識別を考慮する場合でも、美玉製など生地の異なる私物制服を着ている自衛官が多数いる中で、写真を見てコピーされたら気が付く事など不可能です。

ちなみに、階級が上位であればあるほど、私物制服を着ていました。最近の実情は知りませんが、恐らく変わっていないでしょう。

ただし、官品の制服は、生地にしても決して安物ではありません。1着25,704円だそうですが、スーツの値段を考えれば、決してボラれた品ではないと思います。
値段なりの品だった訳で、その意味で言えば、仕分けは「制服を安物にしろ」と言っていたようなものです。

もし、国外生産するのであれば、小額とは言え、中国に金を落とすのは防衛上問題なので、ベトナムあたりで作ってもらうことが妥当でしょう。
民主党の仕分け人は中国製にしたかったようですが。

一方で、戦闘に使用する被服類は、再考すべきものが多いです。

空自が使用する作業着などは、官品は確か綿製で、難燃どころか、制電でさえなかった。
だから、状況によっては官品を使用するなと指導したことさえあります。

特に、制電でないのは痛い。
電子部品の故障のある程度の割合は、静電被服でないことによる静電気ダメージのように思っています。
質が悪いという点では、編上靴なども同様です。

自衛隊を擁護してくれるのは良いのですが、被服に関しては、むしろ批判してくれた方が、後々隊員の役に立つと思います。

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2012年6月30日 (土)

不安と緊張の行進訓練

レンジャー訓練で都内のど真ん中を行進したそうです。
陸自「レンジャー」行進始まる 23区内では42年ぶり」(朝日新聞12年6月12日)

 陸上自衛隊の精鋭隊員「レンジャー」の訓練生ら約20人が12日、東京都練馬区と板橋区の市街地を行進した。武装したレンジジャーによる東京23区内での行進は42年ぶり。顔に迷彩を施し、小銃にヘルメットといういでたちのレンジャーの姿に驚く住民もいた。

 11週間の訓練の最終日で疲れた表情の訓練生らは午前9時、板橋区内の荒川河川敷を出発。練馬駐屯地までの約6.8キロの道のりをゆっくりと歩いた。

T_tky201206120147
同記事より

徒歩での行進は、軍隊の移動方法の基本です。
レンジャーに限らず、新隊員過程の訓練などでも定例的に行なわれています。

それでも、23区内となると、さぞや目立ったことでしょう。

レンジャー訓練の最終日に行なわれたとのことなので、気力も尽きそうな被訓練者に対して、周囲の目を利用して、限界以上の精神力を鍛錬しようというのが、訓練を計画した側の意図だったのでしょう。
自衛隊の姿を国民に見せるという政治的な意図もあったかもしれませんが、こっちはオマケでしょうね。

行進訓練は、私も、自身の訓練としてもやりましたし、新兵の訓練教官としてもやりました。

決して難しい訓練ではありませんが、重量のある荷物を背負っての行進は、なかなかにきついものがあります。
それは、肉体的にというより、少しでもダラけた姿は見せられないという精神的な負担が強い訓練です。

また、この周囲の目というのは、別の意味でも、被訓練者に不安と緊張を強います。

自衛官も人の子、一般の人に、どんな風に見られるのか気になるのです。

河川敷には約100人の市民が集まった。反対派が「私たちの町を演習場にするな」と抗議する一方、賛成派は「自衛隊頑張れ」という声援を送った。


やはり反対されれば落ち込みますし、声援を貰えれば嬉しいものです。

私が教官として新兵訓練で行進を行なった時には、心ない非難で自衛隊に入ったばかりの隊員がショックを受けないか、ちょっと不安にもなりました。
その時は、黄色い帽子を被った幼稚園児が手を振ってくれたりしたため、不安は杞憂でしたが。

少し穿った見方をすれば、今回のレンジャー訓練は、震災などで対自衛隊感情が好転したことを自衛官も感じる中、相変わらず存在するあからさまな非難にも耐え得る精神力を鍛えたかったのかもしれません。

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2012年5月18日 (金)

自衛隊用語「煙缶」

自衛隊用語は数あれど、最も有名な自衛隊用語は、この「煙缶」でしょう。

「煙缶」(エンカン)は、灰皿のことです。
自衛隊では、直径15cm、高さ20cm程度の業務用缶詰の空き缶を灰皿として再利用(火災予防のため、真っ赤に塗装されてます)している事が多いため、こう呼ばれるようになったようです。
用語として定着しているので、普通の灰皿も、「煙缶」と呼びます。
3幕共通みたいです。たぶん、旧軍からの継承なんでしょう。

はい、終了!
では味気ないので、この「煙缶」にまつわる小話を紹介します。
有名な小話なのですが、何故かネットで探してもそれらしきものは見つかりませんでした。
恐らく、各地で細かいバリエーションがあると思いますが、ここでは大筋をちょっと脚色して紹介します。

煙缶の小話

 自衛隊が、今ほど世間の評価を得ていない頃のお話です。

 ある隊員が、基地外のバーに、1人で飲みにでかけました。
 店内を見渡すと、カウンターの並びに、可愛い女の子が、これまた1人で飲んでいます。

 当然、声をかけない手はありません。
 相手の女の子だって、1人で飲みに来ているのですから、声をかけられることを期待していたのかもしれません。

 自衛官だとバレると、引かれてしまう可能性もあるので、仕事には触れないように注意しながら、各種の話題を駆使し、なんとか、良い雰囲気に持って行きました。

 かなり打ち解けた頃、喫煙者だった隊員は、タバコが吸いたくなりました。
 しかし、手近に灰皿がありません。
 見渡すと、女の子の向こう側に、ありました。

 「あ、そこの煙缶とってくれる?」
 「はい、どうぞ」

 何気なく頼んだ隊員。

 何気なく応じた女の子。

 その瞬間、お互いが自衛官だと理解して、目を見つめたそうです。
 チャンチャン

2012年3月 6日 (火)

階級詐称

突然ですが、クイズです。

自衛官が自分の階級を偽ることを階級詐称と言いますが、実際の階級よりも上の階級を偽る場合と下の階級を偽る場合、どちらが重い処罰を受けるでしょう?

普通、階級詐称を言えば、威張り散らすために、実際の階級よりも上の階級を詐称することが普通です。
ですが、下の階級を称しても、やはり階級詐称です。
果たして、どちらが重い処罰を受ける詐称でしょうか。あるいは階級の段階差が同じなら、上でも下でも同じでしょうか。











答え
実際の階級よりも下の階級を称した方が、より重い処罰を受ける。

だそうです。
だそうです、と伝聞で書いたのは、実を言うと、私も明確なソースを知らないからです。
ですが、現役自衛官時代に、某学校の教官から聞いた話ですので、真っ赤な嘘ということもないと思います。

理由としては、下の階級を詐称することは、階級に伴って付随する責任の放棄にあたるからだそうです。
何となく、納得のいく説明です。

ちなみに、実際の階級詐称事案としては、第3代の航空幕僚長だった源田実氏が、訪米の際に、空将として、本来銀色桜星3つの階級章のところ、勝手に4つの桜星階級章を付けた事例があったそうですが、この時も処罰は無かったそうです。(by wiki)

2012年2月23日 (木)

雪祭りと自衛隊気質

北海道に居住した経験でも無ければ知らないかもしれませんが、全国的にも有名なさっぽろ雪まつりは、自衛隊の協力無くして成り立ちません。

大規模雪像に関して言えば、実質メイン会場と言えた真駒内会場が陸自駐屯地だった(現在はつどーむに移っています)ことを含め、影どころか、間違いなく祭りの最大の功労者です。

陸自の部隊削減などのあおりを受け、現在は以前ほどの貢献をしていませんが、それでも、主力であることに変りはありません。

そしてそれは、今年も同じです。
準備進む"さっぽろ雪まつり"厳寒の中 雪像づくり 制作隊3隊が"競作"11旅団」(朝雲新聞12年2月2日)

彼ら(陸自)の作る雪像は、ほんとにスゴイの一語に尽きます。
空自OBの所感としては、「さすが陸自、空自には無理だな」というところです。

陸自の作る雪像は、非常に巨大で精緻です。
まさに、「用意周到 動脈硬化」と言われる陸上自衛隊気質の面目躍如です。

昨年のさっぽろ雪まつり自衛隊協力作品
Snow62_img012

Snow62_img008
11旅団HPより

空自が同じモノを作ろうとしたら、「似ているけど、別のモノ」になってしまうでしょう。
空自が「勇猛果敢 支離滅裂」と言われるその気質を、良い意味で発揮して雪まつり協力するとしたら、「何でもいいから、明日までに面白いものを作れ」とでも言われた場合でしょうか。

「伝統墨守 唯我独尊」と言われる海自の場合は、どんなものを作るんだろうか?

2011年10月 1日 (土)

自衛隊における同性愛者

米軍の同性愛禁止が解除になりました。

尋ねず・明かさず…米軍、同性愛者入隊規制撤廃」(読売新聞11年9月20日)

短いので全文転載

同性愛を公表して軍務に就くことを禁じた米軍規制が20日、完全に撤廃された。

 長年タブーだった同性愛者の入隊が今後、全面的に認められる。

 この規制は「Don’t ask, don’t tell(尋ねず、明かさず)」と呼ばれ、1993年の導入以降、同性愛を認めた約1万4000人が風紀を乱すとの理由で除隊となった。


約20年間の長期間でのこととは言え、1万4000人は相当な数です。そんなにいたらやはり脅威のはずです。禁止してきたことも尤もなことだと思われるのですが、人権団体の圧力のため、撤廃せざるを得なかったようです。

米軍が今後ホモの巣窟になって行くのかは分かりませんが、正直言って、想像したくもないですね。

さて、今回は、これに関連して、自衛隊における同性愛がどう扱われているのかを書いてみます。

私が記憶する限りでは、自衛隊には同性愛を認める制度も、禁止する制度もありませんでした。
同性愛者がいるという噂は聞いたことはありますが、身近にいた実例も知りません。
アメリカと違って、社会全体が同性愛者に対して否定的なためか、同性愛者であることを公言している人間が皆無なためでしょう。

勇気を持って公言する人間がいれば、恐らく、イジメに遭うものと予想します。そんなケースでは、上官も見て見ぬ振りをするのではないかと思います。

自分自身がその立場だったとしても、同じように、見て見ぬ振りをしたかもしれません。
正直に言えば、私は、同性愛者の入隊には規制をかけるべきだと思います。
軍隊・自衛隊は、それこそ寝食を共にする訳で、そこに同性愛者が入れば、やはり団結は落ちるのではないかと思うからです。

自衛隊が、米軍のように、こんなことを本気で悩まなければならない日が来ないことを祈ります。

2011年6月26日 (日)

自衛隊における「強姦」

現役自衛官時代、常習犯という訳ではありませんが、なんどかやりました。
その都度、随分と怒られたんですが……

怒られて済む話じゃないだろ、と思うでしょうが、自衛隊用語の「強姦」は、なんとか怒られれば済みました。(後述しますが、怒られて済む話でもないのですが……)

たぶんこのブログを読んで下さっている方には、現役、元自衛官も多いと思いますが、自衛隊用語の「強姦」なんて知らない、という方も多いと思います。
と言うのも、これは幹部、それも司令部勤務をするような幹部でないと、あまり使う機会がないのです。

さて、この「強姦」は、文書を起案する幕僚に対して、次のように使います。
「次の訓練の実施般命(はんめい)は、まだ決裁受けに行ってないのか。お前、強姦するつもりか?」
「強姦」の意味は、これ以上文書の決裁が遅れると、実施に支障が生じるようなギリギリの時期になって、始めて決裁を受けようとすることで、指揮官に、決裁印を押させることを強要することを言います。
決裁に赴きながら、何度もダメ出しをくらったようなケースでは、普通使いません。

ですので、部隊の動きを指揮官がほぼ把握できているような規模の部隊、具体的に言うと指揮官が1佐までの部隊ですと、決裁が遅れている段階で、「オイ、あの件はどうなってるんだ?」という話になって、「強姦」が起るようなケースはあまりありません。
自ずと、「強姦」が行われるのは、指揮官が記憶だけで全部を動かすようなことが難しく、多くの幕僚がいる大きな部隊で、指揮官は将官であるような司令部、ということになります。

そうなると、「強姦」の対象は、多くは初老の男ということになりますから、改めて考えてみると気色の悪い話です。
品も良くありませんね。

この「強姦」をやらかす幕僚は、私の記憶では、まじめで几帳面な、いわゆる血液型で言う(これってエセ科学らしいですが)ところのA型人間に多いような気がします。
各方面に綿密な調整を行い、しっかりした文書を作ろうとした結果、ズルズルと〆切りに近づいてしまい、「強姦」することになってしまうのです。
「適当に作って指導を受ければいいさ」と考えている人間は、「強姦」はしません。

冒頭で書きましたが、「強姦」やらかすと、当然に怒られます。
ただ、本当に怖いのは、激怒するタイプの指揮官ではなく、仕方ないと思いつつも決裁印を押してくれるような指揮官です。
例えると、田母神元空幕長のようなタイプです。
「強姦」の文書を持っていった時、こう言う方が、渋い顔をしたときは、訓練などの時期の変更や中止を考えている時ですから、調整した隷下の幕僚になんと言ってお詫びをするか、また休暇の時期をずらさなければならなくなる隊員のことを考えると、背筋に冷や汗が流れます。
対して、怒るタイプの指揮官は、ここをこのように直して文書を発簡しろ、という方が多いので、隷下部隊にも「司令官がこのように言いました」と言えばいいので、気分的には楽です。

最後に、真面目な話を。
さて、この「強姦」ですが、司令官の意図に反するような決裁をさせることもある訳ですから、これは「幕僚統制」そのもので、言うまでもなく、指揮統制上、非常によろしくありません。
もしかすると、旧軍では結構多かったのかも知れません。

なお、最近は、司令部に勤務するような女性自衛官も増えてきているので、この用語も、セクハラだということで、使えなくなってきているかも知れません。

2011年5月 2日 (月)

断郊競走

先日、ネットサーフィンしていたところ、懐かしいモノを目にしました。
それは、断郊競走についての記事です。

断郊競走とは、一般的な意味では、森や野原、丘など起伏のある必ずしも道でないところをコースとしたクロスカントリーレースを指すようです。

ですが、自衛隊での断郊(競走)は、ちょっと違います。
自衛隊での断郊が一般的な意味と違う点は、次の2点です。
①装備(弾帯、背嚢、水筒、銃など10kg程度)を持つ
②数人を1チームとしたチーム走(最後のメンバーがゴールした時がチームのゴール)

普通なら単に荷物を付加したチーム走になるのですが、このルールを言葉通りに解釈して行われるレースの場合、非常に面白いレースとなります。
このルールを、言葉通りに解釈すると、メンバー間で協力を行っても良いことになります。
つまり、装備を足の速い者が持ってもOKですし、足の遅い者を他のメンバーが引っ張っても良いのです。

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防大タイムズ&防衛大学校同窓会HPより

チーム走ですから、普通は足の遅いメンバーをどれだけ鍛えられるかで勝敗が決まりますが、この協力OKルールですと、足の速い者も、より多くの負荷を負うことでチーム全体を速くできるため、単なる体力だけでなく、どれだけ団結力があるかも試されます。
軍隊にはピッタリの競技と言えるのです。

この断郊、やってみると非常に面白い競技です。
ただし、めっちゃキツイです。
多くの荷物を持ったりするため、足の速い人もキツイのですが、でもやっぱりキツイのは足の遅い人です。
何せ、弾帯を引っ張られ、背中を押されて自分の限界を超えた走りを強いられます。ルームランナーで自分の能力以上の速度を指定され、強制的に走らされるようなモノです。
だからこそ、断郊競走で勝利した時には、この上ない喜びとなります。

学校教育でもやったら、良い思い出になること請け合います。
しかし、ただでさえ日本は小学校から軍隊教育をしている(整列したり、一同礼なんてやっているため)なんて言われるのに、そんなことやった日には、完璧に軍隊だと言われかねませんが……

しかし、ここまで良い点ばかり書いてきた断郊競走ですが、自衛隊でも恒常的に行われてはいません。
なぜかと言うと、装備を持つことや個人の体力の限界を超えた走りを要求されるため、怪我をする可能性が高いのです。
靴が半長靴や編上靴なのも一因です。

それでも、退職してからそれなりに経過したにも関わらず、断郊は、良い思い出として残っています。

2010年8月15日 (日)

自衛隊高級幹部の官舎事情

陸自総監官舎放火は26歳業者「工事、間に合わず…」 兵庫」(産経新聞10年8月3日)

ニュース自体は、どうでもいいニュースです。
ただ、このニュースを見て違和感を覚える方もいると思うので、自衛隊高級幹部の官舎事情について、少し書いてみたいと思います。

自衛隊の官舎というと、マンションのような集合住宅を思い浮かべる方が多いと思います。
実際、現存するほとんどの官舎が集合住宅様です。

しかし、過去には戸建ての官舎も結構ありました。これは何も贅沢でそうなっていた訳ではありません。鉄筋コンクリート製の集合住宅の建設費が高かった時代では、土地代の安い場所では、戸建ての方が安かったからです。

ただし、高級幹部用の官舎に関しては、敢えて戸建てで建てられた所もあります。
実際は知りませんが、今回の事件の場所も恐らくそうでしょう。
敢えて戸建てで建てたものなので、未だに戸建てで現存しているという訳です。

基準の詳細は知りませが、ある程度の高級幹部(恐らく指揮官職の三つ星将官)クラスになると、官舎は公邸としての位置付けになり、居住空間の他に、応接用のスペースが設けられます。

私が実際に知っていたケースでも、応接セットが置かれた応接室が官舎の一部に設けられていました。
ただし、三つ星将官にも関わらず、そのスペースは6畳ほどしかなく、率直に言って恥ずかしくて使えるものではありませんでした。
そんな代物なので、実際に使われたケースも知りません。接遇が必要な場合は、部隊の庁舎を使うか、部外のホテル等を使います。

応接用スペースがある以外は、高級幹部用の官舎だからといって、取り立てて変りはありません。
各室が若干広い程度です。

分かりやすく言えば、思いやり予算で建てられた一般米兵用の宿舎より劣る程度というところでしょう。

三つ星将官の官舎は、庭でパーティがやれる程度でも良いと思う(米軍の接遇には必要)のですが、他省庁の高級官僚でも大差ないようなので、この辺は日本の文化なんでしょうね。

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