「Trials Go」(海外名 Trials Frontier)です。
真横視点のモトクロスゲームで、スマホにはよくあるタイプのゲームですが、他と違うのは非常に遊びやすいこと。
この手の欧米製のモトクロスゲームは Bike Baron に代表されるように、そのほとんどが「マゾゲー」「死にゲー」であり、超難解なトラップだらけのコースを延々とリトライを繰り返しながら進んでいくものが多いのですが、このゲームは初見でも普通にクリア出来るコースが多く、バイクのコントロールも容易で、万人が楽しめるバランスになっています。
販売は Ubisoft、開発はフィンランドの RedLynx というメーカーで、ここはこの「Trials」シリーズで有名になり、2011 年に Ubisoft に買収された経緯があります。
右ボタンで前進、左ボタンで後退、回転ボタンでバイクの体勢を変えるという、一般的な操作のモトクロスゲームです。
ジャンプ中に回転ボタンを押しっぱなしにすれば「フリップ」と呼ばれる宙返りも可能、地上で後方回転ボタンを押せばウィリーになります。
着地体勢が悪かったり、ドライバーが頭をぶつけたりすると転倒してしまいます。
この手のゲームは「物理シミュレートされたコケっぷり」を楽しむものも多いのですが、このゲームは割と現実的な挙動で、派手にぶっ飛んだり、タイヤがポンポン跳ね飛んだりすることはありません。
コケてもリトライボタンを押せばすぐ直前のチェックポイントから再開可能で、ミスってもあまり戻されません。
バイクも重量感を感じるやや重めの挙動で、おかげで回転しすぎることがなく、コントロールのしやすさに繋がっています。
ステージクリア制のゲームで、ゴールまで行けばクリア。
タイムによってブロンズ・シルバー・ゴールドの評価が付けられます。
フリップなどの技は、それが要求されていない限り無理に行う必要はありません。
グラフィックは XBOX 版ほどではありませんが、3D で表現された見応えのあるコースになっていて、バイクが乗ると吊り橋がたわむなどの物理表現もリアルです。
滑車が転がって来たり、爆薬で吹っ飛ぶなど、ユニークなしかけも多いですね。
※巨大な滑車が落ちてきて坂道を転がってくる! 他にも岩が崩れたりとか、色々なトラップが満載。
でも難しすぎず、マゾすぎないのが良いところ。
※ライバルとレースするステージもある。 出来れば勝ちたいところですが、勝利が必須ではない場合もあるので、負けそうな時でもとりあえずゴールしてみましょう。
ただし設計図を探すステージの場合、負けるとルーレットを回せないので注意。
このゲームの大きな特徴の1つは、モトクロスゲームであるにも関わらずストーリーがあり、それに沿ってミッションが進むこと。
この世界は近代文明が崩壊しており、そんな中で流れのライダーであるプレイヤーは、住民の要望に答えながら周辺を縄張りにするバイカーグループと対決します。
ステージをクリアするとルーレットを回すことができ、パーツやダイヤなどが手に入ります。
ミッションには「フリップを1回決めろ」「敵ライダーに勝て」などの他に「特定のパーツを集めろ」といったものもあり、これらを達成することでストーリーが進み、より多くの資金と経験値も獲得できます。
パーツはマシンのアップグレードにも必要で、なくても実行可能なのですが、必要な資金が割高になります。
ダイヤがあればそれを消費してパーツを調達することも可能で、このダイヤは課金通貨なのですが、ゲームの進行でも割と手に入ります。
※こうやって町で住民の依頼をこなしながらゲームを進行していきます。
今までのモトクロスゲームにはない展開ですね。
※ステージ選択画面は、ステージ選択と言うよりワールドマップになっています。
徐々に探索地を広げながら、敵バイカーのアジトを探っていきます。 ステージによって得られるパーツも異なります。
モトクロスゲームとしてのクオリティーの高さにストーリーを進める面白さも加わって、かなり楽しめるゲームになっています。
この完成度の高さなら約1週間で 600 万ダウンロードというのも頷けますね。
ただアイテム課金制のゲームであるため、それに伴う残念仕様も含まれています。
まず、プレイするごとにガソリンが減っていき、なくなると遊べなくなる「スタミナ制」であること。
さらに海外のソーシャルゲームによくある「パワーアップの待ち時間」も導入されています。
これらの待ち時間はダイヤで短縮することも出来ますが、ダイヤを課金購入する場合、最低課金額は 500 円からと割高。
300 円でまとまった量のダイヤを購入できる限定セールもありますが、初回のみです。
ただ、ガソリンは3分で1回復し、1回のプレイで5消費。
最大値は徐々に上がっていきますが、30 だったとして全快までは1時間半。
待ち時間は(この手のゲームとしては)短い方ですね。
※町の画面。 こういうシーンがあるのが既存のレースゲームとは一線を画しています。
※アップグレード画面。 パーツがあれば費用が安くなるのを忘れずに。
アップグレード時の待ち時間は最初は数秒ですが、徐々に長くなっていき、数十分、数時間待たされるようになっていきます。
この欧米ソーシャルの悪しき習慣は何とかならないものか・・・ まあ向こうも日本のガチャに対して同じように思ってるんだろうけど。
本体価格は無料で、課金も必須という程ではなく、それでいてこのクオリティーなのでオススメできるアプリです。
ゲーム自体には目立った難点はありません。
オンライン機能を使うのに Facebook アカウント(もしくは専用アカウントの登録)が必要ですが、気になるのはそのぐらいです。
良い意味で「洋バイクゲー」らしくないゲームです。
スマホのユーザー層を考慮し、カジュアルなシステムと難易度に調整したのだと思いますが、そのおかげで角が取れて、取っ付きやすくて長く楽しめる内容になっている印象です。
にしても相変わらず、北欧圏のスマホゲームはレベルが高いですね。
・Trials Go(iTunes が起動します)
基本無料だから、逆に課金する価値を見極められるといえば一理ありますが。
ゲーム部分よりも課金演出に作り手の本気を感じてしまったら、その時点で即アンインストールです。