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2011年3月2日水曜日

「社会に適応するため自分を操ろう」精神分析発大衆操作の歴史ドキュメント「自我の世紀(2)合意の捏造」

脳がポジティブに

空高く羽ばたく鳥のように 野に咲く一輪の薔薇のように
自由な精神を持ち続けたい



たとえばそう思いつつ日々を生きる いち自由人に対し
読者諸君も御存知のとおり、
現代日本は実に冷たい社会である

寒い朝など布団を出るのが億劫だ
ついつい朝寝の自由を行使 
遅刻が重なり留年に

理不尽きわまるパワハラ上司の圧制にNO
自由の精神で対抗だ
ついつい小突いて懲戒免職 

マリファナ吸っても電車で女の尻を撫でても
コンビニ内で封を破った菓子パンむしゃむしゃ食べても
この社会では許されない 「ちょっとアンタ!何してるの!」


哀れお縄となった元自由人はその非を諄諄と諭される
「自由には責任が伴う」と

責任つまり後払い 駐車場にポスターありますね 
「無断駐車は罰金10万円申し受けます」 同様に
上司を殴ったら×万円、電車の痴漢は×万円と
いちいち書いてある本がある いちいち決める人がいるわけだ

人間社会はお互い様 逆にこちらが無料で殴られてはたまらない
「俺の自由」と居直られても困る 
個人の自由を制限せずには個人の集団が、
つまり社会が成り立たないのです


「社会?関係ねぇだろ」みたいな自由人は恐ろしい いつ殴られるかわからない 
必要なのは教育だ 社会のルールを叩き込まなきゃ
「バチがあたるよ」「地獄に堕ちる」「生き倒れて死ぬぞ」「刑務所に入りたいの」 
いくら説いてもダメな人、イコール頭がアレな人 
要治療、トどっかに閉じ込めちゃうのが通例ですね 
お巡りさんに連れてってもらわなきゃ 社会の管理下に置かなくちゃ 

生まれ変わらせる


だが上の如き豪傑譚 最近はあまり聞かないね 
無差別殺人達成後、諭されちゃんと反省する人までいる
知らん人刺す前に諭されとけや、と思うけど
ひとはひと自分は自分の、これも御時世也 

「その気はあるのに社会に適応できない」
むしろ近年よく聞くのはこっちのほうだ 
せっかく生まれた管理社会で管理されない自分が悲しい 一体どこがマズいのか、と


にしても、適応の激ムズいその「社会」って具体的にどんな社会?と
問うても答は千差万別で
要するに、親だの教師だの上役だの新聞TVだのの
「期待される人間像」通り振る舞えない、て話だったりもする
だから狐の落ちるが如く、一人暮らしや転職で解決することもしばしばだ

ハナからあやふやな「社会の望む理想像」を当て推量に熱演し
その甲斐の無さに疲れ街行く人をフト見上げて溜息ばかり
「何でこんな社会に耐えられるの…」「みんな苦しくないの…」
「変な狐にでも憑かれてるのでは?」「狐が日本を支配してるのでは?」

マァ狐は諸君の心の中に つまりどこにでもいるしな


*先に日本語翻訳したBBCドキュメント映像の傑作シリーズ 今回は狐狩りの話 

精神分析がいかに大衆操作に用いられたか、の検証ドキュメント
「自我の世紀 Century Of Self」パート2「合意の捏造」を見てください
2から見てもだいじょうぶ面白いです (パート1パート3)(YouTube)



今回は精神分析学の祖ジークモント・フロイトの娘、アンナ・フロイトの内面操作術が
戦後アメリカ消費社会に広まり衰える過程&
フロイトの甥エドワード・バーネイズの演出したグァテマラの政変劇(PBSUCCESS作戦)が中心

喧伝される「無意識の恐怖」に怯えたインテリ官僚財界人が
精神分析理論をテコに 
いかに戦後アメリカ大衆を操ったか&どうして操りきれなかったのか、が見所だ


個人的にはこの何気ない一言が強烈だった
「民主主義の価値を内面化する」

民主主義内面化

「共産主義の内面化が足りない」と同志殺しを繰り返したのが連合赤軍リンチ事件

ソ連で政治犯は精神病院行きなら、
アメリカじゃ原爆投下の罪悪感を拭えなかった将校が「精神を病」み
もっと昔は黒人逃亡奴隷が「精神病」とみなされた 今は小児猥褻犯=精神病者 
次は「差別主義者」の番だろう 


「内面化」の完了した社会の優等生が、規範に外れた者を狩りだせば
魔女狩りと同じで歯止めがきかない 何しろテキは「内面」の、目には見えない心の病
異議を口にするだけで、「お前もか!」こっちが狩られちゃいそうだ 


病院送りは御免こうむる、と日々社会適応にきりきり舞いの我々も、
ひとたびそのおっかない「社会」を規定すると
何か普遍のもの、変わらない不動の存在を頭に描きがちであります

だが読者よ10年20年前の自分を思い出して欲しい 
欲望、悩み、人間関係、
現在ただ今コレ読んでる君と昔の君は、ある意味ほとんど別の人なはず 

変わったのか変わらされたのか、イヤ実際は何も変わっていないのか
もしも歴史に学ばなければ
それ測る基準は他人の眼という「社会」だけだわね 堂々巡り


「なら考えたところで何になる?乗り遅れないことが肝心なのだ」と
自己操作を説く新書の類が
ベストセラーに挙がっては忘れられていく

人権民主主義の御時世に
電気ショックやLSDで頭を書き換えるのはもう古い
悟られずソフトに誘導するのがウィンウィンへの王道です、
くらいの説はそんな新書にだって書いてある 

大衆操作が身近にソフトに暮らしの中に入り込んでいる現在
その霊験ますますあらたか、かどうかは知らないが

気づかせずall


ところで「社会適応」の1ランク上
ままならぬ世間の誰彼を、思うまま操れたら楽しかろう
銭も名誉も権力もアッチの方も満たされる 

自己操作や自己変革のすすめには、
この万能感への希求を誘う香りが強い


そもそもわれわれ皆が一方的に操られ、
適応を即される「被害者」なわけがない 
人間社会はお互い様 けっきょくのところ、
他人や社会を操りたいからこそ「新しい自分に生まれ変わりたい」のだ 

「敵を騙すにはまず己から」のつもりの自己操作の果て
狐に憑かれた狩人が束になって「狐は、狐はどこじゃ?!」と
右往左往してるのが モノノケ大衆社会の実態じゃないの?
やっぱり狐が日本を動かしてるんじゃないの?
ト世相を斬ったところでこの項終わる


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心理学化する社会封建主義私には夢がある―M・L・キング説教・講演集カッコーの巣の上で

「好きになった」: フロイト精神分析発「電通の陰謀」行 大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(1)」を見てください

「好きになった」: ペドフィリア収容所 ―小児性虐待者は治せるか 米精神病院レポート

2011年1月24日月曜日

フロイト精神分析発「電通の陰謀」行 大衆操作プロパガンダの歴史ドキュメント「自我の世紀(1)」を見てください



聴くだけで乳が膨らむ彼女が出来るハゲにふさふさ毛が生える、奇跡の着うたあったでしょう
1週間で1万回ダウンロードされたという
アレつくったひと、「営業は『洗脳』「洗脳護身術」「夢をかなえる洗脳力」の著者は
自ら脱洗脳したオウム・シスターズの一人と結婚したってきいた 

まじめなはなし、奥さん不安にならないのかね 嫌だアタシまた洗脳されてるんじゃないかしら 
気づかず洗われるよりマシか



窓のないオウム真理教団施設では飲み物にLSDだのシャブだのまぜて
信者のハートを掴んでいたと聞くがそれだとずいぶん費用がかさむ 普通の御家庭では試せません 
その御家庭での神信心、しつけもこのごろ洗脳と呼ばれたりしてる ソフトなやつがマインドコントロール 
つまりは知らせず朱に交わらせる、無意識理に同意を即す、との意味らしい 
具体的にどうなの?と調べても効果の程がよくわからない ノリのいい人ってどこにでもいるしな

我々しょせんが寂しい獣で放っておいても同意を求める ね?
同意できないなら出て行け帰れ、と新参に発破をかけたあげく
じっさい帰られた上司が思わず漏らす「ゆとり世代は理解不能」 洗脳失敗の巻である 


どうしてそんなに洗脳したいか、といえばそれはもう話が早いから、に尽きますね 
いいから黙ってついてこい、世間をナメるなそういうもんだ、で押し切れる 

以心伝心言葉のいらない世界に住みたい これが我々の究極の欲望で、
それは無理だからなるたけコミュニケーションを削りたい?みたいな?
四の五の言わずと熱燗だのもつ焼きだのパッと出てくればいいじゃないですか 
馴染みの店なら「いつもの」一言で出てきて欲しいじゃないですか いますぐに!一秒で!一瞬で! 


ただの呑み屋と常客ならそう害ないところ
対手が部下だと途端にややこしくなる 「人心操作」のニュアンスを帯びる 
これでスケール広がってテキが群衆、消費者国民ならなおさらであります 

舌先三寸のマニフェストに踊り操られたのが愚民なら
支持率低下に焦り人気取りに励む大臣だってポピュリズムに操られてる 
馬鹿はお互い様、とはしかし、マジメな人は思わない


「人の心を動かすコツ」みたいな新書にグイグイ蛍光線を引っ張る我々善良な大衆も
すでに知らず遠くの誰かをささやかに操っていたりする 
2chでツイッターでデマ拡散したり 「また電通の陰謀か」論説に「イイネ!」クリックで一票いれたり

情報支配一極集中が不能の21世紀に「プロパガンダ」は空気の如くありふれたものとなった


そんなら「洗脳」のいまだおどろおどろしい響きはどこからやってくるんだろう 
「知らず騙されるのは嫌だけど、わかってて選んでる、大丈夫だ」 
その「大丈夫」ホントに大丈夫?との鏡地獄から逃れられない そういうことではないだろうか 

「洗脳」「マインドコントロール」の前提にある発想、「無意識」の浸け込む余地がここにある 
あなたの知らないもう一人のあなたが鏡の向こうで笑う 
景気のよかった頃の「自分探し」は今サイコホラーの題材だ 
言えなかったこと言いそびれたこと言い残したことが
マスクを被って暗いクローゼットのなか包丁片手に息を潜めている あなたの帰りを待っている 
やにわに組み敷かれ首を締められて抗ったあげくマスクを剥げばその顔は、まごうかたなきあなたの顔
「こんなはずじゃなかったのに!」「こんなはずじゃなかったのに!」

なんぞという


前置き少々長くなった

今日紹介したいのはホラーじゃない、が、ある意味もっとヤな映像

ここ数年で一番面白かったドキュメンタリー
BBC2002年放映「自我の世紀 Century Of Self」第一部
「ハピネス・マシーン」の日本語字幕版を作りました



監督アダム・カーティスAdam Curtisは20年を超すキャリアの持ち主で、
この四部映像「Century Of Self」はかれの代表作




自我の世紀 Century Of Self」は
無意識」を発見したフロイトの精神分析理論が、いかに大衆操作に使われてきたか、を検証する歴史ドキュメント
第一部はフロイトの甥、天才PRマン、エドワード・バーネイズの話が中心となる
戦時プロパガンダを大量生産品の宣伝に応用し、「PR(パブリック・リレーションズ)」という言葉を世界に広めた男



宣伝の魔術師が財界の大物に成り上がり、ニューディール政策下のアメリカ政府と対立するまでの60分です
そもそもヒステリー強迫観念に悩まされていた弱者を救うための精神分析理論が、
「愚かな大衆」をカモり大人しくさせておくための操作法として利用される歴史の皮肉が見所だ




シリーズ「自我の世紀」を貫くテーマ「民主主義は可能か?」は「我々は信じあえるのか?」と言い換えられる 
政府と国民は、大企業と消費者は、マスコミと読者視聴者は、 
精神分析医と患者は、ドキュメンタリーとそれ見てる君とは、
結局のところ、信じあえるのか?


信じられない、情報が足りない、隠された真実を追求すべし、と
陰謀論にハマっていく人もいる
「全てプロパガンダに過ぎない」「裏に黒幕がいる筈だ」と
唱える我々はつまり、誰かに騙されたくないのだ 
知らないことで損ばかりしてきたから   
どうして今までみんな教えてくれなかったんだ、と、世の理不尽に憤ってきたからだ


だが、このドキュメンタリー、真の主役のその「誰か」はフロイト一家ではない
大統領でも財界の大物でもない 歴史を動かすのは「大衆社会」という風潮だ

この世からプロパガンダが消えることはない」とバーネイズは書いている
「女性も教師も学校も、プロパガンダを行うべきだ」と

「自我の世紀Century Of Self(2002)パート1」をダウンロード
パート2パート3)(YouTube)

(この日本語版映像はDenver Open Mediaのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに則って作成されています) (たぶん)

下の画像はおすすめ参考書籍類 クリックでAmazonに飛びます
長谷川三千子ものぐさ精神分析大衆の反逆バーネイズ
フロイト先生のウソ精神分析

2010年9月3日金曜日

ペドフィリア収容所 ―小児性虐待者は治せるか 米精神病院レポート

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「OK、マジではっきりさせておこう。カメラの前で言っておく」
キッチン氏は吐き捨てるように誓う。
「今では子供に魅力を感じない。愛情欲しさに子供を捜しまわったり、
子供達とセックスしたいとは思わない。これでいいか?」

*英放送局BBC News、2009年4月の記事
Where they keep the paedophiles」を紹介したい

これ未成年強姦魔や小児猥褻犯ばかりを強制収容しているカリフォルニアの精神病院を取材したレポートで、
同時期に放映されたTVドキュメンタリー番組「A place for Paedophiles」の解説文としても読めます
が映像よりレポのほうが面白い 

You Tube (英語:英字幕は右下の「cc」をクリック→音声を文字に変換→OKクリックで出現)
児童ポルノ規制でケンケンガクガク大騒ぎしてるわが邦ネット界ではしかし、ワリカシ知られていない話?じゃないかナ?

以下全訳する 誤訳指摘よろしく  原文_45673983_theroux_blur_bbc_226



カリフォルニア州、小児性虐待の再犯者たちは、快適な精神病院へと収監され、
一般社会とは無期限に隔離される。 しかし、これが問題の解決となるだろうか?
ルイ・セロー(Louis Theroux)は語る。

*「この絵はいったいどういうこと?」

Coalinga精神病院で数日を過ごした際、リグビー氏にかれの宿舎を見せてもらった。
ハイ・スクールの体育教師だった人だ。生徒への強制猥褻で有罪判決を受けるまでは。
「こと男の肉体美にかけちゃ、私は目利きだよ」と彼。e40bcd205b3954276442258159388ad3

案内された部屋の壁には男の裸をかたどった古典彫像写真が飾られていた。目が点になったね。
古代ギリシャの名高い男色礼賛趣味を盾に、
己の性癖を正当化するペドフィリア(小児性愛者)の存在は知っていたから。

壁にはバレエ・ダンサーの若い男たちを描いた複製画もある。はっきり性的な含みをもった絵だ。
性犯罪者の治療施設で、患者が自室をやや性的なポスターで飾るのはOKなんだろうか?
僕からすれば、とうぜん規則違反に思えるけれど。 95c89f320933c54b3765aeb746bc419a

一緒に居た、リグビー氏担当ソーシャル・ワーカーはこう答えた。
「彼も子供じゃないからね」



リグビー氏は4人の相部屋に住んでいる。広々して風通しよく、大きな窓に鉄格子はない。
既婚者のかれには子供が2人。
でもここCoalingaでまた別の男と肉体関係を続けているという。その相手も小児わいせつ犯だ。
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*居心地のいい収容所


そういったリグビー氏の性生活もまた、この精神病院では許されているらしい。
セラピストの言うに、かれのリハビリは順調だ。
カウンセリングとグループ・セッションを受け続ければ、理屈では、一年もしないうちに社会復帰できる。

Coalinga病院でおどろいたことのひとつ。
およそ800人の性犯罪者が集められ住むこの施設は、実に居心地がいい。
開かれて広い室内エリア―ショッピング・モールと似ていることから「モール」と呼ばれる―には、
床屋や喫茶店、小さな図書館が用意されている。
テニスコート、エクササイズ機器、設備の整った体育館には音楽が鳴り響く。
アート・セラピークラスに立ち寄ったり、試聴室へと足を向ける患者たち。
大体のところ、豪華な全寮制の新築校舎を思い浮かべれば間違いない。

しかしCoalingaが学校と全く違うのは、
ここがカリフォルニアで深刻化している小児へのわいせつ犯や強姦犯たちを
最高級の保安設備で閉じ込めている病院施設、という点だ。

釈放された性犯罪者たちへの社会不安に応えた新政策。
その主力施設がCoalinga精神病院なのだ。

Coalingaの住民たちは全員、刑期をすでに終えている。
だが、精神病と診断された者たちをそのまま社会に解放するかわり、
もう一度監禁することが可能となった。―こんどは無期限に。刑務所でなく病院の中に、だ。



*閉じ込められた「ミスター」たち

Coalingaの快適な環境は政策の一環だ。ここは処罰のための施設ではない。
患者たちはすでに刑務所で刑期を済ませている。
病院の趣旨はあくまでも、かれらの精神的健康の回復だ。

ある意味、この種の公的抑留施設は、当局が見出した法の抜け道なのだ。
「性犯罪者を長期にわたって隔離すべき」と人々が行政に対し要求した結果だ。

すでに判決ずみ、刑期を務めた元受刑者を
なお閉じ込めるには「入院」の一手しか術がない。
そこで患者たちは「性暴力の捕食者(Predator)」として、
カリフォルニアから法的に類別され、
高い鉄条網のフェンス内に閉じ込められる。


しかしその一方、折りにふれ、度が過ぎるほど、彼らは丁重に扱われている。

「患者」は卑屈な言葉とされ、拘留者は「いち個人」として扱われる。
会話に彼らの名をあげる際、職員たちは「ミスター」をつけて呼ぶ。
誰もここからは出られない。が、他の規則は驚くほど寛大だ。患者は選挙に投票できる。
―病院規則への抗議のしるしに己の足指を切り落とした精神異常の強姦犯。かれはオバマに入れたという。

彼らはここでポルノを見られる。子供の登場するTV番組やレンタルDVDの視聴には何の禁則もない。

病院では、健康的な雰囲気作りのため定期的にイベントが催されている。
お招きに預かったハロウィン・パーティの晩、私はシュールな光景を目の当たりにした。
15人あまりの性犯罪者たちが「アダムス・ファミリー」の主題歌を歌っていたのだ
来週のタレント・ショウにむけて―チラシに曰く「Coalingaのアイドルを探せ」



*小児性愛は「治療不能」

恐怖や不安、依存をセラピーで乗り越えよう
だがセラピストやソーシャル・ワーカーたちの割り切った仕事ぶりは、患者たちの意識と全くかみあっていない。

そもそもペドフィリアの傾向要因は遺伝かはたまた環境か、意見はバラバラで一致しない。
にもかかわらず、Coalingaのセラピストたちは口を揃えて言う。「小児性愛という病は全治不可能だ」
患者が子供に性的欲望を抱くのは、一種の「社会的順応」と思われる徴候があり、
いわゆる「正常愛」へのリプログラミングはむつかしいという。


セラピーに参加した患者は、計画に沿ったグループ・ミーティングとカウンセリングを繰り返す。
―アルコール依存脱出プログラムのように。
プログラムの初期段階で、彼らは己の性犯罪を、警察には告げなかったことまでも含め、全て詳細に報告する。
被害者への共感を学ぶのだ。
患者は心に浮かぶ思念を観察し、病的な夢想を追い払う術を学び、
セラピストは患者の「認知の歪み」や「じつは子供は大人とセックスしたいのだ」などという妄想と戦うこととなる。9e563591b18849411b3c855220327ece

患者たちは嘘発見器に加え、プレスチモグラフと呼ばれるセクシャル・テストをうけている。
被験者のペニスに器具を取り付けて様々な画像を見せ、勃起率から興奮度を測るものだ。



*自己去勢して人格改良

プレスチモグラフに使われる画像には18禁ポルノもある。
暴力的な性行為を連想させるものや、子供たちが果物を食べたり、水着で走りまわる図。
これは一般に、性的興奮とは程遠いイメージだ。


僕の会ったうちで、少なくともひとりは、ラム氏は人格が改良されたようにみえた。
40代後半の彼は、ティーンを狙うわいせつ常習犯だった。被害者にはふたりの実娘も含まれている。
刑務所に入っても彼の性癖は治らない。ようやく変わりはじめたのは性暴力捕食者治療プログラムがきっかけだ。

かれはセラピーを評価しつつも、自分の場合、去勢で変われた、と語った。
ペニスを切り落とすことで、頭の中を占めていた小児への性的欲望から解放された、と。
Coalingaのプログラムに去勢は含まれていないが、自発的処置はできる。


齢60に近いプライス氏。Coalingaではじめて僕が話した人だ。
幾度となく性犯罪をおかした彼は日曜学校の教師だった。
膨大な被害者リストの大半は、かれが教会で知り合った少女たちの名前だ。
プライス氏は自己セラピー・プログラムに打ち込んでいる。
思考をメモにとり「日誌」として長大なノートに記録し、過去の性暴力を繰り返し噛み締め過ちを悔いている。



だがCoalingaの抱える一番の問題は、大多数患者全治療を拒否していることだ。

かれらはまず刑務所へ、それからCoalingaに移送されている。
はじめにここに送るべきではないか、多くの者はそう考えている。

かれらは拘留の原因、つまり彼らの犯した罪が、精神病ゆえとは思っていない。
償いは済んだ、拘留は解かれるべきだ、
セラピー・プログラムは彼らを永久に閉じ込めておくためのお遊びに過ぎない、と。



*21世紀の座敷牢


セラピーを受けない患者たちには、かれらの精神に問題がある、との見解に腹を立てるものもいる。
そのひとり、ヤーン氏に聞いた。治療が必要とは思わない?
「頭痛で『治療』を受けるかい?」

あれは酒の上の過ち、と治療を避ける患者もいる。幼児への痴漢行為はアルコールの所為だ、と。
―少々飲み過ぎれば誰だってペドフィリアと化す、そう言わんばかりだ。


妄言ばかりとは言い得ない。治療拒否側の主張にも一理ある。

導入10年を越えた性暴力捕食者治療プログラム(SVP)の記録によれば、
Coalingaの門をくぐった数百名のうち、セラピーによって回復し、
病院を出たのはたった13人だけなのだ。

お仕着せ治療を疑って抗う患者たちとCoalinga病院とは相互不信で隔てられている。
心療専門用語が飛び交う快適な雰囲気にもかかわらず、
大多数のCoalinga患者にしてみれば、ここは刑務所や倉庫で暮らすよりはマシ、
じっさい設備の整った小さな宇宙船で送り出されるよりはまだマシなのだ。


アメリカの納税者は、こういった病院への投資を惜しまない。
じつのところ、これは小児猥褻犯と強姦魔数百人を無為息災に過ごさせる施設なのだが。

患者ひとりにつきCoalingaにかかる予算は年20万ドル。
1500人で満室の病院に患者は増える一方だ。
このような治療施設助成に託された希望がどんなものであれ、結果は
アメリカがもっとも見たくない者たちを、ますますその視界から遠ざけていくばかり。

投票し、テニス・レッスンを受け、ポルノビデオを観、パーティを開き、
他の男と病院内でセックスし、ジャズ・コンボでベースを弾く男たち。
かれらに許されないのはたったひとつ、ここから出て行くことだけなのだ。

他州もCoalingaをモデルとした施設導入案にサインしている。―最近ならニューヨークが。

近所のペドフィリアたちをカントリー・クラブじみた施設に隔離し、
一生閉じ込めておくことに、喜んで税収を投入する人たちは大勢いる。



*以下解説
The Call of the Weird: Travels in American Subcultures

上記事の筆者であり案内役のルイ・セローはイギリスの人 BBCで人気のドキュメンタリー作家です
ポール・セローの息子と言ったほうが話が早いか

英国といえばWhoのピート・タウンゼントが児童ポルノサイトにアクセスしお縄となったオペレーション・オァの国
小児性虐待に厳しいことルイさん映像じゃ終始しかめっ面でした

だからこれイギリス保守層からアメリカ人権欺瞞社会への批判ともとれる記事


*「変態は治らない(でも、やるんだよ!)」と頼りねぇセラピスト、
人権(変態)VS人権(それ以外)の冷戦下、付け焼刃に楽観的なお役所仕事

平均年齢47歳の患者850人のうち治療を受け入れる者は全体の3割 (2010年8月現在)
Coalinga内「報酬システム」では、治療過程でポジティブな振る舞いをしたグループにポイントが与えられる
一日につき100ポイント 500ポイントたまると石鹸と交換できるそうです 石鹸一個じゃなくて石鹸セットと

塀の外には失業者が溢れているご時世にノンキな身分、とはいえ痴漢強姦魔の諸氏も居心地悪そうだ 

とりあえずの娯楽はまかなう大型ショッピング・モールめいた精神病院に閉じ込められて
ブラブラするばかりの中年変態男たちが「人格改良」の効能怪しい心理療法を罵る図は
まさに21世紀いまどきディストピア オーウェルというよりP.K.ディックの描いた未来像であります  

患者職員みなさんどっか無気力で、言ってる科白を自分で信じてない感じがたまらない たまらない虚しさ


*村八分か座敷牢か

ところで先の宿舎のエピソードに「たかが壁の絵じゃん…」て感覚、読者にあるかもしれないわね
だが、あくまで「治療」の名目で勾留している以上、アレを許すのは筋が悪い 
「病人」として隔離したいだけ、目先の面倒を先送りしたいだけの本音がミエミエである

でもマァ、瑣末には違いないよなー 
ゴミ出しに小煩い婆ァじゃあるまいし 何をそこまでピリピリしてんだろ?


禁煙運動禁酒法麻薬撲滅「テロとの戦争」 
恐怖と不安に満ちたワイルド・ワールドからリスクゼロの未来へ、ト、
徹底的に正義を追求するのでおなじみ西欧型ヒステリーは近年児童性虐待対策に著しい

幼女強姦犯=人間のクズ、八つ裂きにしても飽き足りない、という風潮下
アメリカじゃ子供が誘拐されれば地域のTVラジオは放送を中断して情報をつのり
再犯者にGPSを着用させ、刑期を終えた性犯罪者の個人情報をネットに公開してる由

かんじんの効果はメガン法(ミーガン法)に反対するサイトに詳しいです (ミーガン法のまとめ @ macska dot org

悪を滅ぼす、まことに結構 ただ、どこまでやったらよしとするのか そういうこと聞くのもダメなのか 


ちなみに個人情報をネット公開された元性犯罪受刑者への調査結果(2000年 国立司法研究所)では

 83% 住居から追い出されたり、入居を拒否されたりした
 77% 脅迫や嫌がらせを受けた
 67% 家族が心理的に傷つけられた
 67% コミュニティや知人から仲間はずれにされた
 57% 職を失った
 50% 仮釈放の監視員からの圧迫が強まった
  3% 暴行を受けた

これを受けmacska dot orgではこう続ける

「元受刑者から住居を奪い、職を奪い、脅迫や暴力の対象とすることで、
本当に彼ら受刑者による再犯率が減るのか、考えてみた方が良いでしょう。
元受刑者監視にお金を使うくらいなら、そのお金を刑務所内での更生支援プログラムに出すべきだと思います。」

macska dot org » いわゆる「ミーガン法」についてより

フンダンに金を出した「更生支援プログラム」が、しかし豪華な収容所、Coalinga精神病院を産んでるわけで、
つまりは村八分か座敷牢どっちをとる?という話か


下は小児性愛児童虐待を描いたおすすめ作品 画像クリックでamazonリンクに飛びます

つるばらつるばら (白泉社文庫) キーチ!! (1) (ビッグコミックス) ハピネス [DVD]

「好きになった」: どこから変態どこまで愛 海外ネット炎上獣姦ドキュメント映画「Zoo」

「好きになった」: 殺人記念品(マーダービリア)アート?それとも被害者いじめ?

小児性愛の実態 アメリカメディアが現地潜入リポート ―You Tube

人身売買:10時間で子供を買う方法―You Tube

ロリペドやめる友の会―ペドフィリアから波動へ

デスアイサツとゲーム脳、知らない人に挨拶したら死ぬ世界―こどものもうそうblog

精神病者私宅監置ノ実況及ビ其統計的視察―近代デジタルライブラリー 
精神病者を閉じ込めていたわが国座敷牢の実態図 こんな

幼女レイプ被害者数統計―警察庁「犯罪統計書」による

(引用画像はYou TubeとBBC、Coalinga State Hospital: Home Pageより)

2008年8月29日金曜日

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド初期のリハーサル映像 60分

















1966年 アンディ・ウォーホルの「ファクトリー」で行われたヴェルヴェット・アンダーグラウンド初期のリハーサル映像がInternet Archiveにあがってるよ 79年にイタリアのTV局が放映したものみたい 画像をクリックのこと



















 ノイズ混じりのジャム・セッションが1曲50分弱 これほど長いのは初めてみた 所在なげにタンブリンを鳴らすニコ マラカスを振るその愛児 革ジャンサングラスのルー・リード(バンドメンバーみんなサングラス!) 

 マニア向きの映像です 何でこの下手くそなバンドが40年にわたって騒がれてんの?ってひとはYou Tube ヴェルヴェット・アンダーグラウンド特集から読んでね

 53分くらいから警官が2人はいってきて演奏中断 ウォーホルもお出ましで揉めてるのはやっぱ騒音問題か

B000002G7C The Velvet Underground & Nico
新品 ¥679



 以下はVelvet Underground Flickrのフォト・ストリームより 初めてみる写真多いなー

 























































バットマンに扮したニコとウォーホル















バナナは剥くとこんな感じ うちのLPは皮なくしちゃった



「好きになった」You Tube ヴェルヴェット・アンダーグラウンド特集

「好きになった」メモ:ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのブートレグ3枚「and so on」「-etc」「THE BLACK SIDE OF THE STREET」

「好きになった」ヒサミチのはてなブックマーク
よりVelvet Underground検索 海賊盤とか

You Tube「Nico, femme fatale」ニコの生涯をたどるイタリアのドキュメント だれか英字幕つけてください

2008年4月18日金曜日

ニコニコ動画 18禁カルト映画「Bad Boy Bubby」を是非見てください



 









 ベネチア国際映画祭で審査員特別賞をとった1993年オーストラリアのカルト映画「Bad Boy Bubby」がニコニコ動画にあがっています 日本未公開(間違い 映画祭で公開されてました! 海から始まる!?さん 情報ありがとうございます) ビデオは絶版 日本版DVDはたぶん出ないと思う

 あまり大げさなことは言いたくないが、読者よこの映画は見逃さないでほしい イイですコレ面白いです だまされたと思って113分、時間をつくってください アップ主COMMMONさんが丁寧な字幕をつけています (アカウントない人用) 


 
 35年間母親に幽閉され、「毒に侵された」外の世界をまったく知らずに育った男の地獄巡りの物語 ハリウッドが撮ればサイコホラーかハート・ウォーミング・コメディになるであろう設定を、監督ロルフ・ドゥ・ヒーアは骨太なドラマに仕上げて見事です まったく先が読めないストーリーテリングに翻弄されっぱなし




















 
 
 主人公バビーは知恵遅れ 「ブリキの太鼓」「レインマン」「フォレスト・ガンプ
一般に、「人間のイノセンス」がテーマになるジャンルだけれど、バビーは無知、というだけで、無垢でもなければ純真でもない 客を戸惑わせるトゲが、この映画、特に前半にたくさんあって、そのへんが輸入のネックになるんだろうなぁ 凄い内容だけど売り方がわかんない 泣けたり笑えたりってアレじゃない 分別しにくいタイプの映画



 8年続いているファン・サイトより 主役バビーを演じたNicholas Hopeのインタビュー 

Bad Boy Bubby」を一口にいうと、どんな映画ですか?

―「フランケンシュタイン」の現代版だね 「バビー」はアウトサイダーの映画 だけど人間賛歌でもある



 この映画 中上健次ヘルツォーク?個人的には「ザ・ワールド・イズ・マイン」の新井英樹を連想しました 熱くて野蛮で傷だらけ 勢いあまってダサい描写も随所にあって、その辺も似てるなー 

4757729200 真説 ザ・ワールド・イズ・マイン
著者: 新井 英樹; 新品 ¥1,344  

ただ、新井英樹は饒舌な作家だけど、監督ロルフ・ドゥ・ヒーアはちがうよね 2007年の最新作「Dr Plonk」は白黒SFサイレント・コメディ




 にしても「Bad Boy Bubby」、ビデオ版「アブノーマル」って邦題はおかしい これ以上ノーマルな映画はそうないよ
18禁だけど気にすんな こういうのはガキのうちに観たほうがいい
 

 
 「Bad Boy Bubby」字幕担当はニコニコ未輸入映画の星、COMMONさん マイリストはこちら
前に紹介した「JESUS CAMP」といい、ヘルツォーク「Grizzly Man」に妙な反グローバリズム組織ドキュメント「The YES MEN」(写真)といい
このひとチョイスにはずれがないです RSSで新着情報チェックをおすすめ














「好きになった」メモ: ニコニコ動画「ジーザス・キャンプJESUS CAMP」&東京ドームのビリー・グラハム(追記含)

2008年2月16日土曜日

MC5 幻のドキュメント映画「MC5 * A TRUE TESTIMONIAL」

歴史上もっともカッコいいロック・バンド、MC5のドキュメント「MC5 * A TRUE TESTIMONIAL」がTOFU MAGAZINEで公開されてるよ!

[2008y02m16d_043123793.jpg]

監督David C. Thomas 2002年のこの映画は、関係者間のトラブルから、DVD発売も日本上映も頓挫したままの幻の作品 

だもんで対訳もなければ字幕もない MC5?何そのバンド、ってひとのためにYou Tube貼っとこう



「Kick Out the Jams」MC5 

You Tubeプレイリストで、長めのベスト・ヒッツも作っときました

ソニック・ユースのバンド名の元 ギターウルフのライブのハイライトを決めた男達  
アルバム発売時「ブラザー&シスターズ」に差し替えられた「マザー・ファッカー」の歴史的MCや、
ブラックパンサー党に共鳴して結成されたホワイトパンサー党との関係などなど
MC5は「過激」「反逆」「元祖パンク」のイメージばかりが広まっちゃってるけど、
高揚感&疾走感を狙って これほど無駄を削ぎ落とし考え抜かれたアンサンブルが、むやみに騒ぐだけのパンク・バンドに聴けるはずもない 

世評の高いファーストも最高ですが、オススメしたいのは三枚目 最後のアルバム「High Time」

B0000032UJ High Time
新品 ¥1,538

MC5、日本の素晴らしいファン・サイト

MC5ギャラリー&プロモ映像 ポスター&フライヤー集

2008年2月3日日曜日

ニコニコ動画「ジーザス・キャンプJESUS CAMP」&東京ドームのビリー・グラハム(追記含)

http://gyazo.com/14526f67a04d7d568dead3a8b3b8086d.png

2006年度のアカデミー長編ドキュメンタリー賞を惜しくも逃した傑作「JESUS CAMP ジーザス・キャンプ」がニコニコ動画にあがってるよ 監督はRachel GradyとHeidi Ewing 日本語版はたぶん、今のところココでしか見られないかと

「考えてみてください 60万人の子供たちがうそを教えられているんですよ 25%のアメリカ人が 自分は福音派キリスト教徒だと およそ8000万人ですよ かれらは非常にかたくなで アメリカの権力の中に押し入ろうとしています 彼らの居心地のいい政府を作ろうとしているグループの行動心理なのです 結局は‭、教会と政府との距離が徐々に縮まっていくと思いますよ」

福音派で一番有名な権力者といえばジョージ・ブッシュ ボール紙で作られた彼の立像に手を伸ばす子供たち、学校に行かない「神の兵士」の映像は、このドキュメントの白眉であります

http://gyazo.com/5185e36be12adaa51881393d3eb6dec8.png

学生時分の女友達が福音派のプロテスタントで、「進化論はウソ」ってひとだった
「だって、人間はサルに似てないよ」
宗教人特有の視野の狭さや攻撃的なところが全くなくて、おちついたお姉さんタイプ 
周りから慕われていた人でした 

自分は彼女に気があって、何度かデートしたけれど、どうも話題が色っぽくならない
「ルカって人、それからマタイ、マルコって人がいて、そのひとたちが書いたのが福音書」キリストの弟子?「あとから調べて書いたの」どんなことが書いてあるの?
「イエス様が生まれてから復活するまで」 

この時点でもう私はイライラしているわけです 若いし 今よりずっとせっかちだったから
復活なんてあるわけねーじゃん アンタ騙されてんだよ あと、人間はサルそっくりだよ 悪いけど
「君は頑固だね こんどアメリカから偉い伝道師さまが来るの 私よりうまく説明してくれると思うよ チケットあまってるから、今度そこで会おう」

http://gyazo.com/adc90854e4172b52d96e3320aba2eb04.png

待ち合わせ場所 「ビリー・グラハム・イン・東京ドーム」に結局彼女は来なかった 

空席ばかりのスタジアムで、自分は蠅のように背を丸め手をこすり合わせて彼女を待った
巨大スクリーンに映ったビリー・グラハムと仲間達は「生まれ変わろう」「生まれ変わろう」と英語で叫んでいた

迷える子羊たちよ、さあ降りてきて聖体拝領なさい、みたいなことを司会が言った途端、おお、といった感じで、観客席からワラワラ人が数千の単位で降りてきて、グラウンドにしつらえた小部屋に列を成した
 
東京ドームがTVに映らない日はないだろう ふだん見慣れた野球場に一種類の人が、つまり信徒が大勢集まって順番を待っている 特設舞台でスポットを浴びているのは白人で、グラウンドには日本人ばかり
「迷いは解かれる」「心を開こう」「神に祈ろう」繰り返すスピーカーに、息苦しくなって通路に出た

ささくれ立った気分で煙草を吸っていると、喫煙所に設置されているディスプレイでも、ビリー・グラハムが喋っていた 日本人用につくった説教ビデオ

「現代の宇宙時代には、たくさんの衛星が打ち上げられ、人々を見守っています 神もまた同じように、あなたを見ています!逃れることは出来ないのです!!」

「神があなたを見ています」「逃れることは出来ません」内にも外にも、これは最悪の脅迫だろう 

自分は、この時の憎しみを忘れないようにしよう、と思った 美しい言葉を紡ぐ覗き魔たちを決して許さないようにしよう 「あなたのため」と他人の心に土足で入り込む輩には、必要ならば力で立ち向かおう、と

マフラーを置いてきたことに気づいたのは、中央線に乗ってから



次の日、彼女から電話があって、一方的な口論になった
「何を怒っているんだかよくわからない」「仕事の都合で行けなかったことは悪いと思っている ごめんなさい」「伝え方はいろいろあるし、それは単なる言葉だから」
彼女が憎いわけでも何でもない 俺の言葉が伝わらない それが悔しかった

こうして疎遠になった後も、彼女は毎年賀状をくれた 
教会で知り合った人と結婚し、子供を二人生んだ 可愛い写真が貼ってあった
「ヒサミチ、元気にしてますか」自分は返事を出さなかった 



「ジーザス・キャンプ」のような偏狭な原理主義に対し、自分もまた偏狭になるのは何故だろう 

信じるひとは暑苦しい 創価学会や統一教会、ネズミ講に引っかかるような「ポジティブな」人たち、頭に血が昇った左翼や右翼 その目に他人は2種類しか映らない「敵か味方か」
彼らはすでに「正解」を知っている あとはオルグしてまわるだけ 

自信のありすぎる人はわずらわしい 他人の話をよく聞かず、細部を見ずに大雑把なイメージだけを説く
曰く「信じること」「幸福」「愛」「本当の自分」「夢を叶える」「人生の目的」

http://gyazo.com/413619e412ac26c76d6b58e99a292efd.png

われわれの殆どは、彼らのいう「目的のない人生」を生きている 
同時に、自分なりの愛や幸福を、「夢」という名の希望を日々探している 
しかし、「正解」を提示する原理主義者は、個々の「問題」に見向きもしない 
日本全国の駅名をそらんじてTVで繰り返す子供のように 彼らは「答」しか知らないんだ

「キリストを信じないと地獄に落ちるぞ」牧師に言われたインディアン「白人の天国には行きたくない」

「キリストに熱狂する子供たちを見たかったら、ここに来るといいわ
こんなのは氷山の一角だって強く思ってる」

「ジーザス・キャンプ」福音派の集会は「みんなおんなじ」「あいつらを許すな」集団陶酔のムードだけで動いている 「宗教は阿片」とはよくいったもんだ 



ところで、「福音派」の名は、福音書に書かれたことを全て真実とする思想に由来している 
君の人生の目的は、2000年前に書かれている、ということだ ラテン語でだよ

自分もまた、自分がこうしてブログに書いていることを全て真実と考えている
君いがいの人が君の人生の目的なんて書けるわけないと思うよ 



(追記)しかし、「宗教は阿片」このセリフを広めたマルクスの名のもと、世界中に起こった共産主義革命は、まさしく「みんなおんなじ」「反革命を許すな」で何千万という人間を犠牲にした こうして話はもとに戻る 

原理主義を滅ぼさんとする者がみな原理主義者に似るのは何故だ 人には阿片が必要なのか

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映画秘宝 連載 高橋ヨシキの悪魔の映画史 

上の写真「人生には目的がある」テッド・ハガードのスキャンダルについて

■■キリスト教会内の虐待・カルト問題 情報リンク■■

「好きになった」メモ: 信じる心


(しかし、ココだけの話、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞ってのも
「ボウリング・フォー・コロンバイン」みたいな感傷過多のプロパガンダや、試合のクライマックスをノーマン・メイラーのダラダラ話で切り刻んだ腰砕け「モハメド・アリ かけがえのない日々」がとってる様じゃなー しかも、あの名作「フープ・ドリームス」はノミネートもされなかったんだってさ) 

B000K7VIOU フープ・ドリームス
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