Angel Beats! (エンジェルビーツ!) EPISODE:13
永遠に続くものはない、あらゆるものに終わりは来る。それは自然の摂理というやつだ。突然だが今日で最終回だ。そこで今回は、今までにあったことを思い出して、いろいろと考えてみたい。
―――Spike Spiegel
やはり、まず第一に考えた事は、話が色々とプロセスを省略して飛びまくっている気がする、ということでした。
そう、あたかも「脚本26話(2クール)分書いたんですけど、枠が1クールしか取れませんでした」とでも言わんばかりに。
終わってみれば、世界の謎(例えば、そもそもあの世界は誰が創ったのか?神?、奏は何故生徒会長として特殊な存在であったのか?等々)そのものについて触れられるでもなく、戦線を構成する個性豊かな愛すべきメンバーも此処の事情については、ほとんどフォローされる事もなく、さっさと成仏させられてしまっていました。
これは「余白部分(描かれなかった部分)については、各自脳内補完してください」ということなのでしょうか。
私は、必ずしも全ての秘密を白日の下にさらしてくれなければ納得がいかないというタイプではないつもりなので、この幕引きについてさほどの消化不良感を持ちませんでしたが、それでも若干拍子抜けであったことまでは否定できません。
最後まであの世界に残っていた、ゆり、日向、直井の3人を送った後、音無が奏に「一緒にこの世界に残って、この先も報われない思いを抱えたまま、この世界にやってくる人々を送ろう」と持ちかける姿は、見るに耐えないほどに、実に見苦しく描かれていたと思います。
しかし、私はそれを見ていても、「音無のヤツ、日向たちの爽やかな卒業話が台無しにしやがった!」というようなことは思いませんでした。
音無は、その生を“聖人”として全うした人物と言えるでしょう。
なんなら“聖人”という言葉は“天使”と言い換えてもいいでしょう。
おそらく、彼の人生の終焉の地となったあのトンネルの出口には、事故の犠牲者の慰霊碑とは別に、彼個人の無私の献身を称える顕彰碑が建てられたのではないでしょうか。
――ちなみに、トンネルの“出口”であると思うのは、彼が生きてトンネルの外に出る事ができなかった以上は、慰霊碑にしても顕彰碑にしても、建てるのならば入口ではなく出口こそがふさわしいと思うからです。生前出口から出られなかったのだから、せめて死後は出口に……という鎮魂の発想。
ちょっと話が逸れました。
“聖人”として生を全うして、あの世界に迷い込んだ音無が、最後の最後で、爽やかに一転の曇りもなく奏が去るのを見送る流れにしてしまうと、それは確かにとても美しく高潔で、視聴後の余韻も最高であったでしょう。
しかし、二度も“聖人”として報われた思いを抱えて世界を去るというのは、音無というキャラクターに対しては、むしろ人間臭さを感じなくさせてしまい、むしろ私は白けてしまったのではなかろうかと思います。
音無結弦の心臓は、天使(立華奏)の心臓となり鼓動を刻む(天使の心臓の鼓動:Angel Beats!)。
何のことはない、「Angel Beats!」とは音無の心臓の鼓動の意だったのかもしれません。
すると「天使ちゃんマジ天使」という言葉に、すっかり幻惑されてしまっていたが、天使(Angel)だったのは奏ではなく、奏の心臓の元の持ち主である音無だったということですかね。
最終回後半の音無の見苦しさは、無私の存在“天使”であった音無が、自分がやるべきと考えていたことが終わり、天使役を降りて人間に戻った音無の姿だったのでしょう。
だからあれは、無私の聖“天使”からエゴイスティックな俗“人間”に戻るための通過儀礼。
それにしても、ゆりっぺこと中村ゆりの存在とは、この物語にとっての何だったのでしょうか。
初登場時、世界の理不尽に抗うメインヒロインとして描かれていたように思うのですが、終わってみれば、やけに物分りよくこの世界から去っていく事になりました。
当初、天使(奏)と対になる人間の代表格として、いわばダブルヒロインとして存在していましたが、終盤になって「奏=天使」が否定されると、彼女が脚光を浴びる依拠(天使の対としての人間)が無効化され、それと時を同じくして存在感が一気に薄くなったように思えました。
終わってから振り返ると、天使的存在としての奏の対は、やはり天使的存在であった音無であり、逆にゆりの対となる存在は、最後まで存在しなかったではないかと思います。
そのためか最後まで「一体彼女は何と戦っているのだろう?」という感覚を持って、彼女を見ていたような気がします。
さてと……、いい感じに迷走してきたので、この辺りで締めとさせていただくとします。
―――Spike Spiegel
やはり、まず第一に考えた事は、話が色々とプロセスを省略して飛びまくっている気がする、ということでした。
そう、あたかも「脚本26話(2クール)分書いたんですけど、枠が1クールしか取れませんでした」とでも言わんばかりに。
終わってみれば、世界の謎(例えば、そもそもあの世界は誰が創ったのか?神?、奏は何故生徒会長として特殊な存在であったのか?等々)そのものについて触れられるでもなく、戦線を構成する個性豊かな愛すべきメンバーも此処の事情については、ほとんどフォローされる事もなく、さっさと成仏させられてしまっていました。
これは「余白部分(描かれなかった部分)については、各自脳内補完してください」ということなのでしょうか。
私は、必ずしも全ての秘密を白日の下にさらしてくれなければ納得がいかないというタイプではないつもりなので、この幕引きについてさほどの消化不良感を持ちませんでしたが、それでも若干拍子抜けであったことまでは否定できません。
最後まであの世界に残っていた、ゆり、日向、直井の3人を送った後、音無が奏に「一緒にこの世界に残って、この先も報われない思いを抱えたまま、この世界にやってくる人々を送ろう」と持ちかける姿は、見るに耐えないほどに、実に見苦しく描かれていたと思います。
しかし、私はそれを見ていても、「音無のヤツ、日向たちの爽やかな卒業話が台無しにしやがった!」というようなことは思いませんでした。
音無は、その生を“聖人”として全うした人物と言えるでしょう。
なんなら“聖人”という言葉は“天使”と言い換えてもいいでしょう。
おそらく、彼の人生の終焉の地となったあのトンネルの出口には、事故の犠牲者の慰霊碑とは別に、彼個人の無私の献身を称える顕彰碑が建てられたのではないでしょうか。
――ちなみに、トンネルの“出口”であると思うのは、彼が生きてトンネルの外に出る事ができなかった以上は、慰霊碑にしても顕彰碑にしても、建てるのならば入口ではなく出口こそがふさわしいと思うからです。生前出口から出られなかったのだから、せめて死後は出口に……という鎮魂の発想。
ちょっと話が逸れました。
“聖人”として生を全うして、あの世界に迷い込んだ音無が、最後の最後で、爽やかに一転の曇りもなく奏が去るのを見送る流れにしてしまうと、それは確かにとても美しく高潔で、視聴後の余韻も最高であったでしょう。
しかし、二度も“聖人”として報われた思いを抱えて世界を去るというのは、音無というキャラクターに対しては、むしろ人間臭さを感じなくさせてしまい、むしろ私は白けてしまったのではなかろうかと思います。
音無結弦の心臓は、天使(立華奏)の心臓となり鼓動を刻む(天使の心臓の鼓動:Angel Beats!)。
何のことはない、「Angel Beats!」とは音無の心臓の鼓動の意だったのかもしれません。
すると「天使ちゃんマジ天使」という言葉に、すっかり幻惑されてしまっていたが、天使(Angel)だったのは奏ではなく、奏の心臓の元の持ち主である音無だったということですかね。
最終回後半の音無の見苦しさは、無私の存在“天使”であった音無が、自分がやるべきと考えていたことが終わり、天使役を降りて人間に戻った音無の姿だったのでしょう。
だからあれは、無私の聖“天使”からエゴイスティックな俗“人間”に戻るための通過儀礼。
それにしても、ゆりっぺこと中村ゆりの存在とは、この物語にとっての何だったのでしょうか。
初登場時、世界の理不尽に抗うメインヒロインとして描かれていたように思うのですが、終わってみれば、やけに物分りよくこの世界から去っていく事になりました。
当初、天使(奏)と対になる人間の代表格として、いわばダブルヒロインとして存在していましたが、終盤になって「奏=天使」が否定されると、彼女が脚光を浴びる依拠(天使の対としての人間)が無効化され、それと時を同じくして存在感が一気に薄くなったように思えました。
終わってから振り返ると、天使的存在としての奏の対は、やはり天使的存在であった音無であり、逆にゆりの対となる存在は、最後まで存在しなかったではないかと思います。
そのためか最後まで「一体彼女は何と戦っているのだろう?」という感覚を持って、彼女を見ていたような気がします。
さてと……、いい感じに迷走してきたので、この辺りで締めとさせていただくとします。
テーマ : Angel Beats!
ジャンル : アニメ・コミック
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