レジ椅子設置 店舗前での利用客アンケートを実施しました!

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株式会社ベイシア 利用客アンケート「レジの椅子設置 賛成or反対?」



 私は、北関東を中心にスーパーの店舗を展開している株式会社ベイシアと団体交渉を行っている組合員です。ベイシア行田店では、2021年4月からアルバイトとして働き始め、現在も同店舗で働き続けています。仕事内容は、レジ業務を基本とし、品出しや商品の割引作業なども行います。今回は同店舗において行ったレジの椅子設置を求める運動について報告します。


◇気を休めることが許されないレジの働き方

 一般的に、日本の小売店のレジ従業員は出勤してから退勤するまで立ちっぱなしで作業を行います。私自身、働き始めるまでそれは当たり前のことであり、問題として取り上げられるべき事柄でもないと考えていました。しかし、いざ働き始めると、数時間立ちっぱなしで、お客さんが来れば腰を曲げて買い物カゴを持ち上げなければならないレジ業務は、とても身体に負担がかかることが分かりました。
 また、ベイシアのレジ従業員は立ち姿勢までもマニュアル化されています。非対応中は体を売り場に向け、背筋を伸ばし、手を体の前で組むように指示されています。レジに入っている間は机やカゴに手をついて楽な姿勢を取ることも許されず、隣のレジの従業員とコミュニケーションを取ることさえも許されません。労働者に過度な身体的負担を課していると言わざるを得ません。


◇なぜレジは立っていなければいけないの?

 その後、2021年 から会社と交渉を始め、職場環境の改善のためにレジ一台につき一つの椅子設置を要求しました。団体交渉での会社の回答 は「非対応中であっても、レジ台の掃除やレジ前の商品の整理業務があるため座っている暇はない」、「セルフレジの導入により負担軽減を目指している」と、椅子の設置を拒否し、レジ従業員には一切休む暇を与えない姿勢を示しました。たしかに賃金が支払われる以上、仕事に従事しなければいけませんが、座って休む暇もなく作業を行うという働き方は肉体的に大きな負担を伴います。 実際に私の働く店舗のパート従業員ではレジ業務による身体的負担により、休職をしたという人や腰の痛みを和らげるためにひと月に一度、整体マッサージに通っているという人がいます。
 日本ではレジ業務は立ち仕事であると当たり前になっていますが、海外を見ればむしろレジの従業員は座っているのが当たり前です。国内でもIKEAなどではレジに椅子が設置されています。セルフレジなどの新しい機材を導入しなくとも、椅子の設置をすれば簡単に従業員の負担を軽減し、健康を守ることが可能となります。


◇店舗前利用客アンケートの実施

 利用客がレジへの椅子設置についてどう思うのかを調べるために、8月11日に私の働く店舗前で利用客アンケートを行いました。内容は「レジ従業員が非対応中に椅子に座ることに、賛成or反対」というもので、目につきやすく、分かりやすいことから、ボードに、年代別で賛成・反対にシールを貼り付けてもらう形式で行いました。また、利用客に組合の要求に賛同してもらうためのチラシも一緒に配布しました。
 前半は回答を集めるのに手間取ってしまいましたが、粘り強く声掛けを行うと徐々に多くの回答が集まるようになり、最終的には2時間で107件の回答が集まりました。そのうち105人もの利用客が「賛成」と回答しました。利用客の大多数が私たちの要求に賛同してくれるというとても心強い結果になりました。


◇利用客アンケートは店舗にとっては痛手か?

 アンケート調査中には店舗責任者から「誰の許可取ってやっているんだ!出ていけ!!」「ふざけたことやってんじゃねえぞ!!」と怒鳴られる場面がありました。正直、普段温厚な社員がここまで、声を荒げたのには驚きでした。
 温厚な社員が怒鳴ったのは、今回の運動が利用客を巻き込んだものだったからではないかと思います。
 今回の争議では同僚を組合に組織したのち、一緒に会社と闘っていく戦略が立てにくいと感じます。しかし、顧客を第一にする小売業界を相手にするとき、今回の「利用客向けアンケート」のような消費者を巻き込んだ戦略は、企業からすると相当な痛手になると考えられます。
 また、アンケートを行った翌日の勤務には出勤して早々に店長から呼び出され、前日の組合活動において無断で敷地内に立ち入ったことに再度注意を受けました。さらに後日には、ビラ撒きに関して「就業規則に抵触するため、厳重注意処分になる」と本部の対応が伝えられました。しかし、利用客に企業の組合への対応や団体交渉の回答をビラ撒きで知らせることは法律で保障された正当な組合活動の一環であり、企業がこれを阻害して良いわけがありません。
 企業の不当労働行為に負けず、今後も闘い続けます。

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