現在、学生ユニオンでは小田急電鉄(以下、小田急)との団体交渉を行っています。次回が3回目の団体交渉となり、準備を進めています。当事者は小田急電鉄で駅員アルバイトをしている学生ユニオンメンバーです。今回は、小田急の駅員アルバイトの実態を、団体交渉の要求項目に沿って、お伝えしたいと思います。是非、最後までご覧ください!
そもそも駅員を学生アルバイトがやっていることをご存知でしょうか?
今回交渉をしている小田急だけでなく、JR東日本や京王電鉄、東急電鉄なども学生アルバイトを募集しています。鉄道駅員という仕事は、公共性が高く、鉄道インフラの安全性・定時性を担う重要な仕事です。きっぷの発売や精算、お忘れ物業務といったお客様の「財産」を扱う仕事であったり、駅のホームに立ち、お客様の「命」や「時間」を守る仕事であったり、とその仕事にかかる責任はとても大きいです。小田急においても、そんな重要な業務の一部を学生アルバイトが担っているのですが、学生を都合のいい労働力として使い、学生の生活を顧みない会社側の姿勢が、団体交渉の中で見えてきました。では、どのような問題があるのか、見ていきましょう。
1.トラブル発生時の時間外業務
駅員バイトの業務の中で特に過酷なものが、人身事故等の輸送障害(トラブル)が発生した場合です。これは、小田急で輸送障害が起こった場合だけでなく、京王線など小田急と接続している路線で同じことが起こった場合も同様です。「○○駅まで振替でどうやって行くんだ。」「いつ動き出すのか。」などの問い合わせが沢山来ます。また、振り替え輸送を利用する大勢の旅客の対応が特に大変です。旅客ももちろん混乱していますが、駅員側も指令所からの急な指示に右往左往するので混乱しています。細かい話ですが、電車の運転に関する指示は、総合指令所→駅の信号所→駅員のいる事務所の順番に伝わるので、なかなか最新の情報が伝わってきません。ダイヤ乱れが収束し、落ち着きを取り戻すまで少なくとも2~3時間かかりますが、その間の労働強度は計り知れません。
アルバイトはシフト制なので、退勤する時間が決まっていますが、このような輸送障害が発生すれば2〜3時間の残業を強いられます。実際に当事者が遭遇した事例ですが、「朝勤務で輸送障害が発生して、午前中の授業を休んだ。」「夕方勤務だったが、家に帰れなくなり、翌日教科書がない状態で授業を受けた。」「延長した時間は短かったが、疲れすぎて授業が辛い。」など、学生生活に支障が出ています。
なぜ、このような事態になるのか。もちろん、人身事故などのトラブルも直接的な原因ではあります。しかし、構造的な問題として、駅の正社員の数が足りず、アルバイト頼みになっていることが挙げられます。通常の状態でも、小田急の多くの駅はアルバイトが基幹労働力化しており、アルバイトがいなければ、駅が回らないという体制になっています。ユニオンはこの構造的な問題にも切り込み、正社員の配置増加などの対応策を小田急側に求めています。
2.賃金の低さ
小田急の駅員バイトの時給は1,100円です。1,100円という金額だけ見ると、そこそこ良いバイトと思われるかもしれません。しかし、そうでもないのです。アルバイトとはいえ業務において担う責任はとても重いというのは既に少しお話しましたが、もう少し詳しくお話したいと思います。
アルバイトと正社員の業務が一部重複していたり、逆にアルバイトしか行わない業務があります。例えば、改札での精算業務・車いすや弱視のお客様の介助・忘れ物の捜索といった業務は1日の業務の中で大半を占めるもので、正社員・アルバイトともに行いますが、アルバイトが駅にいる時間帯は基本的に全てアルバイトが行います。もしも、お客様から間違えて多くお金を収受してしまったら...。もしも、車いすのお客様が乗りたい電車とは違う電車に乗せてしまったら...。本人の物じゃない忘れ物をお客様に引き渡してしまったら...。と、どのアルバイトもミスをした時の事の重大さを知っているからこそ、1つひとつの業務に神経をとがらせています。
一方で、夕方~終電の時間帯は清掃業者の方がいないため、駅構内(コンコース・ホーム・トイレ・ゴミ箱の取り換え)の清掃は全てアルバイトが担っています。他の業務との兼ね合いもあり、限られた時間で効率よく行うにはある程度の経験と技術が必要です。夜間は吐しゃ物も多くあり、とても気持ちのいいものではありません。この清掃業務に関しては、正社員は一切やらず、「アルバイトがやるもの」になっています。さらに、一部の駅では終電後の駅閉め作業(お客様が全員改札外に出たことを確認してシャッターを閉める作業)をアルバイトが行っています。万が一、シャッターを閉めた後にお客様が改札内にいた場合、新聞沙汰になるほどの営業事故になります。それほど責任が重い業務をアルバイトに任せているのです。
このような実態を踏まえて、学生ユニオンでは、1,100円という賃金は業務の内容・責任には見合わないと考えており、小田急に対して時給の賃上げを要求しています。東京都の最低賃金の985円より100円強しか変わらないということも主張しています。
ユニオンの要求に対して、小田急は「現在の時給は適正である。」との一点張りです。ユニオンでは、引き続き交渉を続けていきます。
3.着替え時間・準備時間・移動時間の未払い
アルバイトは学生の募集に限定されており、長期休みを除けば大学の行き帰りに勤務に入っています。そのため、アルバイトは全員駅に出勤し、制服に着替えています。加えて、アルバイト同士の連絡に使うトランシーバーやダイヤグラム(業務用の時刻表とお考えください)を事前に(点呼の前に)取りに行くなどの準備行為があります。さらに、しばしば制服に着替える駅と勤務する駅が異なる場合に列車に乗って移動します。本来、これらの着替え時間・準備時間・移動時間には賃金が支払われなければなりませんが、未払いとなっています。
団体交渉では、これら未払い賃金の支払いを要求しました。これらに対する小田急側の反応ですが、まず着替え時間に関しては、「着替え場所を会社から指定していない」ことを理由に、未払い賃金の発生を否定しました。さらに小田急側から、「自宅や学校から制服を着て会社に来ても構わない」という趣旨の発言がありました。この発言には、ユニオン側も驚きを隠せませんでした。
次に、準備時間については、「副駅長(労務管理をしている上司)が点呼前の準備業務を指示していない。」「点呼前の準備業務に関する文書による業務指示がない。」として、こちらの主張を退けました。アルバイトが今まで行っていた準備行為は、「“姿勢”としては大変ありがたいので、止めることはできない。」とのことでした。ユニオンは、準備業務が駅員業務に必須であること・多くのアルバイトが点呼前に準備業務を行っており暗黙の業務指示が成立していることなどを理由に、この点については粘り強く今後も交渉していきます。
最後に列車の移動時間ですが、これについても小田急側は未払い賃金の発生を否定しています。小田急側は、「列車での移動は業務をしているわけではない。お客様から声をかけられた等があれば、報告してくれれば時間外をつける。」としていますが、制服を着て列車に乗っている以上、会社の指揮監督下に入っているはずであり、矛盾が生じています。
4.新人研修の賃金未払い
当事者が務める駅では、新人アルバイトの研修は先輩のアルバイトが業務中に行います。見極め(一人立ちのOKサインを出すこと)も先輩アルバイトが担っています。このこと自体が問題ではあるのですが、交渉事項ではありませんので、この程度に留めておきます。
さて、この新人研修ですが、しばしば業務時間外に及ぶことがあります。当事者の場合、この時間外部分に賃金が支払われていないため、未払い分の支払いを要求しました。この点については、交渉の中で、小田急側は「もともと業務が延長した分に関しては、上司に報告すれば時間外をつける」として、未払い分の支払いに応じました。現在は、未払い分がいくらになるのかについて交渉をしています。ただ、当事者のように新人研修による時間外を報告してよいと知らないアルバイトは、会社側の調査によれば、約40%にも及んでいたため、時間外報告の周知徹底を小田急側に求めました。
5.年休日数の計算方法
当初の要求は、年次有給休暇(以下、年休)の日数の計算方法を明らかにするというものでした。交渉において明らかになった計算方法を巡って、ユニオンと小田急側で評価が分かれました。小田急側は、年休が付与される要件である、「全労働日の8割以上の出勤」について、母数を労働契約書記載の週3日としていますが、ユニオン側はこれは不適当であると考えています。
というのも、小田急は週3日としながらも学生の事情を考慮して、シフトを柔軟に運用しており、その柔軟な運用に年休の運用も合わせるべきだからです。現状の年休の計算方法は、様々なイベントがある学生生活を送るアルバイトの年休取得の権利を否定することを意味するとユニオンは評価し、計算方法の見直しを要求項目に加えました。
以上が小田急電鉄の駅員バイトの実態です。今回の交渉で重要なポイントは、当事者のみならず全社的な改善を要求していることです。当事者は、「会社が憎いからこんなことをしているのではなく、会社が好きだからこそ、アルバイトを含めて従業員全員が働きやすい職場にしたい。」という想いで、ユニオンと一緒に電鉄側と交渉をしています。この運動が、小田急だけでなく他の鉄道会社にも影響を与えるようなものにしていきたいです!
では、長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!交渉の経過は、またこのブログやTwitterなどでご報告したいと思います!
この記事へのコメント
ま
安全のためにも改善が必要ですね。頑張って下さい
AT
皆会社が好きでやっているので声をあげにくい。ぜひ他社の実情も外部公表してほしい。改札に立たせている(バイトが現金収受をするような)会社はかなりキツい。
とはいえ小田急はこのままでいいわけはない。
徹底的に戦ってほしい。
そもそも鉄道バイトの業務知識は他職種に応用できない専門知識が多い。(ICカードの取り扱いなどが筆頭格)
それでいて低い時給でも好き人が集まってしまうので、「やりがい搾取」の典型だと言わざるを得ない。
好きでやっているので文句も言わない人が多いが、皆働きながら疑問を抱いている。
声をあげようものなら、正社員雇用に影響すると感じその疑問を見て見ぬ振りをする。
そんな背景がある中で声を上げた小田急のバイト。(私個人は小田急は私怨もあるので好きではないが)そんな過酷な鉄道バイトのみなさまを陰ながら応援します。
元関東某社バイトより
azusa
いくつか気になったことがありましたので、参考になればと思います。
一応、立場を軽く書いておくと、鉄道を利用したことはありますが、鉄道会社で働いたことはありません。
鉄道の少ない地方のメーカーで開発職(正社員)をしています30代男性です。
勘違いしていることがあるかもしれません。また、キツめに書いている部分もあります。
ご容赦ください。
1.トラブル発生時の時間外業務
正社員を増やしたところで問題は解決しないと感じました。
正社員が増えれば、その分アルバイトは減らすことになるでしょう。そして(被害者は減りますが)、残ったアルバイトは同じ状況になります。
実現しなければならないことはトラブル時の負荷低減であり、理想は平常時の人員でトラブル時も対応できる体制づくりです。
最新の情報が瞬時に伝わる仕組みづくり、ダイヤ乱れや振替輸送についての状況や対応方法が利用者に伝わるような仕組みづくりなどでしょうか。
この辺は現場にいる方のほうが案はいろいろと出てくるかと思います。
2.賃金の低さ
アルバイトがミスをしたときの責任はすべてアルバイトに行くのでしょうか?
怒られるだけではなく、そのミスに対して賠償や減給、解雇といった制裁も付随するのでしょか?
責任とだけ言うと曖昧であり、交渉する上で意見の食い違いが起きるように感じました。
また、最低賃金から100円強しか変わらないとありますが、"最低賃金からの差"と"仕事の内容"はある程度相関するかもしれませんが、無関係です。
一概には言えませんが、時給とは"求めている仕事を社員がいつも同じようにしてくれるのに必要な額"を雇用者側が設定しているものです。
低すぎると人が集まらなかったり、仕事がいい加減になったり、辞めていったりしますが、適当な額であれば仕事は回ります。
実際、(学業に支障は出ていますが、)今も仕事自体は回っているようですので、会社側が適正であると主張するのはそういった経緯があると思います。
そのため、最低賃金の話は出さないほうが懸命かと思います。
正攻法で行くのであれば、自分たちの行っている仕事の価値を何かしらの方法で算出する必要があります。
算出しなければ、賃金を上げて欲しいと駄々をこねているようにしか見えません。
最初に書いた責任についてもう一度考え、要求内容を見直してみてはいかがでしょうか。
3.着替え時間・準備時間・移動時間の未払い
もし着替え時間分の賃金を支払った場合、"家で着替えてきた人"と"職場で着替えた人"で支払いに差が生じると解釈しました。
前者は着替えた時間分が賃金として受け取れず、後者は受け取れます。
払おうとしても、不平等になってしまうため、一律には払えないという主張でしょうか。
最後の移動時間の未払いについても上記主張と合わせれば納得がいきます。
家を"普段の職場"に、職場を"その日の職場"に置き換えればいいのです。
"普段の職場で着替えてきた人"と"(着替えを持って行き、)その日の職場で着替えた人"で支払いに差が生じます。
どこで着替えても良いと言われてしまうと、この主張を覆すのは難しいと感じました。
"制服を着て列車に乗っている以上、会社の指揮監督下に入っている"というのも、家で着替えてからの移動中は業務時間外として扱っているので通じません。
準備時間も含めてですが、時給と同じ枠として賃金を求めるのではなく、出勤回数に応じた手当のようなものを要求する案はいかがでしょうか。
1回の出勤の賃金 = 出勤手当 + 業務時間×時給、となるような形式です。
もちろん、準備時間が必要であることは納得してもらわなければなりません。
4は解決しそうで、5は雇用契約内容の詳細がいまいちわからなかったためコメントは控えます。
長くなってしまいましたが以上です。
はるか
仕事に加えての交渉、大変だと思いますが、ぜひ実りあるものとなりますように。
小田急は私も時々利用しますが、学生バイトの方がそれほど多く入っているとは知りませんでした。
小田急側の主張で気になった点がありましたのでコメントさせて頂きます。
制服への着替えの時間について、賃金支払い対象としないことにつき、「家から着てきても構わない」とのことですが、制服とはなんのために着るのでしょうか。
乗客にとって、小田急に乗っている小田急の制服を着た人がいれば、当然その人を社員だと思いますよね。しかしそれは業務外だということであれば、小田急の指揮命令下にはないわけです。
そのときの制服を着た学生バイトの対応に基づきトラブルが発生した場合、仮に乗客から損害賠償請求があった場合、小田急はどう対応するのでしょうか。
民法では表見代理という考え方があります。「自宅から制服着て通勤して構わない」という小田急の回答で、本当に責任を免れ得るのか、乗客の立場としては甚だ疑問です。
コンビニで着替えや準備の時間を労働時間として認めさせた例がありましたね。
がんばってください。
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3.着替え時間・準備時間・移動時間の未払い
これにつきましては根本的な解決は不可能に近いと思います。
要は始業時間に合わせて業務を開始できるよう準備をする時間に賃金を支払え、ということですよね。
9時始業のサラリーマンが8時半に会社に到着し30分準備をしていたから8時半から9時までの残業代を請求する、と同義だと捉えられますが果たしてそのような意見は通る事例がありますでしょうか?
2〜3回読み直しましたが基本的な問題は小田急のみでなく人材不足な昨今、同業他社でもあり得る事ですね。
また上記のように他種職場でも当たり前の「世間では多数派、それで世が回っている」という現実を覆さなければ解決できない難しい事であると考えます。
どうにもこの文章を作成された方は私怨によりそれらしく書いた、または悪く見えるように仕上げる依頼を受けそのように書いた風に読み取れます。
きっとその考えを見抜かれて、交渉が難航しているのではないでしょうか。当事者側から事実相違、名誉毀損と返されないよう祈ります。
も
「事例があるか」を基準にするならバイトの着替えの時間が業務時間に入るのって割とよくあることだし
サラリーマンに例えるなら外回りの移動時間は業務時間に入ってるでしょ。
ただ、求められてない仕事をして賃金要求するのも押し売りだと感じる。今回求めてないと言質が取れた仕事は本当にやめたらいいんじゃない。制服通勤して駅員だと思って質問して来た人には業務時間外だと答えよう。
元駅アルバイト
多分、小田急などと比べると緩い方ではあったと思います。
保障などの絡みからか直接雇用ではなく、別団体(とはいえ同じ「市」の別法人というだけ)に雇用されて駅に派遣されてる感じでしたが、着替えなどは雇用元は特にコメントしてませんでしたが、派遣先の駅長などは勤務時間に入れたがってませんでした。
時給が低いのも同じで、最低賃金改定のたびに時給が上がる(つまり常に最低水準)というアホみたいな時給でした。
最低限の仕事はするとしても、お客さんには悪いけどそんな時給で愛想よく対応なんかできないですね。
どこの駅アルバイトも似たような感じなんでしょうか?あまりにも前時代的すぎます。
主張もおかしいところ多いし。
また長文で且つ読み辛い文章であることも重ねてお詫びいたします。
学生アルバイトの地位や環境改善の為に日夜ご苦労なさっている事とは存じますが、幾つか異議、あるいは同意しかねる点が御座いますので少しばかり意見を述べさせていただきます。
1トラブル発生時の時間外業務
この件に関して論じられている問題の争点は三点であると読み取れます。
まず一つは、残業を強いられることで通学ができず、学生の本分を果たせない。
二つ目は、過重労働での消耗により、授業を受けるだけの体力を失った。
三つ目は駅の人員体制の構造的欠陥。
まず一つ目ですが、私の知る限りのある管区ではこの問題は改善され、現在ではすでにほとんど存在しません。実際にあった事例では一番バイトの人数が多い朝の時間帯で、約半数の人間が人身事故直後に何の問題も無く勤務を切り上げており、残りの人間も「時間的余裕」や「仕事を切り上げても人身事故で通学できない」あるいは「授業の重要性が低い科目の為自主休講」と言った形で自主的に勤務しています。駅の「お願い」で多少残っても、残業時間は裁量が認められ、命令で強制的に残る事実は有りません。
二つ目に関してですが、過重労働とは何に比較して、あるいは何を根拠に過重であるとのご判断でしょうか? 確かに、実際に人身の対応は多忙で賃金の割りに合わないと思う事は毎度のことですが、しかしてこの世の中の労働に常に一定の労力で作業を行える仕事は如何程あるのでしょう? 飲食店であれば昼時夕食時のピークタイム、引っ越し作業員であれば年度初めの時期があるように、どんな仕事にも忙しい時期や時間帯はつきものです。それぞれの仕事には手当てが付く事も多く、不幸にも人身の当該日時勤務の駅員に対する多少の手当ては合っても良いかもしれませんが、そもそもこれを理由に大学の学業ができないというならばピークタイムの存在するバイトは出来ない訳ですから、そもそも仕事に向いていません。
三つ目の問題として、アルバイト頼みである構造的欠陥が挙げられていますが、アルバイトは社員の方々がより重要な業務に取り組むため、重要度の低い作業を割り当て、任せるために採用されております。当然、バイトが居なければ雑務が溢れるので駅は回らないでしょうが、そもそもとして足りない社員数を補い雑務を任せるためにバイトを採用しているのに、バイトがいないと駅が回らないと喚き立てる方がおかしな話です。これではまるで、シフトが自由で頼りにならないバイトは基幹労働力から外し、正社員を増やせと言う主張です。別にそれも大いに結構ですが、少なくとも学生バイトを敵に回している主張ですね。
駅員バイトは1100円と言う賃金が不当であるかのように書かれています。そして、額面に対する不当さはその責任感から生じるものであると主張されています。
賃金問題に関しても大きく分けて三つの争点があるようにお見受けいたします。
一つ目はバイトに比して重すぎる責任。
二つ目は正社員と一部重複する業務の存在。
三つ目は最低賃金との差。
一つ目。無論、駅員の仕事に対する責任が軽いとは申しません。しかし、どんな仕事にも責任はついて回ります。命がかかる、お忘れ物の引き渡しミスの責任、と書かれていますがバイトが命の責任やお忘れ物引き渡しミスの責任で賠償請求されるわけでもありません。これは社員の方も同じで、会社に請求されることが殆どであるとは思います。しかし、社員の方々は長く務めるであろう職場での経歴に残る傷として責任は重い一方で、学生は言ってしまえば所詮アルバイト。当人の罪悪感の多寡にかかわらずアルバイトを卒業、あるいは解雇されれば無関係です。この事から社員の方とアルバイトの責任は同列に語れませんし、お客様の安全や利便性を慮って最大限の配慮に神経をとがらせて業務をするのはそもそも契約の業務内容の順守であり、正当に契約賃金が支払われる以上当たり前の行為です。社員の方々もバイトには責任感持って業務に取り組むように声掛けは時折ありますが、それは特段の指示や命令ではなく常識の範疇でのものであり、いざ問題に遭遇すればバイトには責任が無いと庇い、悪質な御意見、所謂世に言うモンスタークレイマーには率先してバイトの前に立って対応し、警察が介入する暴力事件でも社員の方々は危険人物に臆することなくバイトを庇おうとなさいます。寧ろ副駅長より「何か問題があってもバイトさんに責任はないのだから社員を頼るように。みんなはそれぞれの家庭から預かっている大切な身なのだから危険な事からは逃げるようにしなさい」と言うお言葉があったほどです。そもそも通常業務の責任が重くて辛労が発生するなら業務契約時に確認して仕事を持するべき事でしょう。もっと契約書に無い業務について意見すべきです。
二つ目、正社員との重複業務ですが、既に前述であるようにアルバイトは正社員の業務のうち重要度の低い業務、あるいは雑務を任されているにすぎません。責任の重い業務や難易度の高い業務、つまり一層高度な知的労働に集中する為に、重要性の低い業務や雑務を請け負わせる役としてバイトが採用されているものだと私は考えています。とすれば、正社員と同じ仕事振りだなどとは口が裂けても言える訳が無いと現場経験者であれば思うはずです。当然、正社員の給料の時給換算とバイト自給を比較するのは馬鹿げていますし、仮に比較するとしても、バイトは学生期間のみ在籍なので基本的には長くても四年、平均在勤年数は二か三年と言ったところです。そこで二年目三年目の正社員と比べてどれ程時給換算で差があるでしょうか? 責任の違い、業務量と難易度、さらには正社員であるが故の会社への拘束、シフトの不自由……これらを勘案すれば、寧ろ同じ勤務年数と言う条件で言えばバイトの方が有利であるとさえ思う人も少なくはないでしょう。中身も見ないで金額のみに視点を付けて文句を言うのは違うのではないでしょうか?
三つ目、最低賃金との差ですが、そもそも業務内容と責任には見合わないから不当を訴えるならば、何故最低賃金+100円強の現在の賃金ではだめなのですか? 現場のアルバイトを思えば確かに給料は上がるに越したことはありません。私も上げられる物なら少しでも上げる一助になりたいと思います。しかし人である以上そこは欲を出す前に理性を持って物事を見るべきです。100円強しか変わらないと主張するようですが、そこで「しか」と述べるのは主観的なだけであり、人によっては「も」と捉える事が出来るでしょう。第三者からの意見を貰おうにもこの主張では「平均賃金より100円強違う」と言う事実だけを述べており、それを不当であるという意見に賛同しうる明確な要素が述べられているとは言えません。1100円が不当なのであれば正当だと思う価格はどうなのか、どうしてその設定になったのかまで合理的に説明できれば小田急側も納得する話なのではないでしょうか?
唯一問題があるとすれば、駅における嘔吐物の処理は本来駅員の業務では無いはずです。流行病の季節であれば感染リスクも高く、その時期でなくとも基本的に嘔吐物処理にかかる心的負担は著しいものです。嘔吐物処理を業務でやらされると知って仕事を止める新人も少なくない程です。この一点に限れば賃金に対して感情的ではありながらも不当であると大いに賛同するものは多いでしょう。中には排泄物まで転がっていたりするのですから。
しかしながら、処理に関しては曜日や日によってばらつきも激しく、一概に自給に上乗せするべき案件ではないでしょう。妥当な線で言うならば手当を付けると言った所かとは思いますが、この件で会社を責めるのも如何なものかと思います。
学生ユニオンの方々、労働組合の方々、関係者の方々、貴方たち、あるいはその周囲を見渡して、いったい幾人が人生で一度も駅で嘔吐をしたことが無いと胸を張って言えますか? この一件に関しては、現場のアルバイトは一番の被害者ですが、会社としてもある意味被害者なのです。それでも石を投げようと申されるなら、どうぞ胸を張って駅で嘔吐などしたことないぞと、そして周囲の知人に対し駅で嘔吐する奴が一番最低な加害者なのだ。と堂々主張できる者のみが石をおなげなさい。因みに私は石を投げますけど。
嘔吐物の処理には駅員の時間が割かれ、処理に必要な消耗品が割かれ、精神的付加もあります。しかし、それでもこれを処理するのですが、このサービスに対する対価は誰が支払うべきでしょう? 精々十分十五分の処理で時給と消耗品を足したサービスの原価は千円にも満たないでしょう。しかし、サービスが原価で提供されることはこの社会では有り得ません。また、本来サービスは無料ではないのです。ならば、費用を負担すべきは当然吐瀉した当人です。故に求めるならば、小田急が現場の人間を守る気があるのなら、確固たる意志で嘔吐者から居酒屋宜しく罰則金を取り上げ、その中から処理者に手当を支給するべきなのです(現実的には難しいですが)。
この点に関しては学生ユニオン様方の意見に概ね同意です。これはどちらかの肩を持つわけでなく、労働法に照らしあわせて答えが明白だからです。
私も労働法は専門でないどころか、ほんの数時間かじる程度に興味本位で学んだ程度です。これからする主張は確実に正しいとも限らないのでご指摘があれば是非に願います。
記事の内容では着替え時間・準備時間・移動時間が賃金の発生する労働時間と言うような書きぶりで語弊が発生しそうなので改めますと、労働時間とは、「使用者(会社)の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」がこれに当ります。
ではまず始業前準備と着替えに関してですが、これはまず間違いなく五分程度の時間を要します。逆にそれ以上は掛からないでしょう。となれば、これが業務命令であれば点呼時間のさらに五分前から賃金は発生するべきです。そして、業務命令か否かについては小田急は制服での勤務を明示しているので業務命令、詰まれは「使用者の指揮命令下」なので労働時間なのは明白です。「着替え場所を会社から指定していない」と言うのは着替え時間とは全くの無関係の言い分です。場所の如何に問わず、業務上の必要、つまりは命令で着替えを指示している以上は何処で着替えようが、着替えにかかった時間が労働時間であることは労働法の原則を見ればそう理解するのが自然ではないでしょうか。また、準備行為についても、「“姿勢”としては大変ありがたいので、止めることはできない。」と言う意見ですが、かなりグレーかと存じます。残業などの中には残業命令無しでも賃金支払いが認められるケースも多くあり(今回は残業とは少しケースは違いますが)、この具体例として「残業で業務を処理することを当然なこととして、上司が黙認した場合」とあります。今回の事前準備もそれがあるべきものとされ、たかが数分とは言え「黙示の残業命令」と捉える事もでき、上記の小田急側の言い分を見ても「従業員の行動を業務上のもの(姿勢)として理解しながら止めていない、つまりは黙認」が成されている以上は、法原則に従えば支払いが認められるべきところではないでしょうか。
では、駅間移動に関してですが、此処では先ほどの「着替え場所を会社から指定していない」という言い訳は効いてきそうです。何故なら、勤務地の駅から応援先の駅まで制服を持って移動して、現地で着替えるならば移動時間は付ける必要が無いと言えなくもないからです。
ですが、しかしながら本来の勤務駅から応援先への移動は業務命令で行われ、応援先に貸与用の制服があり直接向かえるならまだしも、一度勤務駅を経由しなければならないロスが生じ、このロスは紛れも無く業務命令によるものです。つまり、仮に着替えて無くても業務命令下である、と言う主張もおそらく可能なのです。
では、現実的ではない言い分ながらも「家や学校で制服を着て勤務地に向かう」場合を想定しましょう。尤も、記憶上ではこの行為はコンプライアンスに抵触するからしない様指示されていた気はしますが。この場合、仮に制服を着ていても通勤時間中は業務命令ではないという言い分です。つまり、業務の指揮監督下に無い時間帯であるため、被雇用者はその行動を会社によって制限されることなく自由であるべきです。これが会社によって何らかの拘束を受けるならばそれは「指揮命令下」であり、制服であることを仮にコンプライアンス上の問題とするならば、そもそも「着替え場所を会社から指定していない」小田急側の落ち度であり、尚且つ「自宅や学校から制服を着て会社に来ても構わない」と言う言い分とも矛盾します。しかし、小田急では制服を身に着けて駅間移動する際中に携帯を使用したアルバイトが解雇になっており、各駅でも「お客様の前では制服を着る限り休憩中か否かは関係なくコンプライアンス意識を持つように」と強く指示が出ています。この実例を鑑みるに制服を着ている限りは小田急での扱い上は罰則がある事から「指揮命令下」にあると断言できます。これが仮に家から着て来ようものなら通勤時間もすべて原則に従えば賃金の発生することになるのです。故に、今現在行われている応援駅への往復の制服による駅間移動は「指揮命令下」の時間であり、勤務時間の前後に十分の移動時間を見積もるべきでしょう。移動時間の賃金を削るならば駅間移動の制服着用を禁止する旨を明言したうえで、「着替え場所を会社が明確に指定」」し、応援駅に直接出向いて勤務ができる体制(制服の持ち帰りと持ち込みの明確な指示)等を整えるべきではないでしょうか。
教育による業務時間の延長による賃金支払いの一件はもっと告知されてしかるべきではあるでしょう。ただ、新人や先輩による業務外の個人指導等は残業と言えば残業かも知れませんが、架空申告も可能になる上管理の煩雑さからして問題解決は難しいでしょう。新人研修の賃金未払いと書くには大袈裟な感が否めません。誤解やミスリードを誘う見出しは如何なものでしょうか。研修による業務時間延長に際した時間外分賃金の未払いは確かになくすべきでしょう。
5年休日数
普通に勤務してれば普通に年休はつき、使いたいときいつでも使え、卒業を控えて年休を余らせそうな人には副駅長が率先して使う様に声掛けして回る事でこの上なく利用しやすい環境が整っているのですが、いったい学生のどのような権利が否定されているのでしょうか。
私は学生ユニオン様方をよく存じてないが故に、労働組合的なものと考えています。誤解があれば深くお詫びいたします。しかしながら、仮に方々が真に労働者を守りたいと思うのであれば、人身事故の現場に居合わせて陰惨な光景を目にしてしまった社員の方やアルバイト、またあるいは酔いに任せて暴力をふるう傷害犯等によって心身に傷を負った労働者の方々こそ救うべきではないのでしょうか? 本来の労働のあるべきところから逸脱して受けた被害、労働契約に無い被害から労働者を守るのが、そう言った業務上の被害や損害に対し企業が然るべき責任を労働者に果たすよう交渉するのが労働組合の意義ではないのでしょうか?
労働契約上問題の無い所をほじくり出してあたかも大きな問題であるかのように扇動して人々や世論を動かして我の要求を押し通すことが仕事なのでしょうか? こういったことも政治上必要な事も大いにあるとは思います。雇用者側に本来の要求を通すために、交渉術として過剰な要求をすることも戦略的手段として必要な場面もあることと存じます。その苦労も察するに余りあるものです。しかし、本当に救われるべき労働者が何処にいるかだけは、どうか見落さないで頂きたいと思います。
ユニオンメンバーの中に駅員の方がいるとのことですが、偶然環境の悪い所に運悪く所属してしまったのでしょう。その方の御不幸は不憫とは思いますが、その方が偶然所属する管区が偶然劣悪な環境下であったことを社の全体の事のように言われると現場で仲良く楽しく働いている人にとって気分の良いものではないとご理解ください。
やりがい搾取だとかも申されてますが、別に鉄道好きで働いてる人間は半分もいないですし、接客を、駅の仕事を楽しくやりがい感じて働いてはいけないのでしょうか? やりがいを感じれば搾取されてると言う被害者意識を持たなければならないのでしょうか? 多くの者が別の劣悪なアルバイトから転職して小田急バイトをして大変に良くしていただき恩義を感じる者も(社と言うよりは、勤務を共にしていただいた副駅長や社員の方にですが)大勢いるのに、世論を扇動されて小田急全体が非難されるのは嘆かわしく思います。
さかい
小田急側も会社としては嫌なら辞めてもらって構わないという姿勢だから時給も安めに設定しているわけで、交渉するのは当然良いんですが、要求が通る保証は何もありません。
アルバイト側の負担がどの程度なのか実感としては分からないが、仮に大人の派遣社員並みのスキルと責任を求めているなら1100円という時給は安すぎる。そこまでは求められていないなら時給程度の頑張りで良いんじゃないでしょうか。会社としてそこまでは求めていないという事ですから。
とりあえず今後小田急の沿線には住みたくないなと思いました。
首都圏学生ユニオン
個別のコメントにお返事を差し上げることはできませんが、全て読ませて頂いております。
今後の進め方について大変参考になるご指摘や、励ましのお言葉を頂き、とても嬉しく思います。
引き続き、ブログやツイッターで首都圏学生ユニオンの活動を発信してまいりますので、よろしくお願いいたします。
川崎
元バイト
有給について、学業の事情がある場合以外は取得できないというのは後々気付きましたが労働基準法違反。
正社員は有給取得時に事由をゴルフとか書いて当たり前のように有給取得出来るのに、アルバイトは学業以外認めないというのはおかしい。退職時に全ての有給を使い切りたかったが認められずに大損した。
副駅長に一任されているからか、労働基準法より副駅長個人的な見解や主観が先走り、有給取得は学業以外認めないとか、アルバイトだから5分前集合点呼、5分前に正社員と交代するのが当たり前、正社員の補助なのに正社員がやらない仕事もして時間一杯まで休憩なしで立ち仕事するのが当たり前みたいな慣習や考え方を変える必要がある。ユニオンで労働実態をまとめ、労働基準監督署へ行くのがいちばん良い解決法だと思うが。賃金も確かに安い。最低でも時給¥1500に上げるべき。賃上げも旅客営業部ではなく、本社の総務部と交渉しなければ何も解決しない。
元バイト