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新聞宅配システム崩壊の予感

今日は、地元の朝日新聞販売店の店長の訪問を受けた。
「来月から新聞を入れてくれるな」という僕の申し出に対処するつもりだったのだろう。
安手のジャンパーを着た、「小心な亀井静香」(笑)といった感じ彼は、「あのう・・秦さんの契約は来年の4月までとなっておりまして・・」とおずおずと言う。
「いや、実は、不況のせいで、明日のコメもない始末で・・・」と僕はでまかせを言った。
「はあ・・・そうなんですか・・」
「子供が実は十万人にひとりという奇病にかかってて、病院にかかる費用が馬鹿にならないんですよ」(実は風邪で寝込んでいるに過ぎなかったが・・)
「それは、お気の毒に・・」
「そういう家からも契約をタテに購読を強いるなんて、まさか天下の朝日新聞がするわけがないですよね」
「はあ、よほどの事情があれば、そのへんは柔軟に対応しろと指示はされていますけど・・」そこで、彼は深いため息をついた。
その様子があまりに沈んでいるので、「申し訳ありませんね、おたくらも大変でしょうけど」と言ってみた。
「いえ、いいんです。またそのぶん、町内の廃品回収に貢献できるというものですから・・」と、彼は口走った。
「あ・・それは、もしかしたら『押し紙』ということと関係あるのでは?」
彼はギクリとした感じで、「どうして『押し紙』という言葉を知ってるんですか?」
「あはは、まあね、いろいろと情報は・・」僕は言葉を濁し、続けた。「(購読を)やめる人が増えているんですか?」
「そうなんですよ・・。皆さん、秦さんと同じような理由でね。不景気が響いているんですかね・・私も転職を考えているくらいで・・」
そう言いながら、店主は肩を落として、帰っていった。
不景気のせいばかりではない。
新聞は読者の信頼を失いかけている。
世の中の変化についていけず、過去のスタイルに固執し、既得権益を守るためになりふり構わない。
読者は敏感に「なにかおかしくなっている」ことを察知し、新聞にカネを払うのが惜しくなってきている。
そう言おうと思ったが、「小心な亀井静香」の憔悴した表情を見ていると、何も言えなかった。
新聞社を支えてきた「宅配システム」の崩壊の兆しを、身近に見た気がする。
自民党、マスコミ、旧勢力を支えてきたものすべてが衰微していき、今、最後のバンザイ突撃を試みようとしている。
玉砕は間近だろう。





裏窓からは
ときどき人の別れが見える


本日の朝日の読書欄。
連載されている筒井康隆のコラムを読んで、首肯する部分があった。
それは、ダニエル・J・ブーアスティンの「幻影の時代―マスコミが製造する事実」という書物に言及したところだ。

擬似イベントとは、現代人の飽くことを知らぬ途方もない期待に応えようと、マスコミが、政府が、時にはわれわれ自身が生み出す作られた出来事のことである。ニュースは取材されるものではなく、作られるものであり、事件のニュースが報じられていない日の新聞を読んで「なんと退屈な日だ」ではなく「なんと退屈な新聞だ」と読者に言われぬよう、マスコミは日日面白いニュースを作り出そうとする。かくて報道倫理に従った高級紙は没落していくことになる。(中略)
古くから人びとが求めた英雄は、毎日のように新たな英雄を見出さずにはいられない大衆の欲求によって、現代では英雄ではなく単なる有名人となり、テレビに現れては消費され、すぐに消えていくことになる。真の英雄がマスコミに取りあげられることはなくなった。ノーベル賞受賞者とて、たちまち有名人の列に引きずりおろされ、ただちに忘れられていく。
(2/21 朝日 読書欄 「漂流~本から本へ」#44 筒井康隆)


「擬似イベント」は初期の筒井作品の重要なテーマとなり、「東海道戦争」「48億の妄想」「俗物図鑑」などの作品として結実する。
資本主義の競争の原理に晒されているマスコミ各社にとって、「何が事実か」ということは、実はどうでもよくて、「何が面白いか」ということが重要になってくる。
ニュースに登場する政治家や芸能人は、いかに「素材」として面白いか、「商品」として価値があるかが問われ、各局のキャスターは、それら人物を単純な類型にあてはめ、理不尽な決め付けを多用しながら、たたきまくる。
毎朝、貴重な時間に、貴重な電波を使って、巨大なフリップ版に貼られた紙を剥ぎ取りながら、粗雑で主観的なキャスターが吐き散らかす「迷言」で視聴率が上下している現状を見ると、根本的な何かをぶっ壊さないと、このままでは、いかん・・・という気にさせられる。
ブーアスティン、読んでみたいな。しかし、カネと時間がない・・。

東海道戦争 筒井康隆


関連記事 [未分類]
未分類 ï½œ コメント(4) ï½œ 20100222035205 ï½œ 編集
63|司 浩平|20100222103720

ぜひ、玉砕してほしい。私としては、自民でも、民主でも、いいんだけど、お役所が主導するのは、もういい加減にしてほしい。
64|ローレライ|20100222114540

多分お初です。
新聞はとってないけど駅売りでは選んで買いますね。
TVやラジオの視聴は、
新聞やネットよりダラダラ長いニュースやCMが退屈です。
67|新聞|20100222223047

おばちゃん~スーパーのチラシ。おやじ~囲碁・将棋欄。この2つを上手に切り崩せば、新聞の購読数は減少間違いなしだが・・・。このうち、チラシは、一部のスーパーが「携帯電話を利用したメールのお得情報を流し」成功している。
69|ロヒくん|20100223044928

22日付でまた朝日さんお得意の世論調査。「民主党の小沢幹事長の政治資金問題で、小沢さんは自分が不起訴になったことを受けて、これ以上の説明は必要ないとしています。一方、野党は小沢さんに国会での説明を求めています」。設問にこの説明がつきます。小沢さんは「これ以上必要ない」とは言っおらず、ウソを伝えています。国会説明は質問内容がいいかげんかつ不明で、混乱を呼ぶだけ、とわかっていながら、どうしてこんな設問をするのか。何もないところに火をつける放火犯と同じ、悪意です。悪意が民主主義を滅ぼす姿です。
いろんな人と世間話をしても、小沢問題で人が騒いでいる形跡はありません。あなたは関心がありますか、とまず聞いて、関心のある人にだけ聞かないと、回答の押し売り・誘導・騒動の種まきにしかなりません。ああ、こんなことで、退屈しのぎのニュースを作って、それでも新聞は売れない。売れないから事実のねつ造に走る悪循環。とんでもない幻影の時代を生きているわけですね。
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